「英会話教室は意味がない」は本当? スクールで効果を出す5つのコツ

英会話スクールに通っていても、英語力の伸び悩みを感じている人もいるでしょう。ただスクールに通ったからと言って、英語力の着実な上達が保証されているわけではありません。今回は、英会話スクールへの投資を無駄にしないためにも、受講の効果をアップさせるために知っておきたい5つのコツについてご紹介します。

1. 自分に最適なスタイルのスクールを選ぶ

民間の「英会話スクール」には様々なものがありますが、大きく分けると以下2つに分類できます。「自分にとって必要な英語力とは何か」を見極めることで、どのような種類のスクールを選ぶべきかが見えてきます。

  • 大手英会話スクールチェーン
    「英会話」といってまず思い浮かぶのが、全国展開をしている大手のチェーンです。それぞれのスクールが、独自のメソッドやカリキュラムを提供しており、子供からシニアまで幅広い年齢層に対応しています。さらに、グループでのレッスンが中心のものと、マンツーマンレッスンが中心の2種類のチェーンに別れます。
  • パーソナルコーチ式スクール
    ビジネス英語を学びたい人を中心に最近人気なのが、パーソナルコーチ式スクールです。多くが、短期間で大幅な英語力の向上を目指す短期集中型プログラムの提供を特長とし、それぞれの受講生に対し専属のコーチがつき、目標達成に向けた学習時間の管理やスケジューリングのアドバイスなどを行います。

例えば「海外旅行のために楽しく英会話を学びたい」人などには、様々なレッスンを用意している大手スクールの方が適しているでしょう。一方で「仕事でTOEICスコアを短期間でアップさせる」といった必要性に迫られている人には、後者のコーチング型をおすすめします。

「スクールに通ったけれど効果がなかった」という話は、自分の学習目的・スタイルと食い違いのあるスクールを選択しまったためかもしれません。それを防ぐためにも、各スクールの強みや特色をよく理解した上で入学しましょう!

2. 学習目的・目標をはっきりさせる

自分に適したスクール選びのためには、英語を学ぶ目的・目標に照らし合わせることが欠かせないと述べました。ここで、目的・目標をどのように明確化するかを考えます。

まずは、「英語がペラペラになりたい」といった漠然としすぎるゴールは避けるようにしましょう。目標が曖昧だと、そこに到達するための道筋が描けなくなります。そのため、セファール(CEFR)や英検、TOEICやTOEFLなどの基準を参照しながら、「どのレベル」に「いつまでに」到達したいのかを考えることが大切です。

同時に、自分は将来、英語を用いてどのようなことをしたいのかを考えましょう。第二言語習得理論(SLA)では「英語を使用する理想自己(Ideal L2 Self)」という考え方の重要性が指摘されています。「英語圏の大学院を卒業したい」、「ハワイでビジネスをしたい」といった具体的な目標とともに英語を使いこなせるようになった自分像をイメージすることが、モチベーションの維持につながり、それが英会話スクール通学の効果をいっそう高めることになります。

3. インプットは自宅学習で

英会話スクールは、あくまで「アウトプット」を行う(=発話をする)ための場所です。そのため、アウトプットのために必要なボキャブラリーや文法事項の学習(インプット)は、自分自身で行う必要があります。

英会話スクールの効果を上げる(アウトプット能力を伸ばす)ためには、日頃の予習・復習を通してインプット量を確保しなければなりません。レッスン前の予習では、トピックとなる文法や、それを表現するための語彙をあらかじめチェックしましょう。レッスン後の復習では、「これを言いたかったけれどもできなかった」という点を振り返り、次のチャンスに向けて知識を補っていきましょう。

このようにレッスン外での学習を習慣づけることで、レッスン中の発話が次第にスムーズで活気にあふれるようになり、結果としてスクールへ通う効果が高まります。

4. 興味のアンテナを広げる

「インプットの確保」に加えて、「会話をふくらませる」ために実践したいのが「時事ニュースや文化の動向に注意を払う」、ということです。

英会話スクールには、多様なバックグラウンドを持つ、幅広い年齢層の人たちが通っています。20歳前後の高校生や大学生から70〜80代のシニアといった生徒たちとレッスンをともに受講することがあるかもしれません。自分とは大きく異なる年齢層や職業・経歴の人たちとも会話できるようするためには、文化・社会への興味を広げていくことがポイントとなってきます。

まずは、ニュースを毎日チェックする習慣を身につけましょう。時事的トピックは多くの人に共有されているため、「レッスンで話すことがない」という事態を避けることができます。また、話題となっている映画や音楽などに積極的に触れることも大切です。例えば「ディズニー映画」や、MARVELなどの「スーパーヒーロー映画」などは、男女・年齢を問わず幅広く人気があり、レッスンでよく話題にのぼります。「英語の知識」だけでなく、幅広い興味を持つ「文化力」も高めることを心がけましょう!

5. 「第二言語習得理論」に触れてみる

外国語をいかにして教える・学ぶかを研究する言語学の領域を「第二言語習得理論(Second Language Acquisition/SLA)」と呼び、多くの外国語教師によって学ばれています。一般向けに書かれた入門書も多数あり、代表的なものに『外国語学習の科学』(白井恭弘著・岩波新書)があります。

この本の第5章「外国語を身につけるために」と第6章「効果的な外国語学習法」では、SLAの理論を応用しながら実践的学習法が解説されています。例えば次のアドバイスは、英会話スクールに通う人にとってとても役立つものです。

 話す練習をするときは、まず意味を通じさせることを第一としますが、同時に余裕があれば、正しい文を言うようになるべく努力するといいでしょう。音声的にもなるべく正しい発音をするよう注意を払い、正確さ流暢さのバランスをとるようにします。通じさえすればいい、という態度は、長期的には、あまりよくありません。

『外国語学習の科学』(168 – 169頁)より

このパッセージから、レッスン中に気をつけるべきなのは「速いスピードで話す」ことだけでなく、「正確性にも気を払う」ことだと分かります。正しい英語をスクールで身につけるために、SLAについてある程度知っておくとより効果的です。

SLAのさらなる効用には、「レッスンで余計な劣等感を抱かなくてすむ」という点があります。例えば『外国語学習の科学』第1章では、日本人学習者に見られる間違いの多くが、日本語と英語のあいだの違い(言語間距離)によるためと解説されています。言語の仕組みについてある程度学んでおくと、なかなか目に見えた学習の成果が上がらないようなときも「自分に才能がない」といったネガティブ思考に陥らずにすむでしょう。

まとめ

今回は、英会話スクールに通う人がレッスン受講の効果を高めるためのヒントをご紹介しました。「英語・英会話を学ぶ」と言っても、そこには「目標の設定」や「モチベーションの維持」、また英語以外にも知っておきたい文化的事柄など「学習」以外の要素があります。せっかく費用や時間をかけてスクールに通うなら、その効用を最大化する工夫で、自分にとっての有益性を高めましょう。

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【参考書籍】『外国語学習の科学』白井恭弘著(岩波新書)

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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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