ワーキングホリデーとは|年齢制限や費用をわかりやすく【2024年版】

短期の旅行ではなく、1年~3年ほどのあいだ海外に滞在できるとしたら、どんなことがしてみたいですか?

英語やその他の語学の勉強、現地でのアルバイト、日々の生活の中で異文化にどっぷり浸かってみるなど、その土地に一定期間身を置いて過ごすからこそできる体験は数多くあります。

海外に長期で滞在する手段の一つとして、「外国で暮らしてみたい」「短期間の海外旅行では味わえない経験をしたい」という思いを持った人たちにおすすめなのが、ワーキングホリデー制度です。

この記事では、「ワーキングホリデー制度を利用して海外に行きたい」「興味はあるけれど、どんな制度なのか分からない」という方に向けて、ワーキングホリデーで行ける国や地域、費用の目安などを解説します。

※記事内の情報は、2024年2月時点の調査結果に基づくものです。最新の情報については、外務省や各国大使館のウェブサイトなどをご確認ください。

目次

ワーキングホリデー(ワーホリ)とは

ワーキングホリデーとは海外に長期滞在ができる相互協定制度のこと

ワーキングホリデーとは、特定の国・地域間での相互協定に基づくビザ(査証)の発行により、1年~3年程度(※)にわたって対象国・地域に長期滞在できる制度のことです。

「ホリデー」と名の付く通り、滞在の主な目的は「休暇を過ごすこと」に限定されますが、一定の条件下において、現地での生活費を補うための就労や、語学学校などでの就学も認められています。

仕事、勉強、観光…柔軟な滞在プランが組めるのはワーキングホリデーならでは

通常、海外で働いたり、教育を受けたりするには、企業や語学学校・大学といった受け入れ先を見つけた上で、目的別のビザの取得が必要です。また、仮に途中で仕事や学校を辞めることになった場合、ビザ発給の前提となる要件を満たせなくなり、基本的には現地での滞在資格そのものも失われます。

一方、ワーキングホリデービザでは、対象の国・地域に滞在可能な期間中、ゆっくりと旅行・観光する、語学学校に通う、アルバイトをするなど、フレキシブルに計画を組むことが可能です。

目的に応じたさまざまな活用方法があるワーキングホリデーは、「とにかく海外に住んでみたい!」という気持ちを後押ししてくれるような制度と言えるでしょう。

※ワーキングホリデービザで滞在可能な期間は国・地域ごとに異なります。

ワーキングホリデーで行ける国は?

ワーキングホリデーは、特定の国・地域間で結ばれた協定に基づく制度のため、世界中の国すべてが対象となっている訳ではありません。

2024年2月現在、日本国籍の保有者がワーキングホリデー制度を利用して渡航できるのは、下記の29の国と地域です。

ワーキングホリデーで行ける29の国と地域

国・地域 滞在可能期間 ワーホリビザの年間発給枠
オーストラリア 12ヶ月
2ndビザ、3rdビザの取得で最長3年まで滞在可能
制限なし
ニュージーランド 12ヶ月
一定の条件下でさらに3ヶ月延長可能
制限なし
カナダ 12ヶ月 6,500
韓国 12ヶ月 10,000
フランス 12ヶ月 1,500
ドイツ 12ヶ月 制限なし
英国 2年 1,000→6,000(※)
アイルランド 12ヶ月 800
デンマーク 12ヶ月 制限なし
台湾 180日
180日の滞在期限内の更新で最長1年まで延長可能
10,000
香港 12ヶ月 1,500
ノルウェー 12ヶ月 制限なし
ポルトガル 12ヶ月 制限なし
ポーランド 12ヶ月 500
スロバキア 12ヶ月 400
オーストリア 12ヶ月 200
ハンガリー 12ヶ月 200
スペイン 12ヶ月 500
アルゼンチン 12ヶ月 200
チリ 12ヶ月
さらに12ヶ月の延長も可能
200
アイスランド 12ヶ月 30
チェコ 12ヶ月 400
リトアニア 12ヶ月 100
スウェーデン 12ヶ月 制限なし
エストニア 12ヶ月 制限なし
オランダ 12ヶ月 200
ウルグアイ 12ヶ月 100
フィンランド 12ヶ月 制限なし
ラトビア 12ヶ月 100

出典:外務省|ワーキング・ホリデー制度
※日本からイギリスへのワーキングホリデー渡航可能枠は、2024年より6,000人に拡大されました。(参照:GOV.UK|UK and Japan expand mobility schemes for young people

年齢制限に注意!ワーキングホリデービザの発給要件

ワーキングホリデービザを申請するには、国・地域ごとに定められたビザの発給要件を満たす必要があります。条件に当てはまらない場合は申請自体ができないため、興味がある渡航先についての情報をあらかじめ確認しておきましょう。

ワーキングホリデービザは申請時の年齢が18歳~30歳までの人が対象

ワーキングホリデー制度を導入している国・地域の多くでは、ビザ申請時の条件の一つとして「年齢が18歳~30歳までであること」という制限を設けています。

なかには、アイスランド(18歳~26歳まで)のように、さらに対象範囲が狭いケースもあるため注意してください。

なお、対象となるのはワーキングホリデービザの申請時点での年齢です。31歳の誕生日前日までに申請を完了してビザを取得できれば、実際の入国時の年齢が30歳を超えていても問題ありません(※)。

いずれにせよ、年齢による期限が迫っている場合は、スケジュールに余裕を持って申請準備を行いましょう。

※ワーキングホリデービザの取得後は、決められた期限までに対象国・地域に入国する必要があります。

滞在資金の証明や海外旅行保険証書の提出が必要な場合も

ワーキングホリデービザの申請時には、年齢制限以外にも、満たすべき複数の条件があります。

下記は、条件として定められている一般的な項目の例です。詳細は対象の国・地域によって異なるので、申請前には必ず最新情報を確認してください。

【ワーキングホリデービザの発給要件(例)】

  • 子どもや被扶養者を同伴しないこと
  • 滞在予定期間をカバーできる海外旅行保険に加入していること
  • 滞在費として一定額の資金証明を提出できること
  • 往復航空券(または帰りの航空券を購入するための資金)を有していること など

ワーキングホリデーにはいくらかかる?費用の目安

海外で長期滞在をするにあたって、多くの人が気になるのが費用面です。滞在費は、渡航先の物価や現地での過ごし方によって大きく変わるため、語学の勉強、旅行、ホームステイなど、まずは自分がやりたいことをリストアップした上で費用を見積もってみましょう。

ワーキングホリデー向けのサポートも行っている留学エージェントの「スマ留」によると、人気の渡航先の一つであるオーストラリアで過ごす場合の費用の目安は以下の通りです。

【1年間のワーキングホリデーでかかる費用の目安(オーストラリア)】

  • 滞在費(宿泊形態により異なる):65~90万円
  • 生活費:50~70万円
  • 語学学校費用(3~4ヶ月の場合):27~40万円
  • その他諸経費(航空券代・保険料・ビザ申請費など):32~45万円
  • 合計:174~245万円
  • 現地で就労した場合の給料の目安は約136万円(オーストラリアの最低賃金で1日6時間×週5日、9ヶ月間働くと仮定し、税金を差し引いた金額)。

    ※出典:スマ留|ワーキングホリデー

ワーキングホリデーでの滞在中に現地で働く場合は、上記の出費と得られた給料の差が実質的な負担額となります。仕事がスムーズに見つからないケースにも備えて、渡航前にある程度余裕を持った金額を用意しておくと安心です。

ワーキングホリデーのメリット

ここからは、ワーキングホリデーのメリットや、ビザの申請前に知っておきたいデメリットについて見ていきましょう。

1. ビザ取得のハードルが比較的低い

ワーキングホリデービザは、海外での就労や就学を目的とする他のビザと比べると取得のハードルが低く、条件さえ満たしていれば誰にでも申請が可能です。

就労を主な目的として海外に渡航する場合、まずは求職活動を経て、現地に拠点を置く企業での長期的な雇用が約束されていることが大前提となります。また、学生ビザを取得する際も、あらかじめ数ヶ月~数年単位のプログラムや課程に申し込む必要があるため、なかなか決断がしづらいという方もいるでしょう。

一方、ワーキングホリデービザの申請時には、受け入れ先の事前確保は不要です。渡航前にも情報収集をしておくに越したことはありませんが、現地に到着してから本格的に仕事を探すやり方も一般的なので、「いきなり海外で長期雇用を目指すのは難しそう」という方でも一歩を踏み出しやすいはずです。

2. 滞在中に仕事をすれば費用を抑えられる

働く意思があったとしても、就労を認めるビザを持っていない限り、海外で仕事をすることはできません。

しかし、ワーキングホリデーの場合は、海外での生活費を自分自身で稼ぎながら滞在することが可能です。特に長期滞在の費用をネックに感じている方にとって、現地での就労は生活の自由度を高めるための重要な要素と言えます。

あらゆる事態に備えて事前にある程度の生活費を確保しておくことは必要ですが、出費がメインになりがちな海外での滞在中に、現地で働いた分のお金を生活の足しにできるのは、ワーキングホリデーならではのメリットです。

ワーキングホリデーのデメリット

1. 労働条件や就学可能期間の制限に注意が必要

ワーキングホリデーの主目的は休暇を過ごすことであり、滞在先での就労・就学はあくまでも付随的な扱いとなります。そのため、多くの国・地域では、滞在中の就学期間や、同じ雇用主の下で働ける期間に制限を設けています。

たとえば、オーストラリアの場合、ワーキングホリデービザで滞在できる12ヶ月のうち、語学の勉強など、就学のために費やせる期間は最長4ヶ月まで(※1)です。一方、韓国では就学期間の制限はありませんが、就労時の条件として、労働時間は1週間あたり最長25時間までと決められています(※2)。

ワーキングホリデービザの申請前には、各国・地域の滞在条件を確認し、規定の範囲内でどんなことができるかを把握した上で計画を立てるようにしましょう。

※1:Australian Government|Working Holiday Visa
※2:Republic of Korea Ministry of Foreign Affairs|Korea Working Holiday Guide

2. 仕事探しが計画通りにいかないことも

一定の条件下での就労が可能なワーキングホリデー制度ですが、現地に到着後、仕事探しが思うように進まないことも考えられます。

ワーキングホリデー中に就ける仕事は、対象国・地域ごとに定められた条件を満たす、数週間~数ヶ月単位の短期雇用です。働き口が得られるかどうかには、季節・タイミングごとに変動する求人数、自分自身の英語力やスキルなど、さまざまな要素が関わります。

思い通りに事が運ばなかった場合でも、焦らず臨機応変に行動するには、事前にできる限りの情報収集をし、バックアッププランを用意しておくことが大切です。自分一人で準備をするのは不安という方は、ワーキングホリデーでの渡航サポートを行っている留学エージェントに相談してみてもよいでしょう。

まとめ

柔軟なプランでの長期滞在が叶うワーキングホリデー制度は、海外で暮らしながらあらゆることに挑戦できるチャンスです。語学スキルを磨く、外国で働く経験を積む、旅行で視野を広げるなど、どんな過ごし方をするかは自分次第。少しでもワーキングホリデーが気になった方は、興味のある国について調べるなどして、具体的にイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

【関連ページ】ワーホリ準備にエージェントは必要?おすすめの活用法や費用の目安を解説

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English Hub 編集部

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