【映画に学ぶ英会話 6】アメコミ・スーパーヒーロー映画から会話表現を学ぼう!

2018年は、アメコミを原作とした映画が記録的なヒットを記録した年となりました。MARVELの『ブラック・パンサー』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が世界的に大好評を博した一方、ブラックユーモアに満ちた『デッドプール2』がファンから熱烈に歓迎を受けたことも記憶に新しいでしょう。また、惜しいことにMARVELの始祖であるスタン・リー氏が逝去した年ともなりました。

過去10年のあいだに、アメコミに発するスーパーヒーロー映画は、現代映画における独立したジャンルとして圧倒的人気を持つようになりました。今回は、広く楽しまれているアメコミ映画からいくつかのセリフを厳選して紹介します。人気作品の世界観を楽しみつつ、そこから豊かな英語表現を学びましょう。

※ネタバレ要素の含まれる解説もあります。各作品を未鑑賞の方は、ご注意ください。

“Me too” の連発から卒業する:『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)』(2016)


日本人は「調和」を好む傾向が強いためか、会話相手に対して “Me too.” と返すことが多いようです。しかし、”Me too” を連発しすぎると「自分の主張がない人」だと思われかねません。例として、次のような会話を想像してください。

  • A : I went to New York this year.
  • B : Oh, me too!
  • A : And I saw a Broadway show. I had a blast!
  • B : Wow! Me too!

これでは、Bの人はあまり会話に貢献できていません。このような「だらけた会話」や「単調な返答」に陥ることを避けるために、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』からの印象的な会話を紹介したいと思います。

『シビル・ウォー』では、ある策略によってヒーローたちの結束に亀裂が入ります。特に、スティーブ(キャプテン・アメリカ)の古い友人で、かつては敵に操られていたバッキー(ウィンター・ソルジャー)のことを、トニー(アイアンマン)は許すことができません。それゆえバッキーをかばうスティーブは、トニーとの生死をかけた決闘に入るのですが、そこでのやり取りに注目してみましょう。

  • スティーブ : [Bucky] is my friend.
  • トニー : So was I.

“So am I” や “So do I” を使うことで、「私もそうです」と表現できます(be動詞かdo かは、先行する文に合わせます)。しかし、ここでトニーのセリフが “So was I” と「過去形」になっているのはなぜでしょうか?

トニーがbe動詞の過去形 was を用いているのは、これが「私も以前は君の友達だった(しかし今はそうではない)」という「絶交」のメッセージであるためです。そのため、“I’m not your friend any more” という意味が、わずか3語で端的に、無感情に表現されており、トニーの苦しみがよりひしひしと感じられるセリフになっています。さらに発展させた、以下のやり取りを見てください。

  • A:I love watching anime.
    (アニメを見るのが大好きです)
  • B: So did I. Now, I prefer documentary films, though.
    (私も[かつては]そうでした。でも今では、ドキュメンタリーの方が好きです)

ここでも “So did I” とdo が「過去形」になっています。そのため、 “Me too” だけでは表せない「時間による好みの変化」を表現することができます。

“So am/do I” や、否定形の “Neither am/do I”には、少し硬い知的な響きがあるため、会話を引き締める効果があります。特にフォーマルな場やビジネスシーンでは、カジュアルな “Me too” よりも好ましい表現でしょう。これを機に “Me too” ばかりに頼ることから卒業し、会話のバリエーションを広げましょう。

「あきらめ」を婉曲的に表現する:『ダークナイト(The Dark Knight)』(2008)


MARVELと並んでアメコミを代表するのがDCコミックスですが、その中でも「バットマン」の存在感は他を圧するものがあります。特にクリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』は、アメコミの枠を超えた傑作とうたわれています。故ヒース・レジャー演ずるジョーカーの “Why so serious?” は、アメコミ悪役の中でも最も知られたセリフの一つでしょう。

本作はブルース・ウェイン(バットマン)、ジョーカー、トゥーフェイスといった広く知られたキャラクターが満載ですが、名優マイケル・ケインの演ずるアルフレッド(ブルースの執事)も見逃せません。特に、ジョーカーによる理解不能な犯罪行為が理解できずに苦闘するブルースに、兵士としての過去を持つアルフレッドが与えるアドバイスは記憶に残るセリフなので、一見の価値があります。

  • アルフレッド : With respect Master Wayne, perhaps this is the man who you don’t fully understand […] some men are not looking for anything logical, like money […]. Some men just want to watch the world burn.

ここで、下線を引いた “some” に注目してください。この単語は、通常「いくつかの/何人かの〜」といった「数量」としての意味で使われることが多いでしょう。しかし、アルフレッドの真意を理解するためには、 “some” に「〜な人もいる」という意味があることを思い出しましょう。彼のアドバイスには、「世界が燃え落ちるのを見るのが生きがいの人間もおり、彼らの心理は理解を超えている」というニュアンスが隠されています。

この意味で使うと、他の人たちに対する「あきらめ」の感情を表現することができます。次の会話を見てみましょう。

  • A: I can’t believe he forgot my birthday! Who does he think I am?
    (彼が私の誕生日を忘れたなんて信じられない!私のことを誰だと思っているのかしら?)
  • B: Well, some people don’t pay attention to important things.
    (重要なことに注意を払わない人もいるものよ[=だからあきらめなさい])

以上のように、“some” という何気ない言葉を工夫して使うことで、発話に深いニュアンスや「賢さ」をにおわせることができるでしょう。また “Some men just want to watch the world burn” は、広く認知されているため「世の中には理解を超えた人々がいる」という一般的な意味で使うことも可能です。この名セリフは、ぜひまるごと暗記して、日常会話で活用してみましょう。

英語で「最低!」と言ってみる:『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(Avengers: Infinity War)』(2018)


『インフィニティ・ウォー』は、MARVELのヒーローが結集する『アベンジャーズ』の3作目にあたる作品で、ついに最強の敵・サノスとの対決が起こります。すでに鑑賞済みの方は、衝撃のエンディングが未だに忘れられないのではないでしょうか。

全体的にシビアな雰囲気の本作でも、ところどころでヒーローたちのユーモアにあふれる掛け合いを楽しむことができます。特に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズからのキャラクターたちが重要な役割を担うのですが、彼らのウィットに富んだセリフからは、学ぶことが多いです。ここではリーダー格のピーター(スターロード)が、トニー(アイアンマン)によるサノスへの攻撃プランを退ける場面を取り上げてみましょう。

  • ピーター: I like your plan, except it sucks. So let me do the plan, and that way, it might be really good.

ピーターは虚栄心が強いキャラクターですが、このセリフには彼の性格がよく表れています。ここで下線を引いた “suck” は「つまらない・くだらない」という意味の自動詞ですが、強調して言うことで「(主語)は最低だ!」という感情を率直に表現することができます。

何かが「つまらない」と英語で言いたい場合、つい “bad” や “I don’t like ~” を多用してしまう人もいるのではないでしょうか?しかし、『シビル・ウォー』の項目で取り上げた “Me too” と同様に、使いすぎると会話が弾まなくなってしまいます。そこで “suck” という動詞を用いて、どのように会話を盛り上げられるかを見てみましょう。

  • A : Did you have a good time in Disneyland?
    (ディズニーランドは楽しかった?)
  • B:The rides were great. But the weather sucked! It kept raining all day.
    (アトラクションは良かったよ。でも天気が最低だった!一日中雨がやまなかったの)

ここでのBによる発言は、単に “the weather was bad” というより、はるかに「怒りの感情」がこもった、ダイナミックな表現になっています。また、“suck”は「自分の欠点」を述べるときにも活用できる言葉です。

  • A: Do you drive often?
    (よく運転するの?)
  • B: Yeah. I suck at reading maps, though. I always get lost.
    (うん、でも地図を読むのが本当に苦手!いつも道に迷っちゃう)

自分に対してだけでなく、“He sucks at playing the piano” などと、他人に対しても使える表現です。しかし、その場合は相当きつめのコメントになってしまうので、控えたほうが無難でしょう。ともあれ、“bad” や “I don’t like~”に頼らず、自分の感情をストレートに表現するために便利な言葉です。親しい相手と「感情を共有する」ためにも、ぜひ使ってみてください。

“let”と”allow”を使い分ける:『ローガン(Logan)』(2017)


アメコミ映画のニュースで最近話題となったのが、『X-MEN』シリーズの権利をMARVELが取得したことです。これによって、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)にX-MENのキャラクターが将来登場することになりました。

X-MENは2000年に第1作が公開されてから、『デッドプール』などのスピンオフ作品も含め2018年現在までに11作が製作されている、大人気シリーズです。イギリス出身の名優パトリック・スチュワートが扮するチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)によって率いられる正義のミュータント集団X-MENですが、その中でもヒュー・ジャックマン演ずるローガン(ウルヴァリン)を中心に物語が展開します。

一匹狼な性格のローガン/ウルヴァリンとして世界的スターとなったジャックマンは、2017年の『ローガン』でX-MENの世界を去ることとなりました。本作は、シリアスな物語性やリアルなアクション描写によって、他のアメコミ映画とは一線を画す作品として高く評価されました。自らの老いと死を目前としながら、自分と同じ能力を共有するミュータントの少女ローラを守り抜くローガンの姿が深い感動をもたらす作品です。

ここでは、ローガンとローラによる、心に突き刺さる痛切なやり取りに注目したいと思います。

  • ローラ:You are dying. You want to die.
  • ローガン:How do you know?
  • ローラ:Charles told me.
  • ローガン:What else did he tell you?
  • ローラ:To not let you.

闘いの人生に疲れ果て、死を望むローガンに対して、ローラは “[I was told] To not let you [die]” (あなたを死なせないよう頼まれた)と伝えます。ここでは、「(人に)〜させる・許す」という意味での “let 人 do” を、どういった場面で使うべきか考えてみましょう。

まずは、似た表現の “allow 人 to do” と比較してみます。”allow”には、「(ルールにのっとって)人に〜するのを許可する」というニュアンスがあります。

  • A:Can I smoke here?
    (ここで喫煙してもいいですか?)
  • B:Sorry, but you are not allowed to have a puff in this place.
    (申し訳ありませんが、この場所では煙草を吸うのは許されていません)

以上は、「ここは禁煙」というルールがあることを前提として “allow”(許可) できない、という用法であることがわかります。一方で “let” はどのように使われるのかを見てみましょう。

  • A:Well, I need to go home. It’s already past midnight.
    (そろそろ帰らないと。もう深夜すぎだし)
  • B: Hey, I won’t let you! We are having so much fun tonight!
    (そんなことさせないわ!今夜はみんなでこんなに楽しんでるんだから!)

ここでは、ルールがあるから「帰宅させない」というわけではありません。Bが “I won’t let you [go home]” と言っている理由は、ルールでなく「個人的な感情」のために「帰ってほしくない」ためです。

そのため、ローラが “To not let you [die]” (あなたを死なせない)と言うにあたって、「死ぬことはよくないから」という一般論を述べているのではありません。そうではなく、「私はあなたに死んでほしくない」という彼女自身の感情を押し出していることが理解できるでしょう。逆に、“To not allow you to die” と言ったとすれば、「死んではダメというルールを逸脱させない」というニュアンスになり、心の底を流れる気持ちがくみ取れないセリフとなってしまいます。

さらに、肯定文で “let” を使うときには、「ルールとしてはダメだけれど、個人的に許してあげる」というニュアンスを持たせることができます。以下の母と子の会話は、その一例です。

  • 子:Mom, I really want another scoop of ice cream!
    (ママ、もうひとつアイスが食べたい!)
  • 母:Okay sweetie, I will let you have another one this time.
    (わかったわ、今回は許してあげる)

これまでに挙げた例から見て取れるように、“let” という言葉には “allow” にはない「個人の感情」を含ませることができます。このように、似た意味の単語を注意深く使い分けることで、より正確な自己表現ができるようになります。日本語での表面的な意味・訳語にとらわれず、その言葉がどのような場でいかに使われているかをじっくりと観察することが、より洗練された表現能力に近づくための大切なステップです。

まとめ

今回の記事では、MARVELやDCなどによる作品の中から、特に日常生活で活用できる表現を選び抜いて紹介しました。特に『ダークナイト』や『ローガン』などでは「ヒーローの心理」が会話を通して追求されることによって、作品としての深みがもたらされています。そのため、キャラクターたちが発する重要なセリフを真剣に学ぶことで、心理的な細かいニュアンスが英語で表現できるようになるでしょう。純粋にエンターテイメントとして楽しめるだけでなく、ユーモアを交えた自己表現を学ぶためのツールとしても、ぜひアメコミ映画の面白さを味わってください。

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茂呂  宗仁

茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学では英文学を専攻し、学部時代より海外で論文発表も。留学経験なくして英検1級、TOEIC970を取得。現在は大学院での研究のかたわら、英会話講師兼ライターとして活動中。

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