海外大学への進学に興味はあっても、その選択肢に簡単には踏み出せない方もいるでしょう。海外大学の入試制度に対する情報があまり手に入らず、具体的にどのような対策が必要なのかをもっと知りたいと思っている方も少なくないようです。
今回は、アゴス・ジャパン 留学指導部の松永みどりさんに、直近の海外大学進学に関する動向や、海外トップ大学における入学審査の特徴を伺いました。アゴス・ジャパンでは、TOEFLやIELTSなどの英語試験対策指導や、欧米での進学に詳しいプロのコンサルタントによる海外大学/大学院への進学支援を提供。同社による過去10年間の海外トップ校への進学支援実績は10,000件を超えています。
※記事内の情報は2023年6月インタビュー時点のものです
目次
海外大学入学審査に臨む前に知っておきたいこと
ここからは、これまでに3,000人以上の留学志望者を指導してきたという松永さんへのインタビューの回答と、海外大学の入学審査について解説するアゴス・ジャパン発信の動画をもとに、海外大学進学に関する情報をまとめてお届けします。
⽶国リベラルアーツカレッジを卒業後、1994 年より海外⼤学進学カウンセラーとして約30年間の指導経験を持つ。海外⼤学のほか、国際教養系⼤学など国内⼤学の総合型選抜(旧 AO⼊試)や推薦型⼊試にも精通。⼤学出願だけでなく、国内外奨学⾦申請もアドバイスし、多くの受講⽣が奨学⾦を獲得。ただ上位校を受験するのではなく、⽣徒の学びたいことを分析した上で志望校を選択し、出願指導することがモットー。
海外大学への進学志望者数は増えている実感がありますか?
はい、増えているように思います。全国の正確な数は把握しておりませんが、上位校を中心に海外進学を希望する高校生からの相談件数はコロナ禍に入る前よりも増加傾向です。
高校等の教育機関からも海外進学を希望する生徒と保護者へ向けた説明会の依頼を受けることが多くなりました。国内大学進学実績だけでなく、海外進学実績を上げることで、より多くの新入生を呼び込みたいと考えている高校もあるようです。
背景としては、コロナの影響だけでなく、不透明な将来と国内大学の教育に不安を持ち、大学から海外で学ばせて英語力や対応力、グリット力をつけさせたいと考える保護者が多いのだと思います。
進学先の選択肢に海外大学を入れる理由として挙げられるのは?
人により様々な理由が挙げられると思いますが、日本の大学では入学後にあまり進路を変えられないということが一つの大きなファクターではないでしょうか。
たとえばアゴス・ジャパンで最も相談の多い進学先はアメリカですが、アメリカの大学は入学の際に専攻を一つに決める必要がありません。多くの場合、正式な専攻領域は大学3年次に進級する前までに決めればよく、文系・理系の枠を跨いで学ぶことも基本的には可能です。
そのほかに、「常識を疑いたい」「外から日本を見てみたい」「国内では見えないものを見に行きたい」といった気持ちがあって海外大学を目指す方も多く、それも一つの留学目的となっていると感じています。
日本の大学と海外大学の入試の違いは?
大きな違いとして、日本ではテストの結果を重視する「テスト偏重型」入試が中心であるのに対して、海外の大学は出願者の特性を重視する「Holistic Approach型」であることが挙げられます。
たとえばアメリカの場合は、高校の成績「GPA(※1)」、共通試験「SAT(※2)」、英語力を証明する「TOEFL」など数値化できる材料のほか、経験やスキル、知識、ビジョンをアピールする「Essay(※3)」、出願者をよく知る先生による「推薦状」、「インタビュー(面接)」などを総合的に見て判断します。
※1 GPA(Grade Point Average):高校の成績の平均点。5段階(0~4.0)4ポイント制の数字に置き換えて、それぞれの単位をかけたものの総合計を総単位数で割ったものが使われる。
※2 SAT(Scholarship Assessment Test):大学進学を希望するアメリカの高校生を対象として学力を測る全国統一試験。年6回の実施で、留学生に課している大学と課さない大学がある。
※3 Essay:小論文(=statement of purpose/personal statement)。入学審査を受ける際に必要な書類の一つで、指定された内容や自己紹介などの短い論文のこと。
海外でもアメリカ以外の国では比較的数値化できるもので合否が決まりやすいですが、アメリカのなかでも特に上位校になるほど、数値化できないものが重視される傾向にあります。
海外大学の入学審査は、学力のみで判断しない点が面白さでもあり、長年積み重ねてきた成績と今までご自身が信念を持って活動してきた内容など、多面的な人間性をアピールして合否が診断されるため、より包括的なものだと感じています。
上位校へ入学するには、GPAやSATが好成績であることが必須?
どのレベルの学校を目指すのかにもよりますが、GPAやSATなどの数字が比較的高くなければ、数字で足切りされることもあります。数値化されるもののなかでも、最も重視されるのが高校の成績であるGPAです。さらにアメリカのある程度以上の上位校の場合、高校に加えて中学3年生の成績が必要なケースも多くあります。
ですから、これから海外大学を目指したい方、特に高校1年生以下の方はとにかく学校の成績やTOEFLについて対策し、数値化されるものの評価を極限まで上げることで選べる学校のチョイスが広がると考えられます。
海外大学進学を目指すなら、いつまでにどのような準備を始めるのが理想的?
スタート時の英語力(一般的な日本の高校生なのか、帰国生かなど)によっても変わりますが、一般高校生のケース(英検2級程度)では次の通りです。
【トップ大学の場合】
高1からTOEFL対策をスタート(1年半~2年くらいで100点達成)し、その後SAT対策(3~6か月)を進め、高2が終わる春休みからエッセイ対策(自己分析など)を始めることで、高3夏に締め切りの国内奨学金(柳井正財団や笹川平和財団)申請に間に合うように準備できます。
【その他の大学の場合】
高2からTOEFL対策スタート(1年~1年半くらいで80点達成)し、高3春から夏のタイミングでエッセイ対策を開始。JASSO学部学位取得型奨学金への応募は10月、大学への出願は12月~3月となります。
エッセイを書くときのポイントは?
エッセイを書く前に、自己分析をすることです。自分の何がアピールポイントになるのかをしっかりと分析しておかないと、強いエッセイを書くことはできません。
また、エッセイの方向性が決まらないまま推薦状をお願いしても、エッセイと推薦状の整合性が取れなくなってしまいます。
より効果的なエッセイや推薦状を作成するためには、プロの視点を得ながら自己分析をして、エッセイや推薦状についてのサポートを受けるのが良いと思います。
推薦状の依頼時に留意すべきことは?
推薦状は、出願者をよく知る高校の先生が、第三者の立場で書く形になります。ただ、海外大学への推薦状を英語で書くことに慣れていない学校や先生も多いので、推薦状の内容が具体性に欠けるものにならないよう注意しなければいけません。
そもそも推薦状を提出するのは、推薦者がなぜその学生を推薦できるのかを、具体的なエピソードをもとに大学側に知ってもらうためです。推薦状は「この推薦者にはこういった経験があるから推薦する」というように、エビデンスに則った書き方をする必要があります。
出願者はまず、自分の何がアピールになるのか、自分が書くエッセイにおいて、一体どこに重きを置いているのかといったポイントを把握することが大切。そしてそのエッセイの内容を裏付けるような内容で推薦状を書ける先生を選び、その先生に対して「エッセイで私はこのポイントをアピールするので、先生には〇〇について述べてほしい」と具体的に伝えることが重要です。
学生の海外大進学について、近年実感されている傾向や動向は?
最近の傾向としては、英語圏の大学の学費や生活費が高騰しているため、奨学金を必要とする学生がとても多いです。
柳井正財団海外奨学金、笹川平和財団スカラシップ、グルー・バンクロフト基金など、学部留学生を対象とした奨学金も増えているので、それらと大学からの奨学金などを併願するケースも増えています。
また、アメリカ・カナダ・イギリスを第一志望にしている学生で、奨学金が希望額に達しなかった場合に、ヨーロッパ(オランダ、スペインなど)、マレーシアなど、比較的学費を抑えられる留学先も併願するケースが増えています。
松永さんから海外大学への進学を検討中の読者へのメッセージ
海外留学は高校内でも少数派で、学校によっては先生方の理解もあまり得られないこともあるでしょう。学費も高く、困難が山盛りですが、国内奨学金制度も増えてきていますし、大学によっては大学からの奨学金も得られます。
大学留学を目指すアゴス受講生の半数以上は何らかの奨学金を得て留学を実現していますので、まずはアゴスのカウンセラーにご相談ください!正しい情報を理解して、ぜひ留学を実現しましょう!!
まとめ
海外大学で学ぶ大きなメリットとして、英語力が身につくだけでなく、環境や価値観が異なる場所へ一人で行き、ゼロから友達を作ったり、自分の世界観を作り上げたりできることを挙げた松永さん。コンフォートゾーンから出る辛さを克服することで自分のコンフォートゾーンが広がり、その経験を通して社会人に必要とされる「グリット」を強くできる、という精神面での成長が実感を持って語られました。
将来の可能性を広げるためにも、海外大学進学を一つの選択肢として捉えてみませんか?まずは留学中・留学後の自分をイメージするのが第一歩。情報収集から始めてみましょう!
アゴス・ジャパン概要
サービス名 | アゴス・ジャパン |
URL | https://www.agos.co.jp/ |
運営会社名 | 株式会社アゴス・ジャパン |
本社所在地 | 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル8階 |
設立 | 1989年9月 ※ザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパンとして創業 |
サービス内容 |
・MBA、LLM、4年制大学、大学院留学支援(出願対策、コンサルティング) ・TOEFL、IELTS、GMAT、SAT、GREなどのテスト対策プログラムの提供 ・上級管理職・幹部候補向け人材育成支援(留学・研修プログラムの提供) など |
※サービス内容については変更されている可能性があります。最新情報についてはウェブサイトをご参照ください。
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English Hub 編集部
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