英会話教室への通学で挫折しないために心がけるべき5つのこと

英語の習得とは、常にスムーズな道であるとは限りません。そのため、英会話スクールに通っている人のなかでも、「あきらめようかな」という思いが胸をよぎる時があるかもしれません。

今回は、スクールに通っている人が途中で挫折して、悔いを残すことのないよう心がけておくべき点を考えてみたいと思います。いっときの辛さに惑わされて性急な判断をしてしまう前に、ぜひ対処法をチェックしておきましょう。

1. スクールのロケーション選びに注意

通学型スクールの場合、「通学すること」自体がおっくうになっては、学習意欲そのものが低下することになりかねません。そのためには、スクールのロケーションを慎重に選ぶことが肝心ですが、そこで3つの選択肢があります。

(a)職場・学校に近い場所

スクールに通うのが平日(仕事・学校のある日)に多いのならば、職場や学校などに近いスクールがおすすめです。電車通勤・通学の人は、駅に戻る道にスクールがあると、寄り道をしたり、他の誘惑に負けたりすることなく、確実にスクールへ立ち寄ることができます。また、時間のロスを防げるので、早めに到着して、予習等をすることもできるでしょう。

(b)自宅に近い場所

逆に週末、特に土曜日にレッスンがある場合は、自宅の近くのスクールを選ぶのが安全です。例えば前日の金曜日の夜、残業などで帰宅が遅くなった場合を考えましょう。土曜の朝に余裕をもってゆっくりと起き、予習などに時間を割けるようにするためにも、自宅に近いほうが無難です。

(c)自分がよく行くエリア

例えば東京在住の学生なら、新宿や渋谷のようなスポットへ買い物や食事に出かけることも多いでしょう。そのようなお気に入りエリアのスクールを選択すれば、その場所自体に行くことが自然と楽しみになります。「午前中はレッスン、午後は買い物か映画、夜は友達と食事」のように、楽しみとしている習慣の中にレッスン時間を組み込むことで、通学が苦にならなくなります。

2. 講師選びも慎重に

「講師と合わない」という理由で、英会話スクールに通学する意欲が下がってしまう可能性もゼロではありません。いかにティーチングのスキルに長けていたとしても、人と人の相性に関しては、講師がコントロールできる範囲をこえています。

「この講師は自分と合わない」と感じたら、臆することなくスクールのスタッフに相談するようにしましょう。仮にそれが「教え方」に由来するようなケースなら、講師への良きフィードバックとなり、次回から自分の居心地がよくなるのみならず、講師にとってもスキルをさらに洗練させることにつながります。

また、純粋に「相性の問題」であるときは、他に受講可能な時間帯がないかどうかスタッフに聞いてみてください。大手スクールの場合、近隣にある別の校舎で同じレッスンが受けられることもあります。「先生に失礼なのではないか」「自分が悪いのかもしれない」などと考えて、一人で問題を抱え込むのではなく、スクールスタッフと積極的にコミュニケーションをとってみましょう。

3. 予習はやっぱり大切


英会話は楽しいアクティビティですが、やはり「勉強」という側面もあることを忘れてはなりません。その日のレッスンで扱われるテーマやトピックをチェックしないまま出向くと、なかなかスムーズに英語が出てきません。最悪の場合は「他の生徒に迷惑をかけている」という罪悪感から、出席すること自体が嫌になってしまう恐れがあります。

そのため、自分の上達ためにも、他の生徒のためにも、しっかり予習をしておきましょう。最低限、テキストには目を通し、トピック・文法事項を確認すること、そしてレッスン中にどのようなことを話したいか頭の中でイメージすることが大切です。

具体的な予習の方法については、次の記事を参照してください。

「多忙なため予習の時間がままならない」という場合は、マンツーマン式のスクールや、短期集中型スクールで学ぶという選択肢もあります。マンツーマンレッスンなら、個人のスケジュールに合わせて時間の割ける範囲で効果を得られる学習プランをカスタマイズしてくれるスクールもあります。また、忙しい日常でも「短期集中で英語をマスターする!」と決意したなら、仕事や学校の合間を縫った学習スケジュールを立てられるでしょう。

4. 目的・目標を見失わない

「なぜ英会話スクールで英語を学ぶか」を常に考えておくのも大切なポイントです。例えば「TOEIC700を取得して海外赴任する」ためにスクールへ通学するのであれば、「海外で働きたい」というモチベーションを維持していく必要があります。

ここで、モチベーションの2つの種類とされる「統合的(integrative)」と「道具的(instrumental)」の両者について考えましょう。

  • 統合的モチベーションは、その言語(ここでは英語)が話されている文化・コミュニティの一員となりたい、というものです。
  • 道具的モチベーションは、「試験に受かりたい」や「仕事を得たい」といった、言語習得とは直接関係のないものを指します。

第二言語習得論(SLA)の研究者 Vivian Cook(2016)によると、フランス語を学んでいるイギリス人生徒たちのテスト正答率を調べたところ、統合的モチベーションによって勉強している生徒は87%、道具的モチベーション中心の生徒は66%となったそうです(154頁)。ここから、統合的モチベーションが外国語の習得に果たす大切さが見て取れます。

「海外で働くためにTOEICスコアを上げる」という「道具的」な色合いが強い場合でも、加えて「海外への統合的な興味」を強めていくことが大切です。例えば、ニューヨークで働きたい・留学したいのならば、ニューヨーク近郊出身の講師がいないかチェックしましょう。また、その街が舞台となっている映画やドラマ、小説などを学習に活用することで、モチベーションが一層高まり、それが通学への意欲へと繋がっていきます。英語を使う「理想の自分像(Ideal L2 Self)」を心に強く描き、その実現のために通学を続けましょう!

5. スクールのイベントに積極的に参加しよう


英会話スクールの中には、講師やスタッフを囲んで、生徒たちのパーティーを定期的に開催している教室があります。普段はレッスンで英語学習を通してコミュニケーションしている仲間と打ち解けるよいチャンスなので、ぜひ足を運びましょう!

特に、趣味や家族、将来の目標などをクラスメートと共有する良い機会となるのがポイントです。レッスン中では尋ねる時間がなかったり、尋ねたくても英語で表現できなかったトピックについて、講師やクラスメートたちと積極的に話し合ってください。お互いの人柄やライフスタイル、共通の趣味などについて学ぶことができ、結果としてレッスンで話すことがさらに楽しくなります。英会話を学ぶことは、会話する相手に対する理解を深めていくことだということを忘れないようにしましょう!

まとめ

今回は、英会話スクールに通うことを挫折しないためのポイントについて考えてみました。「挫折」は様々な要因によって起こりますが、対処法をあらかじめ考えて実践しておくことで、その可能性は最小限に食い止められます。英会話スクールは、使い方によっては自分の生活の幅を広げ、より豊かな将来への架け橋となってくれる場所です。それを意識することで、通学も日々の大きな楽しみとなるでしょう。

【参照書籍】「Second Language Learning and Language Teaching(Fifth Edition)」Vivian Cook著
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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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