レッスンを無駄にしない!英会話スクールに通うなら知っておきたい正しい予習のステップ

英語で話す機会の限られる国内で、英会話スクールへの通学は英語力を磨くための有用な手段のひとつです。しかし、スクールに通うだけで即座に英語力が向上するわけではありません。効率的な英語習得には、自主的な学習も不可欠です。

今回は、英会話スクールの受講でより大きな成果を得るために、ぜひ学習者に実践してほしい効果的な予習の方法を、第二言語習得理論の視点も取り入れながら解説します。

1. なぜ予習が大切?

「英会話スクールに通うのはレッスンで英語を話すためなので、家での学習は必要ない」と考える人もいるかも知れません。しかし、効率的に英語力を向上させるには、予習や復習は避けることのできないステップです。

まず、一般の英会話スクールでのアクティビティは「アウトプット」が中心となるようにデザインされています。もちろんレッスンでは単語や文法にも触れますが、そのために割ける時間は限られています。単語や文法といった主に「インプット」を通して習得すべき項目をレッスン中に学ぶには、限界があるのです。

また、前もってインプットした知識がないと、レッスンでスムーズにアウトプットすることが困難になります。特に中級以上になると、たとえば「現在完了」のように複雑な文法項目を使ったタスクが課されるようになります。しかし、現在完了の仕組み(経験・継続・完了)自体を理解していないと、次のような違いを区別できなくなります。

  • (正)I have been to Disneyland twice this summer.
  • 「私はこの夏、ディズニーランドに2回行きました (現在完了・経験)」

  • (誤)I have been to Disneyland yesterday.
  • 「私は昨日、ディズニーランドに行きました。」

経験を表す現在完了は通常、過去を表す語句(ここでは “yesterday”)と併用することができません。そのため、後者の文は正しくは “I went to Disneyland yesterday.” と過去形になります。現在完了の仕組みを理解しないままレッスンに臨むと、講師から “I have been to Disneyland yesterday” は誤りだと指摘されても、なぜ誤りなのかがピンと来ないでしょう。

一方で、しっかりと予習しても、うっかり “I have been to Disneyland yesterday” と言ってしまう場合もあります。しかしその場合は、講師に指摘されれば「経験を表す現在完了では過去を表す語句を併用しない」というポイントを頭の中で確認し、納得することができます。

第二言語習得理論では、教科書などを勉強して手に入る知識は「宣言的知識 (declarative knowledge)」と呼ばれ、実践の場で体得し、アウトプットの源泉となる「手続き的知識 (procedural knowledge)」と区別されています。スクールでは、宣言的知識をアウトプット能力の要となる手続き的知識へと変換する場としてレッスンを活用することが、英会話上達への近道です。

2. レッスンの効果を高める予習とは

先述したように、英会話レッスンでは時間的な制約のため、語彙や文法知識などの宣言的知識を十分に教える余裕がありません。レッスン前に「予習」という形でインプットした宣言的知識を、レッスン時のアウトプットで手続き的知識に変換することを目指しましょう。ここからは、レッスンの予習段階で特に重要な単語・文法の学習について、詳しく解説します。

テキストに登場する単語を学んでおく

まずは単語について考えましょう。必要な単語を知らないと、文章が作れず、また相手の言うことが理解できません。そのため、レッスンで使われる単語を前もって学んでおくことは大変重要です。

多くの英会話スクールでは、テキストブックを用いてレッスンが行われます。まずはしっかりとテキストに目を通し、自分が知らない単語を見つけておきましょう。

単語の知識が文法的正確さにつながるようなこともあります。例えば、レッスン中に講師に “What did you eat for lunch?” (「昼食に何を食べましたか」)と聞かれたとしましょう。それに対して

I ate a hamburger and ice cream for lunch today.
「私は今日、昼食に(一個の)ハンバーガーとアイスを食べました」

と言ったとします。単純な文章ですが、この文を正確に作るためには、各単語の深い理解が必要です。まず “eat” の過去形は “eated” ではなく不規則の “ate” であることを知っていなければなりません。次に “hamburger” は可算名詞なので、冠詞の “a” をつけることになります。しかし “ice cream” は不可算名詞のため、冠詞は必要ありません。さらに “lunch” は、形容詞によって修飾される場合 ( “a light lunch” など) を除けば、不可算名詞とされます。そのためこの文章では “lunch” に冠詞は必要ありません。最後に “today” は副詞として用いられているので “in today” や “during today” とするのは誤りです。

以上の例から、シンプルな文章を作るにあたっても、各単語の深い理解が大切なことが分かると思います。知らない単語だけでなく、既知の言葉もしっかりと調べ返すことで、アウトプットの質が大きく向上します。

文法事項の理解と実践

文法をしっかりと頭の中で理解しておくことは、スクールでアウトプットを円滑に行うために欠かせません。先に挙げた現在完了の例のように、文法ルールを宣言的知識として頭に入れておかないと、いざ手続き的知識として活かそうとする際に上手くいきません。

英会話では、文法をよく理解していなくても、聞き取れた単語から意味を推測して、受け答えを続けられる場合があります。このような推測能力も大切なスキルですが、癖になると危険なこともあります。まず、自力で文章を作ることが困難になります。また、上級になればなるほど、文法を通して表現されるニュアンスを汲み取ることができなくなります。次の文を見てください。

If I were rich, I would buy an apartment in Roppongi.
「私にお金があれば、六本木にマンションを買うのに」

この文章は「仮定法」なので、現実には起きていないことを指します。したがって、発話した人は、お金持ちでもなく、六本木にマンションを買ってもいません。しかし、仮定法であることを理解せずにこの文章を聞くと、「私はお金持ちだったので、六本木にマンションを買うつもりでした」と誤解しかねません。そのため、文法事項をまず理解しておくことが、単語だけでは汲み取れない意味を把握するための鍵となります。

文法項目については、ただ解説を読むだけではなかなか頭に入りません。その文法知識を用いた文章を自分で作ってみて、ある程度理解を深めてからレッスンに臨むのが理想的です。例えば先に取り上げた「現在完了」を例として、どのような文が作れるか考えてみましょう。まず、オリジナルの文章を

I have studied English for ten years.
「私は英語を10年間勉強しています。」

だとします。まずは、主語を入れ替えることで、人称と動詞を「形式的に」一致させることに慣れておきましょう。

  • You have studied English for ten years.
  • 「(二人称単数)は、英語を10年間勉強しています。」

  • He has studied English for ten years.
  • 「彼(三人称単数)は、英語を10年間勉強しています。(haveがhasになる)」

  • They have studied English for ten years.
  • 「彼ら(三人称複数)は英語を10年間勉強しています。」

以上のような「形式」を変えていく練習をしたら、次は「内容」の変更を試してみましょう。この際、内容に「個人化 (personalization)」を施すことで、実際のレッスンでの発話にもつなげられます。

  • I have been a fan of Tom Cruise since I was twelve.
  • 「私は12のころから、トム・クルーズのファンです。」

  • My father has lived in Ibaraki his whole life.
  • 「私の父は、生まれてからずっと茨城在住です。」

  • My mother has had a Nissan electric car for almost two years.
  • 「私の母は、日産の電気自動車を2年近く所有しています。」

以上のように、身近な例を使って文を作ることで、文法理解を深めるとともに、より実践的な英語力を高めることができます。レッスンの前には、以上のように「形式」と「内容」を意識しながら文法をアクティブに予習しておきましょう。

まとめ

今回は、英会話スクールに通う人のための予習の方法を、第二言語習得理論からの視点も混じえながら論じてみました。よく指摘されることですが、スクールにただ通うだけでは、英語力の大幅な向上はなかなか見込めません。自主的かつ効果的な予習のステップがあってこそ、スクールでのアウトプットも質が高まり、結果として英語力のアップが期待できます。自分の弱点を意識しながら、英会話スクールのメリットを最大限に引き出してください。

【関連ページ】英文法を学んでも英語が話せないのはなぜ?第二言語習得研究から考える、知識を会話力につなげるための3ステップ

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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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