英会話スクール、通うだけで大丈夫?成果を出すために必要な正しい復習法とは?

レッスンを無駄にしない!英会話スクールに通うなら知っておきたい正しい予習のステップ」では、英会話スクールのレッスンに臨むにあたっての「予習」の重要さと効果的な方法についてお伝えしました。予習に加え、レッスン後に内容を振り返る「復習」もまた、英語力を着実に伸ばすためにとても大切です。今回は、英会話スクールに通う上でなぜ復習が意味を持つのか、そして効果的な復習法とはどのようなものかについて考えましょう。

1.「復習」はただの「おさらい」ではない?

まずは、英会話スキルの習得において「復習」が持つ意味について考えたいと思います。一般的に「復習」と言うと、その日に学習したことを帰宅後に「もう一度おさらいする」といった印象が強いでしょう。学校で授業を受けた後は、翌日の授業で困らないためにも、テストで高得点を取るためにも、そのような「復習」が避けられないものです。

英会話レッスンを受講した場合も、この「もう一度おさらい」という復習は大切です。ただし、学校の試験対策なら試験後は忘れてもよい場合もあるのに対し、英会話スキルを向上させるために復習した場合は、後になって覚えていないようでは意味がありません。習ったことのほぼ全てが頭に深く染み込むような復習法を行わないと、長期的な英会話力の向上は望めなくなります。そのため、習ったことを「応用」することで、知識を保っていかなければなりません。

言いかえれば、私たちは英会話をする際に、以前習ったことを「応用」という形で復習しています。例えば次の例を見てください。

A: What did you do last weekend?
「あなたは先週末、何をしましたか」
B: I saw a movie in Shinjuku. It was great!
「私は新宿で映画を観ました。素晴らしかったです」

Aの疑問文は、疑問詞の “what” で始まりますが、疑問詞は通常の疑問文の前に置かれることが意識されなくてはなりません。加えてこの疑問文は過去形なので、Bの返答も時制を一致させなければなりません。そのため不規則動詞の “see” が “saw” になり、be動詞の “is” は “was” に変化します。

以上のような何気ないやり取りでも、疑問詞や過去形といった、以前に習った様々な文法や単語を総動員しないとスムーズに進みません。したがって、英語学習において「復習」とは、その日限りのおさらいだけでなく、長期にわたり繰り返される「応用」と大きく重なるという点を、ここで確認しておきましょう。

2. 「その日のおさらい」としての復習

それでは、英会話スクールのレッスンを受講した直後には、どのようなおさらいが好ましいのでしょうか。

自分の発話を自己評価

まずは、レッスンにおいて自分のパフォーマンスがどの程度であったかを自己評価してみましょう。英語でのやり取りが完璧であった場合を満点として、10段階評価で自分の成果を振り返ってください。例えば「今日のレッスンで、自分のパフォーマンスは10点中7点だった」とします。その場合、どのような理由でつまずいたために3点が引かれたのかを熟考してみましょう。例として、考えうるマイナス点を以下にあげてみたいと思います。

  • 言いたい単語が口から出てこなかった
  • 間違った発音をしてしまった
  • 今日のトピックである文法事項がうまく扱えなかった
  • 以前習ったはずの文法を使いこなすことができなかった

このように、自分の言語能力を観察・モニターする能力を培うことは、とても大切です。第二言語習得理論にクラッシェンによる「インプット仮説 (Input Hypothesis)」がありますが、その中核のひとつに「モニター仮説 (monitor hypothesis)」というものがあります。それによると、学習者は自分の発話をすでに学んだ英語のルールと比較しつつ自己観察し、より優れた発話を生み出すことになります。したがって復習では、レッスン中に犯した間違いを、自分の知識と照らし合わせて訂正し、正しい発話を繰り返し練習することが重要になります。レッスンで講師に訂正された文を、文法や発音の正確性を心がけながら繰り返し自分で言い直すことで、それ以降はより正しい発話が望めるようになります。

「エラー分析」とは?

第二言語習得理論に基づいた復習法をさらに考えるにあたり、続いて「エラー分析 (Error Analysis)」という方法をご紹介します。簡単に説明すると、どうして間違いが起こったのか、たとえば「知識の欠如(まだ知らない文法事項・単語など)のため」なのか、それとも「母国語の干渉(日本語からの直訳による誤った英語など)のため」なのかを考える手法です。

自分が英語を発話している際に犯した誤りの原因をさぐってみましょう。特に初級〜中級の学習者では、日本語を直訳することで誤った英文を口にしてしまう傾向が多く見られます。一例として、日本人学習者は “belong to” を多用しすぎる傾向にあるのではないかと感じます。これはおそらく「所属している」を直訳しているためでしょう。たとえば次の文を見てください。

I belong to a basketball club.
「私はバスケ部に所属しています」

まず、直訳による “belong to” は堅苦しすぎて、この会話文では不自然に聞こえます。また、 “club” という言葉は通常、文化系の部活に対し使われるので「バスケットボール部」にはふさわしくありません。より洗練された表現は以下になります。

I am on a basketball team.

この文を作るためには “belong to” という直訳(母国語の干渉)を避けること、また “be on ~” で「〜の一員である」という意味があることを新たに学ぶ必要があります。また “club” と体育系の “team” の違いを知っておくことも重要です。

以上のように、「不自然な英語」を指摘されたら、なぜそのような英文を作成してしまったのかを自己分析する癖を身につけましょう。復習をするにあたっては、自分のミスは何に起因していたのか(知識の欠如か、日本語の直訳か)をじっくり考え、足りない知識は新たに学び、直訳する癖は直していきましょう。

3. 長期的な「応用」としての復習

英語学習にあたって、復習とは学んだことの応用でもあることを先述しました。ここでは、どのようなストラテジーを用いると、より充実した応用能力が身につけられるかを考えましょう。

まずは、習った表現や文法項目を積極的に使用していくことが重要です。スウェインによる「アウトプット仮説(Output Hypothesis)」でも主張されているように、学習者は自分の知識を使って発話し、それが正しいかどうかを「検証 (test)」しながら語学力を向上させていきます。ここで大切なのは、知識を「頭で理解している」だけでは不十分で、実際の場で「アウトプット」として使用できるかどうか、という点です。

また、学習者は苦手とする項目を回避(avoidance) する傾向にあります。例えば日本人の英語を観察すると、関係詞が使われる頻度が極端に低いと言われています。これは「苦手なので使わないようにする」という心理が働いているためです。しかし、苦手意識のためにいつまでも重要な文法事項を使わないようでは、バランスの良い英語力向上は困難になります。苦手だからこそ、積極的に活用し、時には間違いつつも習得していきましょう。

以上のように、復習=応用をするためには、自らアウトプットのできる環境をできるだけ作り出していくことが大切です。ライティングでは、英語で日記やEメールを書くことなどがあげられます。スピーキングでは、英語話者の知人を積極的に作っていくことが鍵になります。とはいえ、ネイティブか否かを問わず日本で英語話者と親交を深めるのは簡単ではない場合もありますので、オンライン英会話などを活用してアウトプットの場を確保していくことも一つの手となるでしょう。

まとめ

今回の記事では、英語学習における「復習」とはどういうことかを吟味した上で、第二言語習得理論にのっとった効果的な復習法を考えました。予習と同じように、復習も英会話スクールに通うにあたって欠かせないステップです。長期的に英語力をバランスよく向上させていくことを念頭に置きながら、常日頃の努力を怠らないよう心がけてください。

【関連ページ】「レッスンを無駄にしない!英会話スクールに通うなら知っておきたい正しい予習のステップ
【参考文献】「新編 英語教育指導法辞典」米山朝二著
【参考文献】「Introducing Second Language Acquisition (2nd Ed).」Muriel Saville-Troike著

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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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