TOEIC講師になるには?求められるスキルと成功のためのヒントを解説

年間200万人ほどが受験するTOEIC Programは、受験や就活、転職などで幅広く活用されている人気の英語試験です。TOEICの試験対策を提供している英語スクールも多く、学習者のスコアアップをサポートするTOEIC講師の仕事には、常に一定の需要があります。

そこで今回は、TOEIC講師・英語コーチとして働いた経験をもつ筆者が、TOEIC講師の仕事内容や、必要な資格・スキルについて解説します。

目次

※この記事の内容は、2024年10月時点の情報をもとに作成されています。

TOEIC講師の仕事内容と役割

TOEIC講師の役割は、単に英語を教えるだけではありません。まずは、TOEIC講師の具体的な仕事内容を紹介します。

レッスン計画、準備

レッスンをスムーズに進行し、学習者の目標達成をサポートするためには、受講生の現状と目標を事前にヒアリングして的確に把握した上で、授業の準備・計画をする必要があります。

具体的なタスクとしては、受講生の英語レベル・目標に沿ったカリキュラム設計、授業で使う教材・音源の選定などが含まれます。レッスン前には、TOEICの試験パートごとの問題対策、語彙のインプット、文法の解説など、それぞれの学習項目に対する時間配分の計画も欠かせません。

TOEIC対策レッスンの実施

TOEIC対策レッスンは、1回あたり45〜90分、週に1〜2回のペースで行われることが一般的です。対面形式の授業だけでなく、ZoomやSkypeを使ってオンラインでレッスンを提供する場合もあります。

一対一で行うプライベートレッスン、複数人の受講生を対象とするグループレッスンなど、クラスの規模やレッスン形式はさまざまです。マンツーマンレッスンだけでなく、グループレッスンも実施できるようになると、TOEIC講師としての仕事の幅が広がります。

学習進捗・成果のトラッキング

受講生の学習進捗を管理することも、TOEIC講師としての大切な役割の一つです。講師は、TOEIC本番の受験スケジュールを考慮した上で、学習が予定通りに進んでいるか、宿題をこなせているかなどを適宜確認します。講師による定期的なフォローアップは、受講生に適度な緊張感を与え、学習の継続にも役立ちます。

加えて、理解度確認テストやTOEIC模試の実施による定期的な学習効果の計測も重要です。目標に対して進捗が遅れているケースでは、カリキュラムや教材を変更するなど、軌道修正が必要なこともあります。

効果的な学習方法や時間管理についてのアドバイス

受講生の目標スコア達成をサポートするため、講師は一人ひとりに適した学習方法を提案したり、学習効果を高めるためのアドバイスをしたりします。

TOEICスコアを伸ばすには、レッスンの受講だけでなく、レッスン外の時間を使った継続的な自主学習も重要です。講師の役割には、効率的な学習を叶える時間管理の改善案を受講生に提案し、必要に応じて適切な助言を与えることも含まれます。

TOEIC教材や試験に関する最新情報のリサーチ

効果的なTOEIC対策には、受講生の英語レベルや弱点を踏まえた上で、適切な教材を選ぶことが不可欠です。TOEIC関連の問題集や単語帳は数多く出版されているため、それぞれの特徴を確認しておくとよいでしょう。

TOEICでは、公開テストごとに新たな問題が作成されており、最新の試験傾向の分析は、指導を行う講師にとっても重要です。講師自身が定期的に本番のTOEICを受けて、テストに対する知見を常にアップデートしておくことも有効です。

学習モチベーション維持のためのサポートとケア

TOEIC対策に取り組む中で思うように学習の成果が出ないなど、さまざまな要因でモチベーションが下がってしまう受講生も少なくありません。そんな時は、講師がモチベーション低下の原因を特定し、改善策を提案して、受講生が意欲を取り戻せるようサポートする必要があります。

日頃から受講生に寄り添って前向きな言葉をかけ、モチベーションの変動に柔軟に対応することも、講師の大切な役割です。

TOEIC講師に求められるスキルや資格

続いて、TOEIC講師にはどんなスキルや資格が求められるのかをみていきましょう。

TOEICのハイスコア

TOEIC講師の求人案件では、一定のスコア基準や受験実績が応募条件として提示されています。試験対策の指導に説得力を持たせるためにも、まずは講師自身がTOEICでハイスコアを取得していることが必須です。

TOEIC指導の分野で活躍する講師の中には、満点である990点の保持者も少なくありません。一般的には、TOEIC800点以上のスコアを取得していれば、応募できる求人を見つけやすくなります。

デジタルリテラシー

近年では、学習効率アップのため、AI技術を使った学習ツールやアプリを提供するスクールも増えています。受講生からの学習報告に加え、自習に必要なデータファイルの共有など、日頃のコミュニケーションもオンライン上で行うケースがほとんどです。

講師としての業務をスムーズに遂行するには、デジタルリテラシーを身につけ、TOEIC学習に役立つオンラインツールの活用法についての知識を常にアップデートしておくことが望ましいでしょう。

英語教育や指導関連の実績

TOEIC講師としての雇用先を見つける上で、すでに英語教育の分野における指導実績を持っている場合は、採用時に優遇される可能性が高いでしょう。なかには、英語の指導経験を応募時の必須条件に定めているスクールもあります。

英語ではなく別の科目だったとしても、塾講師や家庭教師として働いた経験があれば、人に教えた経験があるという点で実績アピールにつながります。また、教員免許を持っていることも有利になりやすいです。

ただし、ティーチング未経験者に全くチャンスがないわけではありません。指導経験が不足している分、TOEICで可能な限り高得点を目指し、数字で示せる明確なアピール材料を準備するなど、戦略的に取り組むことが重要です。

TOEIC講師として成功するためのヒント

最後に、TOEIC講師として成功するためのヒントをお伝えしていきます。

自分自身の英語力も常に高め続ける

TOEIC講師として成功するには、最新の試験傾向を常に把握しておくことはもちろん、自分自身のさらなる英語力向上も欠かせません。過去にTOEICで高得点を取得していたとしても、勉強を怠っていれば英語力が落ち、結果としてTOEICスコアも下がってしまうことは珍しくありません。

講師自身が常に英語力を磨き続ける努力を欠かさなければ、TOEICで900点以上のハイスコア取得を目指す受講生の指導も行えるようになり、仕事の幅も広がっていきます。

時間管理術や学習ハックの追求

TOEIC対策をしている学習者の多くは社会人であり、「仕事が忙しくて勉強の時間がとれない」という悩みを持つ方が非常に多くいます。仕事と英語学習の両立が難しいことは、TOEIC学習で挫折してしまう大きな要因の一つです。

しかし実際は、工夫次第で学習時間の捻出が可能なことがほとんどです。仕事で忙しい人のための時間管理術や、スキマ時間に行える効率的な学習法について講師が上手く提案できれば、受講継続率・目標達成率もアップするでしょう。

多様な指導法の研究

受講生によって生活スタイルや性格はさまざまなので、一人ひとりに合う学習法も異なります。

筆者も講師としてTOEIC対策指導に携わる中で、「シャドーイング(※)のトレーニングを勧められても、家族がいる自宅で英語を発話するのは抵抗がある」などといった声を聞くことがありました。このようなケースでは、聞き取った英語を声に出さず頭の中で追いかける「脳内シャドーイング」を提案したり、周りに人がいる環境でも実施しやすいトレーニングを考えたりと、学習者自身が納得のいく方法を探すことが重要です。

既存の学習法だけにこだわらず、受講生にとって何がベストなのかを常に考え、多様な提案の選択肢を持っていると、講師としてより良い指導ができるでしょう。

※シャドーイング:聞き取った英語音声の発音・抑揚・リズムなどを真似ながら声に出して繰り返す英語のトレーニング方法のこと。

まとめ

TOEIC講師の仕事は、試験対策の指導だけにとどまらず、時間管理のアドバイス、学習に対するモチベーション維持のためのサポートなど、多岐に及びます。

試験でのスコアアップという大きな責任がある分、受講生が目標を達成した際は、大きなやり甲斐を感じられます。英語を教えることに興味がある方は、ぜひ一度、TOEIC講師の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

英語を教える仕事

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佐藤 千嘉

中学2年時にニュージーランドの現地校へ1年間留学。高校進学後、オーストラリアへ交換留学で再び1年間留学。高校在学中に英検1級、TOEIC965点、TOEFL iBT106点を取得。早稲田大学国際教養学部に現役合格。英会話講師やTOEICコーチの経験を経て、現在はフリーライターとして活動している。