教員向けの海外研修プログラムまとめ 指導スキルや英語力の向上に

教員として働く中で、自らのスキルアップのために何か新しいことにチャレンジしたいと考えたことはありませんか。

特に英語教員の場合は、日本を離れ、海外の地で異なる国籍を持つ人々と英語で交流する経験が、指導力の向上にダイレクトにつながるのではないでしょうか。

そこで今回は、教員を対象に実施されている海外研修プログラムについて取り上げます。記事の後半では、学校教員だけでなく、英会話スクールなどで英語講師をしている方にもおすすめの指導資格や学問も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

※記事内の情報は、2023年4月調査時点のものです。

教員が海外研修に参加するメリット

教え子の立場に寄り添った指導を考える機会が得られる

教員としての「教える立場」から一旦離れ、異国の地で新しいことを学ぶ経験は、教え子たちの気持ちに寄り添った指導について改めて考える機会となります。

研修を終えた後には、異文化の中に身を置くことで経験した苦労や、世界中の人たちと英語でコミュニケーションを取る楽しさなどを、自らの言葉でよりリアルに生徒たちへ伝えられるでしょう。

また、教員自身がスキルアップを目指して新しいことに挑戦し続けようとする姿は、生徒たちにとっても良い刺激となるはずです。

滞在先での活動や交流を通じて教員としての知見が深まる

教員向けの海外研修では、受け入れ先の教育関係者や地元の人々との交流により、多様な文化や価値観に触れる機会が得られます。

プログラムによっては、教育現場の視察が研修に組み込まれており、日本と海外の教育システムやティーチングメソッドの違いについての知見を深められるでしょう。

滞在先での活動や、さまざまな人々との交流により、授業での指導に活かせる新たなアイデアを得ることも期待できます。

教員向けの海外研修プログラムまとめ

教員を対象として実施されている海外研修は、1週間程度の短期で参加できるものから、数ヶ月~およそ1年にわたる長期間のプログラムまで幅広い種類があります。

「休暇中に短期で参加したい」「一度休職してじっくり学びたい」など、自分の希望に合ったプログラムを探してみましょう。

ここからは、教員向けに開催されている3つの海外研修を紹介します。

iiP主催・海外教育交換プログラム

米国政府認定国際交流団体のiiP(International Internship Programs)では、短期から長期までバリエーション豊かな海外研修プログラムを実施しています。研修はすべて、世界各国の教育庁・教育委員会・学校長などからの招へいを受けて企画されているのが特徴です。

派遣先の国では、学校教育現場の視察・体験に加え、文化交流活動にも参加するため、現地の子どもたちや学校関係者、地元の人々との交流の機会が豊富です。教員自身の英語力(またはその国の公用語スキル)の向上も期待できるでしょう。

同プログラムには、各地方自治体の休職制度を利用して研修に参加する教員も多くいます。参加者の体験談としては、「お世話になった研修校と日本の勤務校との間で短期交換留学プログラムを開始することになった」「日本の教育を客観的に見ることができるようになった」などの声が紹介されています。

主催 米国政府認定国際交流団体 iiP(International Internship Programs)
応募資格
  • 学校教育法に基づく教員として 1年以上の経験があること(元教員を含む)
  • 英語もしくは派遣先の現地語の基礎的な語学力があること
  • 文化交流に興味があり、積極的に現地関係者と交流する意欲があること
派遣先国 カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、フィンランドなど(可能な限り、参加者の希望に沿った国をアレンジ)
研修期間
  • 1ヵ国コース:6・9・12ヶ月より選択
  • 1ヵ国ショートコース:1~12週間までの間で選択
  • 英語研修付きコース(北欧):5・6・7・9・12ヶ月より選択
  • ワールドクルーズコース(複数国):2~24ヶ月までの間で選択

※プログラムの実施要項や応募の詳細については、iiPのウェブサイトをご確認ください。

JICA主催・教師海外研修

JICA(独立行政法人国際協力機構)では、国際理解/開発教育の推進と実践を目的とした教員向けの海外研修を開催しています。派遣先は、アジア、南米、アフリカなどの開発途上国が中心です。

同プログラムには、渡航前にJICAやODA(政府開発援助)について学ぶ事前研修、滞在中に得た経験と成果を共有する事後研修も含まれます。研修を主催するJICAの国内拠点ごとに応募資格や研修期間が異なるため、まずは自分が勤務する学校の所在地に応じて、対象となるプログラムの要項を確認しましょう。

JICAのウェブサイトでは、過去の海外研修の報告書に加え、各教員が帰国後に実施した実践授業の計画書が公開されています。

主催 JICA(独立行政法人国際協力機構)の各国内拠点
応募資格
  • 研修を主催するJICA国内拠点の管轄内にある教育機関(小学校・中学校・高校・特別支援学校など)に勤務する教員であること
  • 原則、応募締切時点で満50歳以下の年齢であること
  • 原則、過去に本研修やJICA海外協力隊などの事業を通じて海外に派遣された経験がないこと ほか
派遣先国 キルギス、モザンビーク、ラオス、ブラジル、ネパール、ペルー、ナミビア、ベトナム、パラオ(2023年の派遣予定国)
研修期間 7~14日間程度

※応募資格や派遣先国はプログラムを主催するJICAの国内拠点により異なります。詳細については、JICAのウェブサイトをご確認ください。

日本英語検定協会主催・英語教員海外研修

日本英語検定協会では、英語教育に携わる教員を対象とした海外研修を毎年実施しています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年度と2021年度は開催が見送られたものの、これまで過去17回にわたって約2週間の海外研修を実施した実績があります。

プログラムに参加することで、教員自身のスキル向上だけでなく、参加者間でのネットワーク構築・強化も期待できます。

2023年度の研修は、オーストラリアのシドニー大学との連携により、合計20時間程度のオンラインセッションを開催予定です。

主催 公益財団法人 日本英語検定協会
応募資格
  • 都道府県・政令指定都市・市区町村教育委員会ならびに教育センターに在籍し、義務教育領域担当英語科指導主事および指導主事相当の職務に従事していること

※応募資格は開催年度ごとに異なる

派遣先国 シドニー大学との連携によるオンラインセッション
※過去にはオーストラリア現地で研修を実施
研修期間 開催年度により異なる
※2023年度は、2023年7月~12月の期間中にオンライン研修を計20時間実施

※プログラムの実施要項や応募の詳細については、日本英語検定協会のウェブサイトをご確認ください。

海外で取得できる英語指導関連の資格と学問

ティーチングスキルを磨くには、各団体が実施している海外研修への参加だけでなく、英語指導関連の資格を取得する方法もあります。

下記3つの資格・学問領域はいずれも、学校教員に限らず、英会話スクールなどで働く英語講師にとっても役立つものです。

TESOL(テソル、ティーソル)

TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)は、母語が英語ではない学習者への英語教授法を扱う学問領域のことを指します。

大学または大学院の専攻として学ぶだけでなく、国内・国外を問わず、語学スクールなどの教育機関でもTESOL関連の講座が提供されています。

J-SHINE(小学校英語指導者資格)

小学校英語指導者資格のJ-SHINEは、児童英語教育に携わる指導者のための民間資格です。

日本国内のみならず、カナダとニュージーランドでも養成講座が開講されているので、子ども向けの英語指導について学びつつ、海外に身を置いて自らの英語力も磨きたいという人にぴったりです。

CELTA(セルタ)

CELTA(セルタ)は、英語を母語としない学習者に対する英語教授法の国際認定資格です。

CELTAのカリキュラムには、英語教授法や指導方法に関する講義と、実際の英語学習者を相手に行う教育実習が含まれており、指導者としてのスキルアップを目指す人に適しています。

まとめ

指導者としてのスキルアップが期待できる海外研修での体験は、今後の教員生活をより充実したものにするための大きな糧となるはずです。

今回紹介した海外研修や英語指導資格の情報を参考に、ぜひ新たな学びへの一歩を踏み出してみてください。

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