英語講師の収入目安は?ー 高時給を目指すキャリアプラン

英語講師としての働き方を考える際、収入面は重要な要素の一つです。キャリアを積み上げる中で収入を伸ばしていくには、単に自らの英語力を高めるだけでなく、英語指導におけるさまざまなスキル向上が求められます。

この記事では、英語講師の収入の目安に加えて、高時給を目指すためのキャリアアッププランを解説します。英語講師がどのようにして自身の市場価値を高められるのか、その具体的な戦略を一緒に考えてみましょう。

目次

英語講師の時給・収入の目安は?

まずは、英語講師の時給・収入の目安についてパターン別の例を見ていきましょう。

※以下に記載されている求人情報は、2024年7月時点の調査に基づく内容です。待遇・報酬については一例としてご参照ください。

オンライン英会話講師

英会話レッスンの提供を中心とするオンラインサービスの場合、講師の雇用形態は業務委託が一般的です。報酬については、レッスン1コマあたりの金額があらかじめ決まっているケースのほか、指導実績や受講生からの評価に応じてコマ給が変動するパターンもあります。

下記は、英語講師の求人情報として公開されている報酬額の一例です。

オンライン英会話講師の報酬例(1コマ25分あたり)

  • A社:600円からスタート(実績・評価に応じて変動)
  • B社:800円
  • C社:7.29米ドル(約1,117円)※2024年7月25日時点の為替レートによる計算
  • D社:規定の範囲内で講師が自由に設定

オンライン英会話サービスの多くは1レッスンが25分間のため、2コマ分で約1時間と考えると、時給1,200~2,000円が一つの目安となります。

1コマ25分で800円のレッスンを1ヶ月に120回(約60時間分)提供した場合、月額報酬は9万6,000円です。同じ条件でさらに稼働時間を増やし、フルタイム勤務(1ヶ月160時間)に相当するスケジュールで働くとすると、1ヶ月あたりの報酬は25万6,000円です。

ただし、オンライン英会話では、講師側が対応可能な空きコマすべてに予約が入るとは限らない上、教材の予習やレッスン後のフィードバック業務に充てる時間も必要です。そのため、実際のレッスン提供数は稼働可能時間をもとに単純計算した場合より少なくなると考えられるでしょう。

また、講師自らが1コマあたりのレッスン料金を決められるケースでは、地道に実績を積むことで時給2,000円以上の報酬を目指せる可能性もあります。

英語試験・資格対策講師

英検、TOEIC、TOEFL、IELTSといった英語試験・資格対策に特化したスクールでは、講師の試験指導の専門性をシビアに求めていることもあり、通常の英会話レッスンよりも高い時給を提示しているケースがほとんどです。

英語力そのものを測るテスト以外にも、アメリカの大学の入学審査で活用されている標準試験のSAT、MBA留学希望者向けのGMATなど、試験対策の需要がある分野は多岐にわたります。

英語試験・資格対策講師の時給例

  • E社:時給1,500~2,000円(英検対策)
  • F社:時給2,500円以上(英検、TOEIC、TOEFLなどの試験対策)
  • G社:時給4,000円以上(TOEFL、IELTS対策)
  • H社:時給3,000~5,000円(TOEFL、IELTS対策)

英語試験・資格対策レッスンの実施形式は、対面授業とオンライン、マンツーマンとグループレッスンなど、スクールによってパターンが異なります。スクール拠点への通勤が必要な場合は、レッスン給に加えて交通費が支給されるケースが一般的です。

雇用形態としては、特定の授業のみを担当する非常勤講師のほか、正社員としての求人が募集されていることもあります。

法人向け英語研修担当講師

英語を教える仕事では、個人の学習者だけでなく、企業、大学などの法人を対象とするケースもあります。法人向けの英語研修は、海外赴任予定の社員向けのレッスンや、大学での集団講座をはじめ、その内容・形式はさまざまです。

法人向け研修を担当する講師には、英語の指導スキルに加えて、派遣先の業種・ビジネス分野に関わる専門知識が求められることがあります。企業・大学での講座は、1コマ90分以上の単位が多く、時給換算すると2,000円を超える報酬が提示されている案件も存在します。

法人向け英語研修担当講師の時給例

  • I社:時給2,530円(研修・ミーティング出席時は1,030円/時)
  • J社:時給3,000円~(経験により優遇)
  • K社:時給5,500円

このような仕事に携わるには、法人向け英語教育事業を行っている大手英会話スクールや、英語研修を扱う人材派遣企業に講師として所属・登録する方法が一般的です。

研修の準備・実施以外の時間には個人の学習者を対象に英語レッスンを提供するなど、複数の案件を並行して進めることで、稼働時間を最大限に有効活用できるでしょう。

英語講師が高時給を目指すためのキャリアアッププラン

上記で紹介した英語講師の時給例から、同じ英語を教える仕事でも、指導対象やレッスン内容によって待遇・条件に違いがあることがわかります。

英語講師がキャリアップを叶え、収入面でも成長していくためには、具体的にどんな目標を持てばよいのでしょうか。ここからは、講師としてのキャリアを構築する中で意識したい3つの観点を解説します。

1. 英語+αの専門性を磨く

英語講師としての市場価値を高めるためには、英語力を常に磨きつつ、特定の分野での専門性を持つことが不可欠です。

たとえば、TOEIC対策のみを提供する講師と、英検、TOEFL、IELTSなどの他の試験にも対応可能な講師がいた場合、柔軟性の高さという観点でみれば、後者の方が重宝される可能性が高いでしょう。

また、英語試験・資格対策だけでなく、理論に基づく発音指導や、アカデミックな英文のライティング添削ができる、といった特定の指導スキルも、より良い待遇を得るためのアピールポイントになります。

さらに、航空業界で使われる英語への知見が深い、医療英語に精通しているなど、「自分だからこそ教えられる」という専門分野を持つことで、高時給のオファーが期待できます。

「英語力が高いこと」は、教える仕事に携わる上での前提条件です。数多くの英語講師がいる中で差別化を図るには、自分の経験や興味に応じて専門領域を開拓し、レッスンの付加価値を高めることが何よりも大切です。

2. 英語講師としての信頼性・権威を高める

英語を流暢に使いこなす力と、学習者にわかりやすく英語を教える技術は、互いに関連性がありながらも異なるスキルです。実力のある英語講師として認められるには、語学力そのものを磨くとともに、教育分野における専門知識や教授法についても知見を深める必要があります。

具体的には、TOEIC、英検、TOEFL、IELTSなどの英語試験での難関資格・ハイスコアの取得に加え、英語を教える技術を専門的に学んだことを示せれば、講師としての信頼性・権威の向上が期待できます。

語学講師の仕事と関わりが深い代表的な学問領域としては、英語以外の言語を母語とする人たちへ向けた英語教授法であるTESOL(テソル、ティーソル)が挙げられます。

また、ケンブリッジ大学英語検定機構が認定する英語教授資格のCELTA(セルタ)や、上級資格のDELTA(デルタ)の取得も、講師の力量を示す強力なアピール材料となるでしょう。

英語を教えるプロフェッショナルとしての信頼性の向上は、好条件の仕事の獲得にもつながります。さらに、その技量が認められることで、他の英語講師に対する指導・研修を行う立場や管理職に就くなど、キャリアの幅がさらに広がるでしょう。

3. 多様な英語学習者にリーチする

英語教育の需要は日本以外の国々でも根強く、世界各国の学習者を相手に英語を教えられるスキルを持つことは、講師にとって非常に有益です。

受講対象が海外の学習者の場合、日本語を介さず、英語を英語で教える直接法を使用するケースが一般的です。文法・語彙などの説明や、学習者に対する指示・フィードバックをすべて英語で行う直接法のレッスンでは、講師の高度な英語力とコミュニケーション能力が求められます。

直接法で英語を教えることができれば、世界中の英語学習者へのアプローチが可能となります。近年では、オンラインプラットフォームの発展により、海外の受講生に対するレッスン提供の機会も広がりました。

英語講師にとって、レッスンの受講者を増やすことは、収入の安定に直結する重要な要素です。受講ターゲットの拡大はリスクヘッジにつながるだけでなく、各国の物価の違いなどから、日本人学習者のみを指導対象とする場合と比べて高時給を得られる可能性も期待できるでしょう。

まとめ

英語講師としてよりよい収入条件を得るには、自身の英語力と専門性を磨きつつ、多様な学習者にアプローチを広げることが大切です。また、語学力そのものだけでなく、英語指導に関する専門知識を深め、より効果的な教え方を模索し続けるなど、常に自己研鑽を怠らない姿勢が求められます。

自らの市場価値を高める戦略を練り、具体的な目標を立てた上で指導実績を積み上げていけば、収入面でも安定と成長を実現することができます。理想のキャリアを叶えるために、今回ご紹介したアイデアや観点をぜひ参考にしてみてください。

英語を教える仕事