IELTS(アイエルツ)とは?受験の流れから出題傾向まで

IELTS( International English Language Testing System:アイエルツ)は、イギリスで開発された英語4技能テストです。欧州や英連邦の国々では特に知名度の高い試験です。アメリカ発のTOEFL同様、IELTSは海外留学や研修、海外移住申請の際の英語能力の証明に採用されています。近年、日本での受験者数は伸びており、入試で採用する大学や、団体受験を行う教育機関や団体も増えています。ここでは、まずIELTSについての概要に触れます。

IELTSの特徴

IELTSは、現在はブリティッシュ・カウンシル、ケンブリッジ大学英語検定機構、IDP:IELTSオーストラリアが共同で運営する国際英語試験です。日本では、公益財団法人 日本英語検定協会、ブリティッシュ・カウンシル、IDP公式テストセンターにて実施されています。テストのスコアは、世界140ヵ国の教育機関、政府機関、国際機関、企業など10,000以上の機関で採用されています。

IELTSのテストには、留学用(アカデミック・モジュール)と移住用(ジェネラル・トレーニング・モジュール)の2タイプがあります。アカデミック・モジュールの試験は、主に大学院・大学への留学を希望する人を対象とし、ジェネラル・トレーニング・モジュールは英語圏における学業以外の研修や、イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドへの移住申請を希望する人を対象として構成されています(※)。実際の試験ではスピーキングとリスニングの内容は両部門共通で、ライティングとリーディングについて内容が異なります。
※通常のIELTSのほかに、英国留学や移住申請等でビザ申請を行う人を対象とした試験「IELTS for UKVII(IELTS for UK Visas and Immigration)」があります。英国の教育機関や移民局から指定された場合に限り「IELTS for UKVI」の受験が必要となります
※実際に受験が必要なテストを判断する際は、必ずスコア提出先にご確認ください。

IELTSは、合否判定試験ではありません。テスト結果は「合格・不合格」ではなく、本人の英語能力がバンドスコアにより評価されます。IELTSの試験は、「ライティング(60分)」、「リーディング(60分)」、「リスニング(30分)」、「スピーキング(11分〜14分)」の4項目で構成され、所要時間は約3時間です。

コンピュータ上で行われる形式が主なTOEFLと異なり、IELTSのスピーキングテストは、試験官と1対1の面談で行われます。また他の項目と同日に設定されることもありますが、他のテスト日の前後1週間以内に単独で設定される場合があります。

IELTSの試験はマークシート方式ではなく、「ライティング」はもちろん、「リスニング」や「リーディング」でも、筆記による解答が求められます。また、「2ワード以内で解答」など、語数に制限がある場合もあります。それぞれの質問内容をよく読み、指示された解答方法に従って解答する必要があります。
※2019年3月より、コンピューターで受験するIELTS(CDI:Computer-delivered IELTS)が始まりました。試験内容、採点基準、試験時間は、紙と鉛筆で受験するIELTSと同じです。

IELTSの出題傾向

ライティング

アカデミック・モジュールでは2つの課題(Task)が出され、試験時間は60分です。Task 1では、視覚的資料(表やグラフ、図形)について150語(ミニマム)の作文を書き、Task 2ではある主張や問題について250語(ミニマム)のエッセイを書きます。ジェネラル・トレーニング・モジュールも形式はアカデミック・モジュールと同じですが、Task 1では、ある状況が説明され、それに対して手紙形式の作文を行うなどの対応を求められます。Task 2では、与えられた見解や議論、問題に関してエッセイを書きます。

リーディング

アカデミック・モジュールは3セクションに分かれた問題が出題され、2,150から2,750ワードの内容の文章を読みながら、60分で質問に解答します。出題される文章は、書籍、雑誌、専門誌、新聞などから抜粋されています。ジェネラル・トレーニング・モジュールも3セクションに分かれていますが、出題される文章は、広告、企業ハンドブック、公的文書などから抜粋されています。

スピーキング

時間は11分~14分、試験官との面談形式により進行します。内容は3つのパートで構成され、パート1ではまず試験官が自己紹介を行い、受験者の本人確認を行います。また、試験官から一般的なトピックについての質問があります。パート2では、Task Cardが与えられ、そこに書かれているトピックについて話すよう指示されます。約1分の準備時間に続き、最長2分間のスピーチを行った後で、試験官から1~2つの質問を受けます。パート3では、パート2で話したトピックについて4~5分ディスカッションを行います。スピーキングのテストはアカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールとで共通です。

リスニング

所要時間は約30分(その後、紙と鉛筆で受験の場合は、10分の解答転記時間が設けられています。CDIの場合は、解答転記時間の設定はありません。)で、音声を聞いて内容を聴き取る形式です。テーマは4項目に分かれています。スピーカーのアクセントについては、「標準発音(Received Pronunciation)」を代表とするイギリス英語のみならず、アメリカ英語など、他地域で話されている英語のアクセントも盛り込まれています。リスニングについては、アカデミック・モジュールもジェネラル・トレーニング・モジュールも同様のテストです。

IELTS申し込み

試験申し込みは、日本英語検定協会のIELTSのウェブサイト(https://www.eiken.or.jp/ielts )およびIDP EducationのIELTSのウェブサイト(https://ieltsjp.com/)で行うことができます。日本では、札幌、仙台、埼玉、東京、横浜、長野、静岡、金沢、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡、熊本などの全国の様々な都市に会場が設けられているので、最寄りの試験場を選択し、手順に沿って登録を行います。

IELTSの申し込みの際には、試験当日に持参するパスポートの情報の登録が必要です。試験当日は、登録した有効なパスポートの原本を持参します。(※パスポートの原本とともにそのカラーコピーの持参を求められる場合があります。受験先により持ち物が異なる場合がありますので、ご注意ください)

尚、IELTSでは、聴覚障がいのある方、視覚障がいのある方、難読症の方など、障害を持つ方への特別措置が用意されています。例えば点字による出題などの特別な措置が必要な場合は、時間に余裕を持ってできるだけ早く管轄の運営機関に連絡することが促されています。

IELTSのスコアとレベル、有効期限

IELTSの結果は、1.0から9.0の0.5刻みのバンドスコアで表示されます。ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4技能ごとにバンドスコアが示され、この4項目のバンドスコアの平均をもとに決定されるのがIELTSのオーバーオール・バンド・スコアとなります。IELTSのスコアの有効期限は、筆記テスト当日を含め、通常2年以内です。

例えば、大学が提出先なら、入学を申し込む学部ごとに入学条件として必要とされるバンドスコアが設定されています。提出先の条件を必ず確認しましょう。

文部科学省による下記の表では、IELTSのバンドスコアをCEFRを基準にTOEICやTOEFLといった資格・検定試験の結果と照らし合わせることができます。

まとめ

大学など英語圏の教育機関で学ぶ目的を持ってIELTSを受験する場合は、スコアの提出の締め切りを事前に確認し、時間に十分な余裕を持って、試験の準備をすることをおすすめします。

テストに挑む際は、まずIELTSの試験様式をしっかり把握しましょう。マークシート方式のようにすでに与えられている選択肢から選ぶ方式の問題と比較すると、自分で答案用紙に解答を手書きする方がプレッシャーを感じる方が多いでしょう。公開されているIELTSのサンプルテストや市販の公認問題集などを使って模試を繰り返し行い、試験形態に十分慣れておくことが、本番の試験であがらないためのポイントです。

※本文中の記述は、2020年3月現在の情報に基づくものです。変更の可能性がありますので、最新の情報については運営団体の公式サイト等でご確認ください。

【参照サイト】IELTS Scoring Calculate your band score
【参照サイト】Information for Candidates Introducing IELTS to test takers
【参照サイト】Free IELTS General Training Writing practice tests | IELTS Essentials from IDP
【参照サイト】アイエルツ 日本版受験者向け情報
【参照サイト】英語検定・試験のIELTS(アイエルツ)日本公式サイトby IDP Education
【参照書籍】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集

記事監修:
正木 伶弥先生(バークレーハウス語学センター IELTSシニアインストラクター)

ロンドン大学クイーン・メアリー校卒業。専攻は、ビジネス・マネジメント。豊富な海外生活経験や、資格試験受験経験から日本人が最も苦手とする「スピーキング・ライティング」に特化した独自の学習法「Mメソッド」を開発。大手IT企業のCEOや役員への英語コーチング、IELTSに特化したe-learning教材開発を手掛け、IELTS試験対策本の出版を目指して執筆中。CELTA/IELTS 9.0/英検1級/TOEFL iBT120点満点取得後、IDP公式IELTS教員研修修了(日本第1号)。

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Yukari

Yukari

オーストリア、ウィーン在住。日本の大学ではフランス語を専攻、卒業後は英国の大学院で国際政治を学ぶ。これまでロンドン、ニューヨーク、トロント、モントリオール、パリ、シンガポールに在住。各英語圏における英語の違いに興味を持つ一方、イギリス英語に魅せられる。現在はリサーチャーとして主に欧州における英語・フランス語圏の政策調査に携わる傍、執筆活動も行う。