英語コーチは、英語力を活かして働ける人気の職業の一つです。語学が得意な方の中には、コーチングの仕事に興味があるものの、「英語コーチになるために具体的に何をすべき?」「副業としてでも働ける?」などと疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コーチングの仕事内容について解説するとともに、英語コーチになるための主なルートを紹介します。
目次
英語コーチになるには?
まずは、英語コーチングにおける具体的な仕事内容や、「コーチ」と「講師」の違いなどについてみていきましょう。
英語コーチの仕事内容
英語コーチが携わる仕事内容としては、下記の項目が挙げられます。
- 受講生の英語力や目標に合わせた学習カリキュラムの作成
- 対面またはオンラインでのコーチングセッションの提供
- 弱点克服のための学習方法の提案
- 自主学習の進捗管理・サポート など
※仕事内容の詳細はスクールにより異なります。
英語コーチングサービスには、すでに英語学習に取り組んでいながらも伸び悩みを感じている人や、短期間での英語力アップを目指す人からの受講申し込みも少なくありません。明確な学習目的を持った人が多い分、コーチング受講後の成果もシビアに求められます。
さらに、英語初心者から上級者までさまざまな受講生がいるため、英語コーチには、幅広いレベルの学習者を相手に個々の課題を的確に見抜くスキルが必要です。
英語コーチと英語講師の違い
英語を教える仕事には、「英語コーチ」のほかにも「英語講師」が挙げられます。
指導する側が一人で両方の役割を兼ねているなど、場合によっては厳密に区別し切れない部分もありますが、英語コーチと講師は具体的にどう違うのでしょうか。
英語講師の役割はレッスンでのティーチングが中心
通常、英語講師はレッスンでのティーチングをメインに行います。
英語講師の主な役割は、受講生の英語レベルやカリキュラムの進捗に応じて、適切な知識のインプットを与えることです。英単語や文法項目の解説、英会話練習、英語の4技能に関連した問題演習など、レッスンで扱う内容は多岐にわたります。
講師が一方的に教えるだけの授業では受講生が受け身になってしまいがちなため、レッスンの中で学習者の主体性をどう引き出すかが英語講師の腕の見せ所と言えるでしょう。
英語コーチは課題分析や学習のサポートを重視
一方、英語コーチの場合は、「知識そのものを与える」というより、受講生が抱える課題の分析や、弱点克服に向けた学習方法の提案に重きを置くやり方が一般的です。
実際、コーチングセッション内では直接的なティーチングを行わず、課題発見のための英語力診断と学習アドバイスの提供のみを実施しているスクールも珍しくありません。
英語コーチは、受講生の声に耳を傾けて対話を重ね、克服すべき課題をあぶり出した上で、その時々の状況に適した学習方法やトレーニングを提案します。
また、英語学習を受講生自身で進めることを基本とする英語コーチングサービスでは、コーチがレッスン外の時間にチャットツールなどを使って質問や相談を受け付けている点も特徴的です。
英語コーチになるために必要な資格はある?
英語コーチとして働くにあたって、必ず取得しなければならない資格はありません。
コーチの仕事は、一定レベルの語学力と自ら英語学習に取り組んだ経験があれば、英語教育業界でのキャリアがなかったとしてもチャレンジできます。指導およびコーチングのスキルは、実際にコーチとして活動する中で経験を積んで身につけていくことも可能です。
ただし、さまざまな受講生を相手に的確な学習アドバイスを提供するには、コーチ自らが高い英語力を有していることが前提となります。そのため、英検、TOEIC、TOEFL、IELTSなど、自分自身の英語力を証明できる資格・スコアを取得しておくとよいでしょう。
大手スクールにおける英語コーチの求人案件では、おおむねTOEIC800~850点以上、あるいはそれと同等レベルの英語力を応募条件として設定しているケースが一般的です(※)。
また、国際的な英語教授資格であるCELTA(セルタ)のほか、言語学や英語教授法(TESOL)について学んだ経験も、英語コーチとしての専門性を示すアピール材料となり得ます。
※上記の例は目安であり、詳細な応募条件はスクールにより異なります。
英語コーチの収入目安は?
英語コーチの年収は、正社員や業務委託などの契約形態によって体系・金額が異なります。
下記の情報は、各英語コーチングスクールが公表している募集要項から抜粋したものですので、一つの目安として参考にしてください。
- A社(フルタイム正社員)
30~40万円/月 ※固定残業代を含む - B社(フルタイム正社員)
月給32.2万円/月 ※固定残業代を含む - C社(業務委託)
担当受講生一人につき4,500~6,000円/月
・受講生一人あたり月4回の面談(1回15分)を担当
・担当人数は5~10名程度 - D社(業務委託)
~11万円/月 ※本採用後
・受講生一人あたり月4回の面談(1回50分)、日次の学習管理を担当
・担当人数は最大5名
※上記の収入目安は、2024年2月時点での調査情報に基づきます。
英語コーチの勤務形態
英語コーチの勤務形態は求人案件によって異なるものの、柔軟な働き方を叶える選択肢が比較的豊富です。
時間・コマ単位のパートタイム、フルタイムのいずれの形式も可能
英語コーチの求人には、正社員としてのフルタイム勤務だけでなく、業務委託やアルバイトとしてレッスン時間・コマ単位で働ける案件もあります。
英語コーチングスクールはマンツーマン形式を採用しているところが多く、何名の受講生を担当するかによって稼働時間が決まるケースが一般的です。求人情報を見ると、担当人数の目安や受講生一人あたりにかかる業務時間の目安が示されているので、自分が無理なく働ける範囲でコミットしやすい案件を探しましょう。
受講生一人ひとりに専属のコーチが付くという特性上、担当する受講生のコーチングが始まってからの受講期間中は、担当する人数やコマ数の急な変更は難しくなります。受講生の卒業を英語コーチとして責任を持って見届けるためにも、継続的に勤務を続けられる業務量を見極めることが大切です。
在宅・リモートワークなら勤務場所も自由。海外在住者OKの求人も
英語コーチングスクールでは、受講生の希望に応じて通学またはオンライン形式のいずれかを選べる場合がほとんどです。なかには、通学のための教室拠点を持たず、オンラインのみで英語コーチングサービスを提供しているスクールもあります。
ビデオ通話ツールなどを活用したオンラインでの受講形式が普及した近年では、英語コーチ自身も勤務場所を問わず、リモートワークで自由に働ける可能性が広がっています。
受講生とのセッションを問題なく実施するための安定したインターネット環境さえあれば、日本全国どこからでも、さらには海外に在住している人でも応募可能な案件が見つかるでしょう。
海外在住の場合は、時差を利用し、日本時間の早朝や深夜にコーチングを受けたい受講生のスケジュールに上手くマッチするかもしれません。平日の夜のみ、土日のみといった稼働スタイルのニーズもあるため、副業として働きやすい点も魅力です。
英語コーチとして働く方法
英語コーチとして働くための具体的な方法には、以下の3つが挙げられます。
1. 英語コーチングスクールの社員になる
経験の有無を問わず、継続的に仕事に取り組みやすいのは、英語コーチングスクールの社員として働くパターンです。
多くのスクールでは、採用後に独自のコーチングメソッドを学ぶための研修を実施しており、未経験者であっても指導を担当するまでにステップを踏みながらコーチングスキルを磨けるでしょう。
フルタイムの正社員として働く場合は、決められた人数の受講生を担当し、複数のコーチングセッションや学習サポート業務を並行して進めていくイメージです。
これまでの受講生の英語学習データやスクール独自のノウハウを活用して効果的なカリキュラムを練ったり、多角的な課題分析のために同僚のベテランコーチに相談したりできるのは、スクールに所属する働き方ならではのメリットです。
近年では、コーチング特化型のスクールだけでなく、英会話教室やオンライン英会話サービスでも英語コーチングコースを提供するところが増えてきました。
英語コーチとしてフルタイムで働くことを目指すのであれば、コーチングスクールに加え、さまざまな英語教育関連のサービスでコーチの求人案件を探してみるとよいでしょう。
2. 業務委託などを通じて副業で英語コーチングを行う
英語コーチの仕事は、業務委託契約やパートタイム/非常勤の勤務体系で副業として取り組むことも可能です。
オンライン形式のコーチングセッションの普及に伴い、現在ではオフィス以外の場所からリモートで勤務する英語コーチも少なくありません。多くの場合、ビデオ通話が快適にできるインターネット環境さえあれば、自宅や海外からでも英語コーチングを行うことができます。
フルリモートや在宅での勤務は、時間の融通が利きやすく、副業としてもぴったりです。平日の夜のみ、週末のみなど、他の仕事のスケジュールに合わせて勤務時間や担当する受講生の人数を調整すれば、無理なくコーチング業務を始められます。
英語コーチの副業は、コーチングの仕事に興味がありながらも、大きなキャリアチェンジをする前に段階を踏んで経験を積んでおきたい方や、時間の制約があってフルタイムでの勤務が難しい方に特におすすめです。
※スクールによっては、英語教育関連の競合サービスでの副業を禁止している場合があります。求人応募の際は、各スクールが提示している条件の詳細をご確認ください。
3. 個人の英語コーチとして独立する
3つ目のルートは、個人の英語コーチとして独立する方法です。
通常、英語コーチングスクールでは、多数のコーチが在籍する中でもサービス内容の質を保証するため、指導方針の統一を行っています。
一方、個人で活動する英語コーチは、学習方法や料金体系をはじめ、サービスに関わるすべての要素を自らの裁量で決められます。すでに英語の指導経験があり、自分一人でもコーチングメソッドを確立できる場合は、個人事業主として開業し、独立することも可能です。
ただし、個人での活動は、集客から受講料金の支払い対応、受講生に対するフォローアップまでを一人で行わなければならず、実際にコーチングを行う以外の業務に費やす時間も増えがちな一面があります。
所属するスクールが一定数の受講生を割り当ててくれる場合とは異なり、集客の状況次第では安定した仕事量の確保が難しいケースもあることを認識しておきましょう。
英語コーチの募集案件を取り扱う求人サイト
英語コーチングスクールでの正社員募集および業務委託案件に関しては、各社のウェブサイト以外にも、求人サイトを確認すると効率よく情報収集ができます。
フルタイム勤務や副業として英語コーチを目指す方は、コーチングスクール関連の求人案件を取り扱っている下記のサイトを参考にしてみてください。
リクナビNEXTは、株式会社リクルートが運営する転職サイトです。大手英語コーチングスクールの求人情報を中心に取り扱っているため、募集中の案件がないかの確認や、各社の応募要件の比較に活用できるでしょう。
英会話講師.comは、英語講師・コーチの仕事情報に特化した求人サイトです。無料のメールマガジンに登録すれば、最新の求人案件や英語教育業界で働く人たち向けのスキルアップ情報をいち早く得られます。
Indeed(インディード)は、世界最大級の求人検索エンジンです。「英語コーチ」などのキーワードで求人を検索すれば、関連する案件の情報を簡単に絞り込めます。
英語コーチを目指す際に知っておきたいこと
魅力とやりがいのある英語コーチの仕事ですが、これからコーチを目指す場合は、下記の認識と心構えを持っておくことが大切です。
レッスン外の時間に受講生とのやり取りが発生することも
英語コーチの仕事には、コーチングセッションの提供だけでなく、自主学習の進捗確認、英語学習の悩み・質問への回答など、さまざまな業務が付随します。場合によっては、受講生に解説する内容の予習・準備も必要です。
レッスン外でのサポート業務にかかる時間の目安はスクールによっても異なるため、自分が希望する働き方のスケジュールと合うかどうか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
英語コーチとして常にスキルアップに取り組む向上心が求められる
英語コーチングでは、受講生を導く側である英語コーチ自身も絶えず英語学習やスキルアップに取り組むことが指導の質の向上につながります。
英語コーチとしてのキャリアを極めるには、語学力そのものや英語教授法の分野における専門性を磨き続ける姿勢が欠かせません。短期間でも目に見える学習の成果を求められるケースが多い英語コーチの仕事では、プロフェッショナルとしての自己研鑽が常に必要とされることを認識しておきましょう。
まとめ
英語コーチの仕事では、語学力に加え、受講生に寄り添ってサポートする力や、伸び悩みの原因を詳細に分析する力など、さまざまなスキルが必要となります。
副業としての業務委託契約や、フルリモートでの在宅勤務ができるケースもあり、自由度の高い働き方が叶う仕事です。
英語力を活かせるキャリアに興味がある方は、ぜひ英語コーチの仕事を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
英語を教える仕事
佐藤 千嘉
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