中国語検定「HSK」とは?試験の特徴や受験のメリットを紹介

これから中国語学習を始めたいと考えている方の中には、中国語検定試験「HSK」について知りたい方も多いのではないでしょうか。本記事では、HSKの概要や特徴、HSKを受験するメリットなどについてご紹介します。

目次

HSKとは?

HSKは、中国政府教育部直属の機関が主催し、中国政府が認定する中国語資格です。全世界で875ヶ所以上、118の国と地域で実施されており、日本では年間約4万人が受験しています(※2021年度)。2024年からは、全都道府県で年1回以上の試験が実施されています。

2024年1月現在、日本国内で受験できるHSKは1級(初級)から6級(上級)までの6レベルです。初級レベルである1級と2級は、リスニング(聞き取り)とリーディング(読解)のマークシート方式。3級からは、これにライティング(作文)が加わります。

聞き取り、読解、作文の配点はそれぞれ100点。聞き取りと読解で構成される1級・2級は合計200点、3級以上は合計300点で評価されます。

1~4級には合否があり、6割以上のスコア取得で合格となります。合格基準点は、1・2級が120点、3・4級が180点です。5・6級は2013年以降、成績報告に合否表記はなくなりましたが、6割(基準点:180点)以上のスコアで該当級相当の能力を有しているとみなされます。

※中国語での会話能力を測定する試験としては、筆記試験である「HSK」と別に、口頭試験「HSKK口試」があります。HSKK口試には、「初級」「高級」「中級」の3レベルがあります。

HSKの特長

HSKの特徴としては、特に以下の2つが挙げられます。

  1. 世界共通の資格
  2. 「中国語によるコミュニケーション能力測定」を第一の目的としている

1. 世界共通の資格

世界で行われている中国語検定試験の中で、最も受験者が多いのがHSKです。中国政府が認定する資格であるHSKは、118の国・地域で実施されており、日本や中国だけでなく、世界中で公的証明として活用できます。

HSKはCEFR(セファール:ヨーロッパ言語共通参照枠)に準拠するよう設計されているため、テスト結果が国際的に理解されやすいものとなっています。海外企業への転職活動時など、自身の中国語スキルを客観的に証明する際に役立つ資格と言えるでしょう。また、中国の大学に留学する際にも、HSKの級・スコアによる中国語レベルの証明が求められます。

2. 「中国語によるコミュニケーション能力測定」を第一の目的としている

中国語によるコミュニケーション能力の測定を第一の目的とした実用的な検定であることも、HSKの特徴です。

HSKが中国国内で初めて実施された1990年当初は、主に中国への留学生を対象に設計されていたため、試験内容は言語の「知識」を測定するものが中心でした。中国国外の中国語学習者にとってより役立つ検定試験となるよう、2010年にリニューアルを実施。前述の「CEFR」に準拠する設計になったのもこの際です。

リニューアル後のHSKでは、「言語知識」の測定ではなく、受験者が実際に中国語を運用し、コミュニケーションを行う能力の測定が目的に掲げられています。「中国語を使えるようになりたい」と考える幅広い学習者にとって、現状のレベル確認や目標設定に活用できる試験です。

HSKを受験するメリット

HSKを受験するメリットとしては、主に下記3つが挙げられます。

  1. 中国語学習のモチベーションになる
  2. 就職・転職・社内異動などのアピール材料となる
  3. 実践的な中国語力を養える

1. 中国語学習のモチベーションになる

HSKを受験すると、スコアという客観的な指標に基づき、日々の中国語学習の成果を測ることができます。また、試験の日程によって学習期限が生まれ、「いつまでに、これだけ学習する」という学習計画も立てやすくなります。

「中国語学習に興味はあるものの、一歩を踏み出せずにいる」「学習になかなか本腰が入らない」という場合、学習のスタートを切るために、まず受験申込を済ませてしまうというのも1つのアイデアです。

2. 就職・転職・社内異動などのアピール材料となる

HSKの級や取得スコアによって自分の中国語スキルを証明できるため、試験結果を就職・転職時のアピール材料として活用できます。また、社内で国際関連部門への異動を希望している場合などに有効にはたらくケースもあるでしょう。

英語と比べ、中国語ができる人材は希少です。英語・中国語の2言語を武器にできれば、キャリアの可能性は大きく広がります。

3. 実践的な中国語力を養える

HSKは中国語によるコミュニケーション能力の測定を第一の目的としているため、試験対策を通して実践的な中国語力を養えるのもメリットです。口語表現が使われた会話形式の問題など、リアルな題材で中国語学習に取り組めます。

HSKは何級から受験する?ビジネスパーソンが目指したいレベルも

2級からの挑戦もおすすめ

まず、HSKは何級からでも受験可能です。HSK公式サイトには無料レベルチェックテスト(聞き取りを除く)が掲載されているので、受験級の検討に活用できます。

2024年1月現在、日本で受験できるHSKは、1級が最も易しく、6級が最も難しい級です。1級と2級が「初級」にあたり、1級の受験料は3,850円、2級の受験料は5,060円。試験時間は1級が約50分間、2級が約65分間です。

日本人学習者の場合「漢字」には既に馴染みがあるため、中国語初心者の方は基礎から中国語学習を始めた上で、検定試験としては2級から受験してみるのもよいでしょう。

HSK2級は「リスニング(聞き取り)」「リーディング(読解)」が各100点のマークシート形式です。漢字に馴染みがあるとは言え、特に中国語のみで実施されるリスニングは、中国語初心者にとって決して簡単とは言えない内容なので、挑戦しがいがあります。

仕事で中国語を使う場合、まずは4級レベルを目指す

中国語検定「HSK」の認定校である中国語コーチングスクール「the courage(カレッジ)」代表の伊地知 太郎氏によると、中国語を仕事で使いたい場合、仕事内容を問わず、4級レベルは身につけておきたいとのこと。

「どういったシーンで中国語を使うかによっても変わりますが、どんなことをしたい方でも、まずは4級は絶対に目指した方が良いでしょう。中国語の基本文法事項の大半は4級までに出てくるので、そこまでをしっかり学んでおくと、その後の応用も利きやすくなります。

たとえば、中国語での接客で、『どの色がいいですか』のような定型フレーズを中心に使う場合には、HSK4級レベルでも対応可能です。一方、会議や商談を全て中国語で行うような場合だと、6級レベルでもまだ足りないというのが正直なところです。6級レベルの知識プラス、実務を通して鍛えていく必要があります。(伊地知氏)」

HSK4級レベルの中国語力習得に必要な学習時間目安

HSK4級レベルの中国語力習得に必要な学習時間について、伊地知氏は以下のように説明します。

「HSKの公式サイトに掲載されている学習目安は、『大学の第二外国語における第二年度後期履修程』です。つまり、大学の第二外国語で丸2年勉強すれば取ればレベル、と紹介されています。

ただ、実際にはそこまでの学習期間は、必ずしも必要ではありません。もし、毎日2~3時間の学習時間を確保できる場合、大体4ヶ月あれば合格できるかと思います。」

※HSKに関する伊地知氏インタビュー全文は、ビジネスで中国語を使うなら、HSK何級レベルを目指すべき?中国語コーチング「the courage(カレッジ)」に聞くをご確認ください。

まとめ

学習モチベーションの維持・向上に大きく寄与してくれる、語学試験。CEFR(セファール)に準拠し、中国語スキルを国際的に証明しやすいHSKなら、試験結果をキャリアアップのきっかけとしても活用できます。中国語学習をこれから始めようと考えている方は、HSK受験も併せて検討してみてはいかがでしょうか。

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