英語学習者の中には、「流暢に英語を話すこと」を最終目標として掲げる人が多くいます。
しかし、継続的に学習に取り組んでいるにもかかわらず、実際に英語でコミュニケーションを取る場面では思うように話すことができず、もどかしさを感じる人も少なくありません。
ハードルが高く感じられる英語のスピーキングですが、客観的なフィードバックをもとに弱点を克服していけば、着実にスキルを向上させることが可能です。
そこでこの記事では、英会話力アップに役立つスピーキングテスト3つを紹介します。
スピーキング特化型のテストは、一般的な英語の4技能試験よりも比較的受験料が安く、気軽に挑戦しやすいため、ぜひ学習の成果を測る指標として役立ててみてください。
目次
※記事内の情報は、2024年10月調査時点のものです。
英語スピーキングテストを一覧表で比較
まずは、代表的な3つの英語スピーキングテストの概要を一覧表で確認してみましょう。
※会場受験のテストでは、試験の前後で待機時間等が発生する場合があります。
英語を話す力を伸ばす!スピーキングテストの活用法
スピーキングテストの受験後、表面的なスコアや評価だけを見て終わらせてしまうのでは、なかなかスキル向上につながりません。
試験結果から得られる学びを最大限活用するためには、下記2点の意識を持つことが大切です。
1. 試験の評価項目を参考に改善点を見つけ出す
英語のスピーキングに対して苦手意識を持ちながらも、「なぜ思い通りに話せないのか」という原因を深く掘り下げて認識している人は意外に少ないのではないでしょうか。
相手に伝わる英語を話せているかどうかを判断するには、発音・イントネーション、語彙・文法の正確性、流暢さ、話す内容の論理性など、多角的な観点からの分析が必要です。
これら複数の評価項目を持つスピーキングテストを受験することで、「英語が上手く話せない」と何となく感じていた曖昧なイメージが、具体的な弱点や改善ポイントとして明確化されます。
客観的な分析と評価により、「発音にばかり気が向いていたけれど、聞き手に伝わるレベルの発音はすでにできている」「語彙に関する知識はすでに持っており、集中的に改善すべきなのは流暢性の部分だった」など、予想外の気づきが見つかる可能性もあります。
自分のスピーキング力に関して、「何が強みで、何が足りていないのか」を正しく把握することは、スキル向上につながる大きな一歩です。
2. 適切な目標設定で着実にステップアップ
テストごとに異なるスコア体系や評価方法が存在する中、より俯瞰的な視点でスピーキングの実力を捉えるには、外国語の運用能力を示す国際的な指標であるCEFR(セファール)について知っておくと便利です。
CEFRには、最も基礎的なA1から最上級のC2まで6つのレベル分けがあります。スピーキングに苦手意識を持っている方は、まずは「自立した言語使用者」としてカテゴライズされる、CEFRのB1レベルを目標とするとよいでしょう。
2017年度に全国の高校3年生を対象として行われた英語力調査によると、約1万人が受験したスピーキング試験の結果では、CEFR A1~A2レベルと評価された生徒が9割以上を占め、B1レベルの該当者は1.2%のみでした(※)。
※参照:文部科学省|平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)
高校生の平均的な英語レベルを超え、ビジネスシーンでも通用する英語のスピーキング力を目指すには、CEFRでB1以上をクリアすることが一つの目安となります。また、B1レベルからさらにステップアップしていけば、英語を使ってやりとりできる内容がますます広がり、より一層自信がつくはずです。
スピーキングテストの中には、CEFRを基準に評価を行うPROGOSがあるほか、VERSANTとTOEIC Speaking Testでも取得したスコアを参考におおよそのCEFRレベルを知ることができます。
- VERSANT Speaking & Listening Test:43点~(90点満点)
- TOEIC Speaking Test:120点~(200点満点)
- PROGOS:B1~(最高評価C1)
※上記のスコアは、各試験運営団体が発表しているCEFRレベルとの対照表に基づく目安です。
3つの英語スピーキングテストの概要と特徴
VERSANT Speaking & Listening Test
AI技術を駆使した自動採点により、受験後数分でテスト結果がわかる
VERSANT(ヴァーサント)® Speaking & Listening Testは、世界規模で教育関連事業を展開するピアソンPLC社が開発した、実践的な英会話力を測る試験です。2024年1月に試験内容がリニューアルされ、スピーキングに加えてリスニングのスコアが採点に加わった新形式でのテストの提供が始まりました。オンラインで受験が可能なため、集中してテストに臨める環境さえあれば、時間や場所を問わずいつでも試験を受けられます。
約20分間のテストの終了後は、高度な言語認識・自動採点システムによる評価が行われ、数分程度ですぐに採点結果を確認できます。スコアレポートでは、スピーキング力とリスニング力の評価をもとに算出した総合スコア(GSE)が10~90点までの範囲で示されます。
VERSANT Speaking & Listening Testの構成
VERSANT Speaking & Listening Testの出題数は、合計40問です。問題数が多いこともあり、一問一答形式でテンポよく出題が進みます。スピーチのように受験者が一人で長く話し続ける課題の割合が少ない点が特徴的です。
- 質問:8問
質問で使用された単語を使って回答。 - 復唱:16問
聞き取った英語の音声をそのまま繰り返す。 - 会話に関する質問:6問
短い会話の内容に関連する質問に回答。 - 文章に関する質問:6問
一定の長さの発話を聞いてから3つの質問に回答。 - ストーリーリテリング:2問(各問30秒以内)
短い英語のストーリーを聞いた後、自分の意見を要約する。 - 自由回答:2問
英語の質問に対し、自分の考えなどを自由に回答する。
※参照:VERSANT|テスト内容
グローバル企業での導入事例も多数
VERSANT Speaking & Listening Testは、スコア開示の迅速さや、時間・場所を問わず受験できる利便性の高さが評価され、グローバルにビジネスを展開する企業での活用が広がっています。日本国内では、およそ500以上の企業・教育機関が採用プロセスや研修にVERSANTを導入済みです。
社員の英語力の可視化、海外研修の参加者の選考など、さまざまなキャリアチャンスに関わる場面で利用されているVERSANTは、ビジネスパーソンの英語での発信力を示す指標として、今後さらに重要視されていくと予想されます。
TOEIC Speaking Test
認定採点者が7つの観点からスピーキング力を評価
TOEIC® Speaking Testは、日本国内の14都道府県に設けられた会場で、パソコンとマイク付きのヘッドセットを使用して受験する試験です。
回答を録音した音声データは、厳格なプロセスを経て採用された認定採点者が、発音、語彙、発話の内容の妥当性や完成度などの計7項目の観点から評価を行います。
試験結果では、0点~200点までの10点刻みの総合スコア、8段階のスコアレンジ別評価に加え、発音とイントネーション/アクセントの評価がHIGH、MEDIUM、LOWの3段階で表されます。インターネット上では試験日の17日後からスコアの確認が可能です。
TOEIC Speaking Testの構成
TOEIC Speaking Testには、一般的な音読問題のほか、写真の内容を口頭で説明したり、資料や文書の内容を読み取った上で質問に答える形式の問題が含まれます。
- 音読問題:2問(各問45秒)
アナウンスや広告を題材とした短い英文の音読。 - 写真描写問題:2問(各問30秒)
写真を見てその内容を口頭で説明。 - 応答問題:3問(15秒または30秒)
インタビューまたは電話での会話を想定し、身近なトピックについて回答。 - 提示された情報に基づく応答問題:3問(15秒または30秒)
提示された資料や文書に基づいて設問に回答。 - 意見を述べる問題:1問(60秒)
特定のテーマに対する自らの意見とその理由を回答。
TOEIC Programならではの知名度。英語力の証明として幅広く活用可能
TOEICは、プログラム全体の年間受験者数が200万人を超える英語力試験であり、日本国内で高い知名度を有します。
現状、受験者数の内訳ではTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)の割合が圧倒的多数を占めるものの、実践的な英語力の必要性が叫ばれる中、スピーキングなどのアウトプット力を試すテストの注目度が今後ますます高まっていくことが予想されます。
スピーキングテストは単体での受験も可能ですが、TOEIC L&Rや、ライティング試験を含むTOEIC Speaking & Writing(TOEIC S&W)のスコアを同時に提示することで、総合的な英語の4技能スキルもアピールできます。
PROGOS(プロゴス)
ビジネスシーンで必要不可欠な英語力をCEFR準拠の基準で評価
PROGOS®(プロゴス)は、外国語の運用能力を表す国際的なフレームワークのCEFRでの評価を取り入れた英語スピーキングテストです。個人受験ができる自動採点版と、法人向けの手動採点版の2種類があり、CEFRに完全準拠したテストとしては日本国内で年間受験者数が最多となっています(株式会社プロゴス調べ)。
出題は、英語を使うビジネスシーンを想定した内容が中心で、プレゼンテーションやロールプレイ形式の設問などが特徴的です。
PROGOSでは、言語能力指標のグローバルスタンダードといわれるCEFRに加え、日本の英語教育の現状に合わせて独自に開発された習熟度指標のCEFR-Jに基づき、AIの自動採点でスピーキング力の評価を行います。テストレポートには、Pre-A1~B1 Highまでの9段階のレベル評価(※)とともに、現状から一つ上のランクにステップアップするための学習アドバイスが記載されます。
※法人向け手動採点版の場合は、C1レベルが最高評価となります。
PROGOSのテスト構成
PROGOSでは、グラフや図が表す内容を読み取って説明するプレゼンテーションのほか、一方的な発話だけでなく、相手とのやりとりが生じる場面での応答力を試す設問が出題されます。
- インタビュー:10問(各問20秒)
英語の問いに対し、一問一答形式で回答。 - 音読:8問(各問20秒)
画面に表示される文章の音読。 - プレゼンテーション:1問(60秒)
与えられたトピックについて、条件を守りながら60秒で話す。 - グラフ・図を用いたプレゼンテーション:1問(60秒)
グラフや図が示す内容について説明。 - ロールプレイ:1問(関連質問あり、各回答30秒)
特定のトピックの下で会話のやりとりを行う。
※参照:PROGOS|テスト構成について
1回550円で気軽に挑戦。複数回の受験により成長や変化を実感しやすい
PROGOSは、1回あたりの受験料が550円、試験結果もテスト終了後およそ2分で返却される(自動採点版の場合)など、学習者が気軽に取り組みやすい設計となっています。
普段の英語学習とあわせて定期的にスピーキングテストを受験し、自分の英語力の成長や変化を感じ取ることで、学習意欲の向上も期待できるでしょう。
PROGOSを導入している600以上の企業・教育機関では、採用時の評価や社内での昇格要件といった数多くの場面で試験結果を活用しています。
まとめ
英語スピーキングテストには、出題傾向や評価方法が異なる複数の種類があります。
試験結果を賢く活用して自らのスピーキング力の強み・弱みを浮き彫りにし、英語コミュニケーションスキルのさらなる向上へとつなげていきましょう。
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English Hub 編集部
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