英語で働く明日のために、最重視すべき学習戦略とは?【トライオン株式会社代表 三木雄信氏インタビュー】

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「英語を長年勉強しているものの、会話力には自信がない」という悩みを抱える方は少なくありません。「レッスンは受けているものの、正直あまり上達している実感がない」という方もいるのではないでしょうか。

そんな中、英語コーチング・プログラム「トライズ(TORAIZ)」では、1年のプログラム修了後に全受講生のVERSANTスピーキングテスト平均スコア(※)が「海外出張で質疑応答が可能なレベル」に到達しています。短期間で英会話力が伸びる秘訣は、いったいどこにあるのでしょうか。

English Hub編集部は、トライズを運営するトライオン株式会社代表の三木雄信氏に、プログラムの特徴やその背景にある想いについて伺いました。

※トライズ受講生のVERSANTスコア推移については、『仕事で求められる英語力のレベルとは?【トライオン株式会社代表 三木雄信氏インタビュー】』を参照ください。

話者プロフィール:トライオン株式会社 代表取締役社長 三木雄信氏

三菱地所株式会社を経て、ソフトバンク株式会社に入社。27歳で同社社長室長に就任。英会話は大の苦手だったが、ソフトバンク入社後に猛勉強。仕事に必要な英語だけを集中的に学習する独自のやり方で「通訳なしで交渉ができるレベル」の英語をわずか1年でマスター。2006年にはジャパン・フラッグシップ・プロジェクト株式会社を設立し、同社代表取締役社長に就任。同年、子会社のトライオン株式会社を設立し、2013年に英会話スクール事業に進出。2015年には1年で英語をマスターできるプログラム『トライズ(TORAIZ)』を開始し、日本の英語教育を抜本的に変え、グローバルな活躍ができる人材の育成を目指している。著書に『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』『人生最後の英語鬼速やり直し』などがある。

インタビュー目次

戦略とは「戦う」「略する」こと

Q:1年という短期間で、実践的なスピーキング力が身につく秘訣とは

まず、第二言語習得理論で言うと「アウトプット仮説」と「インタラクション仮説」に基づき、アウトプットを重視しています。

さらに、社会言語学などの学問に基づき「Communicative Competence(伝達能力)」を総合的に高める点が特徴です。Communicative Competenceには、「文法的能力」「談話能力」「方略的能力」「社会言語学的能力」という4つの能力があると言われています。

Communicative Competence(伝達能力)の4要素

  1. 文法的能力:文法知識にもとづいて、正しく文を理解し、正しい文を産出する能力
  2. 談話能力:一貫した文章(テキスト)を生み出すための、指示詞(代名詞)、言い換え、省略などを駆使できる能力
  3. 方略的能力:たとえば、適切な単語が思い出せないときに、それに何とか対処するために、言い換え、繰り返しなどのストラテジー(方略)を使ってその場を切り抜ける能力
  4. 社会言語学的能力:状況や文脈に合致した言葉を使用する能力
  5. ※各能力の定義については、門田修平(2018)『外国語を話せるようになるしくみ:シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』東京:SB サイエンス・アイ新書を参照

従来の英語教育では「文法的能力」ばかりが重視されてきました。しかし、コミュニケーションに必要なスキルはそれだけではないのです。

たとえば「方略的能力」は、伝達能力の中枢能力とも言われています。

学習者の文法的能力には限界があるものです。限界がある中でも、たとえば相手が話す内容が理解できない場合には聞き返したり、ホワイトボードに図を書いて確認したりして乗り越えていく力が「方略的能力」です。

基本的には、中学単語と中学文法だけで会話は成立します。むしろ、人間の脳の処理能力には限界があるので、中学文法だけに基づいたとしても、瞬時に数千語を処理することは極めて難しい。それにも関わらず、従来の英語教育では文法的能力だけを追求して「もっと単語を覚えよう、もっと文法ルールを覚えよう」という道に行ってしまうから、もっと話せなくなるんです。

トライズの学習アプローチは違います。戦略的にやるんです。戦略という字は「戦う」「略する」と書くように、大事なのは「何をしないか」ということ。単語や文法だけでなく、たとえばトライズでは発音は1年目には追求しません。発音まで気にしていたら話せないからです。まずは英語の世界にテイクオフしないといけません。コミュニケーションにおいては、ネイティブのような発音を目指すことよりも、イントネーションや拍数が合っていることの方が大切です。

トライズのプログラムは、Communicative Competenceを総合的に高めることを前提としています。だから、本当の意味で相手と会話できる力が身につく。トライズで1年の学習を終えた方は、皆言います。「自分の英語は完璧ではない。でも、自分にとって必要な用事を英語でできる自信がついた」と。トライズで受講生が学ぶのは、まさにこれなんです。1年を終えた後には皆、英語を話すことに対する抵抗が全くなくなっています。

学習で最も大事なのは個別最適化

Q:トライズの英会話レッスンは、他社サービスとどのような点が異なるのか

自分のゴールに合った話題でディスカッションできる担任制

従来型のオンライン英会話サービスとの違いで言うと、まずは担任制であること。トライズでは、受講生一人ひとりの目標を踏まえて担任を決定するので、自分のゴールに合った話題でディスカッションできます。たとえば会計関連の仕事に携わる方は、アメリカの内部監査士の資格を持つコーチや、MBAを取得しているコーチなどが担当します。サッカーに精通するコーチも在籍しているので、日本代表の選手も複数名受講されていますね。

また、トライズではビジネス経験があるネイティブスピーカーだけを採用しています。英語をただ話せるだけでなく、IT業界の動向といったビジネスに関するトピックについても知識を有しているので、社会言語学的な部分を含めて、英語でしっかり議論できる点が大きな違いです。

個別指導&日本語で相談もできる環境

一般的な英会話スクールでは、「今日はビジネスコースの第10コマ目」のように、受講生全員が同じテキストを使って、同じ内容のレッスンを受けます。一方トライズでは、受講生一人ひとりの学習内容を「個別最適化」しているのが特徴です。

我々は学習で最も大事なのは個別最適化であると考えています。アメリカの研究者であるベンジャミン・ブルームが1984年に提唱した「ブルームの2シグマ問題」では、個別指導での学習効果の高さが示されています。

この研究では、3つのグループが設定されています。1つ目は、集団講義を受けるグループ。2つ目は、集団講義に加えて習熟度別の補習を受けるグループ。そして3つ目が、マンツーマンで個別指導を受けるグループです。

結果は、第2グループは第1グループに比べて成績が1σ(シグマ=標準偏差)分、第3グループは第1グループよりも2σ(シグマ)分上がりました。具体的に言うと、マンツーマン指導を受けた第3グループの学生の98%が、集団授業を受けた第1グループの学生の平均点以上だったのです。

トライズのレッスンはマンツーマンであることに加え、受講生のゴールに合わせてテキストも個別最適化しています。たしかに料金は集団講義形式のスクールの授業料を上回りますが、その分学習効果があると自信を持って言えます。学習者にとって特に大事なのは、自身のゴールに合った「最終教材」です。例えば会計士の方であれば、最終教材には『English for Accounting』など、実際の会計士に向けて書かれた題材を使うべきだと考えています。

また、一般的な英会話スクールの多くでは、直接教授法が採用されています。直接教授法では、文法なども全て英語で説明されます。「英語を学ぶ過程は、子どもが英語を学ぶ過程と一緒であるはず」という考えに基づいたものですが、その効果に科学的な裏付けはありません。リスニングがまだ難しい状態の学習者が、英語の文法を英語で説明されても分からないですよね。トライズでは受講生一人ひとりに専属のコンサルタントがつくので、気になることがあれば日本語でいつでも質問や相談ができます。

会話だけを行う英会話スクールのレッスンは、ゴルフに例えると、練習無しでひたすらコースに出るようなものです。ゴルフの場合は普通、半年くらいはゴルフ練習場に通ってプロに習って、毎日素振りをして、安定したスイングができるようになってからコースに出ます。ルールも分からず、誰からも正しい打ち方を習っていない状態でコースにだけ出続けても、上達は望めないでしょう。

英語学習も同じです。会話力を効果的に伸ばすためには、ベースとなる中学単語と中学文法の知識に加え、シャドーイング練習やフレーズ暗記などが欠かせません。トライズの受講生は、週3回のマンツーマンレッスンのほか、専属コンサルタントが作成する個別の学習プランに沿って、1日3時間の学習に取り組みます。

豊富なアウトプットの機会

英語コーチングスクール他社の受講期間は3ヶ月前後で、学習内容はインプット中心です。トライズの受講期間は12ヶ月で、専属コンサルタントによる学習サポートのほか、ネイティブとのマンツーマンレッスンが週に3回ついています。さらに、ITや金融などの業種別グループレッスンも受け放題です。グループレッスンは、英語レベル別かつ最大5名までの少人数制で毎日開催しています。

アウトプットの機会が豊富にありながら、料金は1ヶ月で割ると10万円台前半。月額で比較すると、他社と比べて圧倒的に安い点も特徴です。

また、提供するサービスの品質のばらつきをなくすため、品質管理をシステムとして行っています。全てのレッスンと面談に対して、受講生からリアルタイムで評価をもらっており、満足度は5段階評価でレッスンが「4.59」、コンサルタントが2週間に一度実施するプログレスチェック時のコーチングが「4.68」と、ともに高い評価を受けています(2021年3月実績)。

Q:エストニア体験ツアーなど、オンラインイベントやセミナーも定期的に開催されています

エストニアには、受講生や修了生の中から希望者を募り、2019年に現地へ足を運びました。「Latitude59」というスタートアップイベントでは英語で商談をできる機会もあり、受講生の中にはエストニア視察をきっかけに起業された方もいます。

文化の違いに触れたり、これまで知らなかった事柄について英語で議論してみたりする経験を通して、社会言語学的な能力を身につけることが大切という考えのもと、「Dream Now, Travel Later」など様々なイベントを毎月開催しています。

英語を使って働きたい人へのメッセージ

Q:英語を使って働きたいと考えている人に向けて、メッセージをお願いします

英語学習に限らず、全ての学習で最も大事なのは、個別最適化したロードマップが引けているかどうかです。自分のゴールと、そのゴールを達成するための「最終教材」が決まっていることは、実は第二言語習得理論以上に大切なんです。

ビジネスと英語学習の本質は同じです。ゴールがはっきり決まっていて、そこまでのロードマップがあって、現状と目標がともに数値化されていて、そこに差異があったら適切な対応をとること。

もし、まだゴールが定まっていなければ、自分の周りで「この人みたいになりたい」というロールモデルを探してみてください。その人に、どんな教材を使って、どのように勉強したかを尋ねてみると、学習の道筋が見えてくるでしょう。

ゴールと達成期限が明確になっていない状態で学習を始めるのは、あてのない航海に出るようなものです。「行くあての決まらない航海に出るな!」ということは、ぜひ伝えたいですね。

編集後記

「トライズで受講生が身につけるものは、自分にとって必要な用事を英語でできる自信」という三木氏の言葉が印象的でした。

長年英語を勉強している方の中には、勉強するほど自分の力不足に気づき、英語を話したくない気持ちが増している人もいるのではないでしょうか。せっかく英語を勉強しているにも関わらず「周りの人に自分の英語を聞かれるのが恥ずかしい」「もっと上達してからでないと話したくない」という声は、学習者からしばしば聞かれます。英語を学んでいる理由を見失い、勉強自体が目的化してしまっているケースもあるでしょう。

一方トライズでは、英語学習のゴールを明確に設定します。あらゆる能力をやみくもに追求するのではなく、自分のゴールに必要なスキルを見極め、戦略的に高めていくアプローチだからこそ、学んだ英語を実際に使えるようになるのだと感じました。

1年間の受講を終えた後には、英語を話すことに対する抵抗が全くなくなるというトライズのプログラム。トライズでは、ヒアリング結果に基づいて最適な学習方法を提案してもらえる無料カウンセリングも実施されています。無料カウンセリングはオンラインでも受けられるので、英語を話すことに苦手意識がある方や、トライズのメソッドが自分に合っているか気になる方は、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

【参照サイト】【公式】トライズ(TORAIZ)
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