ヤングケアラーで高校を諦めそうなとき、家と学業を両立する道

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祖母の介護、弟の世話、夜中の見守り。朝は寝不足で、放課後はまっすぐ帰る。課題は終わらず、欠席が増えていく。誰にも言っていないので、学校からは単に不真面目な生徒に見えている。

この記事では、家族の世話で高校生活が削られている人が使える仕組みを、制度の裏づけとあわせて整理します。先に書いておくと、相談することは「わがまま」ではありません。2024年の法改正で、ヤングケアラーは国や地方公共団体が支援に努めるべき対象として法律に明記されました。

記載内容は2026年10月時点で、末尾に挙げた公的機関の資料にもとづいています。

結論:相談は「わがまま」ではなく、制度に位置づけられたもの

  1. 2024年6月12日施行の改正で、ヤングケアラーは法律上の支援対象として明記された
  2. いちばん効くのは、世話をしている相手の側の支援を増やすこと。自分が我慢する以外の道がある
  3. 学校には欠課や提出物について相談できる。配慮を求める法的な根拠もある
  4. 授業料には高等学校等就学支援金という仕組みがある。世帯年収約910万円未満が目安
  5. 登校の負担が重いなら、通信制や定時制への転入という選択肢がある

法律上どう位置づけられているか

大阪府が公表している指針によれば、2024年6月に成立した「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」により子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーは国・地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象として法律上明記されました。施行は2024年6月12日です。

同法第15条第1項の文言では、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義されています。

ここで押さえておきたいのは、この定義に「介護認定を受けている家族」や「重い障害」といった条件が付いていないことです。きょうだいの世話、家事の大半を担うこと、日本語が得意でない家族の通訳なども、過度に行っていれば含まれ得ます。自分は該当しないと思い込んで相談しない人が多い部分です。

学校で先に確認すること

単位と出席の見通し

全日制高校では、各教科の授業にどれだけ出席したかが単位認定の条件になっています。基準は学校ごとに定められていて、欠課が一定の割合を超えるとその教科の単位は認定されません。

確認すること なぜ必要か
教科ごとの欠課上限と現在の時数 危ういのは一部の教科に偏っていることが多い
遅刻や早退の換算 何回で1回の欠課になるか。朝の世話で遅れる日の扱いが変わる
提出物の期限 期限に幅をもらえるか。評価にどう反映されるか
補習や課題による救済 欠課分を補う仕組みがあるか。あるなら条件と締切
スクールソーシャルワーカーの有無 学校の外の福祉につなぐ役割を担う。配置されていれば相談が早い

最後の行が実務的に効きます。担任は授業と学級のことは動かせますが、介護保険や障害福祉サービスの手続きは職域の外です。スクールソーシャルワーカーが配置されている学校なら、そこを起点にしてください。いない場合は、次の章の窓口に直接相談するほうが早くなります。

配慮を求める根拠

障害者差別解消法の枠組みも、場合によって使えます。内閣府の案内によれば2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供がそれまでの努力義務から法的義務になりました。文部科学省が定めた対応指針は、この「事業者」に学校法人なども含まれるとしています。本人に障害がある場合はこの枠組みで相談できます。

本人に障害がない場合でも、学校に事情を伝えて配慮を求めること自体は妨げられません。何が難しくて、何があれば続けられるかを具体的に伝えてください。

学校以外の相談先

ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。自分の負担を減らす最短の道は、世話をしている相手の側の支援を増やすことです。

窓口 何ができるか
市町村のヤングケアラー相談窓口 設置やコーディネーターの配置が進められている。自治体のサイトで一覧を探す
地域包括支援センター 高齢の家族の介護について相談できる。要介護認定の申請やケアマネジャーにつながる
基幹相談支援センター 障害のある家族の福祉サービスについて相談できる
市町村の福祉担当課 どの窓口に行けばよいか分からない場合の入口
要保護児童対策地域協議会 関係機関の連携の枠組み。学校や自治体を通じて関わることになる

大阪府の指針では、府が市町村に相談窓口の設置やコーディネーターの配置を働きかけており、学校、要保護児童対策地域協議会、地域包括支援センター、基幹相談支援センターなどとの連携を進めるとされています。自治体によって体制の整い方には差があるため、まず住んでいる市町村のサイトで「ヤングケアラー」と検索してください。

何を伝えればよいか

窓口で話すとき、次のように整理して持っていくと話が早く進みます。

  • 誰の世話をしているか。年齢と、どういう状態か
  • 何をしているか。入浴、食事、移動、見守り、通院の付き添い、家事、通訳など
  • 1日あたり、1週間あたりにどのくらいの時間を使っているか
  • 夜間の対応があるか。あるなら睡眠がどのくらい削られているか
  • 家にほかに担える大人がいるか
  • すでに受けている支援があるか。介護保険や障害福祉サービスを使っているか

4つ目は必ず書いてください。夜間の対応があるかどうかで、支援の緊急度の見られ方が変わります。

授業料の負担について

文部科学省の案内によれば、高等学校等就学支援金は日本国内に在住し高等学校等に在学する生徒が対象で、国公私立を問わず、世帯の年収が約910万円未満の世帯の生徒が対象です。所得は原則として親権者で判断し、両親がいる場合は2名の合算額で判断します。

  • 申請は原則として入学時の4月に、必要書類を学校に提出する。提出期限は学校や都道府県によって異なる
  • オンライン申請システム「e-Shien」から申請できる
  • 紙で申請する場合は、受給資格認定申請書とマイナンバーカードの写しなどが必要
  • 地方住民税が未申告の場合は、事前に申告が必要
  • 授業料が支給限度額に達しない場合は、授業料を限度として支給される

支給期間と支給限度額は別途一覧で示されています。家計の事情が年度の途中で変わった場合の扱いも含めて、学校の事務に確認してください。都道府県が独自に行っている授業料減免や奨学金の制度もあるため、あわせて聞いてみる価値があります。

通う形を変える選択肢

方法 どういうものか 注意する点
今の学校に残る 配慮を受けながら続ける 教科ごとの欠課に余裕があるかで判断する
転入 今の学校に在籍したまま別の学校へ移る 取得済みの単位や在籍期間を引き継げることが多い
定時制への転入 昼間部や夜間部など開始時刻が遅い課程 世話の時間帯と噛み合うかで判断する。地域差が大きい
編入 退学したあとに別の学校へ入り直す 空白の期間ができる。先に転入を検討する

転入は本人や保護者が直接進めるものではなく、今いる高校が窓口になります。新潟県教育委員会が示している流れでは、在籍校が転学願を受けて転入希望先に事前の連絡を取り、受け入れが可能な場合に文書で転学照会を行うとされています。在籍校を飛ばして進められない点は共通しています。

通信制高校が噛み合う理由と、確認すること

文部科学省の案内によれば、通信制高校の学習は添削指導、面接指導(スクーリング)、試験の3つで進みます。レポートの標準的な回数は教科ごとに決まっていて、国語や数学は1単位あたり3回、体育は1回。面接指導の標準時間数も、国語や数学は1単位あたり1単位時間、理科や芸術や外国語は4単位時間、体育は5単位時間です。卒業には74単位以上の修得と、特別活動を30単位時間以上受けることが必要とされています。

家族の世話をしている人と噛み合うのは、登校する時間を自分の都合に合わせて配置できる点です。毎日決まった時刻に教室にいることが前提ではありません。

さらに同省の案内によれば、多様なメディアを利用した学習で報告課題を提出すると、面接指導の時間数のうち10分の6以内が免除され、複数のメディアを併用する場合は10分の8以内まで免除できます。登校しなければならない時間そのものを制度上減らせます。実施しているかは学校によって異なるため確認してください。

確認しておきたいこと

  • メディア学習による面接指導の免除を実施しているか
  • スクーリングの日程を自分で選べるか。平日と土日のどちらもあるか
  • スクーリングを欠席した場合の振替日があるか
  • レポートの提出期限に幅があるか
  • 就学支援金の手続きを学校が案内してくれるか。実質の自己負担はいくらになるか
  • 特別活動の30単位時間をどのような形で消化するか

5つ目は必ず聞いてください。私立の通信制高校では、就学支援金を適用したあとの自己負担額が学校ごとに大きく違います。見かけの学費ではなく、支援金を引いた後の金額で比べてください。

登校日数を自分で選べる学校の例として、N高等学校があります。ネットで学習を進めるコースから週5日通うコースまで分かれているため、どの程度の登校なら続けられそうかを考える材料になります。

よくある質問

自分はヤングケアラーに当てはまるのでしょうか

子ども・若者育成支援推進法第15条第1項の定義は「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」です。介護認定の有無や障害の重さは条件になっていません。きょうだいの世話、家事の大半、家族の通訳なども含まれ得ます。判断に迷うなら、市町村の窓口で状況を話してみてください。

家族のことを外部に話すと、家庭に踏み込まれませんか

何をどこまで伝えるかは本人が決められます。まず「学校を続けるために何が使えるか」という相談として持っていくこともできます。不安な点があれば、相談の冒頭でそれを伝えてください。

学校に言っても何も変わりませんでした

担任は授業と学級のことは動かせますが、介護保険や障害福祉サービスの手続きは職域の外です。スクールソーシャルワーカーがいればそこを起点に、いなければ市町村の窓口に直接相談してください。

世話をしている相手の支援を増やすとは、具体的にどういうことですか

高齢の家族であれば地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請やケアマネジャーにつながることで、訪問介護やデイサービスなどの利用を検討できます。障害のある家族であれば基幹相談支援センターが相談先になります。使える支援が増えれば、自分が担う部分が減ります。

通信制高校に移ると卒業資格は変わりますか

変わりません。通信制高校を卒業して得られるのは、全日制と同じ高等学校の卒業資格です。

まとめ

家族の世話で高校生活が削られているとき、相談することに引け目を感じる必要はありません。2024年6月12日施行の改正で、ヤングケアラーは国や地方公共団体が支援に努めるべき対象として法律に明記されました。定義は「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」で、介護認定の有無や障害の重さは条件になっていません。

学校では、教科ごとの欠課時数、遅刻の換算、提出物の期限、スクールソーシャルワーカーの有無を確認してください。ただし担任が動かせる範囲には限りがあります。

いちばん効くのは、世話をしている相手の側の支援を増やすことです。高齢の家族なら地域包括支援センター、障害のある家族なら基幹相談支援センター、どこに行けばよいか分からないなら市町村の福祉担当課が入口になります。相談に行くときは、誰の世話を、何を、1週間に何時間、夜間の対応があるかまで書いて持っていってください。

授業料については高等学校等就学支援金があり、世帯年収約910万円未満が目安です。申請は原則として入学時の4月で、オンライン申請システム「e-Shien」からも手続きできます。通信制高校を検討する場合は、見かけの学費ではなく支援金を引いた後の自己負担額で比べてください。

この記事で参照した資料

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English Hub 編集部

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