統合失調症と診断された高校生の進路と、退学を急がないための手続き

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調子が落ちている時期に、学校をどうするかを決めなければいけない場面が来る。周りからは早く決めたほうがいいと言われる。けれど、いまの状態で決めた結論が、半年後の自分にとって最善かどうかは分からない。

この記事では、統合失調症の治療をしながら高校を続けるために使える仕組みを、制度の裏づけとあわせて整理します。先に書いておくと、退学を決めるのはいちばん最後でよい。在籍が残っているあいだは選べる方法があり、退学するとその多くが使えなくなります。

記載内容は2026年10月時点で、制度に関する部分は末尾に挙げた公的機関の資料にもとづいています。治療や服薬、活動の可否については主治医の判断に従ってください。調子が大きく崩れているときは、学校の手続きより先に主治医に相談してください。

結論:退学を決めるのは、いちばん最後でよい

  1. 在籍が残っているあいだは、在籍したまま別の学校へ移る「転入」が使える。退学するとこれが使えなくなる
  2. 学校に配慮を求める法的な根拠がある。2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務になった
  3. 多くの高校には休学の規定がある。在籍を保ったまま時間を作れる場合がある
  4. 医療費には自立支援医療(精神通院医療)という仕組みがあり、対象疾患に統合失調症が含まれている
  5. 学校以外の相談先がある。各都道府県や指定都市には精神保健福祉センターが置かれている

決めるのは、調子が戻ってからでも遅くありません。急ぐべきは退学の判断ではなく、在籍を保つための手続きのほうです。

まず学校に確認すること

休学の規定があるか

休学の扱いは学校の規則によって定められています。期間の上限、申請の方法、必要な書類、学費の扱い、復学の手続きが学校ごとに違います。次の点を担任または事務に確認してください。

確認すること なぜ必要か
休学できる期間 上限と、延長できるかどうか。学年をまたげるか
申請に必要な書類 診断書が必要かどうか。必要なら主治医に早めに依頼する
休学中の学費 全額か減額か免除か。私立では差が大きい
復学の時期 年度初めだけか、学期の区切りでも可能か
取得済み単位の扱い 休学前に取った単位が残るか
休学と欠席の比較 休まず欠席を重ねるのと、休学するのでどちらが有利か

最後の行が判断の分かれ目です。欠席を重ねて単位を落とすと原級留置になりますが、休学なら在籍を保ったまま時間を作れる場合があります。どちらが有利かは、残りの欠課時数と学校の規定によって変わります。

単位と出席の見通し

全日制高校では、各教科の授業にどれだけ出席したかが単位認定の条件になっています。基準は学校ごとに定められていて、欠課が一定の割合を超えるとその教科の単位は認定されません。

  • 教科ごとの欠課上限と、現時点の欠課時数
  • 保健室や別室で過ごした時間が出席として扱われるか
  • 欠課分を補う課題や補習があるか。あるなら条件と締切
  • いま休んだ場合、どの教科が間に合わなくなるか

2つ目は特に重要です。別室で授業を受ける配慮を受けていても、それが欠課として記録されていれば単位は危うくなります。配慮の内容を決めるときに、出席の扱いまで同時に決めてください。

配慮を求める根拠

障害者差別解消法が改正され、内閣府の案内によれば2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供がそれまでの努力義務から法的義務になりました。文部科学省が定めた対応指針は、この「事業者」に学校法人なども含まれるとしています。つまり私立学校も合理的配慮を提供する法的義務を負い、公立学校は行政機関として、それ以前から義務の対象です。

障害者手帳の有無は要件ではありません。求められる配慮としては、次のようなものがあります。

  • 服薬の影響で午前に起きられない時期、登校時間を調整する
  • 調子の悪い日に別室や保健室で授業を受け、その時間を欠課としない扱いにする
  • 人数の多い場面(全校集会、体育館での行事)の参加の仕方を調整する
  • 定期試験を別室で受ける。受けられなかった場合の追試を用意してもらう
  • 提出物の期限に幅を持たせる
  • 通院のための早退や遅刻の扱いを、通常の遅刻と分けて記録する

話し合いが進まないときは、学年主任や管理職、次に設置者である教育委員会または都道府県の私学担当部署、さらに内閣府が設けている「つなぐ窓口」に相談できます。つなぐ窓口は、障害者差別解消法に関する質問や、配慮を求めたのに理由なく断られた場合の相談を受け付け、適切な窓口へつなぐ調整も行っています。

学校を続ける形の選択肢

方法 どういうものか 注意する点
今の学校に残る 配慮を受けながら続ける 教科ごとの欠課に余裕があるかで判断する
休学する 在籍を保ったまま一定期間休む 学校の規定による。期間と復学時期を先に確認する
転入 今の学校に在籍したまま別の学校へ移る 取得済みの単位や在籍期間を引き継げることが多い
編入 退学したあとに別の学校へ入り直す 空白の期間ができる。先に転入を検討する
高卒認定試験 試験に合格して大学受験の資格を得る 高校卒業の資格そのものではない

転入の手続きは在籍校を通して行う

転入は本人や保護者が直接進めるものではなく、今いる高校が窓口になります。新潟県教育委員会が示している流れでは、在籍校が転学願を受けて転入希望先に事前の連絡を取り、受け入れが可能な場合に文書で転学照会を行うとされています。手続きの詳細は都道府県や学校によって異なりますが、在籍校を飛ばして進められない点は共通しています。

これが、退学を最後にすべき理由です。退学してしまうと転入という枠組みが使えず、編入として入り直すことになります。空白の期間ができ、単位の引き継ぎも扱いが変わります。

通信制高校を検討する場合

文部科学省の案内によれば、通信制高校の学習は添削指導、面接指導(スクーリング)、試験の3つで進みます。レポートの標準的な回数は教科ごとに決まっていて、国語や数学は1単位あたり3回、体育は1回。面接指導の標準時間数も、国語や数学は1単位あたり1単位時間、理科や芸術や外国語は4単位時間、体育は5単位時間です。卒業には74単位以上の修得と、特別活動を30単位時間以上受けることが必要とされています。

同省の案内によれば、多様なメディアを利用した学習で報告課題を提出すると、面接指導の時間数のうち10分の6以内が免除され、複数のメディアを併用する場合は10分の8以内まで免除できます。人の多い場所に長時間いることの負担を、制度上減らせるということです。実施しているかは学校によって異なるため、資料請求や個別相談で確認してください。

確認しておきたいこと

  • メディア学習による面接指導の免除を実施しているか
  • スクーリングの1クラスの人数と、1日の行程の長さ
  • 調子が崩れた時期にレポートの提出期限を延ばせるか
  • 試験を受けられなかった場合の追試があるか
  • 在籍できる年数に上限があるか。ゆっくり進める形が可能か
  • 特別活動の30単位時間をどのような形で消化するか
  • 転入を受け付けている時期

3つ目と5つ目が特に大事です。通信制は自分のペースで進められる仕組みですが、学校ごとに在籍年限や提出期限の運用は違います。調子に波があることを前提に、どこまで待ってもらえるかを入学前に確認してください。

登校日数を自分で選べる学校の例として、N高等学校があります。ネットで学習を進めるコースから週5日通うコースまで分かれているため、どの程度の登校なら続けられそうかを考える材料になります。

医療費の負担を軽くする仕組み

通院を続けるため、医療費の制度も知っておく価値があります。厚生労働省の案内によれば、自立支援医療のうち精神通院医療は、精神疾患で通院による医療を続ける必要がある場合に、通院のための医療費の自己負担を軽減する制度です。対象となる精神疾患には統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害が含まれています。実施主体は都道府県および指定都市です。

自己負担の割合や所得に応じた上限額、申請に必要な書類は窓口で確認してください。申請には主治医の診断書が必要になるため、通院の際に相談するのが早道です。

学校以外の相談先

学校の話だけで行き詰まることがあります。公的な相談先として、各都道府県および指定都市に精神保健福祉センターが置かれています。保健所でも精神保健の相談を受け付けています。

  • 精神保健福祉センター。都道府県・指定都市に設置されている
  • 保健所の精神保健相談
  • 主治医と、医療機関の精神保健福祉士(相談員が置かれている場合)
  • 自治体の障害福祉担当課。自立支援医療や手帳の窓口

学校とのやり取りで疲れているときは、間に入ってくれる第三者を作るほうが早い場合があります。医療機関に相談員がいるなら、学校への説明に同席してもらえるかを聞いてみてください。

よくある質問

退学を勧められています。応じるべきでしょうか

急いで決める必要はありません。在籍が残っているあいだは転入という選択肢が使えますが、退学するとその枠組みは使えなくなります。まず休学の規定と、残りの欠課時数を確認してください。そのうえで主治医に相談し、判断の時期を決めてください。

休学と欠席を重ねるのでは、どちらがよいですか

学校の規定と残りの欠課時数によります。欠席を重ねて単位を落とすと原級留置になりますが、休学なら在籍を保てる場合があります。学費の扱いも学校差が大きいため、両方を数字で比べてから決めてください。

診断名を学校に伝える必要がありますか

診断名そのものを伝えるかは本人が決めてよい部分です。配慮を求めるうえでは、何が難しくて何があれば続けられるかを具体的に伝えるほうが実務的に機能します。

通信制高校に移ると卒業資格は変わりますか

変わりません。通信制高校を卒業して得られるのは、全日制と同じ高等学校の卒業資格です。

調子に波があり、計画どおりに進められません

通信制高校を選ぶ場合は、在籍年限と提出期限の運用を入学前に確認してください。ゆっくり進めることを前提にした設計の学校もあります。

まとめ

統合失調症の治療をしながら高校を続けるとき、いちばん大事なのは退学の判断を急がないことです。在籍が残っているあいだは、在籍したまま別の学校へ移る転入が使えます。退学するとその枠組みは使えず、編入として入り直すことになります。

先に確認するのは、休学の規定と、教科ごとの欠課時数です。休学なら在籍を保ったまま時間を作れる場合があり、欠席を重ねて単位を落とすのとは結果が変わります。学費の扱いも含めて数字で比べてください。

学校への相談には根拠があります。2024年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が法的義務になり、文部科学省の対応指針では学校法人もこの事業者に含まれるとされています。進まないときは教育委員会や私学担当部署、内閣府の「つなぐ窓口」に相談できます。

医療費については、自立支援医療(精神通院医療)の対象疾患に統合失調症が含まれています。実施主体は都道府県および指定都市なので、申請の方法は自治体の窓口と主治医に確認してください。学校の話だけで行き詰まったときは、精神保健福祉センターや保健所など、学校の外の相談先を使ってください。

この記事で参照した資料

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English Hub 編集部

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