海外に足を運んだ際、その土地の文化や習慣に対して関心を抱く方も多いでしょう。反対に、日本を訪れる外国人は、日本のどんなものに興味を持っているのでしょうか?
日本の文化や慣習についてわかっているつもりでも、いざ説明を求められると答えられないことも少なくありません。
この記事では、仕事で月に3回ほど日本と海外を行き来している筆者が、日本に関して外国人からよく聞かれる質問を紹介します。
英語で説明する際に使える語彙も一緒に載せているので、実際の英会話のシーンを想像しながら、日本の文化や習慣について改めて理解を深めてみましょう。
目次
英語で答えられる?外国人によく聞かれる日本についての質問
1. 日本酒や焼酎ってどんなお酒?
外国人の方と日本で食事をする際に、「日本のお酒を試してみたいけれど、どれがいいか」と聞かれることがあります。日本で楽しめる代表的なお酒といえば日本酒や焼酎ですが、それらにはどんな違いがあるのでしょうか。
日本酒とは
日本酒の原料は米で、ワインやビールと同じ醸造酒に分類されます。醸造酒は、酵母の力を利用し、穀物や果物をアルコール発酵させて作るお酒です。
純米大吟醸や純米吟醸のように「純米」と名のつくものは、原料に米と米麹のみを使用しています。純米でないものは、米と米麹のほかに醸造アルコールが使われています。醸造アルコールには、香りや味わいを調節する役割があります。
大吟醸や吟醸、本醸造などの違いは、精米歩合によって区別します。精米歩合とは、玄米を削った後に残った米の割合を表す指標です。私たちが普段食事として食べている米は、玄米を10%程度削った精米歩合90%のものが一般的ですが、大吟醸の場合は精米歩合が50%以下、吟醸は60%以下、本醸造は70%以下と決められています(※1)。
※1 参照:朝日酒造株式会社|日本酒の精米歩合とは?味わいを左右する「磨き」を解説
焼酎とは
焼酎は、穀物を原料とするお酒で、芋焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎、米焼酎などの種類があります。ウィスキーやブランデー、ジンと同じ蒸留酒に分類されます。
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作ります。つまり、米から作った醸造酒の日本酒を蒸留させたものが、米焼酎です。
焼酎の中にも「甲類」と「乙類」のような区別がありますが、これは日本の酒税法上の分類です。甲類と乙類では、蒸留方法が異なります。甲類は、連続式蒸留機で繰り返し蒸留するため、雑味のないすっきりとした飲み口のものが多い一方、乙類は単式蒸留機で一度だけ蒸留することで、原料本来の風味や香りなどの個性が残るのが特徴です(※2)。
※2 参照:たのしいお酒.jp|「甲類焼酎」と「乙類焼酎」、その違いを知ろう!
- brewed liquor(醸造酒)
- distilled liquor(蒸留酒)
- sweet/dry(甘口/辛口)
- rice polishing ratio(精米歩合)
- sweet potato(サツマイモ)
- barley(麦)
- brown sugar(黒糖)
2. 精進料理って何?
精進料理は、肉や魚を使わず、野菜や穀物などの食材を中心に作る料理です。元来は修行僧向けの食事でしたが、最近では健康食としても親しまれています。伝統的な精進料理なら、動物性の食品を避けている人でも安心して食べられるため、ベジタリアンの方にもおすすめできるでしょう。
海外から来た人たちに日本でどんなところに滞在するのかを尋ねてみると、最近はホテルや民泊だけでなく、お寺や神社内にある宿泊施設の「宿坊」も人気を集めているようです。宿坊では、精進料理によるおもてなし、和の雰囲気を感じる建物での寝泊まり、坐禅、読経など、お寺や神社でしか味わえない貴重な体験ができます。
日本国内では、英語での対応が可能な宿坊も増えてきており、精進料理をはじめ、日本の伝統文化に対する海外からの注目度の高さがうかがえます。
- vegetable diet/meal(菜食の食事)
- meals for trainee monks(修行僧のための食事)
- grain(穀物)
- Buddism(仏教)
- temple(寺)
- shrine(神社)
- stay at~(~に宿泊する)
3. 温泉と銭湯の違いは?
温泉と銭湯は、複数人で入れる大きなお風呂という点で似ているため、温泉文化に馴染みのある日本人でも、どのような違いがあるのか分からないことがあります。
温泉とは
温泉とは、基本的に自然に湧き出るものです。日本では、環境省が管轄する「温泉法」の下、湧き出た水の温度や含まれる成分などの基準によって、温泉と呼べるかどうかが決まっています。
日本国内には、箱根温泉、草津温泉、別府温泉をはじめとする海外観光客にも人気の温泉地が数多くあります。初めて温泉を体験する方は、お湯の熱さや硫黄の匂いなどに驚く方もいるかもしれません。
温泉には、身体を温めるリラックス効果があるだけでなく、お湯の成分によってさまざまな効能があることを伝えると、海外から来た方にもより興味を持ってもらえるでしょう。
銭湯とは
銭湯は、人工的に作られた入浴施設のことを指します。銭湯の場合、お湯の温度や成分についての規定は特に設けられていませんが、地域住民の暮らしを守るという目的の下、利用料金に関する取り決めがある点で温泉と異なります。
銭湯の中には、地域に密着した小規模な浴場だけでなく、ジムやサウナ、岩盤浴、食事ができるスペース、マッサージやエステなどを併設している施設もあります。街中で見かけることも多いため、外国人観光客の方には、旅の疲れを癒すために気軽に立ち寄れる場所として銭湯を紹介すると喜んでもらえそうです。
※一部、温泉成分を含む銭湯もあります。
- hot spring(温泉)
- public bath(銭湯、公衆浴場)
- open-air bath(露天風呂)
- effect of hot spring(温泉の効能)
- hot spring minerals(温泉成分)
4. だるまって何?
訪日観光客向けのお土産屋さんには、だるまをモチーフとしたキーホルダーなどが数多く並んでいます。実際、筆者も日本観光に来ていた外国人の友人に、“What’s this?”と聞かれたことがあります。
日本では何かと目にする機会が多いだるま。受験や就職活動前などの大事な場面で、幸運を祈りながら目を描き入れた経験がある方も少なくないでしょう。
だるまは、中国禅宗の開祖である達磨大師が座禅をする姿に似せて作った置物です。転んでもすぐに起き上がる形をしており、合格祈願や商売繁盛、家内安全を祈る縁起物として広く親しまれています。
群馬県の高崎だるまや宮城県の松川だるまなど、産地によってその姿形に特徴があるほか、だるまの色によっても願掛けの意味が異なります。最もよく見る赤色のだるまは病気や災難を防ぐ役割、白色のだるまは合格祈願などの目標達成、黒色のだるまは「黒字」、つまり商売繁盛の意味があるといわれています。
お土産屋さんでは軽くて小さいだるまを売っていることもあるので、お土産用にそれぞれの願いに合っただるまをおすすめすると喜ばれるでしょう。
- good-luck doll(幸運の置物)
- red-painted(赤く塗られた)
- Bodhidharma(達磨大師)
- the founder of Zen Buddhism(禅宗の開祖)
- thriving business(商売繁盛)
- good health(無病息災)
日本文化教材があるオンライン英会話サービスを活用しよう
日本の文化や習慣に関する英語表現をインプットするだけでなく、「実際に英語で説明する練習がしたい」という方は、下記の記事もチェックしてみてください。
日本文化教材を使ってオンライン英会話レッスンを受ければ、海外の人々が注目する日本の慣習について、より分かりやすく説明するためのコツがつかめるでしょう。
まとめ
外国の方から日本に関する質問をされると、知っているようで知らなかったことの多さに気づき、ハッとさせられる瞬間があります。
英語を学んでいると、グローバルな視点を求めて海外にばかり目が行きがちですが、改めて自分の国の文化や習慣について考えてみると、色々な発見があるかもしれません。
日本のことを聞かれた際に、納得感のある説明ができるようになれば、英語でのコミュニケーションもより楽しくなるのではないでしょうか。
rina
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