相手に伝わりやすい英語接客のコツは?言語面以外の心掛けも

海外からのゲストを英語でおもてなしする仕事に就いてみたいと思ったことはありませんか?

インバウンド需要が高まる中、日本国内でもホテルや飲食店、小売店、観光地、駅など、英語での接客にチャレンジできる機会は意外にたくさんあります。

この記事では、仕事で普段から外国人と接している筆者が、相手に伝わりやすい英語接客のコツについてご紹介します。

目次

相手に伝わりやすい英語接客のコツは?

1. ゆっくりはっきりと話す

コミュニケーションを取る際、まずは相手が聞き取りやすいようにゆっくりはっきりと話すことがとても大切です。

特に英語での接客時は、話すスピードが適切かどうかまで気が回らなかったり、使い慣れた表現はどんどん早口になってしまったりすることがあります。

しかし、接客相手であるお客様の中には、英語を母語としない方や、耳が遠い方もいます。誰にとっても聞き取りやすい英語の前提として、適切なスピードで明確に話す癖をつけることが重要です。

2. 必要以上に難しい単語は使わない

英語を話す中で、「難易度の高いハイレベルな語彙を使った方がかっこいい」と思う気持ちもわかりますが、コミュニケーションにおいて最も大切なのは、相手に自分の意図が伝わることです。

接する相手が必ずしも英語のネイティブスピーカーではなく、お客様自身の英語力もさまざまであることを踏まえると、必要以上に難しい英単語は使わず、できるだけシンプルな表現を心掛けるとよいでしょう。

また、業界によっては専門用語にも注意が必要です。自分では当たり前と思って使っている英単語でも、背景知識を持っていない相手には上手く伝わらないことがあります。

英語を話しながら相手の表情や反応を見て、伝わっていないようであれば違う表現で言い換える工夫をしましょう。

3. 文字でのコミュニケーションも活用する

お客様に時間・場所などの細かな数字や固有名詞を含む内容を伝える際は、口頭だけでなく文字を活用するのも一つの手です。

たとえば、時間に関して“nine fifteen(9:15)”と伝えたつもりが、相手には“nine fifty(9:50)”と聞こえてしまっているかもしれません。さらに、耳慣れない地名・駅名などの固有名詞は、外国人にとって発音が聞き取りにくい上に覚えるのが難しく、正しい表記がわからず混乱してしまうことが考えられます。

誤解が起きそうな内容は、口頭で説明した上で、必要に応じてメモなどで文字にして提示すると、より確実なコミュニケーションを取ることができます。

英語でより丁寧にコミュニケーションを取るには

1. クッション言葉を活用する

クッション言葉とは、ネガティブな内容を伝える前に置くことで、マイナスな印象を和らげることができる言葉です。

たとえば、お客様が探している商品がない時、単に「在庫はありません」と言うより、「恐れ入りますが、お客様がお探しの商品は在庫がありません」と伝える方が丁寧です。この例では、「恐れ入りますが」の部分がクッション言葉にあたります。

英語を話す際は、伝えたい内容を英語に置き換えることについ必死になってしまい、直接的で素っ気なく聞こえかねない表現を使ってしまいがちです。ネガティブな内容を伝える前には一歩立ち止まり、文頭にクッション言葉をつけることを意識するのがおすすめです。

    【英語で使える便利なクッション言葉】

  • Unfortunately…(残念ですが…)
  • I’m afraid…(恐れ入りますが…)
  • If you don’t mind…(もしよろしければ…)

2. 接客でよく使う英語表現をストックする

接客時には、業種ごとによく使う英語フレーズがあります。

食事や飲み物をサーブする場では注文を聞くための表現、駅や観光地では道案内の表現など、自分が働く場に合わせてよく使う英語表現をストックしておくと便利です。まずは言い回しを一つ覚え、慣れてきたらストックを少しずつ増やし、ワンパターンな接客にならないようにするとよりよいでしょう。

下記の表現は、飲み物の注文を伺う時に使える英語フレーズの例です。

    【接客で使える英語表現の例(飲み物の注文)】

  • Would you like something to drink?(お飲み物は何になさいますか?)
  • Would you care for a drink?(お飲み物はいかがですか?)
  • Would you like another drink?(追加のお飲み物はいかがですか?)

接客に適した丁寧な英語を使いこなすのは難しいと感じるかもしれませんが、慣れてくるとその場に応じた適切な表現が自然と口から出てくるようになります。

3. 丁寧さの中にも親しみやすさを

接客時に丁寧な英語表現を使うことは大切ですが、かしこまりすぎて定型文しか話せなくなってしまうのはもったいないでしょう。お客様とのコミュニケーションを楽しむには、親しみやすさを持った声かけも重要です。

たとえば、最初にお客様に挨拶をするタイミングは、会話の糸口を見つけるチャンスです。素敵な帽子を被っていることに気づいたら、“I like your hat!”、目を引くお土産を持っている方なら、“That’s very nice! Where did you buy it?”などと声をかけてみると、親しみやすさを感じてもらえるきっかけになります。

このようなスモールトークでお客様に関わる情報や好みを知っておくと、より良い接客や提案につなげることができます。

コミュニケーションは、自分から楽しむ意識がとても大切です。英語力にあまり自信がなくても、まずは些細な会話のきっかけを逃さないよう意識してみましょう。

英語接客時の言語面以外での心掛け

1. 文化圏によって異なるジェスチャーの解釈に注意

英語接客をする際、言語面以外ではジェスチャーの解釈にも注意が必要です。

筆者は、インド出身の方を接客する中で、ジェスチャーの捉え方の違いに気付いたことがあります。おすすめの飲み物を紹介していると、お客様が首を傾げるようなジェスチャーをしたため、紹介したものが気に入らなかったのだと思い、他の選択肢をさらにいくつか提案しました。

しかし、そのお客様は私の説明を遮って最初に紹介した飲み物を注文。「あんなに首を傾げていたのに…」とはじめは疑問に思っていましたが、インドの方を何人か接客していく中で、首をかしげるようなジェスチャーはYESを意味していたのだと知りました。

このような誤解を防ぐには、普段から意識的に文化の違いを勉強することが大切ですが、それでも全てをカバーするのは難しいものです。さらに、相手がどの文化圏の出身であるかは外見だけでは判断できません。

ジェスチャーの解釈に困った際は、言葉で自分の理解が正しいか確認することも必要です。

2. 会話の際は表情を豊かに

慣れない英語を使っていると、つい話の内容だけに集中しすぎてしまい、気付いたら無表情や険しい表情になってしまうことも珍しくありません。

筆者も海外に留学していた際、友人から「君は表情から感情が読み取りにくいよ」と言われ、ハッとした経験があります。文化圏によっては、日本人よりも眉や口元を大きく動かして会話をする方もいるため、英語を話す時は日本語での会話より少しオーバー気味に表情を変えるのも一つのポイントです。

英語での接客に慣れてきたら、自分がどんな表情をしているのかにも意識を向けてみましょう。笑顔で元気に話していると自然に会話が楽しくなり、英語を話す自信も湧いてきます。

3. 相づちの頻度に気を遣う

お客様の話を聞く際に大切なこととして、表情以外にも相づちが挙げられます。

日本人は、会話をしながら頻繁に相づちを打つ傾向にあり、相づちは「あなたの話を聞いています」「あなたの話を理解しています」という意味を持ちます。話の途中で相手が全く相づちを打たなければ、本当に話を聞いているのか心配になってしまうこともあるでしょう。

一方、英語の場合、日本語と同様の感覚で相づちを打つと、人によっては「話を遮られている」「自分に話をさせてくれない」という印象を持たれてしまう可能性があります。

相手の目を見て話を聞くだけでも、きちんと耳を傾けている姿勢はしっかり伝わります。英語を話す際は、日本語よりもやや少なめの相づちを意識してみるとよいかもしれません。

まとめ

今回は、3つの視点から英語接客のポイントについてご紹介しました。英語接客と聞くと難易度が高い印象があるかもしれませんが、まずはお客様とのコミュニケーションを楽しむ気持ちと姿勢が何より大切です。

英語接客は、オンライン英会話などでも関連教材が豊富にあり、講師からフィードバックを受けることもできます。たくさん練習を重ねて、海外からのお客様に心に残る英語接客をお届けしましょう!

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rina

中学生のとき自分の話した英語が外国人の先生に伝わったことに感動し、英語が好きになる。大学卒業までにほぼ独学で英検1級、TOEIC925点、IELTS6.0を取得。大学時代にはオーストラリアへ交換留学し、学生寮で日本の食や文化を伝えるイベントを開催した。「英語ができればよりたくさんの人との縁が繋がる」ということを伝えたく、ライターやコーチとして活動している。