英会話イーオンが企画する、日本の文化を英語で再発見し、世界へ伝えることを目的としたプロジェクト「日本文化を英語で発信プロジェクト」の第2弾、「味噌文化を英語で学ぶセミナー」が2021年5月15日(土)にオンラインで開催されました。
本セミナーでは、創業1854年、味噌のトップメーカーであるマルコメ株式会社の協力のもと、世界が注目する日本の「発酵食品」である「味噌」の歴史や製造過程、機能性を英語で学習。後半には、イーオン教務課トレーナーのZoe Boyd先生によるミニレッスンで、日本の発酵文化の説明に役立つ、実践的な英語フレーズを学びました。
登壇者プロフィール
2011年マルコメ入社。海外営業として東南アジア、オセアニア、欧州担当を経て2016年に英国駐在。帰国後は欧州担当として現在に至る。学生時代から海外文化に興味があり、高校時代にスイス、大学時代は英国ケント大学へ短期留学。営業活動の傍ら、オウンドメディアの翻訳や海外向けの映像制作などを通じて日本の発酵文化の啓発活動に従事。
イギリス出身。大学で言語学を専攻し、日本が舞台の小説を愛読していたことから、日本で英語を教えることを決心。2014年にイーオンに入社後、スクール教師としてエルミこうのす校(埼玉県)、下北沢校(東京都)などで勤務し、キッズから大人まで幅広く会話クラスを担当。2019年より東京本社教務課トレーナーとしてイーオンスクールの教師育成に従事。外国人教師の新入社員研修やフォローアップ研修などを担当する。
岡山県出身。2009年にイーオンにスクール教師として入社。教務主任として錦糸町校、池袋本校(東京都)などで会話クラス・資格試験クラスを担当。その後、教務支部長として山手線沿線のスクールの教務主任の育成、スクール運営のサポート業務を行う。2020年10月より東京本社新規事業開発部の立ち上げに参加し、ますます多様化するオンラインの新規サービスの企画・導入を進める。
世界でも注目されている「味噌」、その魅力を世界に伝えよう。
1. 味噌トリビアクイズ〜味噌のこと、どこまで知ってる?
イベントの最初は、味噌に関するにトリビアクイズが出題されました。問題は初級から上級まで全部で8問。英語の質問を聞きながら、味噌についての豆知識を学びました。そんな日本人も知らない「味噌トリビア」の一部をご紹介します。
How long have people in Japan been eating miso? (味噌は何年前から食べられているでしょう?)
1. For 300 years
2. For 700 years
3. For 1300 years
答え:For 1,300 years (1,300年前)
701年の「大宝律令」には「未醬(みしょう)」という文字が書かれていることから、味噌は1,300年以上もの間、日本人に食されていたことがわかります。
Which of the following is true about the kanji character for “so” in miso?(味噌の「噌」という漢字について正しいのはどれでしょう?)
1. It’s only used to describe miso.
2. It means “to make something taste mild.”
3. It was invented by General Masamune Date, who promoted miso making.
答え:It’s only used to describe miso.(「味噌」以外には使われない。)
2. 世界で注目の「発酵食品」味噌のことを深く知る
クイズを楽しんだ後は、英語の講義で、味噌に関する知識を深めます。講義内容は、平安時代に始まる、味噌の歴史(「History of Miso」)から、製造(「Manufacturing」)までの4章構成。
講義の中で、日常会話で味噌を語る上で特に知っておいた方がいいと感じたのは、美味しい「和食」の調味料(seasoning)としての魅力を伝える、味噌の「味」に関する英語表現です。
- 辛口=strong
- 甘口=rich & salty
- 甘味噌=rich & sweet
また、味噌は栄養豊富な大豆発酵食品(nutrient-rich fermented soy bean food)です。近年は、栄養(nutrition)と味(taste)だけでなく、健康における味噌の機能(benefits)にも注目が集まっています。味噌の機能に関する英語の説明を一部紹介するので、ぜひ海外の友人に説明してみてください。
Fermentation makes miso more nutritious by producing large amounts of amino acid and vitamins that soybeans do not have, or have only in small amount.
味噌は発酵によって、大豆にはなく、あっても少ししかないアミノ酸やビタミンが多量に生成され、味噌は栄養的にさらに優れたものになります。
People who drink miso soup every day are less likely to have cancer, and their death rate is also found to be lower.
毎日味噌汁を飲む人ほど、ガンになりにくく、死亡率も減少することも分かっています。
マルコメ株式会社で海外事業を担当されている榊原さんも「世界でも健康志向が高まる中、健康にプラスな機能性食品としての味噌の魅力をもっと発信していきたい」と、今後の海外展開に向け、健康食品としての味噌のポテンシャルに期待していました。
3. 味噌の魅力を海外の人に伝えるための英語とは?
日本には味噌をはじめ、海外の人に伝えたい魅力的な食や文化がたくさんあります。ここでは、Zoe先生が紹介してくれた味噌や日本文化を伝えるための英語表現の中から、いくつか役立つ表現をピックアップしました。海外の人に日本の食文化を紹介する時に使ってみてください。
- be brought to…(〜に伝わる、伝来する)
Much is still unknown as to when and how they were brought to Japan, but Taiho legal codes establish in 701, a non-Chinese word mishou appears.(いつ頃どのように日本に伝来したのかはよく分かっていませんが「大宝律令」(701年)には、中国にはない「未醬」という文字が見られます。)
- (be)known for…(〜で知られている、有名な)
Kagawa prefecture is best known for udon noodles.(香川県はうどんの産地として一番有名だ。)
- ferment(他動詞:発酵させる/自動詞〜が発酵する)
People in Japan have always eaten fermented food such as miso and natto.(日本では古くから味噌や納豆のような発酵させた食品が食されてきました。)
4. 日本の伝統的な食文化について語り合おう
セミナーの最後は、参加者も加わり、味噌のような伝統的な発酵食品を生活に取り入れるための工夫や、海外で味噌の人気が高まる背景についてなど、味噌の魅力や日本人の食生活について意見を交わしました。
Zoe先生や海外出身の参加者からは、日本定食について「たくさんの種類を少しずつ食べられて、とてもバランスが良い」と高く評価する声が上がりました。日本人にとっては当たり前の「一汁一菜」の概念は、さまざまな料理を食べる楽しみに加え、栄養面でも優れた食の習慣です。そしてその一翼を担う「味噌汁」は、日々の生活に欠かせない一品。また、最初に味噌汁を飲むことで、空腹感を軽減し、食べ過ぎを防ぐことができるという意見もありました。
自宅で味噌作りに挑戦している参加者は、発酵に半年近くかかる味噌作りを通して、素材や製造工程に多くの手間がかかっていることを知り、日々の食事に対し感謝の気持ちが生まれたと述べていました。
5. 世界に伝えたい「発酵文化」:セミナー後インタビュー
今回、大盛況で幕を閉じた「味噌文化を英語で学ぶセミナー」の終了後、登壇者の榊原氏とZoe先生、市原氏に直接お話を伺うことができました。
英語を学ぶのではなく、英語で学ぶテーマにした背景とは?
市原氏:オンラインを使った学習機会の提供に力を入れている中で「英語を学ぶ」ではなく、「英語で、何かを学ぶ」という場を提供したいという想いがありました。そこで、他企業とのコラボレーションで「日本文化を英語で伝える」をテーマに、近年、世界的にも注目されている「発酵」というキーワードに着目し、日本の伝統的な発酵食品である味噌を取り上げたいと思いました。味噌といえば国内トップシェアのマルコメ味噌だと思い、公式ホームページを確認。日本文化として味噌のことが丁寧に紹介されているのを見て、ぜひ!と思い、お声がけさせていただきました。
Zoe先生:ただ英語を学ぶだけなく、日本文化というコンテンツを知るという点で、英語教師の我々にとっても学びの多いセミナーです。英語レベルに関係なく、多くの人が楽しめる内容だと思います。また、日頃のレッスンのノウハウを生かし、例えば今回の「味噌クイズ」のような参加型のアクティビティを取り入れ、インタラクティブなセミナーになるよう工夫しています。
日本の発酵食品である味噌ですが、海外での需要は伸びているのでしょうか?
榊原氏:これまでは、日本食レストラン向けが多かったものの、最近は一般家庭での需要が伸びてきています。和食の調味料として気軽に使ってもらえるよう、米国であれば「Miso & Easy 」という液状の味噌や、顆粒状のミソパウダーといった商品も展開しています。より使いやすく、現地の料理にも適用しやすい形を目指し、現地のパートナーと組んで商品開発を行っています。
醤油(soy source)のように、味噌が世界の食卓に上る日は来るのでしょうか?
榊原氏:私自身、現地で味噌のイベントを開くことがあります。参加者の反応から、味噌の使い方や、健康食品としての機能面に関心を持たれている方が多いように感じます。「味噌作り」のワークショップも人気があり、将来的に、味噌が欧米の食生活に取り入れられる日もそう遠くないのではないかと期待しています。
今回、80名以上の方が参加した「味噌」や「発酵」がテーマの「日本文化を英語で発信プロジェクト」。オンライン開催だったこともあり、全国から多くの参加者が集まったことからも、「英語学習」だけでなく、近年の健康志向による「発酵」というキーワードへの関心の高まりを感じました。
世界で注目の日本の発酵食品である「味噌」をはじめ、「甘酒」や「納豆」を英語で説明できるようになれば、海外の友人や同僚との英語の会話も自然と弾むのではないでしょうか。
【関連ページ】英会話イーオンの口コミ・評判
【参照サイト】日本のあたたかさ、未来へ。マルコメ
English Hub 編集部
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