言語習得の科学である「第二言語習得研究」の知見に基づく効率的なトレーニングが評判を呼び、現在受講生600名待ちとなっている大人気の英語パーソナルジム。それがEnglish Hubでもたびたびご紹介してきたENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)です。
そのENGLISH COMPANYが2018年12月、英語学習者に向けた初の書籍となる「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」を発売しました。ENGLISH COMPANYの特徴でもある第二言語習得研究の知見に基づく英語学習のポイントやレベル別の英語学習法についてマンガも交えながら楽しく学べるこの書籍は発売開始から3ヶ月で累計発行部数が33.000部を超えるなど、大きな話題を呼んでいます。
今回English Hub編集部では、同書籍の著者でもあり、ENGLISH COMPANYのプログラムをゼロから創り上げてきた株式会社恵学社の取締役・田畑翔子さんに、書籍に込められた想いや効果的な英語学習法について、詳しくお話をお伺いしてきました。
「ずっと英語を学ぼうと思っているけど、何から始めればよいのか分からない。」「ずっと英語を学んでいるけど、なかなか成果が上がらない」という方は、ぜひ田畑さんのお話と書籍の内容を参考にして、最速最短で英語を身につけるためにはどうすればよいのか、理解を深めましょう!
京都府出身。米国留学を経て、立命館大学言語教育情報研究科にて英語教育を専門に研究。TESOL(英語教育の国際資格)を保持。株式会社恵学社の取締役でENGLISH COMPANYと予備校部門を担当。
インタビュー目次
ENGLISH COMPANYができるまで
Q:田畑さんと英語との出会いを教えてください。
もともと中学生のときから英語が好きでずっと海外に行きたいと思っていたのですが、初めての海外は中学3年生のときで、地元である京都・宇治市の姉妹都市となっているカナダに、派遣プログラムを通じて行きました。向こうではホームステイをしたのですが、そのときに意外と海外でもやっていけるなと味をしめて、もっと長期で留学をしたいなと思い、高校では1年間アメリカに留学しに行きました。
私が行った高校はワシントンD.C.にあり、ホワイトハウスにも徒歩で行ける300名ほどの小さな学校で、英語で授業を受け、学校には日本人もいなかったので留学生の友人とも英語で話し、そこでもホームステイをしていたので家でも英語で話していました。
決して長い期間ではなかったのですが、そこである程度英語を身につけて、大学では国際関係の学部に入りました。当時は英語を使って仕事をしたいなと何となく思っていたのですが、就職活動のときに何か違うなと思い、三回生のときには大学院に行こうと決意しました。もともと言語に興味があったことに加え、英語も好きだったので、英語を使って何かをするというよりも英語に対する専門性自体を何かに役立てられればよいなと。
大学院では言語教育情報研究科という研究科に進み、英語教育を専攻しました。大学院に行きながら教員免許をとり、大学院のプログラムを使ってオーストラリアでTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages:英語が母国語ではない人向けの英語教授法に関する資格)もとりました。
英語教育を専攻してそれ自体を仕事にしようとなると、中学や高校の教員か研究職、という道しか選択肢に浮かばなかったので、その後は普通に教員になろうと思っていたのですが、恵学社の岡代表に誘ってもらい、一緒に予備校を立ち上げることになりました。
Q:ENGLISH COMPANYはどのように立ち上がったのか?
最初は京都で予備校を立ち上げて、科目も英語と数学しかなく、私は英語を担当していました。当時から第二言語習得研究をウリにしていたのですが、最初は京都の人たちも「何やそれ」「意味分からん」みたいな感じでしたね(笑)。しかし、生徒を集めるために二ヶ月という短期間で偏差値アップを目指す「キャッチアップ講座」というものをやったところ、偏差値が一気に20上がるなど、すごい結果が出たのです。今思えば、どうやって短期間で効果を出すかという意味ではこの講座が(ENGLISH COMPANYの)前身になっています。
受験では英語以外の教科にも時間を使う必要があるため、いかに短時間で成果を出せるかにとてもこだわっていました。一方で、受験の場合は例えば「和訳」などのトレーニングもする必要があるなど、制約もありました。
そのため、これを大人向けにやればより実践的な英語にフォーカスできるので、さらに効果を発揮できるのではないかと考えていました。創業2年目には東京にも予備校を開校させていたのですが、特に東京はビジネスパーソンが英語を学ばないといけない空気が強まっていると感じ、それで2015年に大人向けのサービスとして東京でスタートしたのがENGLISH COMPANYです。
Q:第二言語習得の理論をどう実践のトレーニングに落とし込んだのか?
第二言語習得研究では基礎研究に加えてメソッドも検証していこうという研究者の方もたくさんいらっしゃるので、そうした方の論文などを読んだり学会に参加したり、研究授業に参加したりしながらいろいろな先生方の知見を集約し、それらをもとに考えたトレーニングを実際に試してみて、調整をしながら作ってきたという感じですね。やはり実践しながらでなければ机上の空論になってしまうので。
たとえば、集団授業をやっている先生の実践を見ながら、同じものをパーソナルトレーニングでやるならどう改善するか、この先生だから成り立っているというものをどうすれば誰でもできる仕組みにするか、などはとてもよく考えました。
あと、田浦秀幸先生(立命館大学大学院・言語教育情報研究科教授)には一度予備校にも来ていただきメソッドを見ていただいたのですが、「すごくよいね」と言ってくださり、安心して頑張ることができるようになりました。今の形が何となく固まるまでには2年ぐらいかかりましたが、それからもずっと改訂を続けているという感じです。
一番大事なのは、自分の位置を把握すること
Q:今回の書籍を通じて伝えたかったことは?
英語学習には「このメソッドは絶対いい」といったものは存在せず、その人が今いるステージによって正しいやり方は変わってくるということです。そのため、英語学習を始めるうえでは自分の位置(レベル)をまず把握することが最も重要で、それさえできれば短時間でも効率的に学習を進めていけるということを伝えたかったですね。
逆に言うと、まだ世の中にはそのことが全然浸透していないという実感が大きかったので、なるべく多くの人にお伝えしたいとずっと考えていました。私たちの会社は基本的に対面の教育サービスを中心にやっているため、トレーナーがいないと教えることが難しく、結果としてたくさんのお客様にもお待ちいただいている状態になっています。トレーナーを通じて一人一人伝えていくだけではなく、書籍を通じて少しでも多くの人に考えを広めたかったという点が大きいですね。
Q:ステージに合った学習方法をしないとどのようなことが起こるか?
たとえば、「化石化」という現象が挙げられます。これは、英語に関する基礎的な知識や体系的なインプットがない状態で英会話などコミュニケーション中心の習得を続けていると、変な英語が身についてしまい、改善が困難になってしまうという現象のことを指します。
第二言語の習得過程においては「言語転移」といって自分の母語の知識をそのまま転用してしまうという現象があり、その典型がカタカナ英語の発音です。また、とりあえず知っている英単語を日本語の語順で話していくといったこともあります。これを続けていると化石化が起こり、間違いが直りづらくなってしまいます。
ENGLISH COMPANYの立ち上げ当初に来てくださった方のなかに、数年もの間、毎日何時間も英会話スクールに通われていた方がいたのですが、その方と話してみると発音もおかしいし、中学校一年レベルの英文、たとえば現在進行形なども作れませんでした。しかし、通われていた英会話スクールではかなり上のクラスにいるとのことでした。きっと、そのスクールのネイティブ講師は、ずっと続けているうちにその方が何を言おうとしているか推測できるようになり、正しくない英語でも伝わるようになってしまったのだと思います。
第二言語習得におけるアウトプットの機能とは、「自分が言えないことに気づく」ことなのですが、正しいフィードバックがないと、間違った英語を成功体験として身につけてしまい、そのまま固定化してしまうのです。すると、エラーを直すのにも普通の人以上に時間がかかってしまいます。結果としてその方はENGLISH COMPANYに来ていただいてよくはなりましたが、とても時間がかかりました。
Q:発音はあまり気にしなくてよいという意見もよく聞くが?
もちろん、何を目的とするかによって変わってくるとは思いますが、変な発音のままでよいということはありません。相手に理解してほしいのであれば相手に伝わるレベルの発音にしなければいけませんし、それは相手に対する敬意でもあります。また、発音はリスニングにも影響します。自分のリスニング力は自分が出すことができる音と比例する部分もあるので、発音を軽視しないほうがリスニングも楽になります。
Q:日本国内のようなEFL環境で英語を学ぶときのベストな方法は?
※EFL(English as a Foreign Language)環境:日本国内のように英語が公用語ではない場所で英語が母語ではない人が外国語として英語を学ぶこと。逆に、ESL(English as a Second Language)環境とは、アメリカやイギリスなど英語が公用語の国で第二言語として英語を学ぶことを指す。
よくありがちな間違いが、「文法はいらない。アメリカに住んでいれば別に文法を勉強しなくても英語は身につくのだから、とりあえず英会話をすればよい」という考えです。
実際には、ある程度母語が身についている人、体系的な言語ルールを覚えられる認知能力がある人の場合は、文法を学んだほうが早く言語習得ができます。ESL環境においてももちろんそのほうが早いのですが、EFL環境ではESL環境よりも工夫が必要で、文法知識を入れることでインプットの不足を補うというアプローチをとっていく必要があります。
ESL環境のようにインプットがたくさんあれば、母語習得と同じように、大量のインプットから何となく体系的なルールが立ち上がってくるのですが、EFL環境ではその効果は得られないので、体系的なルールを頭に入れながら気づきを与えてインプットをしたほうが、習得の効率も高まります。EFL環境においては明示的知識(分析的に規則を説明できる、教科書や教室などで意識的に獲得できる知識。対義語は暗示的知識)とのバランスを意識して学習したほうがよいのです。
進化し続けるENGLISH COMPANY
Q:トレーナーの専門性にも強いこだわりがありますよね。
やはりなるべく効果の上がる質の高いサービスを提供したいと思っているので、そのためにも専門性が高い人が欲しいなと考えています。トレーナーに多いのは英語教育のキャリアが長くある人か、応用言語学などを大学や大学院などで学んできたという人です。
実際に入社してくれる人もいろいろな会社を見たうえでENGLISH COMPANYが一番しっかりやっていると言ってくれるので、そうした専門性が高い方々が働きたいと思ってくれる会社になれたのは大きいですね。大学の先生のなかにも、学生にENGLISH COMPANYを就職先として勧めてくださっている方がいるそうです。
トレーナーが前提として基礎的な理論を分かっていると、それぞれのメソッドをなぜ効果があるのか分かったうえで使うことができるため、受講生によってどうアレンジすればよいのかなども分かるようになります。また、指導法は常にブラッシュアップしていかなければならないと考えていますが、基礎的なベースがあるトレーナー同士だと、改善に向けた議論も第二言語習得研究のエビデンスに基づいてスムーズにできるため、それを試しにやってみてよければ取り入れるという建設的なフィードバックが生まれます。
Q:第二言語習得研究に加えて行動科学も取り入れていると聞きました。
行動科学の観点では、「いつ、何をやるか」を考えることになるべくウィル・パワー(意思の力)を使わないようにすることが大事なので、あらかじめ生活の中の隙間時間を見つけてもらい、そこでいつ何をやるかを決めておいてもらいます。具体的には、15分間隔で区切られたタイムテーブルのなかに毎日のライフスケジュールを書き出してもらい、そこから15分単位で隙間時間を見つけてもらいます。4つ隙間を見つければ1時間、6つ見つければ1.5時間となります。そのうえで、その時間に何をやるかをGRITカードというカードに書いてもらいます。このカードは折りたたむと名刺サイズになり、いつでも見られるようになっています。
いきなり2時間、3時間と学習しようとしても絶対に挫折してしまうので、最初はなるべく普段の生活のまま学習をしてもらい、徐々に時間を増やしていくというやり方をしています。
あとは、行動のハードルを下げるために、学習アプリはスマートフォンの画面の一番前に置いておき、SNSなどはなるべく奥のフォルダに格納してもらうなど、行動科学上のちょっとした工夫なども伝えています。
教育界全体に英語学習の「科学」を浸透させたい
Q:田畑さんのモチベーションの源泉は?
私は教えることが好きなので、最初は予備校でしたが、「大学受かりました!」「偏差値がとても上がりました!」という報告はとても嬉しかったですね。私が最初に教えていた生徒たちもいまは社会人になっていますが、東京に就職した子が会いに来てくれたり、一緒にご飯を食べに行ったりしています。教え子とのつながりがあるのは嬉しいですね。
誰かが何かをできるようになる手助けをできるのが喜びです。だから、今でも隙さえあれば教えたいと思っています(笑)。それが最初にあって、なるべくたくさんの人に喜んでほしいし、なるべく短い時間で伸びたほうがみんなも嬉しいだろうし。ENGLISH COMPANYで教えている人はみんな同じではないかなと思います。
Q:将来の目標などはありますか?
ゴールは特にないですね。今やっていることを続けて、なるべくたくさんの人に(効果的な学習法を)教えたい、届けたいと思っています。あとは、大きな視点でいくと公教育にも科学的な方法がもっと浸透すればよいなと思っています。これは先生たちの働き方にも関わってくることだと思うので。システム全体が効率よくなれば先生の働き方も改善されて教育の質も上がり、全体としてよいサイクルが回るなと。先生にも余暇や自己研鑽のための時間がないと絶対によい教育はできません。だからこそ、そうした環境をつくり、みんなが成長できる状態が浸透するとよいなと考えています。
Q:最後に読者の方にメッセージをお願いします。
一番大事なことは、自分がどこにいるのかをまず見極めることです。「よさそうなメソッドだからやる」「この人に聞いたからやる」ではなく、自分の課題を見つけること。正しい課題さえ見つかれば、あとはそれに合った方法をやっていけばよいので。近道があるようには思わないでほしいですが、回り道もしてほしくないので、書籍がそのための助けになればよいなと思います。
また、実際に本を読んでも分からなければ、パーソナルトレーニングを受けていただければトレーナーがついてより精緻に課題を見極めるので、ぜひ受講していただければと思います。
インタビュー後記
いまや英語を学ぶ社会人の間ですっかり浸透したパーソナルトレーニング形式の英語学習サービスの先駆けとなるENGLISH COMPANYのプログラムをゼロから創り上げた田畑さん。第二言語習得研究に関する圧倒的な専門性もさることながら、何より生徒に喜んでほしいという教育者としてのまっすぐな情熱と想いが何より印象的でした。
2015年の開校以来、科学的な知見に基づく英語学習スタイルが多くの支持を得て続々と校舎の数を増やし続けているENGLISH COMPANYですが、田畑さんの中では、まだまだ進化できるという希望を込めて、現状のプログラムに対する満足度は20点だそう。これからENGLISH COMPANYがさらにどんな進化を遂げるのか、あらためてとても楽しみになりました。
最短距離で効率的に英語を身につけたいという人にとって、今回の書籍「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」は自分の立ち位置を把握し、何から始めればよいかが分かる具体的な羅針盤となります。まだ書籍を持っていない方はぜひこの機会に手にしてみてはいかがでしょうか。
また、そのうえで実際にトレーニングを受けてみたいという方は、ぜひENGLISH COMPANYの扉を叩いてみてください。田畑さんと同じぐらい情熱的なトレーナーがあなたに本気で向き合ってくれるはずです。
ENGLISH COMPANYの詳細
サービス名 | ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー) |
URL | http://englishcompany.jp/ |
運営会社名 | 株式会社スタディーハッカー |
本社所在地 | 東京都千代田区神田神保町1-24-1 CIRCLES神保町Ⅱ 4F |
スクール所在地 | 銀座スタジオ(東京都中央区銀座7-13-12 サクセス銀座7ビル 9F) 神田スタジオ(東京都千代田区鍛冶町2-1-2 神田南口鋭光ビル 2F) 新宿スタジオ(東京都新宿区西新宿7-8-13 第2萬寿金ビル 8F) 恵比寿スタジオ(東京都渋⾕区恵⽐寿4-5-27 パティオクアトロ 4F) 神戸スタジオ(兵庫県神戸市中央区磯上通7-1-25 北野ビル7階) 四条烏丸スタジオ(京都府京都市下京区仏光寺通新町東入糸屋町225 京都仏光寺室町ビル 4F) 梅田スタジオ(大阪府大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビル 6F) ※オンラインでも受講できます |
設立 | 2010年2月 |
資本金 | 21,000,000円 |
入学金 | 55,000円 ※お友達紹介割引:入会金から10,000円割引 |
教材費用 | 必要に応じて別途購入 |
期間 | 3ヶ月/6ヶ月 |
コースと料金 |
●パーソナルトレーニングコース(90日) ●パーソナルトレーニングコース(180日) 上記各種パーソナルトレーニングコースでは「通常プラン」「IT英語プラン」を選択できます。 ※ENGLISH COMPANYの「パーソナルトレーニングコース90⽇間集中プログラム」「パーソナルトレーニングコース180⽇間集中プログラム」「上級セミパーソナルコース」は、厚⽣労働⼤⾂指定講座「⼀般教育訓練給付制度」の対象コースです。受給可能資格を満たす受講⽣の⽅は、受講費⽤の20%の給付⾦を受けとれます。 ENGLISH COMPANY Premium(イングリッシュカンパニープレミアム)(6ヶ月) ●初級セミパーソナルコース(6ヶ月) ●中級セミパーソナルコース (3ヶ月) ●上級セミパーソナルコース(3ヶ月) ●STRAIL(英語コーチングサービス)(3ヵ月) ●ENGLISH COMPANY 大学受験部(3ヵ月/6ヶ月) |
※表内に記載の金額はすべて税込です。
※サービス内容・料金については変更されている可能性があります。最新情報についてはENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)のホームページを参考にしてください。
English Hub 編集部
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