TOEIC問題集は解いた後が大切!得点につなげる正しい復習法とは?

「TOEIC対策」といって多くの人がまず考えるのは、「公式問題集を解く」ことかもしれません。

公式問題集(※)のような模試形式のTOEIC問題集は、本番通りに解いてみることができる構成になっていて、スコア換算表も付属していることが多く、現状の実力を測定するのに適した教材です。多くの方が自身の予想スコアを知るために活用しているでしょう。

しかし、「問題を解いたらそれでおわり」にしていませんか?模試形式の問題集は、解くことで実力が測定できるだけでなく、実は解いた後に有効なトレーニングを組み込むことで、とても優良な学習教材になります。問題を解き、採点して終わりにしてしまうのでは勿体無いのです。

模試に取り組んだ時間とエネルギーを確実にスコアアップにつなげるためにも、今回は公式問題集をはじめとした模試形式の問題集を解いた後の有効な復習方法についてご紹介していきたいと思います。

※TOEIC公式問題集:TOEICのテストを開発したETS(Educational Testing Service)が制作している「公式TOEIC Listening & Reading問題集」

TOEIC問題集は解いた後の活用が重要な理由

問題集を有効に活用するには、自分の予想スコアを知る以上に、「なぜ問題を間違えたか」を知ることが重要です。この気付き無くしては英語力の伸びは遅く、問題の正答率もたくさん問題を解いて慣れることによってある程度のところまでは伸びるものの、いずれ何処かで伸び悩むことになる可能性が高く、学習効率があまり良くありません。

問題を解いた後の復習で、間違えた原因を分析し自分の弱点を理解したうえで、トレーニングに反映させていくことが重要です。

TOEIC問題集解答後の効果的な取り組みとは?

ここからは、問題を解いた後の具体的な復習法についてご説明します。

リスニングセクション編

まずはリスニングセクションにおける復習手順を見ていきます。問題を解いたら以下の順で復習を行うと効果的です。

  1. 答え合わせ
    問題を解いたらまず答え合わせをします。

    ※このあとにディクテーションを行い、どこが聞き取れていなかったのかを確認するので、解説や音声スクリプトはこの時点ではまだ確認しないでおくことをおすすめします。答え合わせだけして次へ進みます。

  2. ディクテーション
    紙とペンを用意して、リスニング音声のディクテーションを行います。ディクテーションとは、聞こえてきた音声をそのまま文字に起こすトレーニングです。

    音声を再生して1問ずつ取り組み、パート1は全ての選択肢を、パート2は本文と全ての選択肢を、パート3&4は本文を書き起こしていきましょう。通常は、手で書き起こすスピードが音声についていかないので、一時停止しながら進めて大丈夫です。

    ディクテーションでは、聞き取れない部分があっても「これ以上聞き取れない!」と感じるまでスクリプトは確認せずに、繰り返し音声を再生させて聞き取るようにしましょう。
    ディクテーションをしっかり行うことで「どこをどうして聞き取れていないのか」を分析して知ることができます。正解した問題に関しても全文を確実に聞き取れていたとは限らないので、間違った問題だけでなく、全問題をディクテーションするのがおすすめです。

  3. 答え合わせ&スクリプトの精読&解説確認
    音声のディクテーションが終わったら、ディクテーションの答え合せをしましょう。まずスクリプトを確認して自分が書き起こした英文と照らし合わせて、正しく聞き取れていたかを確認します。

    書き起こしたものが間違っていた場合は、ハイライトを引いておくなどして印をつけておくと、どこが聞き取れなかったのか明確にしておくことができ、この後のトレーニング時に特にその部分に注意できるのでおすすめです。出来ればここですぐに音声をもう一度再生して、スクリプトを見ながら音声を聞き直すとより効果的です。

    音声がどのように聞こえていたかを頭が忘れてしまう前に答えを確認したいので、全問ディクテーションが終わってからまとめて答え合わせをするのではなく、1問ずつディクテーション→答え合わせという風に進めていくことを推奨します。

    ディクテーションの答え合わせをしながら、英文音声のスクリプトも精読していきます。精読では、知らなかった単語・熟語、意味が理解できなかったフレーズやセンテンスを全て拾い上げていきます。精読に関しても、正解できた問題も含め、全ての問題で行うのがおすすめです。本文だけでなく設問や選択肢もチェックし、知らない単語などがなかったか徹底的に洗い出しましょう。

    ここでも、知らなかった単語などや、読んでも意味が理解できなかった部分にはハイライトを引いておくと、どこを理解できなかったのかをはっきり跡に残しておくことができ、時間が経ってから再び復習する際にも便利なのでおすすめです。和訳と照らし合わせながら本文の内容を正しく理解できたか確認し、疑問点を全て解消しておきます。

    この段階で音声の英文内容をしっかり理解しておくことで、この後に行うリスニングトレーニングの効果を最大化できます。読んでも理解できない英文は、正しく聞き取って理解することもできないので、読んで理解できるかきちんと確認しておくことがポイントです。

    ディクテーションの答え合わせと精読をセットで行って「単語を知らなかったから聞き取れなかった」「文法の理解が伴っていなかった」「単語と単語の音が繋がって聞こえていた」などという風に、聞こえなかった原因を一つ一つ追究していきましょう。

    ここで解説の確認もしておきます。解説の確認では、「音声のどの部分で答えが述べられていたか」ということをはじめ、間違えた問題はもちろん、正解した問題も念のため解説に目を通して、答えの選択肢が正解である根拠や、他の選択肢が間違いである根拠が自分の考えと一致していたかを確認しましょう。

  4. オーバーラッピング
    精読を行なって英文の内容をしっかり理解できたら、オーバーラッピングを行いましょう。オーバーラッピングとは、音声のスクリプトを見ながら、流れる音声に自身の声を重ねるようにして、発話するトレーニングです。上手く音声と同時に発話できるようになるまで、同じ音声に繰り返しトライしましょう。

    ディクテーションで正しく聞き取れていなかった部分には特によく注意して、もう一度どのように音声が発話しているか確認しながら、音声を真似るようにして繰り返し発話することがポイントです。

  5. シャドーイング
    オーバーラッピングがスムーズに行えるようになったら、シャドーイングに挑戦してみましょう。シャドーイングとは、音声を聞きながらワンテンポ遅れて影のように音声を追いかけて、音声の真似をして発声するトレーニングです。最初はスクリプトを見ながら行っても構いません。最終的にはスクリプトを見ずに音声について行ける状態を目指します。

    初心者にとってシャドーイングは難易度が高く、なかなか音声について行くことができないかもしれません。その場合はまずはオーバーラッピングを繰り返し行なうのがおすすめです。自身の現状の英語レベルに対して負荷が高すぎるトレーニングは効果が薄くなってしまうため、難しすぎるものは無理に行わないほうが良い場合もあります。オーバーラッピングに慣れてきたらシャドーイングにも挑戦してみましょう。

リーディングセクション編

続いてリーディングセクションについて見ていきましょう。リーディングセクションは、問題を解いたら以下の順で復習を進めると効果的です。

  1. 答え合わせ&解説確認
    まず答え合わせをします。リスニングでは、ここではまだ解説などを確認しないでおきましたが、リーディングではここで解説までチェックしてしまいましょう。

    解説を確認する際は、リスニングと同様に、正解した問題も念のため解説を読んで、答えの選択肢が正解である根拠や、他の選択肢が間違いである根拠が自分の考えと一致していたかを確認しましょう。

  2. 精読
    知らなかった単語や熟語、意味が理解できなかったフレーズやセンテンスを全て拾い上げていきます。精読は正解できた問題も含め、全ての問題で行うのがおすすめです。本文だけでなく設問や選択肢にも目を通して、知らない単語などがあれば徹底的に洗い出しましょう。

    リスニングセクションと同様に、知らなかったものや理解できなかった部分にはハイライトを引いておくのがおすすめです。

    和訳と照らし合わせながら本文の内容を正しく理解できたか確認し、疑問点を全て解消していきます。

  3. 音読
    精読が終わったら、英文の音読を行います。音読を行う際はただ読みあげるだけでなく、英文の意味を頭の中で思い浮かべながら、なるべく速いスピードで行うことがポイントです。

    音読をすることには大きな効果があります。TOEICのリーディングセクションでは、時間制限内に素早く大量の英文を処理するスキルが要求されます。そのためには英語を英語の語順のまま理解できる必要があり、音読トレーニングをすることで強制的に頭から順番に英語を理解しなければならなくなるので、読むスピードを上げるのに効果的なのです。

    同じ問題を最低2〜3回は、英文の意味をしっかり頭の中で考えながら、繰り返し素早く音読するトレーニングを行なうのがおすすめです。

まとめ

今回は、模試形式の問題集を解いた後におすすめの復習方法についてご紹介しました。問題を解いたあとは、全問題をもう一度じっくり見直して、常に「知らなかった・分からなかったポイント」を解消することを徹底するのが何より大切です。

また、リスニングはディクテーション、オーバーラッピング、シャドーイングなどのトレーニングを繰り返し行うことで、英語を聞き取る力が段々と伸びていきます。リーディングは音読トレーニングを積んで、処理スピードを上げることを目指しましょう。

今回ご紹介した問題集の復習方法は、TOEICの本試験をまだ受験したことがないTOEIC未経験者の方〜上級者の方まで、全レベルの人に共通して効果的な方法になります。ぜひ実践してみてください。

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佐藤 千嘉

中学2年時にニュージーランドの現地校へ1年間留学。高校進学後、オーストラリアへ交換留学で再び1年間留学。高校在学中に英検1級、TOEIC965点、TOEFL iBT106点を取得。早稲田大学国際教養学部に現役合格。英会話講師やTOEICコーチの経験を経て、現在はフリーライターとして活動している。

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