音読は英語学習の中でももっともポピュラーな学習方法の一つです。音読により得られる学習効果は絶大で、特にリーディング力の向上に役立つことが知られています。音読のトレーニングにより、英語をリーディングするときの「単語認知(視覚から入ってきた単語を自分の頭の中の辞書と照合し、単語を認知する)」→「音韻符号化(心の中で音声化する)」→「理解(意味を理解する)」というプロセスのうち、単語認知・音韻符号化というプロセスの高速化・自動化をすることができます。このプロセスの高速化・自動化により、文章の意味の理解に頭の中のメモリをより多く割くことができるようになり、結果としてリーディング速度が向上し、理解度も高まるのです。
また、音読は正しい発音やイントネーションで取り組むことでリスニング力の向上にもつながりますし、スピーキング力、特に流暢さの向上にもつながります。このように、音読は英語力を総合的に高めるうえでとても効果的なトレーニングなのです。
しかし、音読は正しい方法で行わなければこれらの能力を伸ばすことはできません。そこで、今回は音読をするときに心がけたい5つのポイントをご紹介していきます。ぜひこれからの音読学習に取り入れてみてください。
- 自分のレベルに合った教材を使用する
- 正しい発音とイントネーションを意識する
- スピードを意識する
- 意味を意識する
- 同じ文章を使って繰り返し練習する
1. 自分のレベルに合った教材を使用する
効果的な音読学習で大切なポイントは、「自分のレベルにマッチしたテキストを使うこと」です。テキストに使われている単語、文法、表現が一通り理解できているものではないと音読の効果を最大限に発揮することはできません。なぜなら、知らない単語を音読しても、単語認知の段階で視覚に入ってきたアルファベットの情報を頭の中の辞書と参照することができないため、音読の鍵である単語認知・音韻符号化の高速化・自動化につながらないからです。これは、言い換えれば「何も考えずに素振り練習をしているようなもの」です。
そのため、音読用のテキストを選ぶ際は、なるべく書店に足を運び、自分の英語レベルに合ったテキストを自分の目で確認してから購入することをオススメします。テキスト選びの際の基準は「どれだけ自分の知らない英単語があるか」を軸に置いてみるとよいでしょう。もしくは、自分のレベルよりも高い教材を使う場合には、音読を始める前に精読を繰り返し、単語や文法などを完全に理解しておくようにしましょう。
2. 正しい発音とイントネーションを意識する
実際に音読学習を行う際には、一つ一つの単語を正しい発音とイントネーションで行うことが非常に重要になります。正しい発音・イントネーションを脳にインプットするもっとも効果的な方法が「オーバーラッピング」です。
オーバーラッピングとは「流れる英語音声に合わせてテキストを見ながら音読する学習方法のひとつ」になります。オーバーラッピングで意識するべきポイントは、リンキング(音と音のつながり)」や「リダクション(音の脱落)」などの音声変化を意識しながら、英語音声を真似ながら発音すること。オーバーラッピングで一通り発音・イントネーションを記憶した後に、テキストのみで音読することがもっとも効果的です。普段の音読学習からネイティブスピーカーのスピード感で努力することで、実際に英語を話す状況でもスムーズにスピーキングを行うことができるようになります。
3. スピードを意識する
効果的な音読学習を行う上では英語を読み上げるときの「スピード」も重要な要素のひとつとなります。音読法には様々な種類がありますが、その中でも「速音読」がおすすめ。イメージはオーバーラッピング時に聴いたネイティブスピーカーのスピードです。もちろん速いスピードで音読するだけでは意味はなく、正しい発音・イントネーションで音読することが大前提になります。最初の音読ではゆっくりで正しく発音・イントネーションで行い、次第にスピードを上げていき、最終的にはネイティブスピーカーのスピードで音読していきましょう。
4. 意味を意識する
ネイティブスピーカーのスピードで音読することを意識しすぎて、文章の意味を理解しないまま音読は続けてしまうと効果は薄れてしまいます。ただ音に注意するだけではなく、同時に英語音声の意味を頭の中でしっかりとイメージしながら読んでいきましょう。
5. 同じ文章を使って繰り返し練習する
音読学習では同じテキスト・文章を何度も繰り返して読むことが重要です。反復学習は英語学習のみならず、すべての学習の効果を最大化するための基本的な考え方になります。同じテキストの文章を何度も繰り返し読むことで記憶が定着していきます。
反復学習のメカニズムを理解する上で重要になるのが「海馬」という脳の部位です。海馬は日々の記憶がインプットされる部分です。しかし、海馬に無限の記憶をインプットすることができるわけではなく、脳に残る情報には限度があります。海馬には「情報の短期的記憶」と「記憶された情報の重要性の判断」という2つの役割があります。
脳内に入ってきた情報はまず海馬に送られ、海馬はその情報が重要なものであるかを判断します。もしこの段階で不必要だと判断された場合、その情報は忘却しようと働きます。一方で、繰り返し読まれたテキストを、海馬は「この情報は重要だ」と判断します。重要と判断された情報は長期記憶をつかさどる大脳皮質に送られ、長期的に脳内に残る仕組みになっています。このメカニズムが同じテキストで繰り返し音読すべき理由です。そのため、音読は同じテキストを使い込むことをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか?音読は上記でご紹介した5つのポイントを意識しながら取り組むことで、リーディング、リスニング、スピーキングなど様々なスキルで大きな学習効果を生み出すことができます。総合的な英語力を効率的に高めたいという方はぜひ上記を参考にしながら音読のトレーニングに取り組みましょう!
English Hub 編集部
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