日本を訪れた外国人が投稿しているYouTube動画やブログ記事では、海外の視点から見て珍しいと感じるさまざまな日本のカルチャーが取り上げられています。
なかでも注目度が高いのが、日本の新幹線に関するコンテンツです。駅のホームで通過する新幹線の速さを目の当たりにして驚く人、新幹線の乗車体験をレポートする人など、海外から来た人たちがそれぞれユニークな視点で日本での鉄道の旅を楽しんでいる様子が見て取れます。
旅行や出張時などの移動手段として日本で広く親しまれている新幹線ですが、外国人から改めてどんな乗り物なのかを聞かれると、答えに詰まってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、海外から来た人と英語で話す際の話題にもなる、日本の新幹線についての豆知識を紹介します。
目次
新幹線の定義とは?英語での表現もチェック
「新幹線」の基準は時速200km以上の走行スピード
私たちの生活に欠かせない交通手段の一つとして定着している新幹線ですが、具体的にはどのような列車のことを指すのでしょうか。
全国新幹線鉄道整備法(1970年制定)では、新幹線を「主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道(※1)」と定義しています。
1964年に開業した東海道新幹線は、世界で初めての高速鉄道であり、当時の最高速度は時速210kmでした。その後、日本だけでなく世界各国でも鉄道の高速化が進み、近年では時速300km以上で走る列車も登場しています。
※1 出典:e-gov法令検索|全国新幹線鉄道整備法
英語で新幹線はなんという?
日本の新幹線は、英語で“bullet train”といいます。あるいは、日本語と同じ発音で“Shinkansen”と呼ばれるケースも珍しくありません。
“bullet train”の名前は、新幹線計画の初期段階である1939年頃に使われていた、日本語の「弾丸列車」という言葉に由来します。初代新幹線では、「ノーズ」と呼ばれる車両の先頭部分が、丸みを帯びた弾丸(=bullet)のような形状をしていました。「弾丸列車」の呼び名は、日本ではすぐに使われなくなりましたが、英語の場合は当時の名残から“bullet train”という名称がそのまま定着したといわれています(※2)。
日本の新幹線に限らず、高速列車全般を指す場合は、“high-speed rail”や“high-speed train”などの言葉がよく使われます。
※2 参照:JR PASS|Why Shinkansen Bullet Trains no longer look like a bullet
英語で紹介したい、日本の新幹線に関する豆知識
1. 「7分間の奇跡」とも呼ばれるスピーディーで正確な車内清掃技術
2015年、ハーバード・ビジネススクールの教材として、日本の新幹線の清掃業務に関するケーススタディが取り上げられました(※3)。分析の対象となったのは、東京駅をはじめとする複数の拠点で新幹線車両の清掃を担う、株式会社JR東日本テクノハートTESSEIです。
事例研究では、2006年頃から同社が実施した業務改善について、リーダーシップや組織マネジメントの観点から考察しています。当時、顧客からのクレーム増加、従業員のモチベーション低下などの課題を抱えていたTESSEIは、清掃業務を「おもてなし」の一環と捉え直し、スタッフの自己肯定感向上や現場の声を重視した作業の効率化に取り組みました。
改革の結果、従業員の定着率が改善し、清掃スタッフ一人ひとりの正確で迅速な仕事ぶりが評価されるようになります。
東京駅に到着した新幹線が折り返し列車として出発するまでのあいだ、清掃員は約7分間で一人あたりおよそ100席分のクリーニングを担当します。限られた時間の中でスピーディーかつ丁寧に仕事をこなすスタッフの様子は、海外メディアでも“seven-minute miracle(7分間の奇跡)”として報じられるほど注目を集めました。
清潔に保たれた車内での快適な乗車体験の裏には、プロフェッショナルとして新幹線の清掃に取り組むスタッフたちの絶え間ない努力があります。
- 英語で説明するなら…
The cleaning crew of the Japanese bullet train is renowned for its speed and efficiency. Before the train departs, each staff cleans around 100 seats in just 7 minutes.
日本の新幹線の清掃員は、スピーディーかつ効率的な仕事ぶりで有名です。列車が出発するまでに、スタッフ一人あたりが100席分を7分以内で清掃します。
※3 参照:Harvard business school|Trouble at Tessei
2. 遅延が極めて少ない正確な運行スケジュール
日本の新幹線は、定時運行率の高さと緻密な運行スケジュールに定評があります。
JR東海の統合報告書(※4)によると、東海道新幹線の運航本数は1日に336本、1列車あたりの平均遅延時間は0.9分でした(2021年度の実績)。この平均遅延時間の算出には、地震や台風などの自然災害によって発生した遅れも含まれています。
一方、海外の高速鉄道では、列車の遅れを定義する際に、「10分以上の延着を遅延とみなす」「自然災害による遅延は含まない」といった条件を設けているケースも珍しくありません。鉄道会社側でのコントロールが極めて難しい事態も含めて平均遅延時間が1分未満という日本のデータは、新幹線の定時運行率の水準の高さの証明ともいえるでしょう。
通常時の新幹線の運行スケジュールにはほぼ遅れがなく、万が一遅延が発生した場合は、たとえ1~2分程度であっても謝罪のアナウンスが流れることを伝えると、海外の人たちに驚かれるかもしれません。
- 英語で説明するなら…
Japan’s bullet train has a high standard for on-time operations. In the case of the Tokaido Shinkansen connecting Tokyo and the Kansai area, the average delay time in 2021 was less than one minute, even including delays caused by earthquakes and typhoons.
日本の新幹線は、定時運行に関して高い基準を持っています。東京と関西エリアを結ぶ東海道新幹線の場合、2021年度の平均遅延時間実績は1分未満でした(地震や台風による遅延も含む)。
※4 参照:JR東海|統合報告書2022
3. 日本全国の味が楽しめる駅弁文化
座席一つひとつに折り畳み式のテーブルが設置されている日本の新幹線では、車内でゆっくりと食事を楽しむ乗客の姿をよく目にします。日本の鉄道文化を語る上で欠かせないのが、全国各地の駅で販売されている駅弁です。
食堂車や軽食の車内販売などは海外の鉄道にも存在しますが、日本のように鉄道駅で買える弁当が「駅弁」というジャンルで独立して認識され、各地域の特産品や食材を使ったさまざまな種類の商品が人々の注目を浴びているケースは他に類を見ないでしょう。
駅弁が何種類あるのか、その正確な数を把握することは難しいといわれていますが、たとえば、JR東京駅で駅弁の販売を行う「駅弁屋 祭」の店舗だけでも、常時200種類以上の商品がラインナップしています(※5)。
新幹線型の入れ物を使った駅弁や、容器に付いた紐を引くことで中身が温まる加熱式駅弁などのユニークな商品は、外国人観光客にとっても特に興味深いのではないでしょうか。
- 英語で説明するなら…
In Japan, bento boxes sold at railway stations are called “ekiben”. Many people buy and enjoy these ekiben on bullet train rides. The type of ekiben varies depending on the station, with many featuring local ingredients and specialties from that region.
日本では、鉄道駅で販売されている弁当のことを「駅弁」と呼びます。新幹線の車内でも、駅弁を買って食事を楽しんでいる人が多くいます。駅弁の種類は購入する駅によっても異なり、その地域で取れた食材や特産品を使った駅弁が数多く存在します。
※5 参照:駅弁屋 祭
まとめ
海外から来た人たちとの会話の中で話題にのぼることも多い新幹線。日本の新幹線にまつわる知識をインプットしておけば、英語でのコミュニケーションの際に役立つかもしれません。
今回学んだ表現を使って、ぜひたくさんの人と英会話を楽しんでください。
English Hub 編集部
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