TOEICで990点満点を目指す意義とは?【『上級単語特急 黒のフレーズ』著者・藤枝氏インタビュー】

多くの英語学習者が憧れる、TOEIC990点満点。特に900点を越えている人なら「いつかは取りたい」と思うものですが、満点の壁は決して低いとは言えません。せっかくなら取得したいという気持ちはあるものの、果たしてこのまま学習を続けるべきなのか迷っているという方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、初受験の500点台から、990点満点を取得されるまでに英語力を高めた経験を持つ、『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』の著者・藤枝暁生氏に、TOEICで990点満点を目指すことの意義についてお考えを伺いました。

話し手:藤枝暁生氏

1963年東京都生まれ。1986年中央大学法学部法律学科卒。大学卒業と同時に損害保険会社に入社、現在は、SOMPOリスクマネジメントに勤務しており、企業向けのコンサルタントとして、主に自然災害のリスクアセスメントを担当。TOEIC L&Rテストは、2007年3月から100回以上の連続受験を継続中。2014年4月、独学で990点満点を取得。以後、数々の学習会を主催し、講師としてTOEICの学習指導を続けている。著書に、『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』『サラリーマン居酒屋放浪記』『サラリーマンのごちそう帖』(朝日新聞出版)『TOEIC L&R テスト 860点奪取の方法』(旺文社)。

インタビュー目次

思い描いていた英語力とのギャップを感じた「TOEIC 900点」

Q:TOEICで990点満点を取得されるまでの学習歴を教えてください

藤枝氏:私が初めてTOEICを受験したのは、2007年です。初受験で700点を取ることを目標に1年半勉強をしていて、1回受験したらそれで終わりにしようと思っていました。しかし、結果は500点くらいでした。目標スコアに届かなかったことで火がつき、900点突破を目指すようになります。

ある時、ついに目標としていた900点を取れたのですが、自分が思い描いていた「900点台の人」と、自分との間にギャップを感じたんです。900点台の人というのは、「英語で何でもできる」というイメージだったのですが、自分が実際に900点を取ってみると、そこまでのレベルではなかった。そこで、目標をさらに上方修正し、990点満点を目指しはじめました。初めて900点を越えてから約1年半後の2014年4月に、満点を取得しています。

『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』著者の藤枝暁生氏

『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』著者の藤枝暁生氏

Q:TOEIC900点と990点とでは、英語4技能の差は大きいのでしょうか

藤枝氏:4技能のどのスキルが特に強いかなどは人によって異なりますが、900点と990点ではやはり差があります。僕自身も最初は、900点レベルの英語力があれば、例えば海外支店のマネージャーとして顧客や代理店との交渉を1人でできるのだろうと思っていました。でも、自分がいざ900点を取ってみると、そういった業務はまだ難しいと感じました。そのレベルに至るには、990点の英語力が必要です。990点でも万能ではありませんが、大抵のことは乗り切れるようになります。

時々、「TOEIC満点でも英語が喋れない人がいる」と言う人がいますが、私はTOEIC満点で全く喋れない人なんて見たことがありません。満点を取れるほど英語を勉強していれば、否が応でも、ある程度英語を話せる・書けるようにはなります。

アウトプットに特化した学習を行うにあたっても、TOEIC800点レベルの英語力がない状態でスタートするよりも、800点を越えた後で始めた方が、断然速くスピーキング・ライティングの力が身につきます。TOEICで900点を取っている人だったら、海外に行けば3~6ヶ月で大抵のことはできるようになると思います。それは、TOEICで培った底力があるから。だから、信じて頑張ってほしいですね。

TOEICや英語学習を好きになってほしい

Q:TOEICの指導はいつから始められていましたか

900点台後半ぐらいの時から、「解きまくる会」という勉強会を開いて講師役を務めました。本番のテストと同様に、2時間休憩無しでTOEICの模試問題を解き、その後、リーディングパートの100問を解説するという内容です。この勉強会を50週間くらい続けている間に、満点を取ることができました。参加者の中からは満点を取った人が10人以上出ていますし、900点は100名ほど出ています。(※2020年現在、「解きまくる会」は終了しています。)

Q:TOEICを指導される上での想いを教えてください

藤枝氏:「TOEICや英語学習を好きになってほしい」というのが1番ですね。

会社や大学から言われて、必要に迫られて仕方なく勉強しているという方も少なくありませんが、好きでやっている人には勝てません。

例えば、ゲームが大好きな子どもなら、親に注意されても、押入れの中に隠れてゲームをしようとしますよね。それと同じように、私もTOEICが好きなので、ずっとTOEICの勉強をしているんです。家族からは「また英語の勉強ばっかり、いい加減にして」と言われていますが、引き離されないとやめないくらい好きになれると、やはり強いですよね。

だから、学習者の方にまずは英語やTOEICを好きになってもらえるよう工夫をしています。『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』も、学習者の方に楽しんでもらい、挫折させないということを心掛けて作りました。(※『黒のフレーズ』の詳細については、『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』著者・藤枝氏に聞く!英単語の覚え方のコツを参照ください。)

また、TOEICの勉強をしている人には志が高い方がたくさんいます。私自身、もしTOEICをやっていなかったら知り合えなかったような素晴らしい仲間が100人単位でできました。私にとってTOEICは、大切な仲間たちと繋げてくれたテストなので、テストを通して恩返ししたいという気持ちも大きいですね。

TOEIC990点を目指す人へのメッセージ

Q:TOEICで990点満点を目指す読者に向けて、メッセージをお願いします

藤枝氏:TOEIC990点というのは、取らないと困るというものではありません。でも、TOEICに限らず、何かの頂点を極めたという経験は、英語だけでなく今後の人生で必ず自信になります。

私自身も、TOEICで満点を取ったことをきっかけに、良い仕事が回ってくるようになりました。周囲の人の自分を見る目が変わるので、色々なチャンスが増えてくるんです。このインタビューをしていただけているのも、985点を取ったからではなく、満点を取って本を出したからですよね。985点だったらチャンスが来ていないし、そもそも本も書けていなかった。頂点を一度とってみるのも、悪くないと思います。

インタビュー後記

今回は、『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』著者の藤枝暁生先生に、TOEIC満点を取得することで得られるメリットや、身につく英語力などについてお話を伺いました。

藤枝先生ご自身が実際に990点を取得されるまでの経緯など、満点を目指して学習している方にとって大変参考になる部分が多くあったかと思います。

「TOEICは私にとって、もはや生活の一部」と語る藤枝先生。『黒のフレーズ』には、そんな藤枝先生自身が英語を勉強してきた中で感じられたことが集大成として反映されています。TOEICでハイスコア、そして990点満点を目指している方は、是非『黒のフレーズ』を手にとってみてはいかがでしょうか。また、2021年春には、続編として『超上級単語特急』の刊行も予定されているとのことなので、そちらもお楽しみに!


『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』概要

商品名:TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ
著者:藤枝暁生
定価:935円(税込み)
発売日:2020年9月18日
出版社:朝日新聞出版

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佐藤 千嘉

中学2年時にニュージーランドの現地校へ1年間留学。高校進学後、オーストラリアへ交換留学で再び1年間留学。高校在学中に英検1級、TOEIC965点、TOEFL iBT106点を取得。早稲田大学国際教養学部に現役合格。英会話講師やTOEICコーチの経験を経て、現在はフリーライターとして活動している。

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