日本語教師になるには?国家資格化の流れと養成講座の紹介も

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語学や国際交流について興味を持つ中で、「日本で暮らす外国人の助けになりたい」「日本語や日本文化を世界に広げる仕事がしたい」などと考えたことはありませんか。

日本語を学ぶ人たちと日々向き合い、学習者のそばで目標達成をサポートできるのが、日本語教師の仕事です。

日本国内の語学学校のように、それぞれ異なる母語を持った学習者が集まるグループ形式の授業では、日本語を日本語で教える「直接法」での指導が一般的です。一方、海外で行われている日本語レッスンの場合は、英語やその国の公用語での説明を交えながら教えるケースも多く、日本語の指導スキルに加えて外国語の語学力を活かせる機会もあるでしょう。

このように、日本語教師の活躍の場は、日本国内だけにとどまらず、世界中に広がっています。

この記事では、日本語教師になるための3つの主なルートに加え、2024年4月からの国家資格化の流れについても解説します。

※記事内の情報は、2023年9月調査時点のものです。

目次

日本語教師の需要は?日本語教育を取り巻く現状

日本語学習者は世界に370万人以上

日本語教師として働くことを考えるにあたり、まずは世界的な日本語教育需要の動向を押さえておく必要があるでしょう。

独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation)が発表した2021年度のレポート(※1)によると、外国語としての日本語教育を実施している機関の数は、世界141の国と地域で合計1万8,000ヵ所以上にのぼります。世界には249の国と地域の分類がある事実を踏まえると、すでにその半数以上をカバーするエリアで日本語教育が行われていることがわかります。

また、2021年度の日本語学習者数は、世界でおよそ379万人でした。前回の調査結果(2018年度)と比べると、学習者数は1.5%程度減少しているものの、調査が開始された1979年以来、過去3番目に多い数字であり、引き続き日本語教育の堅実な需要が見込まれます。

さらに、本調査の対象は、語学学校などの教育機関で日本語を学んでいる人たちのため、独学や個人レッスンで勉強をしている人に加え、これから日本語を学びたいと考えている潜在的な学習者の存在も考慮すると、日本語教育のニーズはさらに大きく広がっていると考えられます。

※1:Survey Report on Japanese-Language Education Abroad 2021|国際交流基金

日本国内での公立日本語学校新設の動きも

日本国内では、人口減少に歯止めをかける施策の一つとして、地方に公立日本語学校を新設し、海外からの留学生の受け入れを促進して地域の活性化を図ろうとしている自治体もあります。

宮城県大崎市は、日本ではじめて公立の日本語学校を立ち上げた北海道上川郡・東川町の例に続き、2025年に新たな公立日本語学校を開校するべく準備を進めています(※2)。

日本語学校の新設時には、教員などの人材の確保も欠かせません。今後、地方創生の文脈から、日本語教育施設の整備や外国人留学生の受け入れ促進を目指す自治体が増えた場合、日本国内での日本語教師に対する需要がさらに高まっていく可能性も考えられます。

※2:公立日本語学校開校へ 大崎市が県と覚書交わす 県が支援へ|NHK NEWS WEB

日本語教師になるために資格は必要?

これまで、日本語教師として働くために取得が義務付けられている資格は特にありませんでした。しかし、日本語話者であるからといって、正しい知識や指導の経験なしに誰もが日本語を教えられる訳ではありません。

そのため、語学学校などの教育機関における教師の採用時には、下記3つの条件のいずれかを満たすことを応募要件として課しているケースがほとんどです。

【日本語教師として働くための方法】

  1. 大学・大学院で日本語教育を専攻する
  2. 日本語教師養成講座を修了する(420時間分)
  3. 日本語教育能力検定試験に合格する

ここからは、日本語教師になるための主な3つのルートについて詳しく見ていきましょう。

1. 大学・大学院で日本語教育を専攻する

一つ目は、大学や大学院で日本語教育を専攻し、関連分野で学位を取得する方法です。

在学中は、日本語教育に関するアカデミックな知識を習得できるほか、外国人留学生を対象とした学内での教育実習や、海外の大学への派遣型研修などの機会も広がっており、日本語教師になるために必要な経験を積むことができます。

ただし、すでに別の専攻で大学を卒業している方や、これから数年間をかけて学位取得を目指す時間的余裕がないという方にとっては、ややハードルの高い選択肢となるでしょう。

2. 日本語教師養成講座(420時間分)を修了する

二つ目は、文化庁によって認定された日本語教師養成研修で学ぶパターンです。

法務省告示の日本語教育機関で勤務するためには、日本語教員の要件として文化庁が認め、届出を受理した期間・団体で420時間以上の研修を修了し、なおかつ学士・修士または博士の学位を有している必要があります。

日本語教師養成講座を提供するスクールでは、完全通学型のプログラムに加えて、通信講座と対面での実技研修を組み合わせた複数の選択肢を用意している場合もあり、仕事を続けながら空き時間を使って学ぶ人や、土日のみで講座に通う受講生も多くいます。

履修のペースにもよりますが、すべての科目を修了するまでには、6ヶ月~1年程度の時間がかかるケースが一般的です。

3. 日本語教育能力検定試験に合格する

上記2つのルートと比べて、より短い時間で日本語教師になる道を切り開ける可能性があるのが、日本語教育能力検定試験での合格を目指す方法です。

日本語教育能力検定試験は、日本語教育に携わる上で必要となる基礎的な知識・能力の検定を目的とし、公益財団法人日本国際支援協会(JEES)が年に一度実施しています。

学位の有無などを問わず誰でも挑戦できる試験ですが、直近の3年間(令和2年度~4年度)の合格率は23~24%程度(※4)と狭き門になっており、合格を目指すためにはしっかりと事前準備をした上で試験に臨む必要があります。

※3:日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数推移|日本国際支援協会

2024年4月から国家資格化!「登録日本語教員」になるには?

国家資格化は現職の日本語教師にも影響

日本語教師として働くためには、これまで3つの主なルートがありましたが、いずれの場合も必要となるのは民間資格のみでした。しかし、日本語教育機関認定法の成立により、2024年4月からは「登録日本語教員」という国家資格が導入されます。

新制度の導入に伴い、今後、認定日本語教育機関(※4)で日本語を教える場合は、登録日本語教員としての国家資格取得が必須となります。つまり、2024年からの国家資格導入は、従来のルートで日本語教師となり、すでに語学学校などに所属している人たちの働き方にも関わる重要な変更です。

2023年9月現在、登録日本語教員の資格取得に必要となるプロセスについての最終的な確定情報は未公表ですが、現段階では二つの条件が課される方向で検討が進んでいます。

※4:日本における日本語教育の質の確保のために設けられた新たな認定制度の下、文部科学大臣によって適正かつ確実に日本語教育を実施することができると認められた教育機関のこと。

筆記試験での合格+教育実習の実施が必須要件に

一つ目のステップは、日本語教育能力を判定する筆記試験での合格です。この試験は、「区分ごとの基礎的な知識・技能の測定」「区分横断的な複合問題及び聴解試験」の2種類に分かれており、日本語教育能力検定試験のような既存の民間試験の活用も検討されています。

二つ目の条件は、教育実習の実施です。具体的な実習の時間数や内容については公表されていませんが、文化庁の認定を受けた現行の日本語教師養成講座で行われているような実習カリキュラムが採用される可能性も考えられます。

これら二つのプロセスをクリアした後、登録手続きと登録証の交付を経て、登録日本語教員として認定される仕組みです。

文化庁認定・日本語教師養成講座があるスクールまとめ

国家資格である登録日本語教員の制度は、2024年4月からのスタートとなりますが、制度開始を待たずに日本語教師になるための準備を始めたい方もいるでしょう。

新制度導入の際は、すでに日本語教師として働いている人や、現行の日本語教師養成講座の修了者に対する経過措置も設けられます。条件によっては、登録日本語教員になるための教育実習や筆記試験の免除を受けられる可能性もあるので、受講前に各スクールでの見解と対応を確認しておくことがおすすめです。

KEC日本語学院

KEC日本語学院

1974年創立のKEC日本語学院は、東京の新宿校に加え、大阪に3校、兵庫と京都にそれぞれ1校を構える老舗スクールです。1クラス12~15名までの少人数制が特徴の「日本語教師養成講座420時間コース」は、受講ペースによって最短6ヶ月~最長3年でカリキュラムを修了。平日の受講だけでなく、土日の夜間の時間帯にも振り替えが可能なシステムで、急な予定変更にも柔軟に対応が可能です。演習授業を通じて実践的な指導力を養うことを重視するKEC日本語学院では、年齢や学歴、これまでの経験を問わず、日本語教師として即戦力となれる人材の育成に力を入れています。

スクール所在地
東京(新宿)、大阪(梅田、なんば、枚方)、京都、兵庫(神戸)

東京中央日本語学院

東京中央日本語学院

東京・信濃町と大阪・梅田に拠点を持つ東京中央日本語学院(TCJ)では、通学型授業とオンライン受講を組み合わせたハイブリッド型の受講形式を取り入れています。日本語教師を目指す人たちを対象としたスクールに加え、海外からの留学生が学ぶ日本語学校が併設されており、「日本語教師養成講座420時間コース」の受講生は、実際の授業の見学・参加も可能です。2018年1月期~2020年10月期の期間中にコースを修了した受講生の就職率は91.6%と、受講後に日本語教師としての第一歩を踏み出すためのサポートが手厚い点も特徴です。

スクール所在地
東京(信濃町)、大阪(梅田)
※eラーニング(動画授業)と通学授業(実技科目)の組み合わせも可。

ヒューマンアカデミー

ヒューマンアカデミーでは、全国各地の24ヵ所の通学拠点で「日本語教師養成講座」を開講。これまでに11万人以上の修了実績があり(※)、直営の日本語学校をはじめとする日本語教育の場に多くの卒業生を送り出しています。講座では、インプットのための理論学習と、実践力を養うアウトプットを4:6の割合で取り入れており、知識とスキルが効率よく身につくカリキュラム設計が特徴です。ヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座は、実績が豊富な大手スクールで学びたい方にぴったりの選択肢といえるでしょう。

※1997年10月~2023年3月現在のヒューマンアカデミー日本語教師養成講座の修了生数

スクール所在地
北海道(札幌)、宮城(仙台)、千葉(千葉、柏)、埼玉(大宮)、東京(新宿、銀座、秋葉原)、神奈川(横浜)、静岡(静岡、浜松)、愛知(名古屋)、京都(四条烏丸)、大阪(梅田、心斎橋、天王寺)、兵庫(三宮)、岡山、広島、香川(高松)、福岡、熊本、鹿児島、沖縄(那覇)
※eラーニング(動画授業)とオンラインライブ授業/通学授業の組み合わせも可。

三幸日本語教師養成カレッジ

三幸日本語教師養成カレッジは、新宿にある校舎で「日本語教師養成講座420時間コース」を開講しています。平日の日中に毎日講義を受けるコースのほか、「平日は仕事を続けながら学びたい」という方向けに土日の時間帯のみで受講ができるコースも用意されています。実践的な指導経験を積むために欠かせない教育実習には92単位時間分を確保しており、これまで学んできたことを実際の教育現場で試すことができます。

スクール所在地
東京(新宿)
※理論科目と実技科目の一部はオンライン受講可。

まとめ

国家資格化により、今後さらに注目度が高まっていくことが期待される日本語教師の仕事。日本語教育に関する確かな知識を元に指導経験を積んでいけば、働く場所や年齢を問わず、世界で活躍できるチャンスが広がります。

「語学に関わる職に就きたい」「長く続けられる仕事でキャリアを積みたい」という方は、日本語教師としての働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

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English Hub 編集部

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