英語発祥の地であるイギリスの語学学校では、イギリス標準英語を学ぶことができます。では、具体的にイギリス英語とはどんな英語なのでしょうか?日本の英語教育の主流となっているアメリカ英語と比べて、イギリス英語にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、イギリス英語の特徴とその魅力についてご紹介します。
イギリス英語の歴史
欧州の英語の歴史は大変古く、そのルーツはサクソン、アングル、ジュート人などのゲルマン民族によるブリテン諸島への移住が始まった449年頃と言われています。それ以前ブリテン諸島で先住民族が話していたのはケルト語でしたが、その後アングル人によって話されていた言語エングリスク[Englisc(古代英語)]がまず南部に広がり、原住民達は北へ追いやられることになります。
中世の英語が確立された時代として知られる1150年から1500年の間には、現在のフランス、ノルマンディ地方からの侵略により、フランス語がブリテン諸島に持ち込まれました。その後およそ1万語に及ぶフランス語の単語が英語に混入されます。エングリスクはその後もブリテン諸島で広がりましたが、当時は低層階級で使われ、宮廷、行政、文化的なシーンでは、フランス語の影響を受けた英語が使われるようになりました。
初期近代英語の確立は15世紀に遡り、この時代の英語はシェイクスピアが用いた英語としても知られています。19世紀の産業革命により、新しい技術を記述、説明する単語が生まれ、英語の語彙は増え続け、その技術と共に世界中へ広まって行きます。
現在イギリスで標準とされる英語は、18世紀以降教育機関で教えられて来た英語がその基礎となっており、Received Pronunciation(容認標準発音、以下「RP」)と呼ばれています。RPは、イギリスの国語辞書に広く反映され、外国人への英語教育における標準モデルとして用いられています。イギリス国内では、多数の異なるアクセント(訛り)が聞かれますが、語学学校で留学生が学習するのはこのRPです。
イギリス英語の綴り
イギリス英語の綴りは、アメリカ英語の綴りとは異なるものがあります。この綴りの違いは、イギリス英語には、前述の通り、その歴史において他の言語が混入してきた経緯があり、その綴りがそのまま残っていることに起因します。そのため、イギリス式の綴りは発音をそのまま反映しないものがあるのに対し、アメリカでは発音が綴りに反映されるように変更されています。以下は違いの一例です。
イギリス | アメリカ | |
中心 | centre | center |
劇場 | theatre | theater |
色 | colour | color |
労働 | labour | labor |
組織する | organise | organize |
分析する | analyse | analyze |
旅慣れた | travelled | traveled |
機動する | manoueuvre | maneuver |
防御 | defence | defense |
カタログ | catalogue | catalog |
【参照サイト】British and American spelling(Oxford Dictionaries)
イギリス英語の発音
rの省略
標準アメリカ英語と(General American)と標準イギリス英語(RP)の顕著な違いの一つは、イギリス英語における[r]の省略です。イギリス英語では、rのすぐあとに母音が来る場合にのみ発音され、それ以外はサイレントとなります。
標準イギリス英語 | 標準アメリカ英語 | |
park | [pɑːk] | [pɑrk] |
horse | [hɔːs] | [hɔrs] |
further | [fɜːðə] | [fɜrðər] |
母音の発音
イギリス英語の発音とアメリカ英語の発音では、19ある母音のうちの8母音に顕著な違いが見られます。以下はその一例です。
標準イギリス発音の[ɑː ]に対し標準アメリカ発音は、[ɑr] および[æ]となります。
標準イギリス英語 | 標準アメリカ英語 | |
car | [kɑː] | [kɑr] |
start | [stɑːt] | [stɑrt] |
after | [ɑːftə] | [æftər] |
標準イギリス発音二重母音[əʊ]に対して アメリカ発音は[oʊ]となります。
標準イギリス英語 | 標準アメリカ英語 | |
go | [gəʊ] | [goʊ] |
no | [nəʊ] | [noʊ] |
show | [ʃəʊ] | [ʃoʊ] |
標準イギリス英語と標準アメリカ英語では、母音の音の長さにも大きな違いが見られます。イギリス英語の発音では、アメリカ英語より長く伸ばして発音されます。発音記号をみるとイギリス発音では伸ばす発音記号ːがついており、該当する単語のアメリカ発音においては、この記号がありません。
標準イギリス英語 | 標準アメリカ英語 | |
heard | [hɜːd ] | [hɜrd] |
bar | [bɑː] | [bɑr] |
ストレス(アクセント/語勢)
標準イギリス英語と標準アメリカ英語では、ストレスの位置が異なる場合があります。特にイギリス英語の場合、フランス語を語源とする単語では、ストレスをフランス語のように最初の音節に置きます。これに対しアメリカ英語は最後の音節にストレスを置きます。
例:garage、gourmet、ballet、brochure
但し、address、mustache(moustache)については、これが逆になり、アメリカ発音ではストレスが初めの音節に、イギリスでは最後の音節にきます。これもフランス語のストレスがそのままイギリス英語に反映されているものです。
イントネーション(抑揚)
標準イギリス英語と標準アメリカ英語の響きには、かなりの違いがあります。顕著な違いの一つは、イギリス英語は、ストレスがくる音節を強く発音し、その後に低く下り「高いところから落ちるような」抑揚で話されるのに対し、アメリカ英語は、抑揚はどの音節にも共通で、ストレスのある音節から上がっていくように話されます。
*下記のリンクでは、実際に音声で上述の違いを聴くことができます。
American vs British Pronunciation(pronunciationstudio)
まとめ
イギリス英語、いかがでしたか?標準イギリス英語は、発音、ストレス、抑揚に特徴があります。音や抑揚については、文面から想像するだけでなく、実際に耳で聞いてみることをおすすめします。例えば英国BBC放送やロイヤルファミリーのスピーチ、イギリスの上流階級やパブリックスクールを舞台にした映画などで、その英語を体感することができます。また英語上級者には、シェイクスピアの古典文学の英語なども、勉強の対象として興味深いのではないでしょうか。イギリス英語、チャレンジしてみませんか。
【参照サイト】The Development Of The British English Language(Culture Trip)
【参照サイト】Received Pronunciation(ThoughtCo.)
【参照サイト】VOICES(BBC)
【参照サイト】Definition and Examples of Standard British English(ThoughtCo.)
【参照サイト】Sting – Englishman In New York (Official Music Video)
イギリス語学留学に関する記事の一覧を見る
イギリス留学におすすめの語学留学プログラム
イギリスに語学学校のある語学留学プログラムをご紹介します。
イギリス各地の直営語学学校で学ぶ「EFの語学留学」
EFの語学留学は、創業以来50年の実績を誇り、海外留学、語学教育、学習研究、文化交流などの事業をグローバルに手掛けるイー・エフ・エデュケーション・ファーストの直営語学学校へ留学できるプログラムです。世界22ヵ国に広がるEFの語学学校には100カ国以上から生徒が集まり、インターナショナルな環境で語学力を磨けます。授業外でもイベントやアクティビティなど、留学仲間との交流の場がたくさん用意されています。留学エージェントを通しての留学ではなく、プログラム運営機関の直営校で学ぶ大きなメリットは、希望、目的に応じて渡航先や期間、カリキュラムなど、留学プランをフレキシブルにオーダーメイドできる点。また仲介費等は一切かからず、国内留学カウンセラーと現地スタッフの円滑な連携によるサポートを受けられます。
イギリス各地に広がる語学学校!「Kaplan(カプラン)の語学留学」
1938年の創業以来80年以上にわたり、海外留学・語学教育・進学などの分野で世界各地の学習者を支えてきた『カプラン インターナショナル ランゲージ』。英語圏6ヵ国のほか欧州3ヵ国に広がる語学学校では、12歳~80代という幅広い年齢層の世界中からの留学生が年間5万人以上学んでいます。オリジナル教材に基づくレッスンと「使える英語」の実用を組み合わせた独自の学習メソッド「K+(ケープラス)」は、学習者のニーズに合わせて専門家チームによって開発されました。レッスンで使用する教材はオンライン学習ツールと連動しており、学んだトピックを授業外でも効率的に復習できます。課外アクティビティへの参加の機会も豊富で、留学期間を通じて英語のインプットからアウトプットまでを効果的に促してくれる環境です。調査では、生徒の97%が友達や家族にもカプランを薦めたいと回答。利用者満足度の高さがうかがえます。
イギリス語学留学におすすめの留学エージェント
イギリス留学におすすめの留学エージェントをご紹介しています。はじめてイギリス留学を検討されている方、イギリス留学の情報収集をしたい方はぜひ参考にしてください。
英語力UPに向けたサポートが充実の留学エージェント「School With」
School With(スクールウィズ)は、世界16ヵ国・700都市以上、約2,500校の語学学校のなかから自分に合った留学先選びをサポートしてくれる留学エージェントです。留学経験者による口コミを豊富に掲載しているほか、おすすめの留学先が分かるオンライン診断機能、2ヵ国留学の紹介など、幅広い角度からの留学サポート・提案が充実しています。代理店手数料がかからず、語学学校に直接申し込みをする場合と変わらない料金でカウンセラーと相談しながら留学手続きを進められるのは大きなメリットといえるでしょう。
留学を機に英語力をとことん磨きたい方には、渡航前の事前学習で現地到着後にスムーズなスタートダッシュを切るためのプログラム「プレ留学」の活用もおすすめ。プレ留学は、留学を控えたメンバーだけでグループを組み、刺激し合いながら学習を続けられるスクールウィズ独自の事前学習プログラムです。4週間以上の留学申し込みで4週間分のプレ留学プランが無料となるなど、お得な利用条件(※定員数に限りがあります)にも注目です。
顧客満足度No.1!従来の最大半額(※1)で留学が可能な「スマ留」
スマ留は、語学学校の稼働率が低い時間や場所を活用することで従来の最大半額程度(※1)での留学を実現できる留学支援サイトです。渡航先と渡航期間だけ決まれば留学費用が明確に分かり、留学先の語学学校に関わらず料金は全て一律となっているなど、シンプルで明瞭な料金体系が特徴です。留学前の事前学習としてオンライン英会話と英語学習アプリが6か月活用可能となるほか、留学中も株式会社日本旅行の海外グループ会社「TASKAL」と提携し、留学中のトラブルについて24時間365日コールサポートが受けられるので、はじめて海外留学をされる方でも安心です。留学エージェント10社におけるブランド調査(※2)では、「口コミ人気」「価格満足度」「認知度」の3つで1位を獲得するなど利用者の満足度が高くなっています。新宿サロンとオンラインにて無料個別カウンセリングを開催しており、留学の相談に乗ってもらうことができます。
※1 2020年及び2023年に実施した業歴10年以上の複数の競合他社を対象とする調査結果に基づく
※2 2023年4月期。調査対象:18~29歳の直近5年以内の留学経験者618名
英語力・留学費用ゼロからでも留学可能な「Global Dive」
Global Dive(グローバルダイブ)は、全世界20ヶ国・1,000校以上の語学留学・ワーホリをサポートしてくれるサービスです。外国人観光客が多い観光地でリゾートバイト+無料のオンライン英会話で英語力と留学費用を貯めてから海外留学に行ける「ZEROから留学プラン」という独自のサービスを提供しているほか、留学・ワーホリからの帰国後の就職支援サービス「旅人採用」も展開しており、帰国後サポートも充実しています。手数料は全て無料で、カウンセラーは全員が海外経験者のため、はじめて海外留学を検討されている方でも安心して相談することが可能です。現状は留学費用がないものの、何としても海外留学を実現させたいという方にとてもおすすめのサービスです。
語学留学先を国別に見る
Yukari
最新記事 by Yukari (全て見る)
- 英語講師に聞く、日本人学習者が間違いやすい5つの英語表現 - 2021年12月6日
- 英会話講師が教える、オンライン英会話の効果的な受け方は?頻度や時間、準備方法も - 2021年8月6日
- 今注目のサーキュラーエコノミーとは?Circular Economyの理解に欠かせない英語キーワード10選 - 2021年4月14日
- オンライン英会話を始める勇気が出ない?初心者でも緊張しないコツ&役立つ英文法用語 - 2020年12月3日
- 英語学習を習慣化!日常に英語を取り入れるおすすめ勉強法5選 - 2020年10月28日