今注目のサーキュラーエコノミーとは?Circular Economyの理解に欠かせない英語キーワード10選

気候変動などの環境問題や、経済・産業関連のトピックで頻繁に登場する「サーキュラーエコノミー」という言葉をご存知でしょうか?日本では「循環型経済/循環経済」と和訳されることもありますが、「サーキュラーエコノミー」や、Circular Economy の頭文字をとった「CE」という表記も定着し始めています。

サーキュラーエコノミーとは?

それでは、一体サーキュラーエコノミーとは何でしょうか。一言で簡単にいうと、経済活動のモデルを表すコンセプトです。

これまでの我々の経済活動は、「リニア(直線)型」でした。リニア型の経済は、資源抽出→製造→消費→廃棄という一直線上で行われます。これに対しサーキュラーエコノミーは、これまでは使用後に廃棄されてきた原材料や製品も資源とみなし、リサイクルや再利用を行うことで、資源を「循環」させる経済システムを意味しています。新しい資源の利用は最小限にし、すでに使用されている資源を循環させていくという考えです。

リニアエコノミーとサーキュラーエコノミー

また、サーキュラーエコノミーの考え方では、ただ再利用、リサイクルするだけでなく、一製品のライフサイクル(≒「一生」)の始まり、つまり製品を生み出す段階から、「再利用やリサイクルを容易にする設計」にすることにも重点が置かれています。

現在EUは、サーキュラーエコノミーを経済政策の核心としており、このセクターでは世界をリードしていると言えます。一方で、国連をはじめ、世界各地でも多数の組織がサーキュラーエコノミーの推進を唱えており、コンセプトは欧州のみならずグローバルに拡大しています。

この機会に、英語でサーキュラーエコノミーについて少し学んでみませんか?「循環型」というコンセプトは単純ですが、この分野には気候変動などの環境問題が複雑に絡まっています。そのため、学んで行けば非常に奥が深い分野でもあります。

今回はまず初心者向けに、サーキュラーエコノミー関連のニュースを解読する上で役立つ英語キーワードをいくつかご紹介するとともに、実際の英文で使われている例を示します。

*日本語訳付きの例文は、日本におけるサステナブルなニュースを英語で配信する「Zenbird」の記事から引用しています。その他のリンクも、実際の記事やレポートです。キーワードの前後の文脈をもっと知りたい!と思った方は、添付のリンク先から原文を確認してみてください。

サーキュラーエコノミーを知るための英語キーワード10選

目次

1. Circular economy

循環型経済。従来の「Take(資源を採って)、 Make(作って)、 Waste(捨てる)」 というリニア(直線)型経済の仕組みの中で廃棄されていた原材料や製品を、二次資源として再利用し、循環させる経済システムを表す。欧州では2015年以来、この経済モデルが経済政策の核心となっている。

<例文>
Companies that specialize in disposable hygiene products are at the forefront of Japan’s progress toward adopting circular economy approaches.
使い捨て衛生用品メーカーは、日本においてサーキュラーエコノミー採用に最も積極的な姿勢を示している。

【引用元】Which Japanese industries are moving forward with a circular economy approach?

2. Linear economy

資源の抽出、製造、廃棄という直線型の経済モデル。Circular economyと対照してしばしば使われる。

<例文>
A linear economy has long been promoted in the name of productivity.
リニア型経済は、生産性という名の下に長期に渡って推進されてきた。

【引用元】What are the disadvantages of a linear economy?

3. Closed loop recycling

使用済みの製品を回収し、その再生材を同種の製品へ使用することを繰り返すタイプのリサイクル(例:回収したアルミ缶の材料で、新たなアルミ缶を作る)。再生材の品質を上げることによって、同種製品への使用が可能となる。廃棄物を出さないため「ループ(輪)を閉じる」と表現され、サーキュラーエコノミーの別名とも言える。

オランダ政府 From a linear to a circular economyより引用

【使用例】What is closed loop recycling?

4. Second life

直訳すると、「第二の人生」。使用済みの製品を、用途を変えて再活用すること。例えばEV(電気自動車)の使用済みバッテリーを、蓄電池として二次利用するなどの開発が行われている。

【使用例】Electric vehicles, second life batteries, and their effect on the power sector

5. Eco-design

製品やサービスのライフサイクルを通じて健康や環境への負荷を最小限にとどめると同時に、再利用やリサイクルを容易にする設計方針。

【使用例】Eco-design

6. Sustainability

この用語なしにはサーキュラーエコノミーは語れないくらい、頻繁に登場する用語。カタカナでサステナビリティと表記されることもあり、日本語では「持続可能性」。長期にわたって機能を失わず、持続していくシステムや過程。「サステナブル」と形容詞形でも使用される。

<例文>
Iki City is not just looking to be sustainable but also self-sufficient.
壱岐市は、サステナブルなだけでなく、自給自足を行う都市となることも目指している。

【引用元】SDGs Island: Pioneering Iki City as the model island of sustainability

7. Cradle to Cradle

「ゆりかごからゆりかごへ」という意味で、かつての英国の福祉制度「ゆりかごから墓場まで」という表現をもじって作られた。地球というゆりかごから調達する資源を、再びゆりかご(地球)へ戻すという概念。サーキュラーエコノミーを語る際に頻繁に登場する。C2Cと略されることもある。

<例文>
For businesses, it’s also important to design built-to-last or cradle-to-cradle products and packages and seek energy-efficient manufacturing processes.
事業には、エネルギー効率を上げる製造過程を実現し、製品や容器包装を「長寿命」あるいは「ゆりかごからゆりかごへ」の活用ができるよう設計することが重要である。

【引用元】What is zero waste?

8. Life cycle

一製品における「一生」と言う意味。原材料の抽出から精製、製造、使用、使用済みなどの過程を経る。

【使用例】The product life cycle

9. Upcycling

アップサイクルとは、廃棄物に新たなデザインやアイデアといった付加価値を持たせることにより、「生まれ変わらせる」ことを意味する。

<例文>
A Tokyo company that upcycles used kimono fabric has won an EcoPro Award for a circular economy initiative
古着の着物生地をアップサイクルしている東京の一企業が、そのサーキュラーエコノミーイニシアティブに対し「エコプロ賞」を受賞した

【引用元】Cross-border upcycled kimono fabric wins EcoPro circular economy award

10. Extended producer responsibility (EPR)

拡大生産者責任。生産者が、製品の生産および販売だけでなく、廃棄およびリサイクルまで責任を負うという概念。また、生産者が使用済みの製品を回収およびリサイクルし、その費用を負担するというシステム。欧州では様々な製品の生産者に対しこのEPRが義務付けられており、サーキュラーエコノミー推進において重要な役割を果たしている。

【使用例】Extended producer responsibility

まとめ

サーキュラーエコノミーに関する知っておきたい英語キーワード10選、いかがでしたか?一見難しそうですが、実はサーキュラーエコノミーの基本概念はシンプル。ただ、それを取り巻く分野では、特殊な表現や技術用語が多数出現するので、キーワードをまず覚えておくと、理解度がぐんと上がります。サーキュラーエコノミーは、世界各国で今後ますます推進されていくと思われますので、皆さん、ぜひ英語でCircular Economyにチャレンジしてみて下さい。

【関連サイト】Circular Economy Hub

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Yukari

オーストリア、ウィーン在住。日本の大学ではフランス語を専攻、卒業後は英国の大学院で国際政治を学ぶ。これまでロンドン、ニューヨーク、トロント、モントリオール、パリ、シンガポールに在住。各英語圏における英語の違いに興味を持つ一方、イギリス英語に魅せられる。現在はリサーチャーとして主に欧州における英語・フランス語圏の政策調査に携わる傍、執筆活動も行う。

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