「軸として」はこう訳す【通訳者も悩む日本語表現】

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みなさん、こんにちは!今回の日本語表現は『軸として』です。

「〜を軸として」は、ビジネスの会議や大臣のスピーチなどのフォーマルな場だけではなく、「人生の軸」のように日常的な場面でも使われる便利な言葉です。用途が多い言葉ほど、一筋縄では訳せない時が多いのですが、さてあなたならどう訳す?

【訳す時のポイント】
「軸」を他の言葉に言い換えてみよう

「軸」のように、それ単体では意味を判断しづらく、文脈によって広義に解釈できる言葉は、より具体的な言葉に言い換えてみましょう。今回ご紹介する例文は、場合によっては「そこまでは言っていない」というような思い切った訳であることにご留意ください。

  1. 「日本と世界をつなぐ架け橋となれる仕事」を就活の軸としています。
    My ambition is to become a bridge between Japan and the rest of the world through work.

    「就活の軸」は「将来仕事を通じて成し遂げたい大きな夢や展望」と解釈することができます。そこで、「大きな夢や展望」という言葉に着目し、ここでは”ambition”と訳出しました。状況によっては”dream”や”mission”を使うこともできます。

  2. 世界的に有名な日本人の芸術家はオーストラリアを軸に活動している。
    The world-renowned Japanese artist is based in Australia.

    「(場所)~を軸に」は「~を拠点として」と言い換えると、based in~という訳が出てくるのではないでしょうか。

  3. このプロジェクトの軸となるのは、「80年代ファッションの再流行」だ。
    The goal of this project is to bring back 80’s fashion styles.

    この訳例では、「軸」を「目的」と言い換えました。他にも”purpose”や”focus”を使うことができます。

  4. 「素材をそのまま活かす」ことを軸に、料理を創作しています。
    When I cook, I put the most importance on using ingredients as they are.

    料理を創作するうえで「最も重要な点」=「軸」と解釈した訳例です。

    また、「軸」を日本語でも使われる「モットー」に言い換えて、
    My motto when I cook is “use ingredients as they are.”
    と訳出することもできます。

  5. 彼を軸に、このサッカーチームは成り立っている。
    He is the heart of the team.

    「チームの軸」は「チームになくてはならない存在」=「心臓部」と言い換えました。
    「軸」という元の言葉を活かし、”pivotal player”という表現も使えますが、”heart”は常にそのチームの中核となる選手であるのに対し、”pivotal player”は「その試合のMVP」のような、短期的なニュアンスがあります。

    The pivotal player in the game was one who made three goals all by himself.
    (たった一人で三得点挙げた選手が、その試合のヒーローだった。)

  6. 日本を軸に世界的な技術革新が進んでいる。
    Japan plays a key role in technological innovation throughout the world.

    ここでは、日本が技術革新の「重要な役割を担っている」と解釈し、”play a key role”という表現を使った訳出をしました。

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