英語学習者にとって、洋画は「生の英語」のインプットを提供してくれる貴重なリソースです。洋画をじっくりと観ることで、新しい単語やフレーズに触れるだけでなく、教科書ではなかなか学べない文化的背景まで知ることができます。また、日本文化と欧米文化に多くの相違点があることからも、洋画鑑賞は視野を広げ、より洗練された言語的・文化的感覚を身につける手段として有効です。
【映画に学ぶ英会話】では、広く知られる名作や話題の映画に登場した実用的な英語表現を紹介します。シリーズ初となる今回は、英語圏出身者ならだれでも知っているような名フレーズを取り上げます。学んだ表現を使いこなすことで、ネイティブと文化的な知識を共有する楽しさも広がるはずです。
映画に学ぶ、型にはまらない感情表現とは?
今回はまず、会話での活用頻度が高そうな次の表現を取り上げます。
自分の意見を表現するとき、“I think…” を多用しすぎだと感じたことはありませんか?たとえば次の英文は、文法的には立派に成立しています。
- I think that he will be a great athlete one day.
(彼はいつか、素晴らしい運動選手になると思います。)
しかし、自分の意見や感じ方、直感のダイナミクスを表現したいときに “I think…” だけを使っていては、味気のない話し方に終始してしまいます。そこで “I have a feeling that…” を用いて言い換えをしてみましょう。
- I have a feeling that he will be a great athlete one day.
“I think…” で語る場合の単調さに比べ、文章がずっと生き生きとしている気がしませんか?ここからは、この “feeling” というワードを活用した知っておいて損のない洋画の名台詞を2つ紹介します。
『オズの魔法使』より
「トト、ここはもうカンザスじゃない気がするわ」
これは、1939年公開のアメリカ映画『オズの魔法使』(原題 “The Wizard of Oz”)で語られた主人公ドロシーのセリフです。
映画『オズの魔法使』を観たことがありますか?作中で使われた楽曲「虹の彼方に (Over the Rainbow)」は、日本でも広く知られている名作です。近年では、『ウィキッド (Wicked)』という続編もブロードウェイで制作され、ロングランとなりました。
主人公は、カンザスの田舎に住む少女ドロシーです。退屈な日常に飽き飽きとしている彼女は、ある日愛犬トトと共に竜巻に飛ばされて、魔法の国オズに行き着きます。(オズに到着した際に、モノクロ映像からカラーに変わる演出はとても有名です。)オズの華やかさに驚いたドロシーは、トトに“Toto, I have a feeling we’re not in Kansas anymore.”と語りかけます。
これは、アメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) による「アメリカ映画名セリフ100選」 にも選ばれた有名なセリフで、英語ネイティブならばほぼ誰もが知っているはずです。日本人学習者が “I have a feeling we’re… ” と発話すれば、『オズの魔法使』を鑑賞済みであることを理解してもらえるかもしれません。そこから会話もさらにはずんでいくでしょう。
応用
ではこのセリフは実際にどのように会話に応用できるでしょう。基本的に “I think…” はすべてこの表現に言い換えが可能ですが、”feeling” という言葉により、より強い感情を表現したものとなります。例えば、「疲れた」という感情を強く、かつユーモラスに表現したいとき、次のように活用することができます。
- “I have a feeling we’re not young anymore.”
「もう私たちは若くはないようだ(=だからスタミナが切れた)」
また、驚きや嘆きの感情も表すことができます。
-
“I have a feeling the age of democracy is coming to an end.”
「民主主義の時代は終わりつつあるのかもしれない」
このように、文頭につけるだけで驚き、悲しみ、喜び、感心などといった「強い感情」を表現できる、とても応用の利く言い回しです。また、将来のことを予測するときにも使用できます。
-
“I have a feeling our sales will go up the next quarter.”
「次の四半期のセールスはアップする気がします」
以上のように、“I think…” と同じくらい汎用性があり、かつ「感情の強さ」や「確信」などのニュアンスをこめられる表現です。様々な機会に使用できるので積極的に活用し、 “I think…” からの脱却を目指しましょう。
『スター・ウォーズ』より
「嫌な予感がする」
続いて “I have a feeling…” に類似した表現を、SF映画の名作『スター・ウォーズ (Star Wars)』から紹介したいと思います。第1作は1977年に公開され、世界的な大ヒットとなりました。8作目のエピソード『最後のジェダイ (The Last Jedi)』は昨年 (2017年) に封切られ、意外な展開のストーリーや多様なエスニシティのキャストが大きな話題となったのも記憶に新しいのではないでしょうか。
『スター・ウォーズ』シリーズでは、毎回いずれかのキャラクターが、冒頭のセリフ“I have a bad feeling about this.”を発します。このフレーズも、ネイティブなら確実に耳にしたことがあるはずです。そのため(相手が『スター・ウォーズ』のファンならば特に)英会話にスパイスを効かせるための心強い武器となるでしょう。
応用
次はこのセリフをどのように応用できるかを考えましょう。
まず、職場での英語のプレゼンで、プロジェクトの紹介を楽観的に行いたい場合には、こんな言い方ができます。
-
“This is the project we have been working on. We have a great feeling about it.”
「これが、私達が取り組んでいるプロジェクトです。うまくいくこと間違いなしでしょう」
TOEICなどのテストを控えているときには、次のように言ってみましょう。
-
“I am taking TOEIC tomorrow. I have a good [/bad] feeling about this.”
「あしたTOEICを受けます。うまくいきそうな [/失敗しそうな] 気がします。」
相手のプランに躊躇を示したい場合は、こんな言い方もできます。
-
“I don’t have a good feeling about this plan.”
「このプランがうまくいくような気がしないのですが」
このようにして、“I don’t like your plan.” や “I think it’s a bad plan” のような直接的すぎる意見を和らげることができ、相手の気持ちを害するのを避けられます。 “I have a … feeling” は、ネガティブなことをワンクッション置いて表現したいときに特に重宝します。
このように、主語と形容詞などに変更を加えるだけで、自分が感じていることにニュアンスを付けて、かつスタイリッシュに表現することができます。ポジティブなことにもネガティブなことにも応用でき、「直接的すぎる」こともないため、ビジネスを含め幅広い機会で活躍する言い回しです。
次の予告編でもこの表現が形を変えて登場します。探してみましょう!
まとめ
今回は、『オズの魔法使』と『スター・ウォーズ』で使われている “feeling” という言葉に焦点をあて、ニュアンスをつけた感情・意見の表現方法を探ってみました。英会話に「正確さ」は大切ですが、それにこだわるあまり単調な表現だけを使っていては、人を引きつける会話力は身に付きません。世界的に知られる名作映画のセリフを積極的に吸収し、自分でアレンジを加えることができれば、パンチが効いた表現が生まれるでしょう。
洋画は日々の英会話学習をいっそうおもしろいものとしてくれるだけでなく、ネイティブを感心させるような表現力を身につけるためにも強力なツールです。ぜひ「映画に登場しそうなセリフ」が英語で口をついて出るレベルを目指してください。
茂呂 宗仁
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