英語学習者の中には、すでに高度なリスニング力や語彙力を持ちながらも、「なぜか英語力が頭打ちになってしまった」と感じる方が少なくありません。
特に、学習法として定番になっている「シャドーイング」を日々実践しているにもかかわらず、なかなか効果を実感できないという声は多く聞かれます。
実はこの「シャドーイング」、もともとは同時通訳者の訓練法として導入されたものです。したがって、一般的な学習者が自己流で取り組んでも、本来の効果が発揮されにくいという落とし穴があるのです。
では、長年にわたってプロの通訳者を多数育ててきた通訳者養成スクールでは、どのようにシャドーイングを指導しているのでしょうか? そして、学習者が今日から取り入れられる、効果的な方法とは?
シャドーイングとは、そもそも何のための訓練か?
まず、シャドーイングとは、音声を聞きながらほぼ同時に、それを真似して発話する訓練方法です。特にリスニングとスピーキングの力を同時に鍛えることができる効率の良い訓練法だとされています。
その訓練効果の高さから、一般の英語学習者にも広まりました。しかし、とくにハイレベルな学習者ほど、「リスニングの力を鍛えなければならない」、「耳の力だけで教材を理解しなければならない」と考えるあまりに、準備をあえてせず、完全に初見の教材に挑もうとしてしまいがちです。しかし、実はこの「準備」こそが、シャドーイング成功のカギなのです。
「シャドーイングは準備が9割」という考え方
通訳者を目指す人たちですら、初めて聞く音声をすぐにシャドーイングできるわけではありません。通訳の訓練機関では「シャドーイングは準備が9割」という考え方を持つ講師もいます。言い換えれば、音声を聞きながらただ真似するのではなく、その前段階としていかに内容を深く理解し、自分の中に取り込めるかが最重要なのです。
シャドーイングに入る前の準備には、以下のような段階があります:
- 精聴(リスニング):音声を聞き、どの程度理解できるか確認する。
- スクリプト確認:台本を見て、知らない単語や表現をチェック。
- ディクテーション:聞こえた音声を書き取り、聞き取れない部分を特定する。
- オーバーラッピング:スクリプトを見ながら音声と同時に発話し、音とリズムを体得する。
これらの段階を経て初めて、シャドーイングに入る準備が整います。教材の内容がほぼ理解できる状態でシャドーイングを行うことで、リスニング力だけでなく、発音、抑揚、語順の感覚、さらには英語の「処理速度」まで向上していくのです。
ハイレベルな学習者こそ、基礎を丁寧に
意外かもしれませんが、通訳学校に通うプロ志望の受講生たちも、最初は基礎的なディクテーションやオーバーラッピングを繰り返しています。これは、「聞こえない音を聞こうとしても、そもそも再現できない」という現実があるからです。そのため、シャドーイングはひとつの教材をあつかう訓練の中では、いわば「仕上げ」といえる段階に位置づけられています。
もちろん、訓練を繰り返す中でレベルが上がれば、初見の音声にも対応できるようになります。そこからさらにレベルが上がると、「リプロダクション」と呼ばれる、内容を一度聞いたあとに要点を英語で再構成する高度な訓練に進むこともあります。
本来、シャドーイングとは“音声の再現”にとどまらず、“内容の理解と再現、表現の獲得”を目的としたトレーニングであり、それに至るプロセスこそが真の学習なのです。
今日からできる、効果的なシャドーイングの始め方
「やってはいるけど、効果を感じられない」という方は、まず自分のシャドーイングのやり方を見直してみましょう。以下の点をチェックしてみてください:
- 音声を聞いたとき、意味がすぐに取れているか?
- 聞き取れない単語や表現を放置していないか?
- 同じ教材を繰り返し使っているか?
「英語が速すぎて、シャドーイングをしようとしても音に追いつけない!」などと感じている方は、まずは十分に時間をかけて準備をしてみましょう。
プロソディ・シャドーイングとコンテンツ・シャドーイング
ここまで読んでいただいた方の中には、「シャドーイングというのは、内容よりも音声の再現に集中する訓練なのでは?」と思われた方もいるかもしれません。
一般的にシャドーイングには、音声の正確な再現を目的とした「プロソディ・シャドーイング」と、内容を理解しながら再現する「コンテンツ・シャドーイング」の2種類のメソッドがあるとされています。
ここまでご紹介してきた、通訳訓練校で実践されている方法は、このうち「コンテンツ・シャドーイング」にあたるものなのです。
とはいえ、プロソディ・シャドーイングに効果がないかといえば当然そんなことはありません。プロソディ・シャドーイングは口から発する音声の精度を高めるための訓練であり、聞いた内容を素早く正確に理解し、再現するためのコンテンツ・シャドーイングを組み合わせて行うことで、真に高いスピーキング能力を身につけることができるのです。
そしてもちろん、プロソディ・シャドーイングを行う際にも、わからない語彙を調べておくなどの準備をしっかりと行うことが大切です。
通訳者養成スクールが教える、伝統のシャドーイングメソッド
ここまでの内容で、「シャドーイングには準備が大切」ということを理解していただけたと思います。
それでは、準備を終え、いよいよ実際にシャドーイングを始めるときには、どんなことに気をつけて実践すればよいのでしょうか?
その答えが気になる方のために、プロ通訳者・翻訳者養成校であるインタースクールでは、2025年夏、オンラインセミナー「英語力は10分で変わる! 現役通訳者が教えるシャドーイング術」を開催します!
1966年に設立されたインタースクールは、日本で最も歴史ある通訳者・翻訳者養成機関のひとつであり、シャドーイングをいち早くプロの訓練法に取り入れてきた先駆的なスクールです。半世紀以上にわたり国際舞台の第一線で活躍する通訳者を多数輩出しており、その指導法は理論と実践に裏打ちされたものです。
オンラインセミナー「英語力は10分で変わる! 現役通訳者が教えるシャドーイング術」では、現役の通訳者でもあるスクールの講師が登壇し、教材の選び方、準備の方法、発音のポイント、効果的な練習サイクルなどを直接指導します。プロを目指す方はもちろん、「独学で伸び悩んでいる」という方にも、学び直しのきっかけとして最適な内容です。
まとめ:シャドーイングの効果を最大化するために
シャドーイングは、ただやみくもに音を追いかける練習ではなく、聞こえてきた音・意味・表現を瞬時に理解しアウトプットする高度な技術です。英語の上達を実感できないと感じている方は、まず「準備」に立ち返り、教材の選定や聞き取り、オーバーラッピング、ディクテーションなどを丁寧に実践することをおすすめします。
プロの通訳者も、何百時間という基礎訓練を経て初めて「聞きながら話す」力を習得しています。あなたのシャドーイングも、やり方次第で確実に進化します。もし自分の方法に不安があるのなら、ぜひ専門家の指導を受け、効果的なトレーニング法を学んでみてはいかがでしょうか。
セミナー概要

タイトル:英語力は“10分”で変わる!現役プロ通訳者が教えるシャドーイング術
日時:2025年8月31日(日)15:00〜16:00
形式:Zoomウェビナー(オンライン開催)
参加費:無料
対象:
✓仕事で英語を使う機会が増えてきた方
✓ 英語の「聞く・話す」力を効率よく伸ばしたい方
✓海外とのやり取りにもっと自信を持ちたい方
申込方法:インタースクール公式HPのセミナー申込フォームよりお申込みください。

English Hub 編集部

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