皆さんは「DMEメソッド」という言葉を聞いたことがありますか?英語を本格的に勉強している方や過去に語学学校に通った経験のある方であれば、一度は耳にしたことがあるかもしれません。DMEメソッドは2007年に新しく生まれたメソッドであり、カランメソッドやダイレクトメソッドほどの長い歴史はありませんが、誕生してからわずか4年間で既に世界19カ国、400校以上がカリキュラムに導入したという実績を持つメソッドです。これほど急速に世界へ浸透しているのであれば、その効果は絶大だと期待せずにはいられません。ここではこのDMEメソッドとはどんなメソッドなのか、その具体的な方法や効果・メリット・デメリットも含めた解説を徹底的にご紹介したいと思います。
DMEメソッドとは?
DMEメソッドは、1800年代後半に使用され始めた直接教授法であるダイレクトメソッドをもとに開発されました。オーラルコミュニケーションをメインとした英会話学習法で、主にベルリッツメソッドとも呼ばれるこの教授法は、母国語を介さずに取得したい言語(英語)のみを用いて語学学習をします。英語で言われたことをそのまま英語で理解し、英語で返答を考えるという直接教授法による語学習得を目指すやり方です。
このダイレクトメソッドは、取得したい言語での質問と答えをひたすらリピートしていく学習法ですが、その効果は絶大であったため様々なスクールで応用され、独自のメソッドが作られてきました。DMEメソッドもその中の一つであり、2000年初めにポーランドのDMEスクールで発案されました。
カランメソッドとの違い
カランメソッドとDMEメソッドは、基本的にはダイレクトメソッドから発案されたメソッドになるので、その効果や方法は似ています。とはいえカランメソッドと異なる部分もいくつかあります。カランメソッドとDMEメソッドの異なる点は主に下記4つです。
- 文法学習
- 会話のキャッチボール
- 自由な発言
- 実践的なエクササイズ
1. 文法学習
DMEメソッドにはカランメソッドにはない文法学習がしっかりと組み込まれている。テキストを使っての文法テストもプログラムの中に入っているため、話すことだけでなく同時に文法の勉強もできる。
2. 会話のキャッチボール
カランメソッドは、「先生からの質問」→「生徒による決まった返答」という一方通行のみで繰り返す練習法だが、DMEメソッドは、会話のキャッチボールを訓練できるコミュニケーションエクササイズレッスンが追加されており、生徒側からも質問を投げかけることができる。
3. 自由な発言
DMEメソッドは、テキストに書かれている答えをそのまま発音するだけではなく、自分自身でその返答や文章を自由に考えて発言することもできるため、英語で聞いたことを英語で考えるという英語脳をまんべんなく鍛えることができる。
4. 実践的なエクササイズ
2012年から開始されたDMEメソッド3rdエディションでは、コミュニケーションエクササイズレッスンがより多くカリキュラムに組み込まれたため、さらに実践的なエクササイズとして進化している。
DMEメソッドの授業内容
DMEメソッドはダイレクトメソッド(直接教授法)を使用しているので、授業での基本的な学習法は「先生が質問したことへの回答を繰り返す」というレッスン内容になります。この手法は小さな子どもが親から自然に母国語を習得する過程をモデルにしています。ネイティブスピーカーの言葉の真似をして会話をし、文法、熟語、英単語、発音、文法表現などを個別に勉強するのではなく、これら全てを会話の中で学習していくのです。
とてもシンプルなレッスンなので一見したところ難しくないようにも見えますが、先生が質問をする内容に即座に回答するという練習をひたすら繰り返していくため、常に高い集中力が求められ、脳の疲労感はかなりあります。そして、この「先生の質問」→「生徒の回答」という繰り返しのスピードが徐々に通常の会話よりも速いスピードで行われるようになっていきます。
また、DMEメソッドはどの英語レベルの人あってもかならずステージ1から始めます。その理由として、DMEメソッドの基礎をしっかりと固めなければ、その先のステージで勉強をしてもメソッド自体の効果を存分に得られないためです。DMEメソッドの授業の基本的な流れは下記の繰り返しで進みます。
スピーキングリスニング
ネイティブスピーカーそのままの速さで先生が生徒に質問をします。生徒は、その質問にフルセンテンスでしっかりと回答します(回答がわからなくても先生がリードしてくれます)。回答を覚える必要はありませんが、そのかわり先生の発音とアクセントをしっかりと真似て発音します。
会話では常に英語の省略形(I am = I’m, I would = I’d)を使うように心がけることです。ネイティブスピーカーは、会話をするときに必ず英語の省略形を使って話をします。この省略形でのリスニング・スピーキングになれることが重要です。の練習を繰り返していくことで、英語への反射能力とリスニング力を鍛えます。
レビュー
DMEメソッドの授業は、前回の復習から始まります。毎回の復習と各ステージでの総復習など、これら復習を徹底することで、単語や言い回し表現などを習得していきます。
グラマーエクササイズ
ステージごとに3〜5つのグラマーエクササイズがあります。先生の指示に従って回答していくのですが、このエクササイズをすることで英文作成能力を養っていきます。
コミュニケーションエクササイズ
先生からの質問に答える基本レッスンの逆パターンを練習します。生徒からも先生に質問するのです。このことにより一方的に質問に答えるだけでの受け身ではなく、より実践的な形でのコミュニケーション能力とスピーキング力の強化に繋がります。
リーディング&ディクテーション
発音やアクセントチェックのためのリーディングとリスニングとスペリング強化のための練習であるディクテーションを必要な場面に応じて継続的に学習します。
DMEメソッドの効果
DMEメソッドをステージごとにしっかりと学習していくことで、通常の4倍という驚異的なスピードで英語を習得できると言われています。その効果として、通常の英会話を350時間学習することで得られるレベルと、たった80時間学習しただけのDMEメソッドで得たレベルがほぼ同じものになると公表されています。効率的に英語学習をしたい方にとってはとてもおすすめのメソッドです。
また、「先生からの質問→生徒が回答」という基本のレッスンスタイルのスピードを徐々にはやめていき、通常の会話より速いテンポで授業が展開するので、ネイティブスピーカーが話すリアルな英会話に楽についていけるようになります。さらには、会話のスピードを早めることで母国語である日本語を考える隙を与えずに、英語を英語で理解し考えるという英語脳を自然な流れで作っていくこともできるのです。
DMEメソッドのメリット・デメリット
さまざまな効果を短時間で得られると人気のDMEメソッドですが、もちろん全てに万能というわけではなくそれぞれメリット・デメリットが存在します。ここでは、DMEメソッドのメリットとデメリットについてお話しします。
メリット
DMEメソッドのメリットとしては下記が挙げられます。
- ネイティブの会話についていけるようになる
- 英語脳が鍛えられ、英語の返答速度が上がる
- さまざまな表現の文法を習得することができる
- 初心者にも向いている
ネイティブの会話についていけるようになる
英語初心者からもスタートできるといわれているDMEメソッドですが、ネイティブスピーカーの先生が話す英語のスピードは通常の速さのままレッスンが展開されるため、初めは戸惑ったとしても回を重ねるごとにその英語のスピードに慣れることができ、結果、先生以外の外国人と話す際の会話でもすんなりとその速さについていけるようになります。
英語脳が鍛えられ、英語の返答速度が上がる
先生の質問に対し、生徒はその回答を即座に返答するのが主なレッスン内容ですが、もし生徒が質問に答えられなかった時は、先生が考える時間を与えずにその質問の回答を答え始めます。そのため、回答に出遅れた場合は、先生の回答をシャドーイングすることになるので、すぐに英語が脳に流れ込んでくるため、英語脳を鍛えると同時に、瞬時に回答するという速度も向上します。
さまざまな表現の文法を習得することができる
DMEメソッドは、先生の質問の内容を復唱しプラスその回答を答えるという、フルセンテンスでの回答方法を取り入れています。そのため、これまでの英会話の中で使いこなせていなかった英文や言い回しなども発音することになり、さらにはこれらの反復作業でより多くの文法を身につけることができます。普段の生活でも自然と使えるようになるため、より実践向きのメソッドといえます。
初心者にも向いている
英語の上級者だけでなく、初心者にも向いているのがDMEメソッドです。反復練習によるスピーキングとリスニングの力を底上げするだけではなく、細かい文法にまでしっかりとカリキュラムが組まれていますので、取りこぼしがない形で英語に関するそれぞれの分野を向上させることができます。
デメリット
一方でDMEメソッドのデメリットとしては下記が挙げられます。
- 反復練習を「面白くない」と感じる人もいる
- どの英語レベルの人もステージ1からの受講になる
反復練習を「面白くない」と感じる人もいる
DMEメソッドは、初期のステージのうちはひたすら先生の質問や回答のおうむ返しとシャドーイングがメインとなってきます。徐々に、生徒から先生へと質問をする機会が得られる「コミュニケーションエクササイズ」もレッスンの中には登場しますが、それまではこの反復作業が続くのです。そのため英語を話すという楽しさを感じることができなく、面白くないと感じる方もいるようです。
どの英語レベルの人もステージ1からの受講になる
これは必ず!というわけではありませんが、DMEメソッドを受講するにあたり英語の上級レベルの人であっても最初の段階であるステージ1からの受講を推薦されています。いわゆる英語脳を鍛えるための下地として、脳に染み込ませる基礎となるDMEメソッドの土台を作るステージ1が非常に大切だとされているからです。実際は途中のステージからの受講も可能ですが、メソッド自体の効果がなくなるといわれています。
こんな方におすすめ
上記で説明したメリットやデメリットも踏まえると、DMEメソッドは下記のような方におすすめと言えます。
- 徐々にレベルが上がっていくので英会話に慣れてない方や英語初心者の方
- フリートークスタイルのレッスンで英会話の上達が感じられない方
- 英語を楽しんで勉強するというよりも訓練する感覚で集中して英語学習ができる方
- スピーキングやリスニングと同時に文法も学習したい方
DMEメソッドは、各ステージしっかりと段階を踏んでレベルが上がっていくようにカリキュラムが作られています。そのため、人によりさまざまですが、瞬時的に効果を感じれるというよりは、ある程度まとめてレッスンを受けた後に効果を感じられることが多いようです。
また、DMEメソッドの基本レッスンからもわかるように、授業中は生徒であるあなた自身もひたすら英語を話します。そのため、英語を話すという機会が必然的に他の英会話レッスンより多くなります。そして、もともと積極的に会話をするのが苦手な方にとっても、回答を発言することが必須となるため自動的に英語を話す機会を得ることができます。
反復練習が退屈だと感じてしまうかもしれませんが、そこを乗り越えることができれば、このメソッドの効果は抜群にあるので、最短で英会話力や英語力を上達させたい方はぜひ一度試してみてください。
DMEメソッドが学べるオンライン英会話
DMEメソッドの英会話レッスンを受けることができるオンライン英会話サービスをご紹介します。興味がある方はぜひ一度試してみてください。
イングリッシュベル
イングリッシュベルは、英会話学校として日本初、オンライン英会話スクールとしては世界で初めて「DMEメソッド」を導入したスクールです。通常の4倍速で英語が身につくと言われるDMEメソッドのクラスをレベル別に受講できるほか、カランメソッドやTOEICなどの試験対策にも対応しています。また、国際品質規格「 ISO9001 」も取得しており、教師経験と人柄の二軸で厳選されたフィリピン人講師陣は全員がオフィスからレッスン提供するなど、レッスン品質の高さに定評があります。DMEメソッドで英語を学びたいという方に大変おすすめできるオンライン英会話です。
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