「なんでも思いついたことをポンポン口に出す。」海外で活躍する日本人インタビュー(第11回)

「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」

English Hub編集部オリジナルインタビュー企画「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」は、英語を使って海外で活躍している日本人ビジネスマン・ビジネスウーマンの方から、これまでのリアルな体験に基づいておすすめの英語学習法やビジネスの現場で英語を使う際のポイントを教えてもらうコーナーです。プロの英語講師でもネイティブでもなく、皆さんと同じ日本人英語学習者の立場としてどのように英語と向き合い、乗り越えてきたのかを等身大の姿で語ってもらうことで、必ず今後の勉強に役立つヒントが見つかるはずです。ぜひインタビュー内容を参考にしながら英語学習のコツを掴みましょう。

今回のゲスト:麻野 ゆきさん

第11回目となる今回は、現在カナダのケベック州モントリオールに在住し、美容師として活躍されている麻野さんにお話を伺いました。

名前 麻野 ゆきさん
職業 美容師
居住地 カナダ・ケベック州・モントリオール
主な学習法 ネットのニュースを読む・聞く
麻野 ゆき

インタビュー

Q:現在の職業と仕事内容について教えてください。

美容師です。カナダは色んな国からの移民の方が多いので、多種多様な毛質の方の髪を扱わせてもらっています。

Q:いつから本格的に英語を学び始めましたか?

大学が外国語大学だったので、言語学、英文学へと勉強の幅を広めました。海外からの留学生も多かったので英語での授業を受けたり、留学生の友達と英語で話したりする機会に恵まれました。在学中に留学もしたので、この時に今までインプットされてきた英語をアウトプット出来るようになりました。

Q:ある程度英語を使えるようになったと実感するまでにどのくらい期間がかかりましたか?または、どんなときにそう感じましたか?

半年くらいですかね。語学留学中(日本人はよく言われるように)、文法では高得点を取れるので上級のクラスに入ったんですが、ヨーロッパや南米からの留学生が話すスピードや独特のアクセントについていけず、最初はボーッと、ひたすら聞くだけの状態になりました。

しかし2、3ヶ月すると慣れて来て、会話の内容も理解でき、口もだんだん早く動かせる様になり、半年くらいの英語漬けの生活で、もちろん完璧ではないですが、分からない単語や表現があっても、自分の言葉で置き換えたりなど、日常生活に困らないくらいの英語は使えるようになりました。

Q:英語を使えるようになっていったプロセス(どのように学んだか)を教えてください。

「英語ってかっこいいなぁー。」と好きなミュージシャンやハリウッドスターへの憧れから入りました。正直、英語の授業は好きではなかったですが、言語の仕組み、文法を知ってることは外国人として言語をマスターする上で重要なので、ちゃんとやってて良かったと思います。

留学をして生の英語の世界に触れ、先生の綺麗な英語だけではなく、現地の若者が使う言葉や流行り言葉、そして他国からくる留学生の癖のある英語に慣れていきました。そのうち読みづらいハンドライティングの文字も読める様になり、在学中は、英語で読んだり、考えたりする方が楽なくらいになりました。

ある程度言語の仕組みが理解でき、単語量が増えればあとは使って慣れるのみです。(日本語も使わなければ衰えます。)

Q:英語をマスターする上で一番必要だと思うことは何ですか?

パッションと勇気。

言葉って勉強しなくても、誰でも通常の社会生活を送っていれば最低1言語は話せる様になるものですよね。でも、日常生活で接しない外国語の場合「その言葉好き!話せる様になりたい!理解できる様になりたい!」って思わなければ、言語学習は、非常にツマラナイものになってしまう。何でもそうですが、パッションがあると俄然やる気が違いますし、楽しんで学べます。

あとは、やはり話す勇気。歌のテストと同じで下手でも大声でハッキリ歌った方が良い。ずーっと歌ってると声も出る様になるし、上手になるし、何より話すのが楽しくなります。

Q:海外で仕事を探している時に、どうやって求人を探していましたか?また、今の仕事はどうやって見つけましたか?

気になる美容室に直接行ってCV(履歴書)を置きまくりました。門前払いの様なところもありましたが、CVなしでもその場で軽い面接をしてくれるところもあり、美容師として仕事を得るのはそれほど難しいとは感じませんでした。

ただ外国で仕事をする以上は労働許可書が必要なので、そのビザサポートまでしてくれる美容室というのはさすがに見つからず、自分で移民手続きをし永住権を得ました。そして、再度就職活動をし、働きたいと思っていた美容室がたまたま求人を募集をしていたので、今に至ります。

Q:海外で仕事を得る際に、努力したことや準備したことを教えてください。

その国で働けるステイタスを手にいれることです。私の場合は美容師として仕事を探すことよりも、外国人美容師のビザサポートをしてくれる美容室を探すのが難しかったので、なら、自力で移民申請して永住権を取った方が早いと思い行動しました。

その際、日本の大学卒業と現地の美容学校での学歴、これまでの職歴、英語、フランス語の語学力の証明はとても役に立ちました。

Q:仕事の現場で英語を使うとき、どんなことを心がけていますか?

お客様は、英語が母国語でない方、または同じ英語圏でもイギリスやアメリカ、オーストラリアなど、表現の違う土地から来られる方もいます。カウンセリングの際は、リクエスト内容を自分の言葉で相手に確認をしながら、ハッキリ、ゆっくりと説明し、写真などのイメージ画像を使って行っています。日本語話者同士でも、髪に関する感覚は人それぞれ違く意思疎通が難しいときもあるので、英語でのカウンセリングは特に気をつけています。

Q:英語を使えるようになって一番よかったことは何ですか?

やはり、英語圏のみの人だけでなく、色んな国の人と英語を通じてコミュニケーションができることですね。日本語だけでは絶対交われなかったような、場所や人との出会いが広がり、自分の視野も広げられました。

当初の憧れであった、英語の映画を字幕なし吹替なしのオリジナルで楽しめ、海外旅行も気楽に行けるし、ネットショッピング等も英語記載であれば理解できるので楽しめます。

Q:異なる国の人々と接する際に、日本人とはここが違うなと思う点を教えてください。

それぞれの国の人のステレオタイプは、ある程度「当たっているなぁ。」と感じることは多いですが、どの国の人も個人的に知れば知るほど、日本人だから、外国人だからといった違いは大してないなぁーっと思えてきます。

ただ、宗教心が強い方も多く、服装や食など日常生活に宗教が深く関わってくる方達の生活は、日本とは違うなぁと感じました。

Q:英語力を維持・向上し続けるために心がけていることはありますか?

オリジナルが英語のものは、英語のまま読み、聞く。映画はもちろん、ニュースアプリで政治、経済からエンタメまでザッと目を通します。単語や意味が分からなくても基本は流し読みをしますが、気になることに関してはたまに調べたりもします。

世界中のニュースで元記事が英語の場合は、気になったニュースをオリジナルの英語版で読みます。そうするとニュアンスが違ったり、もっと詳しい情報が載っていたりするので面白いです。

それから、綺麗な表現や話し方をする人を見つけたら、真似をする、その表現の仕方を盗むようにしています。

Q:今までで一番効果的だと思った学習方法を教えてください。

スピーキングについて

ハッキリ、大きな声で、とにかく話す。自分よりちょっと上手く喋れる人と会話をし、真似をする。会話力・社交性をつける。私は、大人数の前で発言するのが苦手で、必要最低限のことしか話さない子だったのですが、無口、お喋り下手、会話が続かない人だと、英語の上達も遅いので、とりあえず、なんでも思いついたことをポンポン口に出すようにしました。英語を話すようになってから、無駄話も増えた気がします。

ライティングについて

日記をつける。自分が書きたいお手本になる本を読みます。

リスニングについて

ニュースを見る&聞く:ハッキリきれいな言葉で話してくれるので、学習者にはわかりやすいです。
ラジオを聞く:声だけなので、集中できます。特にイヤホンで聞くとスッと入ってくる気がしておすすめです。
ドラマをみる:医学系や法律系等だと専門用語が難しいですが、ドラマが一番日常生活で使う会話の参考になります。

リーディングについて

ニュース記事を読む。ある程度、単語力がついた状態であれば、なるべく辞書を引かずにひたすら読みます。TOEFL、日本の大学受験用などの試験問題に出てくる長文読解用の文書などを読みこなすのもおすすめです。読めば読むほど、絶対に早くなります。

発音について

声に出してゆっくり発音に気をつけながらアナウンサーにでもなったつもりで読む。あまり早口ではない英語の歌を歌う。(歌だと真似しやすい)特に苦手な発音の単語は、舌の位置、口の開け方、動かし方等を把握し、気を付けながら発音する練習をします。

Q:おすすめの英語教材や参考書などがありましたら教えてください。

意外と中学校の英語の教科書レベルでも簡単な日常会話レベルは網羅していると思います。もう少し本格的にしたければ、TOEFLやTOEICの問題集を繰り返し行い、語彙力を増やすには、色んな分野のニュース(新聞)を読むのもおすすめです。

リスニングやスピーキングは、最近ではネットの発達でYoutubeやオンラインでのランゲージ・エクスチェンジ。他国の人とのチャットルームなど色々あり、まさに生きた英語に容易に触れられる便利な時代なので、どんどん利用するべきだと思います。

Q:最後に英語学習中の読者に向けてのアドバイスを一言お願いします。

麻野 ゆき

語学は続けていれば、絶対に伸びます。逆に、使わないと衰えるので(特にライティングやスピーキング)、継続して常に意識して使い続ける事が大切です。「好きこそ物の上手なれ」楽しんで英語学習をするのが一番です。

インタビュー後記

今回は、カナダで美容師として活躍中の麻野ゆきさんへのインタビューでした。

麻野さんがお話してくださった英語学習のポイントのなかでも、効果的な学習法としてなるほど!と感じた点は「ある程度、単語力がついた状態であれば、なるべく辞書を引かずにひたすら読む」というリーディングの学習法でした。確かに、わからない単語をその都度調べながら勉強をしていると読むテンポが遅くなり、最終的にどんな話だったのがわからなくなったという状態に陥ることもあります。

長文読解は、英語に慣れてきてもなかなか挑戦しづらい範囲ではありますが、読み込むことは自分一人でもできる学習法ですので、努力すればした分だけ上達するという点はやる気にも繋がるのではないでしょうか。

また、大人数の前で発言するのが苦手で、必要最低限のことしか話さない子だったという麻野さんですが、英語のスピーキング上達のために「思いついたことをなんでも言葉に出すようにした」というお話もとても印象に残りました。英語をマスターする上で必要なことは、勇気だとおっしゃっているように、外国語を話すことと、内気な性格だった自分を変えることという二つの壁を努力により乗り越えたからこそ、今の麻野さんがあるのだなと感じました。

カナダで活躍されている麻野さんからは、その姿勢も含め英語学習のヒントとなるアドバイスをたくさんいただけました。ご協力どうもありがとうございました!

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カナダ在住。各地図書館の本を読破することが楽しみの一つ。いわゆる本の虫。言葉や文字にとても惹かれ、現在は英・仏語を話し、国内外で語学講師の経験を持つ。移住を機にリモートワーカーとなり執筆、翻訳、通訳、取材、商品紹介のキャッチ等を手がける。述べ20カ国以上を旅した経験から世界は繋がっていると体感し、国も人種もボーダレスな人生を謳歌する一児のママ。(ブログ:https://sasaki.themedia.jp/