英語を勉強している方の中には「どんなに語彙を増やしたりテキストや問題集で勉強をしたりしていても、いざ人と話すとなるとなぜか英語が出てこない。」「相手の話している内容は分かるのに、言いたい言葉が全く浮かばない」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
あんなにたくさん勉強して、相手の話している内容も分かっているのに英会話ができないなんて不思議ですよね。これは、リーディング・ライティングはそこそこできるのに、そのレベルにスピーキングが追いついてないという典型的な日本人の英語学習者によくあるケースです。
ぱっと言葉が出てこないのは、普段から英語を話す機会が少ないため慣れていないという理由もあるかもしれませんが、それ以外にも鍛えるべき能力があります。それは「英語で簡潔に文章を作る力」です。そして、その力を訓練する方法としておすすめなのが「ハーバード式英語学習法」と呼ばれる学習法です。ここでは、ハーバード式英語学習法について解説します。
ハーバード式英語学習法とは?
「ハーバード式英語学習法」とは一体どんなものなのでしょうか。このメソッドが重要視しているのは、「英語を書く力を鍛える」という点です。スピーキング能力を上げたいのに、なぜライティングスキルを高める必要があるのでしょうか。
その理由は、ずばり「書けない英語は話せない」からです。また、英語を話すことより英語を書くことのほうがはるかに簡単でハードルも低いため、スピーキング力を上げるためにはまずライティング力を上げるのが効果的なトレーニングとなるのです。
このメソッドは、世界的に有名な教育機関であるハーバードのビジネススクールで取り入れられている手法です。このビジネススクールには、英語を母国語としないノンネイティブの学生を対象にした「英語で生き抜く技術」を教えるプログラムがあります。そして、そのプログラムの中で最重要項目としてあるのが、エッセイの書き方という「英語を書く」プログラムになります。
この「エッセイ(essay)」は、日本語でいうところの「随筆」ではなく、相手に伝えることを前提にした「自分の考えをしっかりと整理して書いたもの」になります。
英語を話すときは、相手とのコミュニケーションや会話のリズムが崩れないよう、すぐに応答する必要があります。応答が遅くなってしまうと、その場がしらけてしまったり話を聞いてないと思われてしまったりします。しかし、英語を書くときは、時間に余裕を持ってゆっくりと書くことができるため、より自分の考えや意見をしっかりと伝えることができます。
書けない英語はどんなに頑張っても話すことができません。そのため、英語がペラペラと話せるようになるには、英語を書くことから始めるほうが取っ掛かりやすくよりスピーディに英語を話せるようになるのです。また簡単に練習できるため、挫折せずに長く続けることができます。英語を書く力を鍛えることが、スピーキング力をアップさせる。これが「ハーバード式英語学習法」の肝となる部分です。
伝える力を磨く「5行エッセイ」とは?
ハーバード式英語学習法では、シンプルな5行エッセイを書きます。特に難しい単語や言い回しをしなくても大丈夫です。自分の意見や考えを伝えることに重点を置きましょう。この5行エッセイを書くときのコツとして3つのルールがあります。
1. 冒頭に結論を書く
あなたの意見や考え、または伝えたいことを言い切ります。「私は◯◯が好きだ」「私は◯◯と思っている」というような表現を使ってうまく結論を導いて英文を作成します。
2. 理由を3つ挙げる
結論を述べたら次にその結論の理由を3つ挙げます。結論には必ず理由がありますよね。その理由を述べるのです。3つ挙げるというのは、2つ以下だとなんだか頼りないけれど3つあるととりあえず安心という心理が人間にあるからです。難しくなく簡単なものとポンポンと挙げてみてください。
3. 結論を繰り返す
最後にまた結論を述べます。結論を述べる方法は、冒頭の結論とまったく同じことを書く「反復」と、同じ意味ですが違う言い方で書く「換言」という書き方があります。
それでは5行エッセイを作ってみましょう。
- I like spring best.(私は春がいちばん好きだ)
- The weather is warm.(天候が暖かい)
- I can see a lot of cherry blossoms.(たくさんの桜の花が見れる)
- I get to take off my huge and heavy coat.(大きくて重いコートが脱げる)
- My favorite season is spring.(私の好きな季節は春だ)
また、英語がうまく話せない人の共通点として、英語力以前の問題として「そもそも話す内容があまりない」という課題があります。日本では自分のことを語らず謙虚に人の話を聞くことが美徳とされていますが、海外ではそうはいきません。海外では常に「あなたはどう思っているのか?」を聞かれ、自分の意見を伝えることが求められます。また、それがビジネスシーンや交渉の場面であれば、その思いや意見に明確な理由も必要となります。一言で言えば英語は「ロジカル」であることが求められるのです。
ハーバード式英語学習法は、この日本人が弱点とする部分を訓練し、自分の意見を持つことができるという点でとても効果的な学習法だと言えます。
本の紹介
このハーバード式英語学習法をもっと詳しく知りたいという方は、このメソッドを自身も経験し推進している、青野仲達さんの著書「グローバル時代を生き抜くための ハーバード式英語学習法」をぜひ読んでみてください。青野さんは、ハーバード大学経営大学院でMBAを取得し、現在はビジネス・ブレークスルー大学経営学部の教授と株式会社GABA(Gabaマンツーマン英会話)の代表取締役社長として活躍されています。
まとめ
「結論を述べるー理由を3つ挙げるー結論を繰り返す」これを意識したシンプルな5行エッセイを書くだけで、確実に自分の意見を英語で言えるようになり、英語のスピーキング力をアップすることができます。
ハーバード式英語学習法は、むやみに大量の英単語を覚えたり、英文法をひたすら暗記したりするよりもより効率的に記憶に残る方法で英語学習をすることができます。自分の意見を英語でしっかりと伝えられるようになれば、自然と他の英語話者とも堂々とコミュニケーションが取れるようになります。
この5行エッセイは、普段の会話やスピーチにも活用することができます。練習したエッセイの中には、あなたらしい意見や理由がたくさん散らばっていることでしょう。これらの文を自分の意見を発言するときにぜひフル活用してください。
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