グローバルな職場で成果を出すためには、どのような英語力が必要なのでしょうか。国際的なビジネスの現場において、「日常英会話は問題ないものの、会議の場では存在感を発揮できない」「多国籍のチームの一員として十分な貢献ができていない」など、英語面でのさまざまな課題を抱える人は少なくありません。
そこで今回は、短期集中型ビジネス英語スクール「ベリタス(VERITAS)」の創業者である戸塚隆将氏に、仕事で求められる英語力とその習得方法についてお話を伺いました。
戸塚氏は、ハーバード経営大学院でMBAを取得し、ゴールドマン・サックス、マッキンゼーでキャリアを積み、世界最高峰のグローバルビジネスエリートたちと切磋琢磨した経験を持ちます。
「ネイティブスピーカーへの憧れを払拭し、ノンネイティブとして、自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える英語力を習得することが大切」という戸塚氏の考えの背景にある理由に迫ります。
1974年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2007年、シーネクスト・パートナーズ(現ベリタス株式会社)を設立、代表取締役に就任。同社にて短期集中型ビジネス英語スクール「ベリタス(VERITAS)」を主宰。著書に40万部のベストセラーとなった『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(2013年、朝日新聞出版)、『世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法』(2018年、ダイヤモンド社)など多数。
インタビュー目次
グローバルキャリアで成果を出すための英語力とは?
グローバルビジネスの現場で求められる二つのスキル
──グローバルビジネスを推進するためには、どのようなスキルが必要ですか。
まず、グローバルな環境下では、さまざまなテーマに対して自分の意見を明確に持っていることが求められます。さらに、ビジネスとしての成果を出すには、ロジカルかつ簡潔に、自信を持ってその意見を伝える力が欠かせません。
英語での会議に出席していても、自ら意見を主張できなければ単なる聞き手になってしまい、それでは会議に参加していないのと同然です。
仕事を任された際、周囲と協力して目標を達成するには、説得力の高い英語のアウトプットスキルが必要です。
──世界で通用する英語のアウトプット力とは、具体的にどんなスキルですか。
ここでいう英語力とは、ネイティブスピーカーのように流暢に話すことだけを指しているのではありません。むしろ、ノンネイティブである日本のビジネスパーソンが目指すべきは、論理性や説得力の高さにフォーカスしたアウトプット力の強化です。
グローバルな舞台で働く日本のビジネスパーソンに求められているのは、自らの意見を英語で堂々と発信するためのスキルです。そして、そのようなレベルに達することは決して不可能ではなく、明確なゴールを設定し、最短距離の学習に取り組めば、誰でも到達できるのです。
高いアウトプットスキルを持ったビジネスパーソンが増えれば増えるほど、日本の競争力復活への道筋がみえてくるでしょう。
──語学力のほかに身につけておくべき資質やスキルはありますか。
グローバルビジネスの場では、英語力に加えて、リーダーシップのマインドセットを持つことが大切です。
リーダーシップといっても、従来型の親分肌のリーダー像だけを想定しているわけではありません。受け身にならず、批判者にならず、目の前の課題を解決する第一歩を自ら踏み出す勇気を持つことこそ、私はリーダーシップと捉えています。
これは、私がハーバード経営大学院で学んだ最も大切な考え方です。在学中、さまざまな分野について議論を交わす度に、必ず登場するのが「リーダーシップ」というキーワードでした。また、リーダーシップは、努力次第で誰もが身につけられるスキルセットだということも学びました。
──リーダーシップと英語のアウトプット力の掛け合わせによって生まれるメリットはありますか。
リーダーシップのマインドセットを持つことで、英語の習得にもポジティブな影響があります。
「会議に参加してその内容を理解できるようになりたい」などの受動的な目標だけでなく、「もっと多くの仲間と協力しながら、世の中をよくしていきたい」というリーダーシップのマインドセットがあれば、自然と英語のアウトプットにも身が入ります。
このことから、リーダーシップと英語のアウトプット力は、相互に関連の深いスキルセットだといえるでしょう。
英語力向上のカギを握る、明確なゴール設定の重要性
──自ら堂々と発信するための英語力を身につける過程で大切なことは何ですか。
日本人学習者が英語を学ぶ際、「ネイティブスピーカーのようにならなければいけない」と意識するあまり、本来目指すべきゴールや成果指標が曖昧になってしまうことがあります。
しかし、私たちのゴールはあくまでも、英語を使って仕事で成果を出すことです。そのために必要な英語力は、「自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える力」であり、「ネイティブスピーカーのように話すこと」ではありません。
ビジネスの場で使える英語力を身につけたいのであれば、まずはこのゴール設定を間違えないことが大切です。
また、一定量の学習を積めば、誰でも英語が上達するのは間違いないでしょう。しかし、目標設定が曖昧なまま学習をしていると、その分時間がかかり、成果が出ないまま途中で挫折してしまう可能性もあります。
最短距離で目標に到達するには、英語スクールに一定期間通い、正しい目標設定の仕方と学習アプローチを身につけることが有効です。その後、学んだ内容を意識しながら独学を続けると、継続的なレベルアップが見込めるでしょう。
アメリカ留学中の悔しい経験が英語習得プログラム立ち上げのきっかけに
──英語習得プログラム「ベリタス」は、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか。
私がベリタスを立ち上げた背景には、ハーバード経営大学院に留学中に、自分の英語アウトプット力の不十分さを痛感した経験があります。
最もショックを受けた瞬間は、当時のハーバード大学の学長であり、元米国財務長官のローレンス・サマーズ教授が、日本経済に関する特別レクチャーを行った時のことです。1,000人超の学生・教授陣が一堂に会する中、1時間以上に及んだレクチャーの大半において、サマーズ教授は日本経済に対してダメ出しをしました。
私は、その場にいた数名の日本人学生のうちの一人でしたが、とても悔しくなり、何かを言い返さないといけないと思いました。大講堂の中で自ら手を挙げて英語で反論するには、勇気が必要です。
それでも、あまりの悔しさから我を忘れるような状況で、レクチャー後の質疑応答の際に真っ先に挙手をし、反論を含めた質問をしました。しかし、当時の私の英語での発言には説得力が欠けており、サマーズ教授はその後も日本経済のダメ出しを続ける結果で終わってしまったのです。
帰国後、自分の英語アウトプット力を強化するにはどうすべきか、試行錯誤をしました。そして、私自身を含めた日本のビジネスパーソン全体が、効果的に英語力を向上させることができるプログラムを作ろうと考えました。
ハーバードに留学していた当時、私はTOEFLでかなりの高得点を取得していましたし、日常英会話で不自由を感じることはない状況でした。日本人のスタンダードで考えれば、私の英語力はすでにハイレベルだったといえるでしょう。
それでは、なぜ私の英語力では太刀打ちできなかったのか。
留学前の私の英語学習における目標は、「ネイティブスピーカーに近づくこと」であり、不必要に早口で、流暢に長々と英語を話そうとしていました。
そのため、大講堂のマイクを通した私の発音には不明瞭さが残ってしまった上、結論メッセージがわかりにくくなり、説得力に欠けていたのです。
ネイティブスピーカーのような英語を目指し、それで実際にネイティブスピーカーになれるのならばよいですが、現実としてそのようなことはありえません。海外に長い間住んでその土地の言語を話していたとしても、ノンネイティブとしての癖や不自然さは常に残るでしょう。
当時の私は、ハーバードの学生たちの仲間に入りたいという一心で英語を学びましたが、アメリカ人の英語を100点とした場合、私の英語は当然90点、80点にも満たなかった。アメリカ人を一流の話者としたら、私は二流、三流の話者でした。
帰国後、日本人がノンネイティブとして、どのようにしてグローバルな場で成果を出せるのかを追求しました。ベリタスのプログラムには、私自身の失敗経験が詰まっています。また、ベリタスがスタートした2012年以来の、多くの卒業生の方たちの汗と涙の結晶でもあります。
そうして何年もブラッシュアップを続けてできあがったのが、今のベリタスのプログラムです。この英語習得プログラムは、今でも絶えず進化を続けています。
目指すべきは「自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える力」
──他の英語スクールとは異なる、ベリタスならではのプログラムの特徴は何ですか。
ベリタスの最大の特徴は、理想とする英語像を明確に定め、そこから逆算してプログラムを設計している点にあります。
ベリタスでは、目指す英語像を「自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える力」と定義しています。プログラムの中で取り組む課題やプラクティスは、このゴールに直結するように設計されており、自宅課題およびクラス内でのコーチング内容・アプローチも含めてすべてがつながっています。
ベリタスのコーチングは、タイムマネジメントやモチベーション面のサポートというより、英語でのアウトプットに必要なスキルとアプローチを具体的に明示することに焦点を置いています。プラクティスに取り組む受講生の方に対し、個別かつ具体的なフィードバックを提供しながら学習のサポートを行います。
──ベリタスのプログラムは、受講生のスキル向上やキャリアアップにどのような影響を与えていますか。
ベリタスには、明確な目標を掲げて英語学習に臨もうというモチベーションの高い方が集まっています。
受講生の方々は、英語でロジカルかつ簡潔に意見を伝える力を身につけた結果、長期的な視点でのグローバルなキャリア形成に対する自信を深めています。
さらに、受講の成果として、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなど、海外支店への異動にチャレンジする方も少なくありません。
受講から何年か経った後、海外駐在を経て本社勤務に戻った卒業生がベリタスのクラスルームを訪れてくれることもあり、私たちにとっても大きな刺激になっています。
ネイティブスピーカーへの憧れを捨て、別の土俵で勝負する
──グローバルなビジネスシーンでのステップアップを目指す英語学習者へメッセージをお願いします。
英語学習においては、ネイティブスピーカーへの憧れを捨て、明確なゴールを設定することをおすすめします。
正確で明瞭な発音の習得は大切ですが、ネイティブスピーカー並みのスピードにこだわる必要はありません。また、不必要に難易度の高い単語を使って冗長な英語にならないよう、結論メッセージを明確にした上で話すことが重要です。
ネイティブスピーカーの英語力を100点と定義すると、英語を母語としない私たちには、永遠に100点満点は取れないでしょう。しかし、実はこの土俵で勝負する必要はなく、この領域において100点を目指す必要もないのです。
「ネイティブスピーカーの英語」ではなく、「説得力のあるコミュニケーション力」をゴールとした場合、60点しか取れないネイティブスピーカーもいれば、80点を取れるノンネイティブスピーカーもいます。そして、日本のビジネスパーソンは、この土俵の上では100点を取ることが可能です。
ベリタスには多様な国籍のコーチがいますが、プログラムで使用する教材について多面的に議論する際、説得力あるコミュニケーション力を有しているかどうかは、ネイティブ・ノンネイティブという点とは全く無関係です。
説得力ある英語のコミュニケーション力は、まさに「自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える力」と同義です。
だからこそ、どの土俵で相撲を取るべきかを再定義することが大切です。
私たちにとって必要なのは、説得力の高い英語アウトプット力の習得にフォーカスすることです。正しい目標を設定した上で全力で努力すれば、短期間でも大きな成果が生まれます。そのために学習者の皆さんをサポートするのが、ベリタスの使命だと考えています。
編集後記
「グローバルビジネスの場で必要とされるのは、ネイティブスピーカーのような流暢な英語ではなく、ロジカルかつ説得力に富んだアウトプット力である」という戸塚氏の指摘に、新たな気付きを得た方も多いのではないでしょうか。
「自分の意見をロジカルに、堂々と、簡潔に伝える力の習得」を目標に掲げ、常にそのゴールを意識しながら英語学習に臨むベリタスのプログラムは、高いモチベーションを持つ多くのビジネスパーソンから選ばれています。
理想とする英語力と現実とのあいだで行き詰まっている方は、本当に必要な英語スキルとは何なのかを改めて考え直すことで、目標達成への新たな道が開けるかもしれません。
ベリタス(VERITAS)概要
サービス名 | ベリタス(VERITAS) |
URL | http://www.veritas-english.jp/ |
運営会社名 | ベリタス株式会社(Veritas Inc.) |
スクール所在地 | 東京都港区三田2-14-5 5F 「三田駅」より徒歩5分 |
入学金 | 55,000円 |
コースと料金 |
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※表内に記載の金額はすべて税込です。最新情報については、ベリタス(VERITAS)のウェブサイトをご参照ください。
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English Hub 編集部
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