洋画レビューは英語で読もう! おすすめ海外映画情報サイト2選

ネット配信サービスの普及により、洋画や海外ドラマを通してますます気軽に英語が学べるようになりました。高価なDVDを購入しなくても、ネット環境さえあれば多数の作品を何度でも視聴することができます。その一方で、大量のコンテンツからどの作品を選べばいいのか混乱してしまうこともあるでしょう。

そこで役に立つのが海外、特にアメリカの映画情報サイトです。映画大国であるアメリカには多くの良質なサイトが存在します。こうしたサイトを日常的に訪れることで、英語を通して海外映画を知ることができます。見るべき映画を選びつつ、英語力が伸びるという一石二鳥の効果が望めるのです。ここでは、特に英語を学ぶことを考えて厳選したアメリカの映画サイトを2つ挙げ、その活用法もご紹介します。

まずはオリジナルの英語タイトルを確認しておこう

海外のサイトを利用するにあたって、まずは映画のオリジナルの英語タイトルを確認しなくてはなりません。しばしばカタカナで表記された邦題がありますが、元のタイトルとはかけ離れたものもしばしばです。代表的なものは、ヴィン・ディーゼル主演で日本でも人気の『ワイルド・スピード』シリーズがあります。以下、このシリーズの邦題とオリジナルを比較してみましょう。

  • 1作目『ワイルド・スピード』→ “The Fast and the Furious”
  • 2作目『ワイルド・スピードX2』→ “2 Fast 2 Furious”
  • 3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』 → “The Fast and the Furious : Tokyo Drift”
  • 4作目『ワイルド・スピードMAX』→ “Fast and Furious”
  • 5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』→ “Fast Five”
  • 6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』→ “Fast and Furious 6”
  • 7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』→ “Furious 7”
  • 8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』→ “The Fate of the Furious”

以上からわかるように、たとえ邦題にカタカナやアルファベットが使われていても、原題とはかけ離れているケースが少なからずあります。そのため、”Wild Speed” と検索しても海外サイトではヒットせず、また英会話で “I like Wild Speed movies” と言っても、ネイティブには何のことか伝わりません。

原題をすばやく調べるためには、「Wikipedia」を活用してみましょう。まずは『ワイルド・スピード』と日本語で検索し、その後PCの画面左に表示される「他言語版」で English をクリックすれば、英語版の記事が表示されます。このやり方で原題を簡単に調べることができます。

また、同じ手段でヨーロッパ等の「非英語圏」映画の英語タイトルを調べることも手軽にできます。例えばフランス映画の名作『勝手にしやがれ』や『大人は判ってくれない』は、英語圏ではそれぞれ “Breathless” と “400 Blows” のように訳されています。お気に入りのヨーロッパ映画の「英語タイトル」をチェックし、頭に入れておくと、ネットでの検索や英語で映画トークをする時にとても役立つでしょう。

映画情報サイト紹介① Rotten Tomatoes

Rotten Tomatoes は、アメリカでも最大手の映画・TVドラマの情報サイトです。使い方は非常に簡単で、トップページ上にある検索ボックスに英語タイトルを入力すれば、その映画の人気度をひと目で見ることができます。このサイトでは2種類の採点基準があり、ひとつは多くの批評家による評価をもとにしたもの(Tomatomater)、もうひとつはファンによる人気度のスコア (Audience Score)です。

ここで、世界中で人気を博した2016年のミュージカル『ラ・ラ・ランド(La La Land)』の評価を見てみましょう。Tomatometer では91%、Audience Score は81%と評価されており、批評家とファンの両方から高い人気を得ているのが見て取れます。さらに、Rotten Tomatoes には “Critics Consensus(批評家の一致した意見)”という短い紹介文があるので、それを引用します。

La La Land breathes new life into a bygone genre with thrillingly assured direction, powerful performances, and an irresistible excess of heart.

La La Land (2016) – Rotten Tomatoesより引用)

「『ラ・ラ・ランド』は、ワクワクさせる確かな演出と力強い演技、そして抑えがたい躍動感に満ち、過去のものだと思われていた(ミュージカルという)ジャンルに新しい命を吹き込んでいる。」

このように、”Critics Consensus” では、簡潔かつ活き活きとした英語で映画のエッセンスを伝えてくれます。この文章を活用すれば、次のような会話ができるようになるでしょう。

  • A:Have you seen La La Land?
  • B:Yes, I loved it so much!
  • A:Oh, how come?
  • B:Well, the performance is powerful, and the direction is thrilling. It’s one of the most irresistible musical movies I’ve ever seen!

以上のように、Critics Consensusで使われていた言葉や言い回しを用いれば、映画について説得力のあるダイナミックな会話ができるようになります。映画について話すにあたって “It was interesting” や “The music was great” のような平坦な感想で終わってしまいがちだった人も、これを機により豊かで洗練された感想の述べ方を目指してみましょう。会話もきっと弾むはずです。

映画情報サイト紹介② RogerEbert.com

次にご紹介するのが、アメリカでもっとも権威ある映画評論家であった故ロジャー・イーバート (Roger Ebert) が開設した RogerEbert.comです。多数の批評家たちの意見を点数に換算した Rotten Tomatoes とは異なり、このサイトでは イーバート個人が、各作品を★の数で採点しています(★4つが最高点)。また、優れたライターでもあった彼が、自身の感想をエッセイとして綴っているのもユニークな点です。2013年に彼が死去したあとは、多くのプロの批評家や映画作家が執筆を分担することで、サイトが運営されています。

本サイトの最大の魅力は、イーバートや他のトップ評論家たちによって書かれた膨大な数の英語のエッセイに、すべて無料でアクセスできる点です。お気に入りの映画についてのエッセイをここで読むことで、楽しみながらリーディング力や語彙力を向上させることができます。加えて、英語でレポートやエッセイを書く必要のある人たちにとって、このサイトの記事は長すぎず短すぎず、さらにロジカルに書かれているため、良い参考になるでしょう。

例えば、2008年にイーバートが四つ星を与えた『ダークナイト』 (“The Dark Knight”) についての記事の「出だし」と「終わり」の段落を引用してみます。日本でも高い人気を誇る本作を、アメリカの批評家はどのように評しているのでしょうか?

“Batman” isn’t a comic book anymore. Christopher Nolan’s “The Dark Knight” is a haunted film that leaps beyond its origins and becomes an engrossing tragedy. It creates characters we come to care about. That’s because of the performances, because of the direction, because of the writing, and because of the superlative technical quality of the entire production. This film […] redefine[s] the possibilities of the “comic-book movie.”

The Dark Knight Movie Review & Film Summary (2008) | Roger Ebertより引用)

「『バットマン』はもはやマンガではない。クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』は、その原作の枠を超え、心揺さぶる悲劇となっている。視聴者は登場人物たちに関心を寄せずにいられない。これは、演技、演出、脚本、そして映画制作過程全般における、素晴らしく質の高い技術によるものだ。この映画は[中略]、「コミック映画」の可能性を再定義している。」

次が「締め」の部分、すなわちコンクルージョンになります。やや難解な言い回しですが、読解にトライしてみましょう。

In his two Batman movies, Nolan has freed the character to be a canvas for a broader scope of human emotion. For Bruce Wayne is a deeply troubled man, let there be no doubt, and if ever in exile from his heroic role, it would not surprise me what he finds himself capable of doing.

The Dark Knight Movie Review & Film Summary (2008) | Roger Ebertより引用)

「ノーラン監督は、彼の2作のバットマン映画で、人間の感情が幅広く描かれるキャンバスとしてそのキャラクターを解放したのだ。ブルース・ウェイン[バットマンの本名]は間違いなく、深い苦悩に満ちた男である。彼がヒーローの役割を失い、それでも何かを成し遂げるとしても、意外なことではない。」

以上の引用箇所(エッセイの始めと結論)を読むと、英語ライティングの大切な基礎を学ぶことができます。まずは出だしで、イーバートは簡潔に映画の優れている点(演技、演出、制作技術)を列挙し、「バットマンはもうマンガではなく」、「心を揺さぶる悲劇」だと断言します。このように「自分の主張 (thesis)」を始めに置くのが、英文エッセイの基本です。日本語では「ポイント」がエッセイの最後にだけに書かれることが多いですが、英語では出だしと結論部の2箇所で繰り返すことがルールなので、ぜひしっかり覚えておきましょう。

2番目の引用(コンクルージョン)を読むと、「バットマンはもはやマンガではない」ことと、『ダークナイト』が「コミック映画の再定義」をしている理由が、より詳しく書かれています(「人間の感情が描かれるキャンバスとしてのキャラクター」の箇所)。このように、出だしで打ち出した「自分の主張」を、より深めた形で言い直しながら締めくくるのが、優れた英語ライティングの秘訣です。「主張を2回、初めと終わりで繰り返す」ことは、英語でスピーチやプレゼンをするにあたっても有益なテクニックなので、ぜひこのサイトのエッセイを読みながら体得していきましょう。

まとめ

洋画を観ることは、英語学習にとって様々なメリットがあります。そして、せっかく洋画の世界にひたるのならば、ぜひ「情報検索」も英語でおこなってみましょう。本国での批評家やファンの意見を日ごろからチェックすることで、ネイティブと映画について会話するときに話がより弾むようになるでしょう。さらに、優れたサイトの文章から英語の使い方を学んでおけば、より豊かでダイナミックな表現ができるようになります。このような英語スキルは、映画がトピックのときのみならず、英語が必要なあらゆる場面で重宝します。お気に入りの映画がグローバルな舞台でどのように評価されているか、さっそく検索してみませんか?

【参照サイト】Rotten Tomatoes
【参照サイト】 RogerEbert.com

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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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