IELTS(アイエルツ)ライティング対策におすすめの勉強法

「文章を書く」というスキルを上達させるのは、たとえ母国語でも簡単なことではありません。外国語である英語のライティング力を向上させ、IELTS(アイエルツ)での高得点を目指すためには、効率的な方法でトレーニングを行うことが必要となります。

IELTSのライティングでは、正確なスペリングをはじめとして、文法、文章構成の流れなどにも気を配る必要があります。特に英語の文章を書くにあたっては、日本語で文章を書くとき以上にロジカルな構成が求められます。

今回ご紹介する勉強法を参考に英語でのライティング力を磨きましょう。

1. IELTSライティングテストの構成

ライティングテストの所要時間は、「アカデミック」でも「ジェネラル・トレーニング」でも60分です。内容は、どちらのモジュールも「タスク1」と「タスク2」に分かれています。それぞれの字数については、

  • タスク1:最低150語
  • タスク2:最低250語

を求められるので、注意しましょう。タスク2のスコアはタスク1の2倍の配点になります。

通常のIELTSでは、黒鉛筆での筆記となりますが、2019年に導入された CDI(Computer-delivered IELTS)では解答がタイピングとなります。

ライティングのセクションでは、たとえば次のような能力が問われます。

  • write a response appropriately
  • organise ideas
  • use a range of vocabulary and grammar accurately

【出典】IELTS test format explained

【サンプル問題】
サンプル問題はこちらからダウンロードできます。

アカデミック・モジュール

  • タスク1:グラフや図表などが書かれた問題用紙が与えられ、その概要をまとめ、情報を記述します。「データの比較」や「物事の手順」などについて、客観的なスタイルで記述することが求められます。
  • タスク2:ここでは、与えられたテーマに関してのライティングとなります。通常は議論や問題提起を行いながら、結論に至るという形式で記述します。

ジェネラル・トレーニング・モジュール

ジェネラル・トレーニング・モジュールの流れは、アカデミック・モジュールと同じですが、出題内容がより「一般的な(general)もの」となる点で異なります。

  • タスク1:ここでは、与えられた状況について「情報を要請」したり「説明を依頼」するなどの手紙を作成します。パーソナルなスタイルで書いても大丈夫な場合もあれば、よりフォーマルなスタイルで書かなくてはならない場合もあります。このタスクに関しては、英文での手紙の書き方(住所や宛名、日付を入れる場所など)をおさえておくことが大切です。
  • タスク2:こちらは、一般的な題材に関しての短いエッセイの作成となります。文章のスタイルは、改まったものである必要はありません。

2. IELTSライティングテスト対策・おすすめの勉強法

IELTSの4項目の中でライティングに一番苦手意識を感じる人は少なくないでしょう。英文を「書く」には、英語の文法、語彙、正確な綴りに加えて、表現力や文章力、構成力も必要になります。例えば、リーディングは、出題されるテキストの中に書かれている内容を読み取ることで解答が可能ですが、ライティングについては、テーマや題材が与えられているだけで、これを元に、ゼロから解答を自分で組み立てて白紙の紙に生産しなければなりません。

ここからは、IELTSライティングテストに向けての対策としておすすめの勉強法をご紹介します。

「書く訓練」を重ねる

ライティングを上達させるには、「書く訓練」を重ねることが大切です。母語の日本語であっても、文章力や表現力には個人差があることを考えると分かりやすいでしょう。ライターや作家など、書くことを専門としている人は皆、書く訓練を重ねています。英語のライティングでも同じことが言えます。もちろん、テストではライターのような表現力は求められていませんが、文法も語彙も綴りも正確に書けていても、文章の構成ができていなかったりすると、読む人に理解させたり、納得させたりすることは難しくなります。

準備期間にできるだけ多くの作文に取り組み、英語ネイティブの英語講師など、文章の添削に慣れている人にチェックしてもらいましょう。そして、添削された箇所は必ず復習し、どこが間違っていたのかを全て把握してから、次の作文に取り掛かるようにしましょう。

IELTSライティングテストの出題傾向をつかむ

作文の練習の際は、IELTSライティングテストの形式を意識して学習しましょう。入手可能なIELTSの模擬問題や公認問題集などにできるだけ多く取り組むことで、出題(テーマ)の傾向がわかります。また、IELTSのライティングでは、ミニマムワード数が設定されています。タスク1では150語、タスク2では250語ですので、このワード数に従って練習しましょう。試験が近づいてきたら、以下のステップで、繰り返し作文することをおすすめします。

  • IELTS公認問題集や対策問題集などからテーマを選ぶ
  • 時間を計る(決められたテスト時間に沿う)
  • 作文の題材について、文章を構成する。全体の構成を書く前に考える。
  • ワード数を念頭に入れながら手書きで書く。スペルを正確に綴る。

冠詞と定冠詞の使い方を確認

日本人が苦手とされる冠詞と定冠詞の使い方も強化を図っておきましょう。冠詞くらいと思いがちですが、実は冠詞の使い方が違うと意味が違ってくることを覚えておきましょう。特にアカデミックレベルでのライティングでは、このような一見些細なことのように思える点が、非常に重要になってきます。

転換語の知識を強化

作文では、transitional words(転換語)が適切に使えることも大切です。できるだけ多くの転換語を使いこなせるようになることを目指して、作文の練習に取り組みましょう。転換語とは、例えば「for example」「furthermore」「consequently」のように、話題を転換させるときに使われる語です。

転換語を学習する際は、単語のみを暗記するのではなく、実際のエッセイや小論文などアカデミックな文章や、英文で書かれた手紙のサンプルなどを読み、どのような文脈の中で、使われているかを考えながら覚えることをおすすめします。

【参考】Writer’s Web: Transitional Words and Phrases

まとめ

今回はIELTSのライティングテストとその対策について、ご紹介しました。ライティングスキルを向上させるには、語彙や文法の知識だけでなく、正しいスペリング能力、文章の構成能力、問題のスタイルに応じて適切に解答する力など、多くの要素を強化する必要があります。苦労するプロセスかもしれませんが、ライティングの力は英語能力のひとつとして欠かせません。日頃から英文を書くことに慣れ親しんで、自分の英語力の幅を広げていきましょう!

※本文中の記述は、2020年4月現在の情報に基づくものです。変更の可能性がありますので、最新の情報については運営団体の公式サイト等でご確認ください。

【参照サイト】IELTS Academic Test Format – IELTS Progress Check
【参照サイト】Information for Candidates Introducing IELTS to test takers
【参照サイト】アイエルツ 日本版受験者向け情報
【参照書籍】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集

記事監修:
正木 伶弥先生(バークレーハウス語学センター IELTSシニアインストラクター)

ブリティッシュ・カウンシル公認 IELTSエキスパート。14歳時、同機関の奨学金により、英ゴスフィールドにあるボーディング・スクールへ1か月間、人生初の留学。翌年中学校卒業後またすぐ渡英し、別のボーディング・スクールを経て、ロンドン大学クイーン・メアリー校へ進学・卒業。同校卒業直前にCELTA (Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages) を取得し、帰国後はIELTSをメインに指導。2017年からバークレーハウスに勤務。その他にも、TOEFL iBT120点、英検1級取得後、IDP公式IELTS教員研修修了(日本第一号)。2022年には書籍『はじめてのIELTS対策トレーニング』を出版。

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Yukari

オーストリア、ウィーン在住。日本の大学ではフランス語を専攻、卒業後は英国の大学院で国際政治を学ぶ。これまでロンドン、ニューヨーク、トロント、モントリオール、パリ、シンガポールに在住。各英語圏における英語の違いに興味を持つ一方、イギリス英語に魅せられる。現在はリサーチャーとして主に欧州における英語・フランス語圏の政策調査に携わる傍、執筆活動も行う。