IELTS(アイエルツ)リスニング対策におすすめの勉強法

今回は、IELTSのリスニングテストのための対策をご紹介します。

IELTSのリスニングテストで聴き取る内容自体の難易度は、大学・大学院レベルの学生にとってそれほど高くはないでしょう。しかし、解答方法が少し複雑になっているという、思わぬ落とし穴があるので気をつけたいところです。設問の指示をよく読み、それに従って解答するように注意しましょう。

また、多くの日本人学習者にとって馴染みのあるアメリカ英語だけでなく、イギリスやオーストラリア・ニュージーランドなど、様々な地域で話される多様な英語が用いられているのも、IELTSにおけるリスニングの特徴です。IELTSのリスニング対策を様々な英語の発音に触れる機会と捉え、前向きに取り組みましょう。

IELTSリスニングテストの構成

リスニングテストの所要時間は30分で、その後に紙と鉛筆で受験するIELTSでは解答記載時間が10分、コンピューターで受験するIELTS(CDI:Computer-delivered IELTS)では見直し時間が2分与えられます。リスニングで問われるのは、たとえば以下のような能力です。

  • understand main ideas and specific factual information
  • recognise the opinions, attitudes and purpose of a speaker
  • follow the development of an argument

(「IELTS test format explained」より)

問題数は40問で、内容はアカデミック・モジュールと、ジェネラル・トレーニング・モジュールで共通となっています。

  • 選択問題
  • 組み合わせ問題
  • 計画・地図・図表の分類
  • 用紙・ メモ・表・フローチャートの穴埋め
  • 要約・文章完成
  • 記述式問題

といった問題が出題されます。

試験のパートは4つのセクションに分かれています。録音された音声を聞いて解答するテストですが、音声は一度しか流れません。ただし、聞きとった情報をメモしておくことが可能です。

セクション1は、日常生活における2人の人物による会話(宿泊施設の予約など)です。
セクション2は、日常生活におけるモノローグ(地域の施設に関する描写、食事の手配に関する説明など)です。
セクション3は、教育の現場における複数(最大4名)の人物間(課題について話し合う大学の指導教官と生徒、研究計画について議論する学生など)の会話です。
セクション4は、学術的なテーマに関するモノローグ(大学の講義など)です。

(「アイエルツ 日本版受験者向け情報」より)

スピーカーのアクセントは、イギリスの標準アクセントだけではありません。アメリカやオーストラリアなど、多様なアクセントのスピーカーが登場します。「アメリカ英語話者とイギリス英語話者との会話」などが例として挙げられます。

【サンプル問題】
サンプル問題はこちらからダウンロードが可能です。また、解答用紙(Answer Sheet)もリンク先のページの下の方でダウンロードできますので、ぜひ活用しましょう!

IELTSリスニングテスト対策・おすすめの勉強法

多様な発音を聞き取れる耳を鍛える

リスニング対策で重要なのは、「耳の訓練」をすることです。リスニングテストには様々なアクセントの英語が登場しますが、もしこれまで「アメリカ英語」中心に学習してきたのならば、まずは「イギリス英語」の発音に慣れておくことをおすすめします。例えば、イギリス英語では、アメリカ英語とはイントネーションや発音が異なるため、もしアメリカ英語に耳が慣れていると、聞き取りにくいと感じる場合もあります。

リスニングの教材としては、ニュース報道、テレビ番組、映画などがおすすめです。こういった題材は、オンラインやYouTubeなどで簡単に聴くことができますので、興味のあるトピックを選択して聴くとよいでしょう。また無料のオンライン・ラーニングなどを利用して、講義を聴くのもおすすめです。

定期的に英語を聴くことを習慣づける

耳を慣らすには、定期的に、できれば毎日少しずつでも英語を聴くように習慣づけましょう。通勤や通学の間にヘッドフォンを使って聴いたり、自宅でBGMのようにして聴いたり、常に英語が流れているような環境に身をおきましょう。

また聴きながら同時に英語の発音を繰り返す「シャドーイング」を取り入れるのもよいでしょう。

メモを取る訓練をする

耳が十分に慣れてきたら、ただ聞き流すだけでなく、学習時間をとって聞いた情報を思い出す作業をしてみましょう。例えば、ニュース番組であれば、「5W1H:when, why, what, who, where, how」を聴き取って、聴き終わった後で手書きで紙にまとめてみるなどの練習をしましょう。ある程度メモにまとめられるようであればしっかり覚えていられた、という証明です。

もし電話番号やホームページのURL(例えば会社の広告など)などが流れる音源であれば、聴き終わった後でなく、その場で書き取ってみましょう。IELTSのリスニングテストでは、会話の中で口頭でスペルアウトされた単語や数字を解答用紙に書くように指示されることがあります。ネイティブによる普通の会話のスピードで聴くアルファベットや数字は、速すぎて全て書き取れない場合もあります。またイギリス人とアメリカ人ではアルファベットの発音にも違いがあるものがあるので、こういった違いにも対応できるように、イギリス英語とアメリカ英語の「基本的な発音の違い」をマスターしておくことをおすすめします。

リスニングテストでは、音声の放送は1回しか聴くことができません。情報を聞き漏らすことのないように、英語で聞いた内容をなるべく頭に留めておく練習を繰り返し行いましょう。IELTSは音声を聴きながら、同時に解答を入れていくことが求められる問題が大半ですので、メモを取ったりするのはなかなか困難です。CDIの場合であれば、問題が表示されているスクリーンから一度目を離し、手元の受験者情報などが書いてある紙の余白にメモを取る事になるため、さらにさらにハードルは上がってしまいます。万が一聴き逃した、またはその場では答えが埋まらなかった問題は、後で記憶に頼って解答を入れますので、記憶力は大事なテーマです。

また、ナレーションの速さにも慣れておく必要があります。ニュース報道やトーク番組などの会話は非常に速い場合があります。それでも正確に情報を聴き取れるようになるために、たくさんの英語の「音」を聴きましょう。

まとめ

IELTSのリスニングテストの概要と対策について、ご紹介しました。

リスニングテストの放送は一度しか流れないため、聞き漏らしがないように、なるべくネイティブスピードでも聞いた情報の処理が間に合うよう、聞こえた中で重要だと思う情報を優先的に意識する癖をつけましょう。もし聞き逃してしまったり、解答作業が追いつかなくなってしまったら、後でその記憶を頼る事になります。

また、公認問題集などを用いたトレーニングを繰り返しつつ、テストのスタイルに慣れることも大切です。模試で訓練をかさねていれば、IELTSのテスト形式に十分に慣れることができるでしょう。リスニングが上達すると、IELTSでのスコアが向上するだけでなく、英語でのコミュニケーションや映画・ドラマ鑑賞などがより楽しめるようになります。自分の弱点をみつけて一つひとつ強化し、リスニング力アップを目指しましょう!

※本文中の記述は、2020年5月現在の情報に基づくものです。変更の可能性がありますので、最新の情報については運営団体の公式サイト等でご確認ください。

【参照サイト】IELTS Academic Test Format – IELTS Progress Check/
【参照サイト】Information for Candidates Introducing IELTS to test takers
【参照サイト】アイエルツ 日本版受験者向け情報
【参照書籍】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集

記事監修:正木 伶弥先生

ブリティッシュ・カウンシル公認 IELTSエキスパート。14歳時、同機関の奨学金により、英ゴスフィールドにあるボーディング・スクールへ1か月間、人生初の留学。翌年中学校卒業後またすぐ渡英し、別のボーディング・スクールを経て、ロンドン大学クイーン・メアリー校へ進学・卒業。同校卒業直前にCELTA (Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages) を取得し、帰国後はIELTSをメインに指導。TOEFL iBT120点、英検1級取得後、IDP公式IELTS教員研修修了(日本第一号)。2022年には書籍『はじめてのIELTS対策トレーニング』を出版。

The following two tabs change content below.

Yukari

オーストリア、ウィーン在住。日本の大学ではフランス語を専攻、卒業後は英国の大学院で国際政治を学ぶ。これまでロンドン、ニューヨーク、トロント、モントリオール、パリ、シンガポールに在住。各英語圏における英語の違いに興味を持つ一方、イギリス英語に魅せられる。現在はリサーチャーとして主に欧州における英語・フランス語圏の政策調査に携わる傍、執筆活動も行う。