一口に「英語」と言っても世界には様々な英語が存在し、ネイティブの英語表現も国が変われば異なります。
そこで今回は、イギリス出身のTom、アメリカ出身のMartinique、オーストラリア出身のErin、ニュージーランド出身のFiona、南アフリカ出身のChristineによる各国の英語表現についての対談をお届けします。同じ英語で、同じことを伝えるのに、国によってこんなに表現が違うものなのかとびっくりするかもしれません!
1. How are you?
「お元気ですか?」「調子はどう?」を意味する表現。それぞれ、どんな形が一般的なのでしょう。
Tom(イギリス):How’s it going?
イギリスでは“How’s it going?”が標準的なあいさつです。“going”と言っても何がどこへ行くやらという感じだけど、誰かが考えたフレーズだからそのまま使うしかない。
Martinique(アメリカ):Hi, how are you?
“Hi, how are you?”という質問調だけど、単なる儀礼だから、特に何が起きたのかを答える必要はありません。本当に身近な相手でない限り、たいがい“Good, thanks, you?” と返事をするかな。
Erin(オーストラリア):How’re ya goin’?
“How’re ya goin’?”という独特の発音は相手がオーストラリア人でなければポカンとさせてしまうこともしばしば。交通手段を問われたのかと思い、“Um, by bus? (うーん、バスで?)”と答える人も。
Fiona(ニュージーランド):Howzit goin?
“Howzit goin?”は友達などにあいさつする際のカジュアルな表現。とても仲がいい友達には、“Howzit goin’ bro?”と言います。
Christine(南アフリカ):Howzit?
南アフリカでは、“Howzit?”と言います。立ち止まって話すほどではないときに便利だけど、好感を与えるには十分。さらなる友情を築きたい場合は、“Howzit ma bru?”と言ってみよう。
2. Sport shoes
日本語でも「スポーツシューズ」や「スニーカー」など、いくつかの呼び方があります。5つの国ではどのように違うのでしょう?
Tom(イギリス):trainers
イギリスでは、スポーツトレーニングをするときに履くので“trainers”と呼びますが、基本的にカジュアルシューズはそのブランド名で呼びます。
Martinique(アメリカ):tennis shoes または sneakers
アメリカのどこにいるかで呼び方が違います。ほとんどのアメリカ人は“tennis shoes”と言いますが、東海岸では“sneakers”という言い方にこだわっています。
Erin(オーストラリア):joggers
オーストラリアでは“joggers”と言うけど、年配の人が“sandshoes”と言うのを耳にすることも。(ただし、それは元来シンプルな白いキャンバス地の靴のことだったようです)
Fiona(ニュージーランド):running shoes
Sport shoesは“running shoes”。“running shoes”と呼んでも、実際にはあらゆる運動に使われます。
Christine(南アフリカ):tackies (takkiesまたはtekkiesと発音されることもあります)
ゴム底のキャンバスシューズは“Tackies”です。この言葉はオランダ語由来で、粘着性があることやものに関係すると考えられています。シューズのゴム底が粘着性がありそうに見えたためかもしれません。
3. Excellent
「優秀な」「素晴らしい」などを意味する単語。日本語でも「エクセレント」とそのまま使われることがありますね。
Tom(イギリス):cool
イギリスでは本当に良いものを表現する場合、“cool”を使います。紛らわしいのですが、状況に応じて“cool”は“cold(寒い)”、“calm(落ち着いた)”、“fashionable(おしゃれな)”なども意味します。
Martinique(アメリカ):sick または sweet
“cool”も使いますが、本当に強調したいなら、“sick”または“sweet”を使います。意味が他にもあるから混乱するかもしれませんが、自信を持って使ってみてください。
※ここで使われる“sick”も“sweet”もスラングです。
Erin(オーストラリア):rad
“Rad”がよく使われます。これは1980年代にクールだった言葉“radical(過激派)”の略です。
Fiona(ニュージーランド):sweet as!
ニュージーランドでは、“Sweet as!”が“excellent”や“good”を表す言葉です。甘いもの(Sweet)が素晴らしい(Sweet as!)と表現したいときには、ちょっと分かりにくいですね。
Christine(南アフリカ):kiff
“Kiff”は南アフリカのサーファースラングです。オランダ語の“gif(毒)”に関係のある語で、以前は別の意味で使用されていました。今ではそれが進化して南アフリカのサーファーが大きな波を見たときに感じる興奮を表現するようになりました。
4. Barbecue
誰もが大好きな「バーベキュー」にも、国によって言い方の違いはあるのでしょうか?
Tom(イギリス):barbecue
これはスペイン語の“barbacoa”という言葉に由来し、イギリスでは「C」で“barbecue”と綴ります。実際の綴りが“BBQ”だと思っている人もいるようだけど、そんな人とは話したくないな。
Martinique(アメリカ):barbecueまたじはBBQ
アメリカでは“barbecue”と言いますが、通常“BBQ”と表記します。もう21世紀なんだから、食事の時間以外は全てを短縮しなくちゃ。
Erin(オーストラリア):barbie
隣国ニュージーランドと同じように“barbie”と言います。1ワードで夏を思い返すなら、それは“barbie”です。
Fiona(ニュージーランド):great Kiwi barbieまたはBBQ
BBQがなければ夏とは言えません!夏の食事の定番です。“barbie”に火をつけ、sausies(ソーセージ)をのせるだけです。
Christine(南アフリカ):braai
“braai”とは、外で火を使って調理する食事のことです。雨が降っても気にすることなく、“braai” にいくつかの“boerewors”(ソーセージ)と“chops”(肉)をのせます。ときには友達を“braai”に招待して、パーティーもします。
5. Flip-flops
いわゆる「ビーチサンダル」「ゴム草履」のことです。
Tom(イギリス):flip-flops
“flip-flops”は、夏にビーチで履く軽いサンダル。なぜか、 “flip-flops”以外の言葉では説明できません。言葉は不思議!
Martinique(アメリカ):flip-flops
ビーチにサーフィンをしに行くときのように、カジュアルな雰囲気のものを“Flip-flops”と言います。“sandals”(サンダル)はもっと高級感があって、暑い夏の夜に履くものです。
Erin(オーストラリア):thongs
オーストラリアでは“thongs”と呼ばれていますが、小さな下着と混同しないでくださいね!
※“thong”は女性の下着(Tバック)という意味もあります。
Fiona(ニュージーランド):jandals
ニュージーランドでは、“jandals”が夏に最も人気のある履物です。この呼び名は“Japanese sandals(日本のサンダル)”に由来しています。もとはといえば、Kiwi(ニュージーランド人)が伝統的な日本の草履をプラスチックで作ったのです。
Christine(南アフリカ):slops
カッコいい“flip-flops”のことなら、南アフリカでは、“kiff (=excellent) slops”と言います。どうして“slops”と呼ばれるのかはわかりません。誰かがビーチサンダルを見て汚れている(sloppy)と思ったのかな?
6. Friend
Tom(イギリス):mate
イギリスの標準的な友達へのあいさつは、男性に対しては“mate”を使います。相手が女性の場合は、名前で呼んだ方がいいでしょう。男友達と同じ呼び方では、物事が険悪になるかもしれません。
Martinique(アメリカ):dude, bro, sis, fam,bestie
“friend”と言ってもいいのですが、アメリカはスラングで世界を支配しているので “dude” “bro” “sis” “fam”と言えば、上出来です。親友は“bestie”と言います。
Erin(オーストラリア):mate, lady またはdude
オーストラリアでも“mate”は男同士でよく使われます。女性は、特にテキストでのコミュニケーションで、よく“lady”を使います。“dude”は、男性も女性も使いますね。
Fiona(ニュージーランド):mate または chickie
ニュージーランドでも“mate”を使いますが、ほとんどが男同士です。女性は、よりフェミニンな“chickie”を使う傾向にあります。
Christine(南アフリカ):boet または bru
またオランダ語由来の単語ですが、“boet”は「兄弟」と直訳され、主に男同士で使われます。でも、ワイルドで相手が誰でも使える省略語“bru”を使ってみましょう。
7. To tease someone
「からかう」「いじめる」という表現。
Tom(イギリス):take the mickey
イングランドでは、誰かをからかったりバカにしたりすることを“take the mickey”と言います。このフレーズは、アイルランド人を意味する“Mick”に由来しています。イングランド人はアイルランド人をよくからかっていたからです。
Martinique(アメリカ):pulling your leg または yanking your chain
アメリカでは、“pulling your leg”や“yanking your chain”と言うこともあるけど、ちょっと時代遅れの表現です。私は大体、“I’m joking with you!”や“I’m teasing you!”と言います。だって、ほとんどの人は私が冗談を言っているってことに96%気がつかないから。
Erin(オーストラリア):take the pissまたはpay someone out
オーストラリアででは“take the piss”と言うけど、“pay someone out”も使います。例えば、“We paid him out for wearing that awful shirt.(彼はあのダサいシャツを着ていたからからかった)”といった感じ。
Fiona(ニュージーランド):take the piss
ニュージーランドでは、他人を冷やかしたりバカにしたりするとき、“take the piss”と言う表現を使います。
Christine(南アフリカ):tune people
南アフリカでは、“tune people”と言います。“give them grief(困らせる)”ことを“tune them grief”と言い、もう少し過激になると“tune people kak”と言ったりもします。
まとめ
同じ「英語」を母国語とする国でも、表現に様々な違いがあることがわかりました。どのような表現が使われるのかは、その国の歴史や文化が大きく関わっていると言えるでしょう。表現の違いを知ることは英語をより深く知ることにつながるだけでなく、多くの人とのコミュニケーションを可能にします。それぞれの表現の違いを見つけて、楽しく英語学習を進めましょう!
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