「好奇心や失敗を恐れない事前の計画性が、海外でのキャリアに繋がる。」海外で活躍する日本人インタビュー(第4回)

「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」

English Hub編集部オリジナルインタビュー企画「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」は、英語を使って海外で活躍している日本人ビジネスマン・ビジネスウーマンの方から、これまでのリアルな体験に基づいておすすめの英語学習法やビジネスの現場で英語を使う際のポイントを教えてもらうコーナーです。プロの英語講師でもネイティブでもなく、皆さんと同じ日本人英語学習者の立場としてどのように英語と向き合い、乗り越えてきたのかを等身大の姿で語ってもらうことで、必ず今後の勉強に役立つヒントが見つかるはずです。ぜひインタビュー内容を参考にしながら英語学習のコツを掴みましょう。

今回のゲスト:中村悠子さん

第四回目は、パートナーと共に海外で会社を立ち上げ英語を武器に活躍されている中村さんにお話を伺いました。

名前 中村悠子さん
職業 VP Strategic Operation, Agence Akuntsu Inc.,
居住地 カナダ・ケベック州・モントリオール
中村悠子

インタビュー

Q:現在の職業と仕事内容について教えてください。

中村悠子

Cirque du SoleilのChief, International Partners Liaisonとして活躍していたMr. Labelleに出会い、今のエージェンシーを立ち上げました。デジタルという新しい可能性のおかげでインターナショナルが一層身近になった一方で、海外事業展開やブランド成長はますます競争が厳しく、”ユニーク”でマーケットから求められなければ成長は難しくなっています。私たちはクライアントの”context enabler”としてマーケティングデータ分析とInternational Opportunity Facilitationという視点からクライアントの新しいプロジェクト展開や今あるパフォーマンスの最適化をお手伝いさせていただいています。

Q:いつから本格的に英語を学び始めましたか?

本格的に英語を学び始めたのは22歳の冬、New Yorkに3ヶ月の短期語学留学に行った時です。

Q:ある程度英語を使えるようになったと実感するまでにどのくらい期間がかかりましたか?または、どんなときにそう感じましたか?

モントリオールに滞在してから1年ほど経った頃だと思います。頭の中で文章を考える時、また、日常会話でも自然に英語中心になりました。

Q:英語を使えるようになっていったプロセス(どのように学んだか)を教えてください。

まずは、TOEIC, GMATやTOEFLのための勉強をしました。総合的に学ばなければいけないので、教材としてはよかったと思います。海外で必要な語学スキルに関しては、とにかく慣れる、恥ずかしがらずにトライできる環境を見つけました。例えば、映画を字幕なしで観る、ボランティアワークで話す機会を増やす、カフェでお友達と会話をするなどです。エージェンシーを立ち上げてからは、ひたすら実践とスキル向上の繰り返しです。

Q:英語をマスターする上で一番必要だと思うことは何ですか?

誰かと共有したい、ますますマスターしたいと思える興味や何か熱中できることを見つけることが大切だと思います。今はツールもあるし、伝えようと思えば伝わります。何を伝えたいのか、掘り下げていきたいのかを持っている人は海外でも日本でも”聞き出す”力があります。そういった好奇心が一番大切だと思います。

Q:海外で仕事を探している時に、どうやって求人を探していましたか?また、今の仕事はどうやって見つけましたか?

私の場合は特殊なので、参考にならないかもしれませんが、とにかく同じビジョンやミッションを持つ人とアイディアの出し合いをました。まだまだ海外では転職は当たり前だし、Recommendation やReferralで人材をキャスティングする企業がほとんどなので、人とのご縁が一番大切だと思います。

Q:海外で仕事を得る際に、努力したことや準備したことを教えてください。

どうにかなる場合もありますが、ワーホリで海外に来て次の機会が見つからず日本へ帰国する方々をたくさん見て来ました。海外で仕事を得るのであれば、working proficiencyレベルの英語か、もしくは独自の即戦力になるスキルセットのどちらかは事前に構築しておくと強みになると思います。また、国や企業によってビザの支援も変わってくるのである程度リサーチする必要もあります。あとは、ローカルパートナーを見つけて起業するのも一つの手段だと思います。

Q:仕事の現場で英語を使うとき、どんなことを心がけていますか?

分からないことや興味があることはとにかく質問することを心がけています。

Q:英語を使えるようになって一番よかったことは何ですか?

海外にきて変わったことは日本人であることがどれだけ恵まれているのか実感し、感謝できるようになったことかもしれません。日本にいると目まぐるしく変わる社会や慌ただしい日常、親族や家族のプレッシャーなどで盲目になりがちですが、日本は本当に恵まれているし、海外の方々から見て大変魅力的な国です。そのことを海外に来て気づくのは多少皮肉なことかもしれませんが、その点に気づけたことが一番よかったです。日本人らしく、自信と好奇心を持ってオープンでいるということを日常に取り組めるようになったのも海外に来てよかった点です。

Q:異なる国の人々と接する際に、日本人とはここが違うなと思う点を教えてください。

TPOの概念や価値観が違います。例えば、時間通りに相手先に出向くことは当たり前のことではなく、多少遅れたとしても全く問題はありません。謝罪しすぎると自信やリーダーシップのない人と思われてしまうため、謝りすぎてもいけないですし、謝られないで当然というときもあります。あまり、”ルールや然るべき”を念頭に置かないほうが海外でのキャリアや生活は楽かもしれません。

Q:英語力を維持・向上し続けるために心がけていることはありますか?

映画やドキュメンタリーフィルムは週に3−4本観ています。

Q:今までで一番効果的だと思った学習方法を教えてください。

スピーキングについて

トーストマスターは効果的です。それからある一定期間、定期的に話せるお友達やパートナーとのLanguage exchangeも効果的です。

*トーストマスターとは司会者の意味ですが、人前やあるグループでスピーチを行うことを指しています。

ライティングについて

日本語での物書きが好きな人は苦ではないのではないでしょうか。そうでなければ、教材や自分でトピックスを決めて文章を書いたり、とりあえずメールを送りまくるのもいいかもしれません。

リスニングについて

スピーキングと同じです。また、映画やドキュメンタリーフィルムを多く見るのもおすすめです。

リーディングについて

とにかく文献を読むこと、もしくは仕事に関係する資料を読み通すこと。

発音について

スピーキングと同じです。癖があるのは仕方がないので、ゆっくり焦らず話すのが一番効果的です。それも個性です。

Q:おすすめの英語教材や参考書などがありましたら教えてください。

Malcolm Gladwell(マルコム・グラッドウェル)のOutliers (邦題:成功の方法・天才になる法則がつかめる本)

Q:最後に英語学習中の読者に向けてのアドバイスを一言お願いします。

海外に目を向けるというのは、ご自身が何をなし遂げたいのかを改めて掘り下げて考える良い機会かもしれません。好奇心や失敗を恐れない事前の計画性が、海外でのキャリアに繋がると思います。語学はあくまでもコミュニケーションツールですので、視野を広く様々なものを吸収し、新しい出会いの機会にしてください!

インタビュー後記

今回は、カナダでコンサルティング会社Akuntsuエージェントのヴァイスプレジデントとして活躍中の中村さんへのインタビューでした。

中村さんがお話してくださった英語学習のポイントのなかでも効果的な学習法としてとても参考になるなと感じたのは、スピーキングの学習法として挙げられていた「トーストマスター」です。友人と話すこともスピーキングの一つのトレーニングにはなりますが、複数人を対象にスピーチを行うこのトーストマスターは、とても良いスピーキングの訓練になります。

トーストマスターをする際のポイントは、どれだけわかりやすく人に伝えることができるか、そして自身の意見をはっきりと英語で表現することができるかという点です。なんとなくという話し方では通用しませんし、友人との会話だけでは使用しない語彙や表現力が必要となってきます。これは語学学校でも行われるプレゼンテーションの授業にも共通することです。そしてこれら発表のための準備はもちろんですが、発表したあとの達成感や充実感は確実にスピーキング力の自信となってくれます。

また中村さんのインタビューでとても印象的だった言葉は、「海外で仕事を得るのであれば、working proficiency(実務)レベルの英語か、もしくは独自の即戦力になるスキルセットのどちらかは事前に構築しておくと強みになると思います。」という点です。海外で、または外国人と仕事をする際に、自分はネイティブでないという点を気にし、それにより自信がなくなってしまうということも起きるかもしれません。その点を改善するには、最低限これらどちらかの点を自分の強みとして持ち、堂々とコミュニケーションや仕事をすることがさらなる英語力のアップにもつながるのではと感じました。

カナダで活躍されている中村さんからは、英語学習のヒントとなるアドバイスをたくさんいただきました。ご協力どうもありがとうございました!

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カナダ在住。各地図書館の本を読破することが楽しみの一つ。いわゆる本の虫。言葉や文字にとても惹かれ、現在は英・仏語を話し、国内外で語学講師の経験を持つ。移住を機にリモートワーカーとなり執筆、翻訳、通訳、取材、商品紹介のキャッチ等を手がける。述べ20カ国以上を旅した経験から世界は繋がっていると体感し、国も人種もボーダレスな人生を謳歌する一児のママ。(ブログ:https://sasaki.themedia.jp/