オーストラリア英語ってどうなの?オーストラリア英語の特徴と魅力

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雄大な自然や大らかなオージー気質、治安の良さや温暖な気候など、様々な魅力があり留学やワーキングホリデーの渡航先として人気が高いオーストラリア。一方で、オーストラリア英語には「訛りがある」という意見も少なくありません。たしかに、それを訛りと呼ぶべきかどうかは別にして、オーストラリア英語にはアメリカ英語やイギリス英語とはまた違う特有のアクセントや言い回しがあります。そこで、今回はオーストラリア英語の特徴と魅力について解説します。

オーストラリア英語の歴史

オーストラリアは、1770年にスコットランド人の探検家キャプテン・クックがシドニーに上陸し、入植が始まった新しい国です。その後、全土がイギリスの植民となり、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウエールズなどから多くの人が入植し、開拓が進みました。このような歴史から、オーストラリア英語はこれらの国々にまたがる特徴が含まれる「イギリス英語」をベースとして進化しました。また、「カンガルー」や「コアラ」など、先住民であるアボリジナルの人々の言葉も多く残っており、それらすべてが混ざり合って確立されたのが、現在のオーストラリア英語です。

また、オーストラリア英語の特徴の1つは、広大な面積を誇る国でありながら、方言が存在しないことです。つまり、同じオーストラリア人同士でも、話しただけでは出身地がわからないということ。これは世界的にも珍しいことです。

現在では、世界中から移民が集まる多民族国家となり、英語を母語としない人が多く暮らしています。そのためシドニーなどの大きな街には留学生や移民などの非英語母語話者があふれ、様々なイントネーションの英語が使われています。

オーストラリア英語の綴り

オーストラリア英語はイギリス英語をベースとしていることもあり、綴りはイギリス英語とほぼ同じです。一方、アメリカ英語とは綴りの違いがあり、アメリカ英語のerで終わる単語がreに、orがourに、zeがseに変化します。

アメリカ英語 オーストラリア英語
center centre
meter metre
theater theatre
fiber fibre
color colour
favorite favourite
behavior behaviour
honor honour
realize realise
apologize apologise
analyze analyse
memorize memorise

オーストラリア英語の発音

イギリス英語がベースであるオーストラリア英語ですが、発音は独自の進化を遂げ、アメリカ英語はもちろん、イギリス英語とも異なります。以下にオーストラリア英語の発音の特徴をまとめてみます。

「A(ei)」の発音が「アイ(ai)」になる

  • day:デイ(dei) → ダイ(dai)
  • face:フェイス(feisu) → ファイス(faisu)
  • mate:メイト(meito) → マイト(maito)

「I(i)」の発音が「アイ(ai)」になる

  • IKEA:イケア(ikea) → アイケア(aikea)
  • Miro:ミロ(miro) → マイロ(mairo)

「R」の巻き舌がない

イギリス英語同様に「R」の発音が消える「non-rhotic」なので、日本人には発音しやすいのが特徴。アメリカ英語ではwaterを「ウァーラァー」のように巻き舌を使って発音しますが、オーストラリア英語では日本語に近い「ウォーター」と発音します。

単語を短縮する

  • breakfast → brekkie(ブレッキー)
  • BBQ(バーベキュー) → barbie(バービー)
  • McDonald’s → Maccas(マッカーズ)
  • a cup of tea → cuppa(カッパー)
  • kangaroo → roo(ルー) 
  • Thank you → Ta(ター)
  • Mosquito → mossi(モージー)
  • university → uni(ユニ)
  • you → ya(ヤ)

最初は意味がわからないかもしれませんが、自然に身につく馴染みやすい発音や単語ばかりです。

オーストラリア英語とアメリカ英語・イギリス英語との違い

オーストラリア英語とイギリス英語は綴りがほぼ同じですが、中には違う綴りの単語もあります。

イギリス英語 オーストラリア英語
programme program
analogue analog

ちなみに、「program」「inquire」「analog」はアメリカ英語の綴りと同じです。

また、単語もイギリス英語・アメリカ英語と同じ場合と違う場合があり、そこに法則はありません。

日本語 アメリカ英語 イギリス英語 オーストラリア英語
海外 abroad abroad overseas
携帯電話 cellphone mobile phone mobile phone
クッキー cookie biscuit biscuit
ナス eggplant aubergine eggplant
トラック truck lorry truck
歩道 sidewalk pavement footpath
エレベーター elevator lift lift

さらに、下記のようなオーストラリア独特の表現もアメリカ英語・イギリス英語との違いと言えるでしょう。

  • G’day:Helloの意味。「グダイ」と聞こえる。
  • good on you:Well done(よくやった)の意味。
  • mate:「友達」あるいは「仲間」という意味。知らない人にも「マイト」とフレンドリーに話しかけてくる。
  • How are ya going?:How are you?の意味。youがyaになり「ハワァーヤ・ゴーイング」と聞こえる。
  • Cheers:Thank youの意味。「Cheers, mate」とmateをつけて感謝を表すのが一般的。
  • YepとNup:YesとNoの意味。「ヤップ」「ノップ」と聞こえる。
  • It’s my shout:「私のおごり」という意味。アメリカでは通じない。
  • Fully sick:「最高」「素晴らしい」という意味。サーファーがよく使う。
  • No worries:You’re welcomeやNo problemと同じ意味。「どういたしまして」「気にしないで」「大丈夫だよ」など様々なシーンで気軽に使われる。

オーストラリア英語は訛っているのか?

オーストラリア英語は「訛っている」とよく言われます。前述した通り、アメリカ英語やイギリス英語と比較して、多くの違いが存在することは事実です。アメリカ英語を標準とするなら「訛っている」のかもしれませんが、アメリカの中でも地域による訛りはあります。

一般的に英語を「アメリカ英語」と「イギリス英語」に大別しますが、実際には様々な英語が存在しています。イギリス英語の中でもスコットランド人の英語は発音も異なり、同じ英語話者でも聴き取りが難しいと言われています。また、シンガポールの英語は「シングリッシュ」と呼ばれ、特有の発音です。

世界にはいろいろな英語が存在し、国や地域による英語の「訛り」はそれぞれの「違い」に過ぎません。そしてその違いがその英語の魅力であり、面白さでもあります。オーストラリア英語には、豊かな自然や広大な大地、フレンドリーなオージー気質、イギリスの植民地だった歴史などがすべて凝縮された魅力があります。そんな文化的・歴史的背景とともに、オーストラリア英語を習得してみてはどうでしょうか。

まとめ

長い歴史を持つ日本とは異なり、キャプテン・クックの上陸から250年余り、イギリスから独立して120年ほどしか経過していないオーストラリア。そんな短い歴史の中でも、オージーイングリッシュは変化を遂げています。最近ではテレビや映画などの影響で、アメリカ英語に近い発音や言い回しを使う若者が増えてきています。「言語は生き物」だと言われますが、まさにオーストラリア英語は様々な要素を取り入れて進化していると言ってもいいかもしれません。

語学習得で最も大切なのは「熱意」です。その熱意をキープできるかが英語習得のカギとなります。とにかく楽しむことが大好きなオージー。そんなフレンドリーな人々に囲まれれば、熱意をキープしながら効率的に英語が学べることでしょう。

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reisuke

オーストラリア在住11年目。英語が最も苦手な教科でありながら英語を話すことに憧れ、海外生活を始める。コミュニケーションのツールとして英語を身につけ、現在では英語で夢を見るまでに。日本語教師として活動していることもあり、英語と日本語の文法の違いや国による英語の違い、言語と文化のつながりなどをライターとして発信中。