ネイティブとの会話中に、まったく文脈に合わないキーワードが突然飛び出して戸惑った経験はありませんか?
英語の慣用句やことわざには、そこに含まれる英単語をすべて知っていても、なかなか意味を推測できないものがたくさんあります。でも、その表現が生まれた背景や由来を知れば、すっと頭に入り、簡単に覚えられることが少なくありません。
今回は、一見すると不思議で面白い、ネイティブとの会話に頻出する英語の慣用表現をまとめてご紹介します。
Bite the bullet
避けられない事態を性急に乗り越える、終わらせるという意味です。このフレーズは、手術中の激痛に耐えるため、患者が歯の間に弾丸を入れて食いしばる昔の医療風景に由来します。
(嫌なのはわかるけど、我慢して宿題を終わらせよう。)
Pull someone’s leg
言葉通りに想像すると不思議な光景が浮かびそうですが、実際は『ジョークを言う、誰かをからかう』という意味です。この言い回しが発祥したのは1800年代のイギリス。窃盗犯が町なかで人々の足にワイヤーをかけて転ばせて、お金や物を巻き上げていたのです。
(嘘でしょ?からかってる?)
Speak of the devil
会話の中で登場した人物が実際に姿を表した際にこのフレーズを使います。使い方には色々なバリエーションがあり、中世のイギリスでは “Talk of the Devil ”という形が流行しました。このフレーズは、悪魔の話をすると、よくないことが起こるという迷信に由来します。
(ベンはパーティに来ないと思うよ。あ!「噂をすれば」ベンがきた!)
Under the weather
病気のときや体調が思わしくないときに、“I’m under the whether ”と表現することができます。よく使われるフレーズですが、由来はいくつか考えられます。ひとつは、かつて人々が船で移動していた時代、具合の悪い船員が厳しい天候から身を守るためデッキの下で身を隠していたためとする説。もうひとつは、このフレーズはもともと悪天候下では船酔いをしたり、悪影響を受けたりするという意味だった、という説です。
(あまり気分が良くないから、今日は行けません。)
Barking up the wrong tree
“barking ”といっても犬とは無関係で、『間違った状況で解決方法を探す、見当違いをする』という意味です。一斉に犬たちに狩りをさせることが流行った1800年代初めのアメリカでこのフレーズが誕生しました。悪知恵の働くアライグマは捕獲から逃げようとして、犬たちに木に上ったと思い込ませておいて逃げ去ることがあったのです。
(そこでは見つからない。見当違いだよ。)
Costs an arm and a leg
このフレーズは、お金がかかる状況を表しています。起源については議論の多いフレーズですが、優勢なのは、第二次世界大戦中の20世紀、兵士達が手足を失ったのは戦争の重い代償だったと言われていたことに由来するとする説です。
(あのコンサートに行く余裕はない。チケットが高いよ。)
There’s no use crying over spilt milk
このフレーズには、『元に戻せないこと、すでに起こってしまったことに対して取り乱しても意味がない』という意味があり、100年以上前から伝わることわざです。ミルクが大好きな妖精がこぼれたミルクを一滴も残さず飲み干してしまうという昔の民話に由来するようです。
(もう終わった試験のことは気にするなよ。嘆いても仕方ないんだから。)
Go on a wild goose chase
意外なことに、ガチョウやガンとは全く関係のない、『無意味な物を追う、手に入らない物を追う』という意味になります。元になっているのは16世紀の競馬の様子だと言われています。wild goose chaseは、先頭の騎手が他の騎手に追いかけられる競馬を指し、野生のガンの群れの飛び方によく似ていることからこのような言い回しになりました。
(猫を探してたのに、ずっとキッチンにいたなんて無駄足だった!)
Bigger fish to fry
『もっと重要な、やるべき・考えるべきことがある』という意味です。このフレーズの由来は定かではないのですが、違った形で、ヨーロッパの各地でも使われています。フランスでは、 “il a bien d’autres chiens a fouetter’(鞭を打つ犬がたくさんいる)。イタリア人は、シンプルに‘altro pel capo’(他にやることがある)と使います。ドイツのある地域では、直訳すると“くしでとかすハリネズミが他にいる”というフレーズが使われています。
(この件について話してられないよ。他にやることがあるからね。)
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