今回のゲスト:エマさん
英語を学んでいる読者の皆さんの中には、アジアやヨーロッパなどの非英語圏に暮らす人々は一体どのように英語を学んでいるのか、海外の英語学習法について気になったことがある方も少なくないのではないでしょうか?
これまでEnglish Hub編集部では海外で活躍する日本人の英語学習法を数多くご紹介してきましたが、今回は「世界一幸せな国」として知られ、国民の英語力が非常に高いことでも知られる北欧の先進国、デンマークで育ったエマさんに、デンマークの英語教育についてインタビューしました。幸福につながる教育とはどのようなものなのでしょうか?このインタビューでは、日本の教育にはない、クリエイティブで楽しい英語学習法をご紹介します。
名前 | エマさん(20代) |
職業 | 2018年春からジャーナリズムの学校に進学予定 |
出身地 | コペンハーゲン |
インタビュー
Q:いつから本格的に英語を学び始めましたか?
学校に入学した7歳から学び始めました。学校の低学年(7-12歳)までは一回45分の授業を週2回ほど、高学年(13-15歳)ではほとんど毎日英語の授業がありました。
※デンマークでは、小学校と中学校が一緒になった10年制の学校が義務教育である。
Q.どの授業が一番面白かったですか?
一つは、英語で短編映画を作ったことです。私のグループは、ハリー・ポッターをまねた映画を作りました。脚本から演出、撮影、編集、そしてプロモーションまですべて自分たちで行いました。もちろんセリフは英語です。
二つ目は、キッザニアのようなゲームを英語でやったことです。例えば、レストランを経営する人や、食べ物屋さんをやる人、自動車のバイヤーなど、いろんな職業の人がいて、一番売上が多かった人が勝ちというゲームです。私は食べ物屋さんをやって、食べ物の説明を英語で考えるなどの工夫をし売上が一番になりました(笑)こういう想像力を使ってクリエイティブに考えるのが楽しかったです。
Q:今までで一番効果的だと思った学習方法を教えてください。
スピーキングについて
英語のクラスでやったディベートが良かったです。トピックは、アメリカの銃規制、安楽死についての賛否、マクドナルドについてなど幅広く扱いました。先生から与えられたり、自分たちで決めるときもありました。
リーディング&ライティングについて
英語の本を読んで、エッセーやレポート、メールなどを書く英作文の授業がありました。学校の低学年のときは、フィクションから月面着陸についてや動物の気持ちが書かれたやさしめの本で、高学年になるとネルソン・マンデラなどノンフィクションの本を読んで、自分でエッセーなどを書いていました。
リスニングについて
英語音声かつ英語字幕で映画を見ると楽しみながらリスニング力を鍛えられます。13歳くらいから授業中は英語字幕で映画を見ていました。あと、人と話すことも大事です。
Q:どんなときに英語を使えるようになったと実感しましたか?
外に出て、一人で旅をして、人とコミュニケーションできたときに、英語が話せるようになったと感じました。
Q:英語をマスターする上で一番必要だと思うことは何ですか?
人と英語で話すことを怖がらないことだと思います。英語力上達のためには、チャレンジして、失敗することが大事だと思います。また、私の場合は、英語そのものというより、英語の授業自体が面白かったです。先生も褒めてくれるし、クリエイティブなプロジェクトが多く、楽しんで英語を学べました。
Q:英語を使えるようになって一番よかったことは何ですか?
世界中に友達ができたことです。あと、自分の好きな本を翻訳が出る前に早く読めることです。
Q:英語力を維持・向上し続けるために心がけていることはありますか?
チャットで友達と話したり、本を読んだり、映画を見たりしています。言語は使わなくなると、自由自在に使える表現英語が少なくなるので、常に英語に触れる必要があると思います。
Q:おすすめの英語教材や参考書などがありましたら教えてください。
食べ物が好きならJamie Oliver(ジェイミー・オリバー)の本や、フィクションが好きならJames Bond(ジェームズ・ボンド)やBatman(バットマン)もおすすめです。自分が興味があって、少しでも知っているストーリーを読む方が、詳細に集中できます。また、知らない単語を逐一調べるのではなく、読んでいる中で3回知らない単語が出てきたら調べるようにしています。
Q:最後に英語学習中の読者に向けてのアドバイスを一言お願いします。
英語を話したいというモチベーションが一番大切だと思います。ガンバッテ!
インタビュー後記
「2017年EF EPI英語能力指数報告書」の発表によると、非英語圏80ヶ国中英語が得意な国の第3位がデンマーク(日本は37位)です。実際、街中で子どもからお年寄りまでどんなデンマーク人に英語で話しかけても、ほとんどの場合、流暢な英語が返ってくるほど、国民全体の英語力は非常に高いです。
そんなデンマーク教育の特徴は、個人の尊重です。英語教育で言えば、典型的な文法を暗記するなど、「与えられたものを覚える」のではなく、映画を作ったり自分の好きな小説を読んでエッセーを書くという「英語で何をやりたいのかを自分で考えて、クリエイティブに表現する」ことを大切にしています。周りの人ではなく、自分がどう思うか、何をしたいのかを常に考えることが、世界一幸せな国デンマークの教育の特徴です。
このデンマーク流教育の特徴がよく表れているのが、デンマークにあるフォルケホイスコーレです。国際関係、ジャーナリズム、政治、陶芸、料理、スポーツ、写真、演劇など自分の好きな科目を英語で学ぶことができます。フォルケホイスコーレに行くと、まさに「主体的に楽しみながら」英語を学べることでしょう。詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
水野渚
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- 【特別インタビュー】世界一幸せな国デンマークに学ぶ、クリエイティブな英語学習法とは? - 2018年1月25日