「終わりがないからこそ、目的を明確にする。」海外で活躍する日本人インタビュー(第1回)

「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」

English Hub編集部オリジナルインタビュー企画「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」は、英語を使って海外で活躍している日本人ビジネスマン・ビジネスウーマンの方から、これまでのリアルな体験に基づいておすすめの英語学習法やビジネスの現場で英語を使う際のポイントを教えてもらうコーナーです。プロの英語講師でもネイティブでもなく、皆さんと同じ日本人英語学習者の立場としてどのように英語と向き合い、乗り越えてきたのかを等身大の姿で語ってもらうことで、必ず今後の勉強に役立つヒントが見つかるはずです。ぜひインタビュー内容を参考にしながら英語学習のコツを掴みましょう。

今回のゲスト:sasakiさん

記念すべき第一回目となる今回は、現在カナダのモントリオールに在住で、翻訳家・通訳・ライターとして英語を武器にマルチに活躍されているsasakiさんにお話を伺いました。

名前 sasakiさん
職業 翻訳家・通訳・ライター
居住地 カナダ・モントリオール
主な学習法 語学留学

インタビュー

Q:現在の職業と仕事内容について教えてください。

翻訳家・ライター・通訳です。海外情報のリサーチや依頼された英語の情報や文章を日本語に翻訳しています。映像翻訳を行ったこともあります。通訳は、主に日本からカナダへ来られた方のアテンドや会議等の通訳をしています。

Q:いつから本格的に英語を学び始めましたか?

30歳のときの語学学校です。期間は4ヶ月ほどで、毎日通っていました。授業内容はテキストを使ったグラマーの学習と、音源を聞いてそれをライティングしていくリスニングがメインで、小テストはほぼ毎日ありました。面白かったのは、ビデオを5~10分ほど観て、その後にビデオの内容について先生がランダムに生徒に質問をしていき、そのビデオの内容を答えるというものでした。説明もするためスピーキングとリスニング両方が鍛えられます。現地の学校なので、説明も質問も英語という面も私にとってはいい練習になりました。その後は図書館でグラマーの参考書を借りてきて毎晩自主勉強をしていました。

Q:ある程度英語を使えるようになったと実感するまでにどのくらい期間がかかりましたか?または、どんなときにそう感じましたか?

期間については継続的に英語学習をしていたわけではないのではっきりとはわかりません。初めて英語が使えるようになったと実感したのは、英語で友人たちと冗談を言い合えたときや、脈絡のない会話に入って行けたときですね。

それから日々が流れて現地の企業で働くことになり、履歴書、電話面接(カナダでは一般的に書類選考の通過後に電話面接があります。そこで条件等の擦り合わせや質問などが10~15分ほど行われます。ネイティブスピーカーでなければ多分その人の言語能力も見ているのではとも思います。)、対人面接、仕事開始とその手続きを実際に英語でこなした際に「ああ、英語を使えるようになってきたな、きちんと伝わっている」と実感しました。

Q:英語を使えるようになっていったプロセス(どのように学んだか)を教えてください。

一番初めは中学生の授業でしたが、その後は海外への一人旅や滞在でサバイバル英語を必要に迫られて覚え、その後ワーキングホリデーでカナダへ行った際に語学学校へ通いました。

Q:英語をマスターする上で一番必要だと思うことは何ですか?

私の場合はマスターまでいっていませんが、大切なのは実践で使う機会を持つことと、自ら話をしていく姿勢だと思います。

Q:海外で仕事を探している時に、どうやって求人を探していましたか?また、今の仕事はどうやって見つけましたか?

現在はフリーランスなので事情が違いますが、現地の会社への就職活動や働いていたときは主にインターネットで求人を探してました。あとは現地の人材派遣のエージェントへの登録や、知り合いからの紹介もありました。

Q:海外で仕事を得る際に、努力したことや準備したことを教えてください。

スピーキングには多少自信があったのですが、ライティングが苦手だったので、まずは面接にたどり着くまでの履歴書とカバーレター(これはとても重要です。)にかなりの時間をかけました。あとはその会社についてのリサーチと、質問されることを想定して面接での答え方の練習もしました。

Q:仕事の現場で英語を使うとき、どんなことを心がけていますか?

瞬発力です。とりあえず発言や反応をすることが大事です。例えば、よく意味がわからなかった時やどのように伝えればよいか悩んだとき、私たち日本人は黙ってしまいがちですが、そうすると意味が伝わってないと捉えられる恐れがあります。考えているだけなんですけどね(苦笑)

それを防ぐためにも、文章と文章の間に使う、感想を漏らす言葉や単語、例えば「Well,,, Give me a second, It’s a good question」など、何かしらその考えをまとめている最中に言葉を発するように心がけています。

Q:英語を使えるようになって一番よかったことは何ですか?

さまざまな文化や国の人と話ができて、自分の知らなかった世界を知ることができるのは楽しいです。

Q:異なる国の人々と接する際に、日本人とはここが違うなと思う点を教えてください。

良い点は、もちろん人にもよりますが、基本的に関係性がオープンなことです。上司や部下、教師や生徒、それぞれ意見を言うときはお互い対等です。

難しい点は、相手に言わずとも分かってくれるということが期待できません。自分がどう思っているか、どうしたいのかをはっきりと伝えていかないとわかってくれませんし、現状が変わりません。

Q:英語力を維持・向上し続けるために心がけていることはありますか?

私の場合は英語を日本語へ変換する仕事が多いので、最終的に頭の中はいつも日本語でいっぱいです(笑)。なので、ニュースでも映画でもラジオでもよいので、できるだけ毎日ネイティブの言葉を聞いたり、話したり、英語の新聞や本を読むことを心がけています。

Q:今までで一番効果的だと思った学習方法を教えてください。

スピーキングについて

間違ってもいいから、とにかく自らたくさん話すことです。英語話者が近くにいないのであれば、日本人同士でも、英語を学んでいる外国人同士でも誰でも良いです。

ライティングについて

短い文でも良いので、実際に自分の言葉で文章を作ることです。英文を読むことも良いライティングにつながります。

リスニングについて

ニュースやラジオを聴くのが一番です。また私は、海外ドラマにはまっていました。鑑賞する際には必ず英語字幕を表示して、辞書で調べながら見ていました。冬時期に(こちらの冬は-20度とかになるのです)、仕事以外は外に出たくなくてただひたすら何時間もドラマを見ていたら(苦笑)、飛躍的にリスニングが伸びていたという経験はあります。そのときは1日の中で日本語は1、2割くらいしか使ってなかったと思います。なんせドラマの続きがみたくて仕方なかったので(笑)。それも要因なのかなと思います。

リーディングについて

自分の興味のある分野からでいいので、英文を読むことです。

発音について

これは日本人が一番気にすることですが(私もそうでした笑)、ネイティブから言わせると、文章がしっかりとしていれば発音はそんなに気にしなくても良いようです。大人になってからの学習で、ネイティブ並みの発音を目指すのであれば、専任コーチをつけないとなかなか難しいと聞きます。私が発音で意識している音はL,R,TH,F,V,Nなどです。

Q:おすすめの英語教材や参考書などがありましたら教えてください。

教材は現地の語学学校指定のものを使っていただけなので特別なのはありません。ただし、初めの頃は海外の映画を観るときに音声を英語、字幕も英語で出して分からない単語をその都度辞書で引きながら観ていました。

Q:最後に英語学習中の読者に向けてのアドバイスを一言お願いします。

語学勉強に終わりはありません。私も現在海外に住んでいますが、わからない単語に出会うことは多々あります。ですので、自分がどのフィールドでどのように英語を使って話せるようになりたいのかを明確に知っておくのが大切なのではないかと思います。それによって、学習の方法や、力を入れるポイントは変わってきますので。

インタビュー後記

今回は、カナダでフリー翻訳家・ライターとして活躍中のsasakiさんへのインタビューでした。sasakiさんがお話してくださった英語学習のポイントのなかでも効果的な学習法として特に共感できるのが、語学学校での「ビデオを見てから内容を英語で答える」というトレーニングです。

このトレーニングのポイントは、「アウトプット(スピーキング)を前提としたリスニング」という点です。アウトプットしなければいけないということを頭に入れたうえで英語を聞いているときは、ただニュースやラジオなどで英語を聞くだけのときよりも集中力がはるかに高まるため、リスニング力の向上に非常に効果的なのです。

ラジオやアプリで英語を聞き流すだけよりも、実際に英会話をしたほうがリスニング力がアップしやすいのも同じ理屈です。「聞いた内容に基づいて話さなければいけない環境」を作ることは、リスニング力を強化したい方にとって大変おすすめできる方法です。

また、「ドラマを英語字幕で見続けていたらリスニング力が飛躍的に伸びた」という話も印象に残りました。登場人物のセリフを耳で聞き、同時に字幕の文字を目で見るというトレーニングをすることで、ネイティブならではの口語表現やリエゾンを目と耳の両方からインプットすることができ、音や表現を効率よく吸収し、自分のものにすることができます。また、ドラマや映画であればストーリーが集中力を維持してくれるため学習という感覚がなくても自然と力をつけることができ、無理なく続けやすい勉強法だと言えます。

そして、sasakiさんからのアドバイスとして「発音は気にしなくてよい」という貴重な意見もありました。もちろん正しい発音を身につけることはリスニング力向上にも有効ですが、文法や単語力がしっかりしていれば、発音は多少悪くても十分に相手に意思は伝わります。発音に苦手意識がある方も、恥ずかしがらずにどんどん話す練習を積んでいくことがおすすめです。

カナダで活躍されているsasakiさんからは、英語学習のヒントとなるアドバイスをたくさんいただけました。ご協力ありがとうございました!

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English Hub 編集部

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