「VERSANT」は英語のコミュニケーション能力を測るオンラインテストです。世界160ヵ国で累計3,000万人が受験し、日本でも約500社の法人に導入されています。VERSANTの3種類のテストラインナップのうち、「VERSANT CP Speaking & Listening」では、英語で「聞かれたことを理解し、応答する力」を約20分のテスト時間でPCやスマホを通して測定できます。
「VERSANT CP Speaking & Listening」の受験に向けて取り組む学習者のために、テストの特徴を徹底解説する総合対策書『はじめて受ける VERSANT Speaking and Listening 全パート完全攻略』が株式会社アルクより発売されました。
English Hubでは、本書の著者で英語スピーキングテストの専門家の江藤友佳先生に、VERSANTの概要やVERSANTテスト対策についてうかがいました。
VERSANTとは? ー 江藤友佳先生インタビュー
VERSANT満点講師。コロンビア大学大学院Teachers College修士課程修了。修士論文は英語スピーキングテストについて。VERSANTも研究対象のテストであったことから、試験内容を熟知している。大学卒業後、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして実務を通して、ビジネスを動かす英語コミュニケーション手法を学ぶ。楽天株式会社で社内公用語の英語化プロジェクトの教務責任者として勤務したのちに独立。Y.E.Dインターナショナル合同会社代表。
VERSANTのスコアは、どのような場面で使われていますか?
VERSANTのスコアは、英語を使う頻度が高い業務における採用時の基準としてよく使われています。日系企業でももちろん使われていますが、米国系の企業の利用実績が非常に多いのが特徴です。多くの米国企業の海外支社での採用に使われてきた実績があり、インドやフィリピンにおいては、日本におけるTOEICほどよく知られている試験です。米国大使館の日本人スタッフの英語力証明にも使われています。
他の英語テストと比較し、VERSANTの特徴は?
VERSANTには英会話力(リスニングとスピーキング)を測定する VERSANT CP Speaking and Listeningのほかに、ライティング力を測定する「VERSANT CP Writing」、4技能(読む・書く・聞く・話す)を測定する「VERSANT CP 4 Skills(Placement)」があります。
VERSANTはスコアが1点単位で出るため、少しの成長でも可視化されやすいです。今の自分が伸ばしたいスキルの評価を定期的に受けて自分の成長を把握し、モチベーションを維持するのにとても役立ちます。
選択問題形式で受動的なスキルを測る形式の英語テストと比べると、VERSANTのスピーキングテストには自分で回答を産出しなければならない難しさがあります。
使える英語力を本気で身につけたい人は、VERSANTで上を目指し続けることで英語を使ってコミュニケーションを取る力を鍛えられるでしょう。生きた英語に慣れたい人や英語を使って仕事をする可能性が高い人、これから英語を使って仕事をしたい人に、ぜひVERSANTを受験してほしいです。
VERSANTのスピーキングテストでハイスコアを得るために求められる力とは?
VERSANTのスピーキングテストのタスクはとても基本的なことができるかを試していますので、英語力+キャパシティを試されていると思うといいでしょう。そんなに難しくないことを、脳がパニックにならずに処理できるかを試しています。
例えばPart Bの文を聞いて復唱する問題は、幼児が親の言った文を真似て言うのと同じようなことができるかを、確認しているも同然です。また、VERSANTのスピーキングテストには話(ストーリー)の記憶と再構築(リテリング)というタスクが含まれています(Part E)。ちょっとした話を聞いて覚えておき、また産出するといった脳の「短期記憶」という基礎力も必要です。
少し脳に負荷がかかっても言葉を処理できる力を測るのは、日常生活を送りながら英語を使えるかを試すのに向いている試験形式です。普段、母語では「ながら」で話を続けることができるはずです。料理をしながら会話をする、テレビを見ながらちょっとした会話に答える、といったことを母語では容易にしています。そのような「余裕」があるかを見ているといっても過言ではありません。
一方、VERSANTのスピーキングテストには英語ネイティブ話者の使用する頻度が低い単語は出ません。TOEFLにおいては「学問のための英語力」を測るため、英語力のみならず、それなりの教養がないと高得点はとれません。しかしVERSANTは、ネイティブの12歳が知っている単語やできることを中心に試験が構成されていると、開発元のPearson社が述べています。
アメリカでは1年早く小学校が始まるので、12歳は日本の中学2年生に相当するとも考えられます。日本人の中学2年生ができるようなことができるかを試されていると置き換えて考えてみると、求められるのは日本で生きていくのに充分な日本語力ではあるものの、まだまだ社会に出れば覚えなければならないことがあるレベルであるとわかると思います。
独学でもVERSANTスコアやビジネス英会話力を伸ばすことは可能でしょうか
スピーキング力アップに重要なことは弱点強化です。そのためには弱点を知る必要があります。VERSANTを受験すると、Manner of Speaking(話し方)が問題なのか、Speaking(自分で産出した内容)が問題なのか、Listening(聞き取り)が問題で聞かれたこととはズレた対応をしてしまっているのかがわかります。自分のできていないことが分類されて可視化されるので、何を練習すべきかがわかり、弱点強化がしやすいです。
VERSANTは流暢さや発音をAIが測っていることから、Manner of Speakingの点数が低い人は発音矯正のアプリを活用すると良いです。例えばAI英会話アプリ「ELSA Speak」のELSA Premiumプランの機能は、かなりVERSANTの発話判定と似ています。
インタビュー後記
江藤先生のお話を通して、VERSANT Speaking and Listeningは、実践の場において英語でやり取りする力を忠実にスコアに反映するために考えられた形式のテストだとわかりました。VERSANT受験への対策として音声を認識する力や発話力を鍛えることは、スコアアップのみならず、日常や仕事の場でコミュニケーションを取るための英語力向上につながるでしょう。
江藤先生によるVERSANT対策書『はじめて受ける VERSANT Speaking and Listening 全パート完全攻略』は、VERSANT の出題形式や特徴、使われる英語の傾向を徹底分析して作られています。VERSANT受験を通して英語コミュニケーション力の向上を目指す方に、まず手に取ってみてほしい総合対策本です。
『はじめて受ける VERSANT Speaking and Listening 全パート完全攻略』書籍紹介
タイトル:はじめて受ける VERSANT Speaking and Listening 全パート完全攻略
著者:江藤友佳(えとう・ゆか)
定価:2,860円(税込)
発売日:2024年10月30日
出版社:株式会社アルク
※学習音声はアルクのダウンロードセンターまたはアプリ「booco」から利用可能
Chapter 1 VERSANT CP Speaking and Listeningの概要
Chapter 2 スピーキング基礎力アップのトレーニング法
Chapter 3 パート別完全対策
Chapter 4 完全模試
初級者・中級者それぞれに適した解答例が用意されている問題もあり、解説や学習アドバイスを読み、知識を深めながら解答のコツをつかめる構成です。練習時にAIツールを活用する方法についても紹介されています。
この一冊で、テストで評価される力を知り、スコアアップに向けて効果的な自主学習とトレーニングに取り組めます。
【参照サイト】VERSANT|本当に話せる英語力の証明 |テストの種類(スピーキングテスト)
English Hub 編集部
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