難しかったRとLの音の聞き分けが、無意識のうちにできるようになってしまう。そんな近未来型の学習サービスが実現に向かっています。
株式会社NTTデータ経営研究所と株式会社JSOLは10月17日、国立研究開発法人情報通信研究機構、大阪大学と共同で、ニューロフィードバック技術を応用した英語学習支援サービスの開発を始めることを発表しました。
ニューロフィードバックとは、脳波計などで脳の状態を計測し、視覚などを通してそれを本人にフィードバックする技術です。6月に行われたニューロフィードバックトレーニングの実証実験では、脳波計を装着した参加者が、「right」と「light」という2つの英単語をイヤホンを通して聞きながら、目前のディスプレイ上の円を大きくするようイメージするという指示を受けました。このときディスプレイに表示されていたのは、音の違いに反応する参加者の脳活動の大きさに応じた円。つまり、参加者は自分の脳の状態のフィードバックを受けていたことになります。この実験の結果、参加者の脳活動が強化され、本人が音素の聞き分けを学んでいるつもりがなくても、1日1時間、5日程度の学習で英単語のリスニング能力が向上するという成果が確認されました。
このトレーニングが実用化されれば、難易度の高い音の違いを聞き取ろうとするストレスもなく、短時間で効果が得られる画期的な学習システムとなることが期待されます。10月からの研究開発では、ビジネスパーソンを対象に実際のオフィス環境でトレーニングを実施して効果を確認するなど、より実際の活用シーンに近い環境での有効性を検証するそうです。
検証により効果が実証されれば、2018年4月以降にトライアルサービス事業の展開が予定されています。まずは英語力向上の必要性に迫られながらも学習時間がなかなか取れないビジネスパーソンを対象にサービスを提供し、2018年度の本格的な商用化を目指します。将来的には学校や学習塾などで学ぶ学生も対象とする見通しです。
今後は、脳情報をフィードバックする方法にゲーミフィケーションを取り入れ、より楽しんでトレーニングできるように改良したり、学習における能力の向上度合いを脳波で評価して学習者にフィードバックし、モチベーションの維持に役立てたりすることも検証予定とのこと。
意識することなく、ゲーム感覚で学ぶうちにスキルアップしてしまう夢のような技術が学習者を支える。そんな日が近そうです。
【参照ページ】ニューロフィードバック技術を用いた英語学習支援サービス開発を開始
【参照ページ】プレスリリース | 脳波を利用することで無意識に英語のリスニング能力が向上 | NICT-情報通信研究機構

English Hub 編集部

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