健診で安静を指示された。仕事を休むように言われたが、産休が始まるのはまだ先。会社にどう伝えればよいのか、収入はどうなるのか、何も決まっていないまま帰宅した。
この記事では、切迫早産で就業の継続が難しくなったときに使える制度を、条文と公的資料にもとづいて整理します。先に書いておくと、医師の指導を会社に伝えるための公式な書式があり、提出すると事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。口頭でお願いする話ではありません。
記載内容は2026年10月時点で、末尾に挙げた公的機関の資料にもとづいています。安静の程度や就業の可否は主治医の指示に従ってください。
結論:連絡カードを出して、休業と給付を順に押さえる
- 母性健康管理指導事項連絡カードを主治医に書いてもらい、事業主に提出する
- 提出があれば、事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要がある。根拠は男女雇用機会均等法第13条
- 休業することになった場合、健康保険の傷病手当金という仕組みがある
- 産前休業は、請求すれば出産予定日の6週間前(多胎は14週間前)から取れる
- 連絡カードの提出から産前休業までを、期間がつながるように組み立てる
まず連絡カードを書いてもらう
厚生労働省が案内している母性健康管理指導事項連絡カードは、主治医等が記入し、本人が事業主に提出することで、医師の指導内容を事業主に正確に伝えるための書式です。
重要なのは提出後の効果です。厚生労働省の案内によれば、事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。また、連絡カードの提出がなくても、女性労働者からの申出の内容が明らかであれば、事業主は措置を講じる必要があるとされています。
- 健診の際に、就業が難しい状態であることを主治医に伝える
- 連絡カードの記入を依頼する。書式は厚生労働省のサイトから入手できる
- 記入されたカードを事業主(人事または上司)に提出する
- どのような措置を取るかを会社と確認し、内容を書面で受け取る
4つ目を入れてください。措置の内容が口頭だけだと、担当者が変わったときに引き継がれません。
会社が講じる必要のある措置
厚生労働省の案内によれば、妊娠中の女性労働者に対して企業に求められる措置には次のものがあります。
| 措置 | 内容と根拠 |
| 指導事項を守るための措置 | 医師等から指導を受けた場合、勤務時間の変更や勤務の軽減などを行う必要がある(男女雇用機会均等法第13条) |
| 症状等に対応する措置 | 妊娠中および出産後1年を経過していない女性労働者が医師等の指導を申し出た場合、作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の措置を講じる必要がある |
| 軽易な業務への転換 | 妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければならない(労働基準法第65条第3項) |
| 通勤緩和 | 医師等から指導を受けた旨の申出があれば、時差通勤、1日30〜60分程度の勤務時間短縮、交通手段や経路の変更、在宅勤務などの措置を講じる必要がある |
| 休憩に関する措置 | 医師等の指導の申出があれば、休憩時間の延長、休憩回数の増加、休憩時間帯の変更などを行う必要がある |
| 時間外・休日・深夜業の制限 | 妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることはできない(労働基準法第66条第2項、第3項)。深夜業は午後10時から午前5時まで |
| 変形労働時間制の適用制限 | 妊産婦が請求した場合、1日および1週間の法定労働時間を超えて労働させることはできない(労働基準法第66条第1項) |
切迫早産では、この表の2番目にある「休業等の措置」が該当することになります。安静の指示が出ている段階では、勤務時間の短縮では足りないことが多いためです。
見落とされやすいのが時間外・深夜業の制限です。請求すればよいだけで、医師の指導を待つ必要はありません。切迫早産と診断される前の段階でも使えます。
休業中の収入をどうするか
傷病手当金
全国健康保険協会の案内によれば、傷病手当金は業務外の病気やけがで療養のため仕事を休んだ場合に支給されるもので、連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったときに、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
- 1日あたりの額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2に相当する額
- 支給される期間は、支給開始日から通算して1年6か月
- 休んだ期間について給与の支払いがある場合は、支給が調整されることがある
- 申請書には医師が記入する欄がある。受診のたびに記入を依頼する流れになる
切迫早産による入院や自宅安静は、この仕組みの対象になり得ます。連絡カードと傷病手当金の申請書は別の書類です。両方を主治医に依頼してください。
産前休業への切り替え
厚生労働省の案内によれば、産前休業は女性労働者が請求すれば出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から休業できるとされています。産後休業は出産の翌日から8週間で、産後6週間を経過した後に本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就くことは差し支えないとされています。
つまり、期間の組み立てはこうなります。
| 期間 | 使う仕組み |
| 安静の指示が出た時点から | 連絡カードを提出し、休業等の措置を受ける。収入は傷病手当金 |
| 出産予定日の6週間前から | 産前休業(多胎は14週間前から)。収入は出産手当金 |
| 出産の翌日から8週間 | 産後休業。産後6週間は就業できない |
| その後 | 育児休業と育児休業給付 |
この切り替わりの時期を会社と先に共有しておくと、手続きが遅れません。給付の窓口が健康保険とハローワークで分かれるため、それぞれ誰が手続きするかも確認してください。
会社に伝えるときの順番
- 妊娠を報告していない場合は、まず報告する。措置の多くは報告が前提になる
- 連絡カードを提出し、医師の指導内容を正確に伝える
- どの措置を取るかを確認し、内容を書面で受け取る
- 休業になる場合、傷病手当金の申請の手続きを担当に確認する
- 産前休業の開始予定日を伝え、切り替えの段取りを決める
- 引き継ぎの範囲を決める。安静の指示が出ている状態で長時間の引き継ぎはしない
最後の行を書いておきます。安静の指示が出ているのに、引き継ぎのために出社を重ねる状況になりやすいためです。資料を残す形に切り替える相談をしてください。
不利益な取扱いを受けた場合
妊娠や出産、それに関する措置を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁じられています。相談先は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。会社との話で行き詰まった場合、ここに相談できます。
休業中の時間の使い方
自宅安静の期間は長くなることがあります。体を動かせない一方で、時間はある状態です。
この期間に、復帰後の働き方を考え直す人もいます。オンラインで完結しやすい仕事として、Webデザイン、ライティング、動画編集、Webマーケティング、オンラインアシスタントなどがあります。通勤がなく、時間帯を選べる形は、復帰後に子どもの体調で予定が崩れる状況と噛み合います。
ただし、安静の指示が出ている期間に無理をするものではありません。体調が許す範囲で、調べるところから始めてください。学ぶ場としては、オンラインで複数の分野を横断して学べるスクールがあります。SHElikesは、Webデザインやライティング、マーケティングなどのコースを定額で受講できる形になっているため、どの方向が自分に合うか決めきれていない段階でも始めやすい設計です。
よくある質問
連絡カードは必ず必要ですか
厚生労働省の案内によれば、連絡カードの提出がなくても、女性労働者からの申出の内容が明らかであれば事業主は措置を講じる必要があるとされています。ただし、医師の指導内容を正確に伝えられるため、提出するほうが話が進みます。
産休まで日数があります。それまで休めますか
医師から就業が難しいという指導が出ている場合、症状等に対応する措置として休業等の措置を講じる必要があるとされています。連絡カードを提出して相談してください。収入については傷病手当金の仕組みがあります。
傷病手当金はいくらになりますか
1日あたりの額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2に相当する額です。支給は連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったときの4日目以降で、支給開始日から通算して1年6か月が限度です。
残業や夜勤を外してもらうには診断が必要ですか
妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることはできないとされています(労働基準法第66条第2項、第3項)。請求すればよく、医師の指導を待つ必要はありません。
休業を申し出たら不利益な扱いを受けました
妊娠や出産、それに関する措置を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁じられています。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。
まとめ
切迫早産で就業の継続が難しくなったら、まず母性健康管理指導事項連絡カードを主治医に書いてもらい、事業主に提出してください。提出があれば、事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。連絡カードがなくても申出の内容が明らかであれば措置が必要とされています。
安静の指示が出ている段階では、勤務時間の短縮では足りないことが多く、症状等に対応する措置としての休業が該当します。休業中の収入には傷病手当金の仕組みがあり、1日あたりの額は標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2、支給開始日から通算して1年6か月までです。
産前休業は請求すれば出産予定日の6週間前(多胎は14週間前)から取れます。安静の指示が出た時点から産前休業、産後休業、育児休業へと期間がつながるように、切り替えの時期を会社と先に共有してください。
残業や深夜業の免除は、請求すればよく医師の指導を待つ必要はありません。不利益な取扱いを受けた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
この記事で参照した資料
English Hub 編集部
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