急に汗が噴き出して会議に集中できない。夜中に何度も目が覚めて、朝から疲れている。気分の落ち込みが続き、これまでできていた仕事が重く感じる。年齢のせいだと言われ、自分でもそう思おうとしている。
この記事では、更年期の症状で働き続けるのが難しくなったときに使える制度を、公的資料にもとづいて整理します。先に書いておくと、妊娠・出産に関する制度とは枠組みが違うため、使える仕組みを取り違えないことが出発点になります。
記載内容は2026年10月時点で、末尾に挙げた公的機関の資料にもとづいています。症状や治療については主治医に確認してください。
結論:使える枠は三つ。どれに当てはまるかを先に決める
- 就業が難しい期間が続くなら、健康保険の傷病手当金という仕組みがある
- 働けるが負荷を下げたいなら、会社の短時間勤務・時差出勤・テレワークの相談になる
- 母性健康管理の仕組み(連絡カードなど)は妊娠中・出産後の女性が対象で、更年期は対象外
- 診断を受けておくと、どの枠を使うにしても話が具体化する
- 辞める前に、負荷を下げて続ける形を一度試す余地がある
どの枠にも当てはめる前に、受診する
制度の多くは医師の書面を前提にしています。受診していない段階だと、会社に相談しても「体調が悪い」という話で止まります。
- 受診先は婦人科。更年期外来を設けている医療機関もある
- 受診前に、症状の種類・頻度・時間帯を2週間ほど記録して持っていく
- 仕事にどう影響しているか(集中が続かない、会議に出られない等)も書く
- 会社に出す書面が必要になる可能性があることを、受診時に伝えておく
記録を持っていく意味は二つあります。診察の精度が上がることと、そのまま会社に相談するときの資料になることです。
枠1:就業が難しい期間が続く場合
傷病手当金
全国健康保険協会の案内によれば、傷病手当金は業務外の病気やけがで療養のため仕事を休んだ場合に支給されるもので、連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったときに、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
- 1日あたりの額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2に相当する額
- 支給される期間は、支給開始日から通算して1年6か月
- 休んだ期間について給与の支払いがある場合は、支給が調整されることがある
- 申請書には医師が記入する欄がある。受診時に依頼する
「通算して1年6か月」という点が実務的です。途中で復帰した期間は算入されないため、体調に波がある場合に、出勤と休業を行き来しながら使えます。
更年期の症状でこの仕組みを使えるかは、就業できない状態かどうかの医学的な判断によります。主治医に、仕事に就けない状態と言えるかどうかを率直に相談してください。
枠2:働けるが、負荷を下げたい場合
多くの場合こちらです。全休ではなく、働き方を調整することで続けられる状態です。
| 相談できること | どう頼むか |
| 時差出勤 | 夜間の睡眠が削られている場合。朝の時間をずらすだけで変わることがある |
| テレワーク | 体温の調節がしやすい。「週に何日なら出社できる」という形で出す |
| 短時間勤務 | 収入が下がるため、どのくらいの期間で戻す見込みかを一緒に出す |
| 所定外労働の削減 | 残業がなくなるだけで、翌日の状態が変わることがある |
| 執務環境の調整 | 空調の当たり方、座席の位置、服装規定の緩和 |
| 業務の配分 | 長時間の会議や立ち仕事が続く業務を一時的に減らす |
最後から2番目は見落とされがちですが、座席と空調の調整だけで一日の消耗が変わることがあります。制度の話にならないぶん、相談のハードルも低い項目です。
産業医や健康相談の窓口を使う
上司に直接話しにくい場合、産業医や保健師が置かれている職場ならそちらが入口になります。医療職を経由すると、診断名を職場全体に広げずに、必要な配慮だけを人事に伝えてもらえる場合があります。健康保険組合が健康相談の窓口を設けていることもあります。
枠3に見えるが使えないもの
間違えやすい点を一つ書いておきます。厚生労働省が案内している母性健康管理指導事項連絡カードは、妊娠中および出産後の女性労働者が対象の仕組みです。主治医が記入し、本人が事業主に提出することで、事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があるという強い仕組みですが、更年期はこの対象ではありません。
同じく、労働基準法第68条の生理休暇も、生理日の就業が著しく困難な女性が請求した場合の仕組みであり、更年期の症状一般に使えるものではありません。
更年期で使うのは、傷病手当金か、会社の一般の休暇・勤務制度か、就業規則上の休職制度です。ここを取り違えると、相談の入口から噛み合わなくなります。
会社に伝えるときの出し方
- 症状そのものより、業務にどう影響しているかを書く
- 頻度と時間帯を具体的に書く(例:午後の2時間、週に2〜3回)
- どの措置があれば続けられるかを、こちらから案として出す
- 見直しの時期を区切る(例:3か月後に状況を共有する)
- 診断を受けている場合は、医師の書面を添える
4つ目を入れると通りやすくなります。期限のない配慮は判断しにくく、期限を区切った配慮は試しやすいからです。
辞める判断をする前に
症状には波があり、治療によって変わることもあります。いちばん重い時期に退職の判断をすると、回復後の選択肢まで狭めてしまうことがあります。順番としては、受診して診断を受け、負荷を下げて続ける形を一度試し、それでも続かない場合に辞める判断をする流れが現実的です。
それでも働き方を変える必要があるなら、時間と場所の自由度が高い形を検討する余地があります。オンラインで完結しやすい仕事として、Webデザイン、ライティング、動画編集、Webマーケティング、オンラインアシスタントなどがあります。調子のよい時間帯に作業を寄せられる点が、症状に波がある状態と噛み合います。
学び始めてすぐに収入になるものではないため、まだ働けている時期に基礎を作っておくほうが現実的です。学ぶ場としては、オンラインで複数の分野を横断して学べるスクールがあります。SHElikesは、Webデザインやライティング、マーケティングなどのコースを定額で受講できる形になっているため、どの方向が自分に合うか決めきれていない段階でも始めやすい設計です。
よくある質問
更年期で傷病手当金は受けられますか
業務外の病気やけがで療養のため仕事を休み、連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかった場合に、4日目以降について支給される仕組みです。更年期の症状が就業できない状態に当たるかは医学的な判断になるため、主治医に相談してください。
母性健康管理指導事項連絡カードは使えますか
使えません。この仕組みは妊娠中および出産後の女性労働者が対象です。更年期で使うのは、傷病手当金か、会社の一般の休暇・勤務制度、就業規則上の休職制度になります。
上司に症状を説明しづらいです
産業医や保健師が置かれている職場なら、そちらを入口にしてください。医療職を経由すると、必要な配慮だけを人事に伝えてもらえる場合があります。健康保険組合の健康相談窓口も確認してください。
診断を受けたほうがよいですか
制度の多くは医師の書面を前提にしています。受診しておくと、傷病手当金の申請でも、会社への配慮の相談でも話が具体化します。受診前に症状の記録を2週間ほど取って持っていってください。
辞めるべきか迷っています
症状には波があり、治療によって変わることもあります。重い時期に判断すると選択肢を狭めることがあるため、受診し、負荷を下げて続ける形を一度試してから判断する順番が現実的です。
まとめ
更年期の症状で働き続けるのが難しくなったとき、先に決めるのは「どの枠を使うか」です。就業が難しい期間が続くなら傷病手当金、働けるが負荷を下げたいなら会社の勤務制度の相談になります。
傷病手当金は、連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったときに4日目以降について支給され、1日あたりの額は支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2、支給期間は支給開始日から通算して1年6か月です。通算であるため、体調に波がある場合に出勤と休業を行き来しながら使えます。
間違えやすいのは、母性健康管理指導事項連絡カードが妊娠中・出産後の女性労働者を対象とした仕組みであり、更年期では使えない点です。生理休暇も対象が異なります。
会社に相談するときは、症状そのものより業務への影響と、どの措置があれば続けられるかを書いてください。期限を区切って出すと試してもらいやすくなります。辞める判断は、受診して負荷を下げる形を一度試してからでも遅くありません。
この記事で参照した資料
English Hub 編集部
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