療育に週2回、通院に月1回、学校との面談が学期ごと。どれも平日の昼にしか入らない。有給は年度の前半で尽きて、職場に申し訳なさが溜まっていく。
この記事では、発達障害のある子どもを育てながら働き続けるために使える制度を、公的資料にもとづいて整理します。先に書いておくと、休暇で埋めるのは単発の予定、繰り返し発生する予定は働き方の変更で埋める。この切り分けができていないと、有給が先に尽きます。
記載内容は2026年10月時点で、末尾に挙げた公的機関の資料にもとづいています。具体的な扱いは勤務先と自治体に確認してください。
結論:繰り返す予定は、休暇ではなく働き方で埋める
- 子の看護等休暇は、2025年4月1日から対象が小学3年生修了までの子に広がった
- 日数は対象の子が1人なら年5日、2人以上なら年10日。1時間単位で取得できる
- 療育のように週単位で繰り返す予定は、この日数では埋まらない
- 繰り返す予定は、時差出勤・テレワーク・所定外労働の免除などの措置で埋める
- 子どもの就学先や進路については、学校に配慮を求める法的な根拠がある
子の看護等休暇で埋まる範囲
厚生労働省の案内によれば、2025年4月1日からの改正で対象となる子の範囲が「小学3年生修了までの子」に拡大され、取得できる事由として感染症による学級閉鎖などで子の世話をする場合と、入園式・卒園式・入学式に出席する場合が加わりました。日数の上限は対象の子が1人なら年5日、2人以上なら年10日で、1時間単位と1日単位で取得できます。
1時間単位で取れる点は使い方を変えます。午前の通院のために1日休むのではなく、2時間だけ取る。年5日を時間に換算して配分するという発想です。
ただし、療育のように週に何度も繰り返す予定は、この日数では埋まりません。繰り返す予定と単発の予定を分けて、埋め方を変えてください。
| 予定の種類 | 埋め方 |
| 週単位で繰り返す療育 | 時差出勤、短時間勤務、テレワーク、所定外労働の免除 |
| 月1回程度の通院 | 子の看護等休暇の時間単位取得、年次有給休暇の時間単位取得 |
| 学期ごとの面談 | 半休や時間単位の休暇。日程が早く分かるので調整しやすい |
| 体調不良による急な呼び出し | 子の看護等休暇。急な抜けが生じにくい業務配分も合わせて相談する |
| 就学相談や進路の手続き | 時期が決まっているため、年度初めに見通しを立てて休暇を確保する |
最後の行が盲点です。就学相談は年度のなかで時期が決まっているため、前年度のうちにスケジュールを把握しておくと、休暇の配分を先に決められます。
会社に相談するときの出し方
伝え方で通りやすさが変わります。診断名や家庭の詳細を伝える必要はありません。必要なのは、業務にどう影響し、何があれば続けられるかです。
- 繰り返す予定の頻度と時間帯を数字で出す(例:毎週火曜の14時から16時)
- 急な抜けが起きる頻度の見込みを出す
- どの措置があれば回るかを、こちらから案として出す
- 引き継ぎや連絡の方法を提案し、業務が止まらない形を示す
- 見直しの時期を区切る(例:3か月ごとに状況を共有する)
3つ目が大事です。「配慮してほしい」ではなく「毎週火曜の午後を在宅にできれば回ります」という形で出すと、判断する側が答えやすくなります。
子どもの側の制度も知っておく
学校に配慮を求める根拠
障害者差別解消法が改正され、内閣府の案内によれば2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供がそれまでの努力義務から法的義務になりました。文部科学省が定めた対応指針は、この「事業者」に学校法人なども含まれるとしています。つまり私立学校も合理的配慮を提供する法的義務を負い、公立学校は行政機関として、それ以前から義務の対象です。
障害者手帳の有無は要件ではありません。話し合いが進まないときは、学年主任や管理職、次に設置者である教育委員会または都道府県の私学担当部署、さらに内閣府が設けている「つなぐ窓口」に相談できます。つなぐ窓口は、障害者差別解消法に関する質問や、配慮を求めたのに理由なく断られた場合の相談を受け付け、適切な窓口へつなぐ調整も行っています。
相談先を分散させる
すべてを自分で抱えると、休暇も体力も尽きます。窓口を増やしてください。
- 児童発達支援センター、児童発達支援事業所。療育の相談と利用
- 放課後等デイサービス。放課後と長期休みの時間を埋められる
- 市区町村の障害福祉担当課。受給者証の申請と、使えるサービスの確認
- 基幹相談支援センター。どのサービスを組むかの相談
- 学校の特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー
- 保健センター、発達障害者支援センター
2つ目は働き続けるうえで効きます。放課後と長期休みの時間が埋まるかどうかで、働ける時間がまったく変わります。利用には受給者証が必要になるため、市区町村の窓口で手続きを確認してください。
進路の時期に起きること
子どもが中学から高校に上がる時期は、親の側の負担が一時的に増えます。学校見学、就学相談、個別の手続きが平日の昼に集中するためです。
高校の選択肢として通信制高校を検討する場合、文部科学省の案内によれば学習は添削指導、面接指導(スクーリング)、試験の3つで進み、レポートの標準的な回数は国語や数学で1単位あたり3回、体育は1回。面接指導の標準時間数は国語や数学で1単位あたり1単位時間、理科や芸術や外国語は4単位時間、体育は5単位時間です。卒業には74単位以上の修得と、特別活動を30単位時間以上受けることが必要とされています。
また同省の案内によれば、多様なメディアを利用した学習で報告課題を提出すると、面接指導の時間数のうち10分の6以内が免除され、複数のメディアを併用する場合は10分の8以内まで免除できます。登校日数が減れば、親が付き添う日数も減ります。実施しているかは学校によって異なるため、資料請求や個別相談で確認してください。
働き方そのものを作り直す選択
繰り返す予定が今後も続く見込みなら、辞めるかどうかではなく「どう働くか」を作り直す方向があります。
オンラインで完結しやすい仕事として、Webデザイン、ライティング、動画編集、Webマーケティング、オンラインアシスタントなどがあります。療育や通院が平日の昼に入っても、作業の時間を夜や早朝に動かせます。
学び始めてすぐに収入になるものではないため、まだ働けている時期に基礎を作っておくのが現実的です。辞めてから始めると、収入がない期間が学習の期間と重なります。
学ぶ場としては、オンラインで複数の分野を横断して学べるスクールがあります。SHElikesは、Webデザインやライティング、マーケティングなどのコースを定額で受講できる形になっているため、どの方向が自分に合うか決めきれていない段階でも始めやすい設計です。
よくある質問
療育の送迎に子の看護等休暇は使えますか
取得できる事由として定められているのは、病気やけがをした子の世話、予防接種や健康診断、感染症による学級閉鎖などによる世話、入園式・卒園式・入学式への出席です。療育の送迎に使えるかは会社の運用を確認してください。繰り返す予定は、そもそも年5日では埋まりません。
小学4年生以上の子には使えないのですか
2025年4月1日からの改正で対象は小学3年生修了までの子に拡大されましたが、それ以上は対象外です。年次有給休暇の時間単位取得や、会社独自の特別休暇を確認してください。
会社に診断名を伝える必要はありますか
必要はありません。繰り返す予定の頻度と時間帯、急な抜けが起きる見込み、どの措置があれば回るかを具体的に伝えるほうが話が進みます。
学校が配慮に応じてくれません
2024年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が法的義務になり、文部科学省の対応指針では学校法人もこの事業者に含まれるとされています。進まないときは教育委員会や私学担当部署、内閣府の「つなぐ窓口」に相談できます。
放課後の時間が埋まりません
放課後等デイサービスの利用を検討してください。利用には受給者証が必要になるため、市区町村の障害福祉担当課で手続きを確認してください。長期休みの時間も埋められる場合があります。
まとめ
発達障害のある子どもを育てながら働き続けるとき、まず予定を二つに分けてください。繰り返す予定と単発の予定です。
単発の予定は子の看護等休暇で埋められます。2025年4月1日から対象が小学3年生修了までの子に広がり、学級閉鎖による世話や入園式・入学式への出席も事由に加わりました。日数は対象の子が1人なら年5日、2人以上なら年10日で、1時間単位で取得できます。
療育のように週単位で繰り返す予定は、この日数では埋まりません。時差出勤、テレワーク、短時間勤務、所定外労働の免除といった措置で埋めてください。会社に相談するときは「毎週火曜の午後を在宅にできれば回ります」という形で、案を出す側に回ると通りやすくなります。
相談先は分散させてください。児童発達支援、放課後等デイサービス、市区町村の障害福祉担当課、基幹相談支援センター、学校の特別支援教育コーディネーターが入口です。学校への配慮の求めには2024年4月1日からの法的義務という根拠があります。
この記事で参照した資料
English Hub 編集部
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