「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」
English Hub編集部オリジナルインタビュー企画「海外で活躍する日本人が語る、おすすめ英語学習法」は、英語を使って海外で活躍している日本人ビジネスマン・ビジネスウーマンの方から、これまでのリアルな体験に基づいておすすめの英語学習法やビジネスの現場で英語を使う際のポイントを教えてもらうコーナーです。プロの英語講師でもネイティブでもなく、皆さんと同じ日本人英語学習者の立場としてどのように英語と向き合い、乗り越えてきたのかを等身大の姿で語ってもらうことで、必ず今後の勉強に役立つヒントが見つかるはずです。ぜひインタビュー内容を参考にしながら英語学習のコツを掴みましょう。
今回のゲスト:田中ダイキさん
第二回目となる今回は、現在イギリスのロンドンに在住で、翻訳・ライターなどの活動をフリーランスで行っている田中ダイキさんにお話を伺いました。
名前 | 田中ダイキさん |
職業 | フリーランス |
居住地 | イギリス・ロンドン |
主な学習法 | 独学 |
インタビュー
Q:現在の職業と仕事内容について教えてください。
フリーランスで、依頼された様々なことをしています。特に調べてものを書いたり、翻訳やコンテンツ関係が多いです。
Q:いつから本格的に英語を学び始めましたか?
思えば、小学校5年か6年生のころ、英語塾に通って、なんだこの変な発音は、と思ったのがよかったのかもしれません。勉強というよりは遊びに近いんですが、英語って必ずしもアイウエオで終わらない、日本語に全然ない音なんです。小さな驚きでした。中学高校は学校の授業やテスト勉強を普通にこなしていただけです。時間はそんなにかけませんでしたが、海外志向だったので、かなり精神的には集中して、身に着けようという努力はしていました。それから映画が大好きだったので、吹き替えではなく、字幕で洋画を見るように心がけていました。本数が圧倒的にハリウッドものが多く、学校の授業もアメリカ寄りの英語だったため、イギリスに行った際は、発音の違いに戸惑いました。数本イギリスの映画も観ていたので、違いがあるのは分かっていましたが、イギリス英語を聞き取るのに苦労しました。本格的に英語力が進展したのは、やはり渡英後だと思います。
Q:ある程度英語を使えるようになったと実感するまでにどのくらい期間がかかりましたか?または、どんなときにそう感じましたか?
頭の中で英語で考えているときがあります。もちろん日本語で考えているときもあるんですが、「あれ、俺いま英語で考えてたって」思った時ですね。はっきりと覚えていませんが、渡英して半年後ぐらいでしょうか。日本にいたころ学校の授業などでは、日本語で考えて英語にしていたんですが、英語で考えて、英語で返す方が、どう見ても、回路がシンプルではやいんです。
Q:英語を使えるようになっていったプロセス(どのように学んだか)を教えてください。
日本にいるときから、英語は勉強していたんですが、今振り返ると。すごく無茶苦茶なこともしていたなーと。日本語で読んでも難しそうな分厚い本を英語で買ってきて、さあ読むぞーと意気込んだのはいいのですが、難しいのなんの。内容がさっぱりわからず、無駄なことをしてしまいました。今読んだら面白いかもしれませんけどね。先ほど述べたように、洋画を見て自然な英語に触れるということもしましたが、それと並行して英語の資格の勉強をしました。個人的には資格にはあまり興味はないんですが、イギリスの大学に入学するため、仕方なくというか、勉強せざるを得なかったというのがあります。テストって、ナゾナゾですから、まともに答えるためのコツを覚える必要があります。なので「傾向と対策」のような本も読みました。渡英後は、黙っていても英語のシャワーを浴びていたので、この自然体な英語と、教科書のセオリーの両方に触れていたのが、今考えればよかったのかもしれません。
Q:英語をマスターする上で一番必要だと思うことは何ですか?
目標です。目的意識でもいい。僕は海外で大冒険をしてみたかった。日本のありふれた日常を飛び出して、ちょっと危ない世界を見てみたいと思った。危ないというのは語弊があるかもしれませんが、好奇心のようなものです。世界を渡り歩くために、英語はとても便利なツールだというのがありました。
Q:海外で仕事を探している時に、どうやって求人を探していましたか?また、今の仕事はどうやって見つけましたか?
勉強が優先というのは決めていたんですが、仕事でもしてみようかなーと、市内に掲示板のようなところがあって、行ってみたらそこで面白そうな仕事が1つあったので、応募したらそれで決まってしまいました。友達には絶対に落ちると思われて、記念受験みたいにその時点で「おめでとう」と言われたんですけどね。その仕事が本当に長年続きました。モノを書く仕事だったのですが、英語の情報を日本語で書くので、翻訳力が付きました。どこで翻訳を勉強しましたかってよく聞かれるのですが、特別なことはしておらず、学校の勉強とこの仕事で自然と身に付きました。フリーランスになったのは、キャリアの初期のこの経験が大きかったですね。知り合いから仕事の依頼があったり、ネットがかなり普及して、オンラインで仕事を見つけるということもあります。
Q:海外で仕事を得る際に、努力したことや準備したことを教えてください。
仕事を得るために何かしようと考えたことがあまりなく、何をしたら面白そうか、ということが常に優先していました。しいて言えば、海外の大学に行ったことでしょうか。大学の専攻も、就職とかは考えずに、自分の中で何を追求したいかで決めました。結果的に多くの貴重な経験を得ることが出来て、かけがえのない時間でした。
Q:仕事の現場で英語を使うとき、どんなことを心がけていますか?
英語を間違わないようにというのは、当然の心がけとして、どんなふうにコミュニケーションをとるかということに気を付けています。日本人だと丁寧に書いているつもりでも、場合によっては堅苦しい表現に終始してしまう傾向があるんです。海外の人からしたら、なんだか物々しくって、外交問題にでも取り組んでいるのかっていうふうにとられてしまうんです。英語そのものというよりは、その背景の文化的な違いを理解して、状況に応じて言葉を選びながら、コミュニケーションをとっています。
Q:英語を使えるようになって一番よかったことは何ですか?
やはり自分の世界がすごく広がったということです。日本は島国ですから、ある意味では似かよった人、情報、常識がグルグルと循環しています。でも世界に出てみると、本当にいろいろな人や情報があって、日本の常識では考えられないことが沢山あります。そういった発見がすごく楽しいです。海外に行かなかったとしても、今はネット社会ですから、日本語にはなくて、英語ではある情報というのもかなりの量なので、便利なのは間違いないですね。
Q:異なる国の人々と接する際に、日本人とはここが違うなと思う点を教えてください。
その国の人によって文化的背景に違いますし、人それぞれの個性もあります。傾向としては、自己主張はしっかりする、ということだと思います。でも必ずしもそうとも限らない。アフリカの外人が誰もいないようなところに行って、買い物をしてお釣りを左手で受け取ったら、連れの人に、左手で受け取ったら、無礼にあたるのでしてはいけないと言われました。僕が現地民だったら、殴られるというのです。ということは、お店の人は、僕がよそ者だから、常識を知らないだろうからと許してくれたということです。主張するばかりではなく、外国の人だってこちらを理解しようという努力はあります。
Q:英語力を維持・向上し続けるために心がけていることはありますか?
心がけているわけではなく、結果的にそうなっているのですが、仕事で常に使っていることと、映画が好きなので、そのお蔭で、全部英語を忘れることはないと思います。渡英直後は、どっぷり英語に浸かろうとして、逆に日本語を話すのを忘れていた頃があります。言葉は日本語でも英語でも使い続けるのが大事なんだと思います。
Q:今までで一番効果的だと思った学習方法を教えてください。
スピーキングについて
海外の大学でプレゼンテーションを行うこと。そうせざるを得ない状況を作るということです。人間の能力というのは、せっぱ詰まったときに伸びていくんだと思います。外人しかいないところでプレゼンするんですから、英語で受け答えするしかないんです。そういう状況を作り出すことです。
ライティングについて
卒論やエッセー(小論文)を書くのが、とても役に立ちました。学術的なことを書くときの書き方のルールのようなものがあり、勉強になりました。
リスニングについて
イギリス現地で、地域のグループ活動に参加したのですが、子供たちは、こっちがよそ者でもお構いなしに、早口でまくしたてるので、鍛えられました。日本では、映画を字幕で観て、耳から入ってくる英語の音と目から入ってくる日本語を頭の中で照合させるという作業をしていました。えー、この英語がこんな日本語に?っていうのがたくさんあって面白かった。ビジネス文書の訳は正確さがもとめられるんでしょうが、映画って芸術なので、正確な必要が全然なくって、作品としてよくなれば、全然違うことを役者に言わせてもいいので、その辺がコミュニケーション方法や文化の違いを知る上でも勉強になりました。
リーディングについて
BBCニュースをブラウザーのデフォルト設定することです。勉強するつもりではなくても、その見出し、もしくは写真につられてつい読んでしまい、結果として英語力が付きます。
発音について
発音は、聞いた音を正確にリピートすることです。映画を見ながら十分できます。ネイティブの人が発した音が頭の中にあるうちに、それを口に焼き付けるというイメージです。日本語ではありえないような口周りの筋肉の動きが必要なので、スポーツと思って動かすことです。でも、通じれば、アクセントはそんなにこだわる必要はないと思います。まるっきり日本語発音だと通じないのですが、まるっきりネイティブでなくても通じます。英語といっても、世界にはさまざまな方言があって、発音も全然違います。英国内でもなまりがあってリバプール弁は、英語なのにイギリスの人にもよくわからないようです。通じていれば、気にしないでいいんじゃないかと思います。これは日本の英語ですってことで。
Q:おすすめの英語教材や参考書などがありましたら教えてください。
例文がたくさん載っている英和、和英それぞれの大辞典を本屋さんで見つける。渡英時はトランク1つで行きましたが、この巨大な辞典2つ、プラス携帯用の小さめのいくつかの辞典は持っていきました。電子辞書でもよかったのですが、紙の辞書のほうが情報量が多かったのでそうしました。今はネットがすごく便利になっているので、インターネットの辞書で十分だと思います。中高の英語の教科書を大事にして下さい。大体の基礎が載っています。あとは映画やネットの世界にたくさん英語は転がっています。それをどう料理するかはあなた次第です。
Q:最後に英語学習中の読者に向けてのアドバイスを一言お願いします。
色々な事情で英語を勉強している方がいるかとおもいます。テストで仕方なくという方、仕事の必要性に迫られて、海外旅行をしてみたい、等々。難しい場合もあるかもしれませんが、そのなかで、何か喜びを見出すことです。自分の興味と繋げて覚えることもいいかもしれません。釣りが好きなら、フィッシングの海外事情を調べてみる。オシャレ好きなら、ファッションウィークの流行を先取りする。食いしん坊なら、海外の食事情を英語で調べる。そうしているうちに、自然な英語が身についていくと思いますし、英語を勉強したいという動機づけにもなります。
インタビュー後記
今回は、イギリスのロンドンでフリーランスとして活躍中の田中ダイキさんへのインタビューでした。田中さんのお話の中で最も印象的だったのが「人間の能力というのは、せっぱ詰まったときに伸びていく」という言葉です。巷で言われている効率的な英語学習法は山のようにありますが、究極的には「英語を使わなければいけない環境に自分を追い込む」ことが英語上達の最短ルートであることは間違いありません。筋力トレーニングと同様で、ぎりぎりのところまでやるから伸びるのであって、負荷が少なければ当然見返りも少ないのが英語学習です。当たり前のことではありますが、一日でも早く英語を上達させたい方は、どこまで自分を英語環境に追い込めているかを今一度問い直してみるのもよいでしょう。ロンドンで活躍されている田中さんからは、英語学習のヒントとなるアドバイスをたくさんいただけました。ご協力ありがとうございました!
English Hub 編集部
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